絶望の帝里木下。アンカハスに手も足も出ずにKO負け。全局面で完敗でしたね。ぐうの音も出ないほどの一方的な試合【結果・感想】

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観客イメージ
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2017年7月2日、オーストラリア・ブリスベンでIBF世界S・フライ級タイトルマッチが行われ、同級王者ジェルウィン・アンカハスとランキング3位帝里木下が対戦。7R1分53秒TKOでアンカハスが勝利し、2度目の防衛に成功した。
 
序盤から大きく踏み込みダイナミックなパンチを振るう王者アンカハス。
対する帝里木下は、距離をとってのカウンター狙い。
だが、アンカハスのスピーディな踏み込みと長いリーチに対応できず、次々と被弾を許して劣勢を強いられる。
 
5R以降、帝里木下が流れを変えるために自ら前に出るが、アンカハスはこれを真正面から受け止める。逆に接近戦でボディを立て続けにヒットし、帝里木下を追い詰めていく。
 
そして7R。
リング中央での打ち合いでアンカハスの右ボディが突き刺さり、帝里木下はたまらずダウン。すぐに立ち上がり続行をアピールするが、出血も酷くレフェリーは試合をストップする。
 
「打倒井上尚弥筆頭アンカハスが帝里木下を迎えての防衛戦!! マックジョーに勝利した王者がサウスポー対決に挑む」
 
5万人を超える大観衆の中、キャリア2度目の世界戦に挑んだ帝里木下だが、王者との力の差を見せつけられる結果となってしまった。
 

帝里木下どうしようもない。一方的過ぎて、何も希望がない試合だったな……

いや~、何すかねこの試合。
 
アンカハスがいい選手だというのは重々わかっていたが、ここまで何もさせてもらえないとは。
アンカハスに期待している僕としては、その通りの内容で嬉しいのだが、それにしても帝里木下……。
どアウェーとはいえ、あれだけの大舞台で何一つ爪痕を残せずに散ったというか。試合前の意気込みはよかっただけに、残念な気持ちも強い。
 
特に「ここをこうすれば~」「あの場面でああしていれば~」という希望がいっさい見えなかったのはね……。キツいですよね。
 
「ジェフ・ホーン圧勝!! パッキャオ議員に力技で勝利し人生の厳しさを教える!! フィジカル面も差があったよな」
 

帝里木下の作戦はアンカハスの右にカウンターを合わせる。確かにうまくいっていたんですよ。1分間だけ

今回の試合、帝里木下はできることをすべてやり尽くし、その上で完敗した試合だったのではないだろうか。
 
恐らく陣営の作戦は「アンカハスの右に右のカウンターを合わせる」こと。
そして、この作戦は決して間違いではなかったと思う。
 
 
両者の過去の試合を観ると、帝里木下、アンカハスともに得意なのは中間距離。
だがパワーや正確性、スピードその他、基本的なポテンシャルには大きな差がある。まともにぶつかったのでは帝里木下に勝ち目はない。
 
「ベルチェルトに三浦隆司完敗……。対策されてたなぁ。何もさせてもらえなかったなぁ。そして、ベルチェルトはよく走りきったなぁ」
 
さらに、タイトルを獲得したマックジョー・アローヨ戦を観てもわかるように、アンカハスは接近戦にも強い。強烈なボディやフックをピンポイントで打ち込む精度や、もみ合いで負けないパワーなど。マックジョーを寄せつけないフィジカルの強靭さは、帝里木下の比ではない。
 
「田中イキり過ぎたな。パランポンを9RTKOに下すも、試合後に病院に直行。田口良一との統一戦は白紙?」
 
なので、唯一分があるとすればロングレンジ。
上背を活かした遠い間合いからの当て逃げ作戦が機能すれば、かろうじて勝機を見出せるかもしれない。
ただ、帝里木下にはゾラニ・テテのような踏み込みのレンジはない。また、パンチも外旋回なので見切られやすい。そのあたりをどうカバーするか。
 
などと考えていたのだが、帝里木下陣営の実行した作戦はアンカハスに先に手を出させてのカウンターだった。
 
「井上尚弥に勝てる選手? バンタム級で誰が井上尚弥を倒せるか、どうすれば勝てるかを妄想してみる」
 
なるほど。
踏み込みのレンジを相手に丸投げして、カウンター1発で逆転を狙う作戦か。
うん、確かにそれしかないよな。
 
そして、その作戦はそこそこうまくいっていたのではないだろうか。
開始1分までは。
 
「エストラーダvsクアドラスとかいう予想困難な一戦。SUPERFLYの中で実は一番楽しみ。エストラーダのKO勝ちが観たいぞ」
 

カウンター狙いをあっさり見抜き、組み立てを変えたアンカハスに帝里木下はまったく対応できず

1R開始直後。
 
右手を前に出し、懐を広く構える帝里木下。
アンカハスの踏み込みと同時に自らも前に出て、相手のワンツーに右を返す。
アンカハスの最初の右にカウンターを合わせる作戦である。
 
「ラフファイトとか体重超過とか、別にアリだよな? というお話」
 
至近距離で返しの右を放つ両者。
一瞬の交錯の後、飛び退くように同時に距離をとる。
 
「アンカハスvsコンランが楽しみ。こんなロックな兄貴を観たことがないww そして、有村藍里が好きな俺もロックだろ?」
 
おお、いいじゃないですか帝里木下。
アンカハスの踏み込みに臆さず前に出る思い切りのよさ。
気合たっぷりですね。
 
と、思ったのもつかの間。
開始1分過ぎ、アンカハスが切れ味鋭いシャープな右を放つ。ワンツーで飛び込むのではなく、踏み込みのレンジを抑えたスピード重視の右である。
 
「山中vsルイス・ネリ予想!! 最大にして最強の挑戦者登場? 13度目防衛戦をクリアしてカンムリワシに肩を並べろ」
 
帝里木下も右を返すが、アンカハスのパンチの戻りが速い。
 
さらに、タイミングを測っていきなりの左を打ち込むアンカハス。
帝里木下はこれをガードの外側からモロに被弾する。
 
「日本一恵まれた男、河野公平がレックス・ツォーに敗れる。中国の英雄に打撃戦の末に負傷敗戦。惜しい! 勝てる試合だったな」
 
ああ、さっそく終わった
距離をとっての右カウンターは見切られ、ガードの外側から飛んでくる左に対応できない。この選手のガードの甘さは気になっていたが、それが思いきり出てしまった。
遠い間合いからのカウンター作戦、早くも頓挫である。
 
「三浦隆司vsベルチェルト予想。やることは一つ。ボンバーレフトを叩き込む。以上。ベルチェルトは相当厳しいけどガンガレ」
 

やりたい放題のアンカハス。全局面で帝里木下を圧倒し続け、可能性を根こそぎ摘み取る

そして、ここから先は観ての通り。
アンカハスの一方的なやりたい放題の展開である。
 
シャープな右で距離を測り、ガードの外側から再三左をヒット。
帝里木下に左を十分意識させたところに右のボディストレート。狙われている右は顔面ではなくボディへ。
パッキャオを彷彿とさせる鋭い踏み込みに、帝里木下はまったく対応できない。
 
「アンカハスがコンラン兄をダウンさせまくって圧勝。さすがww 微妙なジャッジをものともせずに防衛成功。SUPERFLY2参戦あるか?」
 
至近距離での打ち合いでは、ボディを叩かれてさっと距離をとられる。
封じたはずのワンツーも徐々に被弾が増える。
 
「リゴンドーに勝てる選手見つけた。リゴンドーの倒し方、勝ち方考えた。無謀な挑戦を前向きな妄想に」
 
序盤からWOWOWエキサイトマッチの解説者が盛んに「前に出て打ち合わなきゃダメだ」と言っていたが、そうか?
 
アンカハスは至近距離でマックジョー・アローヨも打ち負かす選手である。帝里木下のフィジカルで何とかなる相手ではない。わざわざ危険地帯に踏み込ませてどうする。
そんなことは、この選手の過去の試合を観れば一目瞭然だと思うのだが。
 
「さっそくトラメイン・ウィリアムズがウィリアム・ゴンサレスと10回戦だって。あと、ドウェイン・ビーモンってのがいいかもね」
 

最後は接近戦で玉砕KO負け。基本能力が違い過ぎて何も言うことがないっすね

とはいえ、ロングレンジで希望を断たれた帝里木下には接近戦しか残っていなかったのも確かである。
 
得意の中間距離ではまったく歯が立たない。
唯一希望があると思われたロングレンジはあっさり対応されてしまった。
帝里木下の外旋回のパンチは、アンカハスの鋭い踏込みには通用しない。
 
「ポール・バトラーがスチュアート・ホールを当て逃げで下す。そうそう、井上尚弥相手にこれをできるヤツを探してんのよ」
 
というわけで、5Rから意を決して前に出たのだが、結果は見事に玉砕。
山ほどボディを叩かれ、あえなく撃沈である。
 
本人は続行をアピールしていたが、正直あのストップは仕方ない。
左を被弾しまくったせいで右目はふさがり、 ボディも効かされ体力は残り少ない。しかも、やれることをすべてやり尽くして、その上で手も足も出ない状況。
はっきり言って力の差は歴然だった。
 
「マイキー・ガルシアvsブローナー決定!! マジかよスゲー試合だよこのマッチメイク。体重超過あり?」
 
まあ、それでもあの局面で思い切って前に出たのはよかったかな。
あのままロングレンジでカウンター狙いを続けても、ジリ貧のまま大差判定負けか負傷ストップは間違いない。それより、わずかな可能性に賭けて接近戦を挑んだのは正解だったと思う。
 
「アントニオ・ニエベスとは何だったのか。井上尚弥の豪打になにもできず6R終了ギブアップ。まさかの真っ向勝負で撃沈w」
 
実際、何度か帝里木下のボディを嫌がるそぶりも見せていたし、もしかしたらアンカハスの弱点はボディなのかも。万に一つも再戦はないとは思うが、もし次回があればボディが狙い目というのがわかったのは収穫だった(かな?)。
 
「前田絃希vs吉野修一郎、帝里木下vs勅使河原弘晶のダイヤモンドグローブを観戦してきた感想を言うぞ」
 
やっぱりカウンターを封じられた後のプランBがまったく見えなかったのがキツかったかな……。もう一つ次の手を用意していれば、違った展開になったのかもしれないが。
 
「大激戦のバルテレミーvsキリル・レリク!! まさかの苦戦のダークヒーロー、バルテレミーはクロフォード打倒を果たせるか?」
 
どちらにしろ、基本スペックが違い過ぎて最終的には首が回らなくなってただろうけど。
 
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