ウォードが再戦に完勝!! コバレフがキャリア初のKO負けでリベンジ失敗。仕方ないね。ちょっと差があり過ぎたよな【結果・感想】

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2017年6月17日(日本時間18日)、米・ラスベガスでIBF、WBA、WBO世界L・ヘビー級タイトルマッチが行われ、王者アンドレ・ウォードがセルゲイ・コバレフと対戦。8R2分29秒TKOで勝利し、王座防衛に成功した。
 
「L・ヘビー級アツ過ぎもっと盛り上がって(^○^) バレラがスミスに大差判定勝利。神々の階級」
 
2016年11月以来の再戦となった両者。
前回は3-0の判定ながら114-113、114-113、114-113といずれも僅差だったために今回のダイレクトリマッチが開催された。
 
実力伯仲の両者の再戦とあって、前戦以上の熱戦が期待されたが、結果はウォードの圧勝。
ボディを叩かれ失速したところに強烈な右を被弾し、グロッキー状態のコバレフはコーナーで戦意喪失気味に尻餅をつく。それを見たレフェリーが両手を交差し、試合終了。
 
7ヶ月ぶりの再戦で完勝し、因縁にケリをつけた形である。
 
「俺のコバレフが勝ったどー!! アルバレスの圧力を抑え込んで王座返り咲き。慎重な破壊神ってのもいいじゃないですか」
 

ウォード完勝ですね。まあ、これは仕方ない。今回のコバレフに勝機はなかった

アンドレ・ウォードの圧勝で終わった今回、全体的な感想としては「仕方ないかな」といったところだろうか。
 
僕はセルゲイ・コバレフのファンなので、今回も当然コバレフを応援していたのだが、それでも前戦以上にウォードの勝利で異論はない。
ローブローで決着がついたことにモヤモヤする方もいるかもしれないが、それ以前に試合を支配していたのはウォード。どちらにしても、コバレフの勝機は薄かった。
 
とりあえず初戦を観て感じたのが、初弾の差し合いというか、中間距離での交錯にはコバレフに分があるということ。
 
「コバレフvsウォード感想。コバレフ敗れる!! ウォードが3-0の判定で王座奪還!! 神の子がクラッシャーに鼻差で勝利」
 
コバレフのリーチとパワーがウォードの踏み込みと見切りを上回ったおかげで、序盤にウォードがダウンを喫するまさかの展開が訪れた。
これまでウォードが中間距離の差し合いで遅れをとることなどなかったため、あのダウンには多くのファンが度肝を抜かれたのではないだろうか。
 
ただ、それはあくまでコバレフがフルパワー状態であるという条件付き
ラウンドが進むごとに失速したコバレフと、ウォードの対応力。コバレフの下降線とウォードの上昇気流が交差したのが試合中盤で、そこから一気にウォードが逆転してみせた。これが1戦目の大まかな流れである。
 
あのウォードの踏み込みを上回ったコバレフの怪物ぶりと、キャリア最大のピンチを迎えても落ち着いてダメージの回復を図ったウォード。加えて、ボディでジワジワと体力を削って大逆転につなげた強靭なメンタル。
 
超一流同士が持てる力を出し尽くした勝負は感動的ですらあり、僕の中では間違いなく2016年最高試合の1つだったと断言できる。
 
だが、あの試合でコバレフがウォードに攻略されたことも確かで、再戦してもコバレフに勝ち目は薄いと思っていた。そして、結果的にはその通りになってしまったのがこの試合だったと思う。
 
「ジェフ・ホーン圧勝!! パッキャオ議員に力技で勝利し人生の厳しさを教える!! 作戦勝ちかな。フィジカル面も差があったよな」
 

泥臭く勝ちにきたウォード。クリンチとボディ打ちでコバレフを消耗させる作戦

恐らく今回の試合、アンドレ・ウォードに「スマートに勝とう」という意識はなかったはず。
 
体力満タンのコバレフと真正面からぶつかっても分が悪いのは前回でわかった。
 
「サンキューコバレフ、お前はサイコーだった。アルバレスに7RKO負けで王座陥落。クラッシャーの終焉か?」
 
ただ、体力が落ちてきたコバレフなら何とかなること。ボディ攻撃がかなり効果的だったこと。
しかもコバレフは基本的に先行逃げ切り型で、試合後半にモタモタする傾向があること。
それらを鑑みて、今回は序盤からガチャガチャと泥試合に持ち込もうという意識が随所に見られていた。
 
コバレフの1発目にパンチを合わせて踏み込む。
そのまま強引にコバレフの懐に入り、腕を巻き付ける。
体重を預けるようにもたれかかり、極力少ない力でコバレフの突進を止める。
なるべく相手と正対せずに片腕を抱え、一瞬のシフトウェイトでスペースを確保してボディを叩く。そしてコバレフが強引に腕を引き抜いた瞬間、逆の腕を絡める。さらにシフトウェイトでスペースを作って反対側からボディ。
 
「やっぱりすげえなトラメイン(トレメイン)・ウィリアムズ。ウィリアム・ゴンサレスを1RKOでぶち抜く」
 
流れの中でのローブローもあったと思うが、あの至近距離でのもみ合いで失速させる作戦は本当にうまかった。
 
前戦同様、試合序盤は中間距離での差し合いでコバレフに一歩上をいかれた。
だが、自分のパンチを当てたか、被弾したかはその時点では大した問題じゃない。致命打だけを避けつつ、ひたすらコバレフの体力を奪うことに集中する。
 
つまり、勝負は中盤から後半。
どれだけカッコ悪くてもいいから、中盤までにコバレフを消耗させる。そこまで五分のポイントでいければ、高確率で勝てるという計算がウォードの中にはあったのではないだろうか。
 

ウォードの術中にモロにハマったコバレフ。あんなゲッソリした顔してちゃ無理だわな

そして、ウォードの作戦は僕の思った以上に効果を発揮していた。
 
「コバレフがシャブランスキーを倒しまくり再起戦に勝利。かっこええわ~コバレフ。やっぱり破壊神が王座にいないとね」
 
3R以降、コバレフは徐々に手が出なくなり、5、6Rには明らかに身体に力が入っていなかった。
2R終盤のローブローやボディカウンターが効いたのはもちろん、前戦でウォードがコバレフの動きを学習したというのもあるはず。
3Rからコバレフの左が減ったところを見ると、カウンターへの脅威を相当感じていたのではないかと思う。
 
7R終盤、ローブローのアピールをしたコバレフの表情がゲッソリしていたのが非常に印象的だった。
アレを見て、僕はウォードの勝利を確信した次第である。
 

至近距離での攻防に差があり過ぎたか。でも、あの距離でウォードを何とかできるヤツなんていないよな

今回の勝因としては、やはりウォードの綿密な計画性。試合の流れを何度もシミュレーションし、その通りの作業を遂行した結果と言えるのではないだろうか。
 
「カネロの禁止薬物陽性の裏でいろいろあったよ。コバレフvsミカルキン、ビボルvsバレラ、ジョシュ・テイラーvsカンポス」
 
そして、何より至近距離での攻防に差があったのは大きかった。
 
「京口世界王座!! アグルメドとの激戦を制す。いいですね京口! こういう試合が観たかった。最短世界一は無意味? まあ商売だから」
 
クリンチワークというか、もみ合いの中で徐々にコバレフを消耗させたウォード。おかげで、最後は劣勢だった中間距離において、パワーパンチを叩き込んでの勝利という見事な結末である。
 
逆に言うと、コバレフにはその局面での対応力や対策が足りなかったということか。
 
ただ、クリンチワークでアンドレ・ウォードに対抗できる選手など、この世にいるのかという話でもある。
 
これはメイウェザーにも言えることだが、彼らはああいうもみ合いでの対応力が本当に高い。
カウンターの脅威で相手の出足を鈍らせ、1発目の交錯で圧倒する。その上で腕を絡めて動きを封じ、わずかなスペースを確保してボディやフックを打ち込む。
メイウェザーのロープを利用したクネクネディフェンスを含め、あそこの局面を打破できた選手などこれまで見たことがない。
 
今回のコバレフ同様、メイウェザー戦のシェーン・モズリー、ザブ・ジュダーは中間距離での差し合いで上回ることには成功したが、やはり懐に入ってからはできることがなかった。そのうちに中間距離でもメイウェザーに対応され、徐々に手が出なくなるというパターンである。
 
また2013年のウォードvsエドウィン・ロドリゲス戦や、メイウェザー戦のリッキー・ハットン、マルコス・マイダナなど、体力差を活かしてゴリゴリ前に出る作戦を実行した選手もいる。
だが、彼らは距離を詰めるまではいいのだが、そこからの手がなかった。先ほど申し上げたロープ際のディフェンスやクリンチワークでいなされ、動き出しの1発を当てられまくってポイントアウトという結末である。
 
「三浦隆司vsベルチェルト予想。やることは一つ。ボンバーレフトを叩き込む。以上。ベルチェルトは相当厳しいけどガンガレ」
 

ウォードに勝てるのは誰? ロマゴンやゴロフキン、コットみたいなタイプがL・ヘビー級にいるんすか?

基本的にコバレフは、中間距離でのワンツーフィニッシャーの側面が強い。
「ジャブで相手を崩してボディを打ちつつ顔面に〜」という行程を踏む選手ではないため、大枠ではウォードの術中にハマりやすい選手という括りになるのかもしれない。
前戦ではその枠を突き破りかけたのだが、それでもウォードの強靭なメンタルと引き出しの多さに抑え込まれてしまった。
 
じゃあ、ウォードに勝てる可能性のあるのは誰なのよ? という話になるのだが、結局ロマゴンやゴロフキン、かろうじてミゲール・コットのようなタイプかなぁとなってしまう。
 
そして、そういう選手がL・ヘビー級にいるのか? と聞かれると、ちょっと思いつかない。たとえいたとしても、ウォードが試合を受けるとは思えない。
 
まあ、僕が知らないだけかもしれないが。
 
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