顔面崩壊で完敗和氣。ダメだ、全然感動しなかった…。グスマン4度のダウンを奪い世界タイトル獲得!! 静まり返る会場で大喜び【結果・感想】

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ハンブルグ陸橋イメージ
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2016年7月20日にエディオンアリーナ大阪で行われたIBF世界S・バンタム級王座決定戦。ランキング1位の和氣慎吾が同級2位のジョナタン・グスマンと対決し、11R2分16秒TKOで敗れた。

序盤からグスマンの圧力に巻き込まれ、計4度のダウンを奪われた和氣慎吾。フットワークを使い、前に出るグスマンに対抗しようとしたがスピーディな突進に最後まで対応できず。

中盤以降、グスマンの失速もあって反撃に転じたが、要所でグスマンのパンチを被弾してしまう。目も腫れ上がり、視界が悪くなった11R。見かねたレフェリーが試合をストップしてグスマンの勝利を宣告した。

異色のリーゼントボクサーとして初の世界戦に挑んだ和氣だったが、想像以上に高い壁に跳ね返された形となってしまった。

「井岡がララを11RKOに下して快勝!! エストラーダ戦は…ないかなぁ。案外正規王者vs暫定王者の統一戦になるかもね」

グスマンは強いけど、和氣のスピードならどうにかなるかもと思っていました

和氣慎吾11RTKO負けで世界タイトル奪取ならず!!

ダメでしたねぇ和氣慎吾……。

「一方的」以外の言葉が見当たらないくらいの一方的な負けだった。

今回の試合、僕はそこそこ拮抗するかもしれないと思っていたが、まったくそんなことはなかった。両者の間に横たわるどうにもならないほどの実力差。いつものことながらの見る目のなさというか、我ながら安定の無能っぷりであるww

「やっとか! 和氣慎吾。ジョナサン(ジョナタン)・グスマンとの世界王座決定戦を予想する」

ちなみにだが、グスマンの実力はだいたい想像の範疇だったと思う。
下がりながらのカウンター、身体を入れ替えるタイミングのよさ。そして相手の力量を把握するまでの慎重さ。チャンスでの爆発力はあるものの、どちらかと言えば確実に勝利をものにしていくタイプ。
防御面で言うとややガードが低く、打ち合いの中で不用意な被弾が見られる。

身体能力は優れているが、雑な部分が多く決して完成されているとは言えない。
21勝21KOという圧倒的なレコードほど怪物的な強さはない。
これが試合前にグスマンから受けた印象だが、概ね想像通りと言っていいのではないだろうか。想像よりも若干荒々しい部分も見られたが。

そして、この選手になら和氣のスピードがある程度通用する。
劣勢の予想が多いが、動きに慣れていない序盤からペースを掴めば和氣にもチャンスがある。そして得意の左が当たるチャンスもくるかも。
そんな感じの予想をしていた次第である。

「山中vsモレノ再戦予想!! 疑惑の判定勝利から1年。因縁の対決に決着をつけられるか?」

予想大外れ。1Rにもらった右ボディで「こりゃやばい」

だが、結果はまったくの大外れだった。
「グスマンの後半KO勝利」という予想だけは当たったものの、内容的には完全に別物である。

実質、和氣がグスマンを翻弄したと言えるのは約1分30秒間だけ(翻弄と言っていいかすら定かではないが)。
試合開始から2分も経たずにグスマンは和氣の動きを把握し、さっそく持ち前の爆発力を発揮してみせたのである。

開始直後、軽快なフットワークでリングを縦横無尽に動き回る和氣。
だが、グスマンは余裕の表情を崩さずプレッシャーをかける。

「レイ・バルガスがムニョスに勝利し、また一歩王座へ近づく。でも見た目ほど圧勝じゃなかったな」

ラウンドが後半に差し掛かった1分45秒過ぎ。
和氣がロープを背にした瞬間、グスマンが大きく踏み込んで右ストレートを放つ。このパンチが和氣のボディに深々と突き刺さり、和氣が身体をくの字に折ってロープにもたれかかる。

「あ、ダメかも」
あのパンチを見た瞬間、僕は和氣が勝つのは厳しいと思ってしまった。

見たところ、グスマンの踏み込みに和氣はまったく対応できていない。そもそも和氣にはグスマンの踏み込みをさばくフットワークがない。
スピードなら和氣に分があると思っていたが、スピードでも完全に劣っていたのである。

「小國vsグスマン感想。怒らないで聞いて。実は小國が勝てるんじゃないかと思ってた」

こりゃあキツいな。
どうにもならないかも……。

そんな風に絶望を感じた瞬間だった。

そして、その後の展開はご覧の通りである。

「田中恒成vsモイセス・フエンテス予想! 実は一番楽しみな試合。大みそかに試合が組みにくいだって?」

グスマンのゴリ押し猛ラッシュをモロに受け、計4度のダウンを奪われてのTKO負け。
途中グスマンが失速して「もしや」と思わせる場面もあったが、全体を通して見ればほぼ一方的にやられ続けたワンサイドゲーム。実力差のある相手に完敗を喫した試合である。
 
「ラフファイトとか体重超過とか、別にアリだよな? というお話」
 
和氣のがんばりに対する称賛も多く聞かれたが、個人的には5Rの大の字ダウンを喫した時点で止めるのが賢明だったと思っている。
棄権をうながしたレフェリーに「ノー」を貫いた和氣陣営の姿勢が報道されていたが、それを美談として語っていいかは僕にはわからない。

「河野惜敗!! 激闘の末、コンセプシオンに敗れる。引退なんかするなよ?」

和氣慎吾の実力がいまいちわからなかった。前回の試合のできが悪過ぎた……のか?

前回の記事でも申し上げたが、僕はこの試合がどうなるのかがいまいち想像できなかった。
グスマンのサウスポー対策がどの程度なのかはもちろん、何より和氣慎吾という選手のMAXパワーがどのくらいかをよくわかっていなかった。

今年の2月に後楽園ホールで行われたワルド・サブ戦を生観戦した際、和氣のあまりのできの悪さに「このままじゃ世界タイトルは無理」「こんなレベルの相手に手間取ってどうすんだ」と散々酷評した記憶がある。

「和氣慎吾世界前哨戦!! ワルド・サブってなんじゃこりゃ? 今さらこの相手で前哨戦とか言っちゃうの?」
「和氣慎吾がワルド・サブを5回KOで世界前哨戦勝利!! 後楽園ホールに行ってきたぞ」

ただ、このときは格下相手にKOを意識し過ぎたのかもしれない。世界戦がなかなか決まらない中でコンディションを維持するのも難しかったのだろう。ある程度は仕方ない部分があったとも考えられる。

「和気慎吾 世界前哨戦でKO勝利!“最強トリオ”セコンドが「力に」」

本人も「力みすぎた」と言っているし、セコンドの鬼塚氏も「和氣はこんなもんじゃない。絶対に世界をとれる逸材です」とコメントしている。

記事を読む限り、この日の和氣は本来の実力を出し切れていなかったのではないか。いざ世界戦となれば、この日とは比べ物にならない仕上がりを見せてくれるだろう。そんな風に考えていた次第である。

だが、実際は「こんなもんだった」

正直、ワルド・サブ戦と今回のグスマン戦を比べて、和氣の動きに特別違いがあったようには思えない。フットワークやパンチスピード、防御勘など、クオリティ的にはワルド・サブ戦で見せたものとあまり変わらなかったと思う。

「村田1Rで圧勝!! 廃棄処分するようにタドニッパをKOする。100点満点じゃないか?」

僕は以前から「和氣のイキったスタイルがあまり好きではない」「格下相手に『俺の超絶技巧で華麗にKOしてやんよ』という姿勢が透けて見える」と申し上げていた。
「いいからカッコつけてないでさっさと倒せよ」と。

だが、本当のところはイキっていたわけでも何でもなく、
「かませ犬に苦戦する実力の和氣が、世界レベルであるグスマンに手も足も出せずに負けた」
というのがファイナルアンサーだったのだろうか。

「サンタクルス初黒星!! ジャッカル・フランプトンに判定で敗れる!!」

和氣のバッティングアピールにガッカリした話。そんなことしてないで打ち返せよ

今回の和氣vsグスマン戦。
多くの方から「和氣の気持ちの強さに感動した」という声が聞かれた。

「すばらしかった」
「全然無様じゃない」
「向かっていく姿がカッコよかった」
「潔さが気持ちいい」
「今後も応援したい」
「メインの井岡戦よりはるかに見どころ満載だった」

だが、申し訳ないことに僕はこの試合にまったく心を動かされることがなかった。

なぜか。
一つは僕が和氣をあまり好きではないこと。

そして、最も大きな理由が2Rのダウンシーンである。

〜〜〜〜

グスマンの鋭い踏み込みからの左。同時に頭が和氣の右頬に当たる。
和氣が後退しながら頬を押さえてバッティングをアピールする。
お構いなしに襲いかかるグスマン。右からの逆ワンツーが和氣の頬をかすめる。
わずかにかすった右で膝をつく和氣。すぐに立ちあがり、左手を上げてレフェリーにスリップをアピールする。
グスマンは気にするそぶりも見せずに攻め続ける。

リング中央でもみ合いになったところでレフェリーが両者を分ける。
グスマンにコーナーに戻るように指示し、和氣の眼前でカウントを数え始める。

ダウンの判定に天を仰ぐ和氣。
すぐに試合が再開され、合図とともにグスマンが小走りで駆け寄る……。

〜〜〜〜

2Rの1分30秒過ぎ、最初のダウンシーンである。
僕はこのときの和氣の姿に本当にガッカリしてしまった。

何をロープ際でラッシュを受けながらアピってんだよ。
そんなことより試合が止まってないんだから打ち返せよ。
あんな緊急事態でしょーもないアピールしてんなよ。

何が「ボクシングは人生そのもの」だよ。
何が「このラウンドに人生を賭けろ」だよ。
ヌル過ぎるだろ。
 
「岩佐vs小國を予想してみる。自信ないけど、岩佐のワンサイドでいいんじゃない? 赤っ恥覚悟の強気予想だけど」
 
バッティングの後に猛ラッシュで強引にダウンを奪う。
体力が落ちて失速しても冷静に距離をとってポイント合戦に持ち込む。
要所で1発返して和氣の反撃を寸断する。

どう見ても勝つために最善尽くしてたのはグスマンの方だろ。
あいつの方がよっぽど人生賭けてリングに上がっとるわ。

で、アレか?
「この無様な顔を見てください」ってか?
悲しくなってきますわ。

「小原佳太がトロヤノフスキーに場外に吹っ飛ばされる!! 模造テクニシャンを大量に生み出したメイウェザーの功罪」

和氣さん、完全にプロモーターにお得意様だと思われてるんじゃない? クリンチはよかったけど

「リーゼント和気は“顔面崩壊”で11回TKO負け!」
↑これまたすごいコラムである。

「スリップだと思っているうちにカウントを数えられて戸惑った」
「よろめいて横を向いたためにダウンをとられた」
「左フックを強引に引っかけられて倒された」

いったい何を言っているのか。
全部グスマンが勝利に向かって突き進んだ結果じゃねえか。

極めつけはプロモーターの言葉。
「和氣が再戦を望むなら大みそかの舞台を喜んで用意したい」
もう完全にお得意様扱いである。

「無謀? 大沢宏晋がオスカー・バルデスに挑む!! 聖地ラスベガスでパッキャオのアンダーカード」

ただ今回の試合で、ピンチを迎えた際の和氣のクリンチはよかったのではないかと思う。
ダウンを喫した後、なりふり構わず相手にしがみついて時間を稼ぐ。回復につとめる。4月に行われた内山vsコラレス戦での内山には見られなかった光景である。

「「モチベーション」とか「メンタル」とかホント好きだよな。笑わせんなよ。内山は実力でコラレスに負けたんだよ」

もしかしたら、これが敗戦を経験している選手とそうでない選手の差なのかもしれない。
あの日の内山にこの和氣のがむしゃらさがあれば、後半勝負に持ち込めていたかもと思ってしまった。

グスマンの今後に期待。和氣との再戦より長谷川穂積戦の方が興味ある

新チャンピオンとなったジョナタン・グスマンだが、今後はどうするのだろうか。コメントにあったように防衛戦を1回挟んで大みそかに和氣と再戦するのだろうか。

個人的にはグスマンには和氣との再戦より、他の選手との試合に進んでもらいたいと思っている。たとえば英国でスコット・クイッグとタイトルマッチを開催するとか。何となくクイッグが勝ちそうな気がするが。

「クイッグがフランプトンに敗れる!! 英国スター対決は凡戦の末にフランプトンに軍配」

もし大みそかに日本に来るならウーゴ・ルイスに勝った長谷川穂積との統一戦でもいい。いや、レイ・バルガスvs長谷川穂積戦も捨てがたいけど。もしくはレイ・バルガスvsジョナタン・グスマンというのもありだ。

「ウーゴ・ルイスに挑戦! 長谷川穂積最終章開幕。ラストファイトか? 大阪で引退をかけて3階級制覇へ」

まあ、とりあえず和氣vsグスマンはもういいかな。

ちなみにこれは余談だが、今回のボクシング中継で「解説の内藤大助がまったく解説になっていなかった」「あんな解説なら長谷川穂積のゲスト解説だけで十分だ」という声がめちゃくちゃ多く聞かれた。

「あ~」「う~」と唸っているだけでやかましくて仕方がない。内藤大助にイライラした方は本当に多かったようである。

だが、僕に言わせれば全然甘いww
あの程度で心を乱されるようでは達人の域に達することはできない(何が?)

要はあいつを解説者だと思わなければいいのである。「実況席に紛れ込んだ酔っ払いのおっさん」だと思えば、イラつくこともなくなる。
野球中継で鍛えられたベテラン視聴者からの金言であるww

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