ワイルダーがスピルカを衝撃KOで下して防衛成功!! ヘビー級戦線注目のワイルダーがスピーディな挑戦者に引導を渡す。今後さらなる強敵との対決へ進むのか?【結果】

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ビルと夕日イメージ
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2016年1月16日(日本時間17日)、WBA世界ヘビー級タイトルマッチが米ニューヨークのバークレイズ・センターで開催された。

王者デオンテイ・ワイルダーが挑戦者アルツール・スピルカを9R2分24秒KOで下し、防衛に成功した。

これでワイルダーは36戦全勝35KO。タイソン・フューリーやウラジミール・クリチコとのビッグマッチがますます楽しみになってきた。
 
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スピルカは本当によくやった。あのワイルダーを相手にかなり盛り上げてくれた

まず最初にひと言申し上げたい。
スピルカはよくがんばった。

負けはしたものの、ワイルダーを相手にかなり健闘したのではないだろうか。
「ワイルダーはそろそろ強い相手とやってくれ」と憤っている方がいたが、とんでもない。スピルカは十分タイトル挑戦者に値する選手だ。

以前の記事で「この選手は上背のある相手と対峙すると踏み込みに陰りが見られる」と申し上げたが、この試合に関してはそんなことはなかった。
きっと一世一代の大勝負と位置づけていたのだろう。相当な気合いの入り方だった。

「ワイルダーvsスピルカ予想!! スピードのあるスピルカを迎えうつワイルダー」

遠い位置からの鋭い踏み込み。
絶えず頭を動かし、サイドへ回りワイルダーの視界の外側を意識した位置取り。
トリッキーに腕を動かし、的を絞らせない工夫。
そしてワイルダーの射程のわずかに外側に位置する奥足重心の後傾姿勢。

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手数が少なかったものの、防御に若干の難があるワイルダーの弱点をうまく突いた戦い方だったと思う。

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激しいスピルカの動きに戸惑うワイルダー。もしかしたらが起きるかも?

試合序盤、ワイルダーは確実にスピルカのスピードに戸惑いを見せていた。
得意のワンツーはバックステップでかわされ、スピーディな踏み込みから懐に入られる場面もたびたび見られた。
最近ではあまり見られないような大振りでの空振りなど、ワイルダーはかなりイライラしていたのではないだろうか。

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2Rの残り30秒。
スピルカが右のジャブをダブルで出し、右に一歩踏み込んでからの左。そしてバックステップで距離をとる。この動きなどは勝利への希望を感じさせるに足る攻撃だったと思う。

このままいけば、もしかしたらペースを握れるかもしれない。そんな立ち上がりのスピルカの動きだったのだ。

だが、3Rまでだった。

4R以降、ワイルダーはスピルカの動きにきっちり対応した。
正確には3Rの後半からワイルダーはスピルカの動きに慣れてしまっていた。

そこから先は見ての通りである。スピルカから徐々に思いきりのいい踏み込みが失われ、遠い位置から削られるお決まりの展開となってしまった。
しかも狙い過ぎるあまりに横への動きもなくなり、直線的な突進と後退のみが目立つようになっていったのである。

そしてワイルダーの長いワンツーがスピルカの顔面を跳ね上げるシーンが増え、9Rの衝撃KOにつながったというわけだ。

「フランプトンvsクイッグ予想!! 英国人スター頂上決戦の行方は?」

恐らくセコンドから指示が出ているのだろう。ラウンド開始のゴングが鳴るたびにスピルカは自らを奮い立たせるように左右への動きを見せる。
だがそれが続かない。ラウンド序盤は左右の動きを意識してステップを踏むのだが、ワイルダーのストレートを一発もらうと足が止まってしまうのである。
恐らくワイルダーのパンチをまともにもらったら立っていられないという恐怖心と警戒心が強いのだ。頭を激しく振るだけで、肝心の足が動かなくなってしまうのだ。

「ダニー・ガルシアがロバート・ゲレロに完勝して2階級制覇達成!! ウェルター級のガルシアはホントに強いわ」

スピルカの動きを見切ったワイルダーは余裕の迎撃だ。
ややガードを下げ、スピルカの打ち終わりを狙って右を放つ。左手を前に出してのバックステップでスピルカの踏み込みの勢いをうまく半減させる。勢いなく自分の目の前に近づいてくるスピルカに右のカウンターを軽く当てる。自分の懐の深さとスピードをよく理解した戦法である。

「ヘビー級No.1候補ジョシュアがデカイだけの人ブリージールを屠って勝利!! そりゃそうだろ」

ワイルダーのカウンターでスピルカ撃沈!! 会場騒然の豪快KO

そして9R。
ラウンド序盤からスピルカが圧力を強める。
どうやらこのラウンドを勝負と位置づけたようだ。
これまでよりも鋭い突進でワイルダーに向かっていく。

「サダム・アリを見とけよ? そのうち出てくっから!!」

だが、ワイルダーは相変わらず余裕の動きである。
スピルカの決死の突進を左回りでスルリとかわし、サイドに回って右を軽くヒットする。

残り45秒。
コーナーでスピルカが左を振るいながら勢いよく飛び込む!!
ワイルダーが身体を左に傾けながら右を出す!!

大振りのフックのスピルカに対し、ワイルダーのコンパクトな右。
先に届いたのはワイルダーの右!!
スピルカがパンチを打った体勢のままリングに横たわる!!

カウント5を数えたところでレフェリーが両腕を交差して試合を止める!!

スピルカ失神KO!!
9R2分24秒!!
ワイルダー勝利!!

衝撃的な結末だった。
誰の目にも明らかなKO勝利である。

実はこのパンチ、3Rの序盤にスピルカが放った飛び込み際の左とまったく同じパンチだ。3Rの時点ではワイルダーがバックステップでかわしたものの、そのままロープ際まで押し込まれてしまったパンチである。

「ジェシー・バルガスvsサダム・アリ予想!! 期待のサダム・アリが初のタイトル挑戦!!」

ワイルダーはそのパンチに対して見事に対応してみせたのだ。
もちろんスピルカの踏み込みが若干鈍ったのもあるだろうが、ワイルダーの学習能力の高さが際立った瞬間である。

「ワイルダーがアレオーラを下してV4!! 圧勝? 意外と危なかったぞこの試合」

クリチコ、フューリー、ワイルダー。この3人で最も不安定なのがワイルダーか?

結果的にはスピードとサイズの差でスピルカを圧倒してみせたワイルダーだが、スピルカのがんばりもあって序盤はそれなりに苦戦を見せていたことも確かである。

・圧倒的な上背
・相応のパワー
・そこそこのスピード

ワイルダーもクリチコと同様、この3つがあれば負けることはないというボクシングの究極系を地でいく選手である。

「メイウェザーとクリチコはボクシングを終わらせた? 結局、格闘技の基本は防御である」

だが、果たして自分と同等のサイズの相手にも同じように戦えるだろうか。
たとえば今日のスピルカがタイソン・フューリーと対峙した場合、序盤のような苦戦を見せるだろうか。残念ながら僕はそうは思わない。
衝撃的なKO勝利を飾ることはないだろうが、遠い距離から塩漬けにして大差判定勝利を収めるのではないだろうか。

そう考えると、ワイルダー、フューリー、クリチコの中で最も不安定な王者がこのワイルダーなのかもしれない。
といっても、クリチコの衰えも大概なので何とも言えないのだが。

「内山がフローレスを粉砕!! 誰がゴリラをリングに上げていいって言ったよww」

なぜ今お前が? タイソン・フューリーがリングに上がり、ワイルダーを挑発ww

試合後、タイソン・フューリーがリングに上がりマイクパフォーマンスを始める。試合を終えたばかりのワイルダーとの激しい舌戦である。

って、なぜお前が??

「俺、今度クリチコと再戦すっから。そこで勝ったら次はお前の番だからな? お前も防衛戦あると思うけど、俺がクリチコに勝つまで負けんじゃねえぞ? わかってんのか? お?」

なんとややこしい。

「コバレフ圧勝!! 試合後にチキンソン呼ばわりでなぜかWBC王者を挑発ww」

いや、こういうのもいいですね。
ワイルダーとスピルカの試合前のトラッシュトークといい、フューリーとの舌戦といいヘビー級がガチャガチャしてきておもしろい。見ているだけで笑顔になってしまう。
 
「新旧超人対決クリチコvsジョシュア予想。ヘビー級最強決戦の行方は? ジョシュアはクリチコに引導を渡せるか?」
 
やっぱり真面目なだけではダメだ。
こういう盛り上げがあってこその格闘技である。

タイソン・フューリーはいいな。
さすが俺の目にかなったボクサーだ(上目線)。
これからも頼むぞフューリー。

「クリチコに勝ったタイソン・フューリーがおもろすぎる件ww」

試合はクソつまらんが。

ちなみにIBFの新王者になったチャールズ・マーティンはなかなかいいと思いますね。意外と2016年ヘビー級戦線の台風の目になるんじゃないでしょうか。

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