僕レベルのレイ・バルガスオタクになると、亀田和毅が勝てないって3Rでわかったから。もう半歩の拳は最後まで届かず【結果・感想】

僕レベルのレイ・バルガスオタクになると、亀田和毅が勝てないって3Rでわかったから。もう半歩の拳は最後まで届かず【結果・感想】

カリフォルニア州イメージ
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2019年7月13日(日本時間14日)、米・カリフォルニア州で行われたWBC世界S・バンタム級王座統一戦。同級正規王者レイ・バルガスvs暫定王者亀田和毅の一戦は、3-0(117-110、117-110、117-110)の判定でレイ・バルガスが勝利。5度目の防衛に成功するとともに王座統一に成功した一戦である。
 
 
2018年11月にアビゲイル・メディナとの決定戦を制し、暫定王座を獲得した亀田和毅。約8ヶ月ぶりのリングとなった今回は、アマニュア時代に敗北を喫した33戦全勝の正規王者レイ・バルガスとの統一戦が実現した。
 
 
初回からスピーディな出入りと手数でバルガスの懐に潜り込む亀田。
時おりオーバーハンドの右がバルガスの顔面を捉えるなど、前半1、2Rは強豪王者を相手に互角の立ち上がりを見せる。
 
だが、鋭い左と長身を活かしたバックステップでうまく距離をとるバルガスを攻めきれず、中盤から徐々に攻め手を失う。要所で左がクリーンヒットするものの、バルガスの連打を浴びるシーンが目立ちジリ貧状態が続く。
 
終盤から開き直って強引に攻めるが、11Rにストップ以降の追撃により痛恨の減点。最後までバルガスの巧みなクリンチワークを崩せず、大差判定を喫してしまった。
 
 
なお、試合後のインタビューで亀田は「一からやり直す」ことを宣言。再び世界王者を目指すとコメントしている。
 
「パッキャオvsサーマンちっともわからん。パッキャオのコンビネーションか、サーマンの足か。サーマンは早くランニングマンに改名しろ」
 

亀田和毅が勝てないことは3Rでわかったよね。レイ・バルガスオタクを舐めんなよ、お?

亀田和毅vsレイ・バルガス。
 
僕が以前から楽しみにしていた一戦で、何とか亀田に勝ってもらいたいと思っていた試合でもある。
正直、先日の村田諒太vsロブ・ブラントVol.2よりも僕の中では注目度も高く、当日も食い入るようにDAZNでの中継を観戦した次第である。
 
「やったぜ村田JUST DO IT.マイナビ諒太!! ロブ・ブラントを2Rで葬り王座返り咲き。辞めなくてよかったなオイ」
 
そして、感想としては「まあ、そうだろうな」と。
亀田和毅はがんばったが、残念ながらレイ・バルガスの牙城は高い。日本人選手が海外の舞台で最強王者に挑むというシュチュエーションには文句なしで燃えるが、さすがに厳しい試合だったと言わざるを得ない。
 
 
一応言っておくと、僕はレイ・バルガス大好き人間である。
2015年に初めて試合を観て以来、ずーっと動向を追ってきているが、その思い入れは2019年現在もとどまることを知らずww
それどころか、ここ数戦でさらにお気に入り度が増しつつある。もはやレイ・バルガスオタク()を名乗ってもいいくらい。
 
もちろん僕は亀田和毅のファンでもあるし、こういう試合であれば当然日本人選手を応援する。だが、今回のようなレイ・バルガスらしさ全開の試合もまた大好物であるww
 
正直、僕レベルのレイ・バルガスオタクになってくると、亀田和毅が勝てないことは3Rでわかってしまったのである(なんじゃそりゃ)。
 
「ダニエル・ローマンvsアフマダリエフは下がったら負ける? ローマンのセミファイナリスト感」
 

亀田がレイ・バルガスよりもスピードが上だって? いや〜、そんなことはないと思ったけどね

以前にも申し上げたように、亀田和毅はアングルと距離の調整が得意なタイプ。
 
鋭い左で距離を測り、サイドに動きながらハンドスピードを活かした連打を当てる。足も速く、出入りと一瞬の爆発力で相手を翻弄するスタイルと言える。
 
反面攻撃はややワンパターンで、連打のスピードは速いがリズムも一定。1発の破壊力もないため、動きに慣れられる中盤以降に試合がグダりやすい。前回のアビゲイル・メディナ戦でも、6R以降にメディナに対応されて反撃を許すシーンが目立っていた。
 
「亀田家大復活の日、亀田和毅vsアビゲイル・メディナ in後楽園ホールを現地観戦してきた。いい試合だったので感想を」
 
対するレイ・バルガスだが、この選手は長身+パワフルな連打タイプ。
身長、リーチともに179cmとこの階級では長身痩躯で、なおかつそれに似つかわしくないスピードを持ち合わせる。
 
試合前の展望で「スピードは亀田の方が上」「このスピード差を利用して離れて勝負すればいける」という評価が多く聞かれたが、僕にはそうは思えず。
 
長年レイ・バルガスを観察して培った僕のObservation Eye()によると、そこまでレイ・バルガスが亀田にスピードで劣っているようには見えない。
 
純粋なスピードでは亀田の方が上かもしれないが、レイ・バルガスには圧倒的なリーチがある。しかも、そのリーチを持て余さずに振り回す回転力を兼ね備えており、亀田にとってはこれが相当やっかいになるだろうと。
 
確かに亀田のハンドスピードは凄まじいけど、レイ・バルガスがこの間合いで満足に腕を振らせてくれるとは思えなかったんだよな……。

 
何度も同じことを申し上げているが、亀田がレイ・バルガスを攻略するにはガードを上げてプレスをかける亀田家スタイルがもっとも可能性があると思っていた。
 

先行逃げ切りの亀田が序盤を圧倒できないのは苦しい。3Rでレイ・バルガスに対応され、そのままジリ貧に

そして、結果的にはその通りの展開に。
 
開始直後から亀田が前に出て腕を振り、レイ・バルガスが豊富な手数で応戦する流れ。
時おりオーバーハンドの右をヒットするなど、亀田陣営がこの試合に向けて研究を重ねてきたことがよくわかる立ち上がりである。
 
ただ、それでは足りない。
申し上げたように亀田は攻めのパターンが少なく、動きも一定なので慣れられやすい。
序盤はスピード差に相手が面食らう→徐々に対応して反撃に転じる→亀田が何とか粘って逃げ切るというのが毎回の流れ。つまり、完全な先行逃げ切りタイプと言える。
 
「亀田和毅vsレイ・バルガス予想。テンション爆上げだけどキツそう…」
 
ところが、今回は序盤1、2Rを圧倒できていたわけではない。
確かにレイ・バルガスも亀田のスピードに驚いていたが、決して追いつけないほどの差ではない。むしろこれまでの相手と違ってガンガン詰めてこない分、持ち味の高速連打を発揮できる場面が多かったくらい。
 
で、3Rにはオーバーハンドの右のタイミングを覚えられ、そのままジリ貧タイムに突入するという。僕は残念ながらこの時点で「ちょっと厳しいかな」と思ってしまった。
 

レイ・バルガスが無理をせずにクリンチ作戦に徹するスタイルを確立。うん、成長してるよね。当初の期待とは違うけど


中間距離でスピーディな連打を浴びせて出足を止め、相手が強引に出てくれば自分も1歩踏み出してクリンチ。また、ロープを背負った場面では無理に踏ん張らず、ロープの反動を使って衝撃を逃し、そのまま覆いかぶさるようにクリンチ。
 
長い腕とバックステップを巧みに使い、亀田に突破口を与えない狡猾さはさすがのレイ・バルガスである。
 
2016年6月のアレクシス・カボレ戦、2017年2月のギャビン・マクドネス戦で早々に打ち合いを諦め、持久走作戦で王座戴冠を果たしたはいいが、それ以降はことごとくインファイターの突進に苦しめられてばかり。苦手な接近戦を放置してきたツケがモロに出ていたのだが、それでもこの選手の長身+速射砲連打のやっかいさは突出している。
 
苦戦はしつつもポイントは奪取し続け、結果は3-0の大差判定勝利ばかり。しかも、ここ2戦では無理にインファイトに付き合わず、困ったらさっさとクリンチでしのぐスタイルを確立しつつある。
 
4戦連続でインファイターをぶつけられ、それでも何だかんだで生き残っている経験値はバカにならない。
 
 
てか、セミファイナルでロニー・リオスがディエゴ・デラホーヤを接近戦でKOしたけど、レイ・バルガスはあの選手に勝ってますからね(3-0の判定で)。デカくて動けてハンドスピードがあるって、やっぱり凄まじいアドバンテージですよ。ええ。
 
当初期待していたものとはまったく違う方向に成長しておりますがww
 
「愛しきレイ・バルガスw マンサニージャに大差判定勝利。ベリスタインのラスト・サンはポテンシャルだけで勝ち続ける」
 

亀田和毅の今後? 案外難しいような…。王座に空きがなく、国内にも順番待ちの選手が詰まってる

なお、敗れた亀田和毅は今後どうするのだろうか。
試合後すぐに再起を宣言していたので、とりあえず引退はないことに安心したわけだが。
 
とはいえ、再起ロードでどこを目標にするかと考えると……。
 
WBCのレイ・バルガスは次戦でギジェルモ・リゴンドーの挑戦を受ける予定(これもおもしろい組み合わせw)。
WBAスーパー/IBFのダニエル・ローマンは9月にムロジョン・アフマダリエフと防衛戦。
で、上記の防衛戦でバルガスとローマンが生き残れば、両者による統一戦が濃厚?
 
残りのWBOのエマヌエル・ナバレッテは何となく独自路線っぽい。
仮にダニエル・ローマンがIBFを返上しても、挑戦者決定戦で勝ち残った岩佐亮佑が控えている状況。
 
こうなると、和毅の狙う場所が見当たらないのだが。
 
「中谷正義惜しい! テオフィモ・ロペスに判定負け。でも間違いなく通用するとは思ったよね。5Rまで粘れば大健闘とか言われてたけど」
 
しかも、序盤のスピードをしのげば必ずチャンスがくること、近場でできることが案外少ないことも今回で露呈してしまった。どこかで得意の左ボディを出すのかと思って観ていたが、どうやら足場を固める余裕と腕を振るスペースがないと打てないっぽい。
 
いろいろな意味で前途多難だし、マジで今回は勝たなきゃダメな試合だったなぁと。
 
 
いや、もちろんこれからも応援し続けますけどね。
 
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