田中将大10勝目!! ホームランを許すものの7回3失点の好投で、メジャーデビュー以来2年連続の2桁勝利

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海中イメージ
田中マー君、メジャーデビュー以来2年連続の2桁勝利をマーク!!

ヤンキースの田中将大投手が28日(日本時間の29日)、敵地アトランタでブレーブス戦に先発。7回を投げて5安打3失点、7奪三振で今シーズン10勝目(6敗)をマークした。
これでメジャーデビューから2年連続での2桁勝利となり、日本人投手では野茂、松坂、ダルビッシュに続く4人目の快挙となった。防御率は3.62。

「田中将大、インディアンス打線につかまり敗戦。4試合連続QSも地元紙には評価されず」

5点の援護をもらった初回にいきなり2点を返されるなど、多少バタバタしたが、それ以降は2安打1失点とほぼ完璧な内容のピッチングを披露した田中。勝負の季節を迎えていよいよエンジン全開となるか。

制球が定まらず、いきなり2失点する田中。この先が思いやられる

ヤンキースが5点を先制して迎えた1回裏。
いきなり先頭のマーカーキスにツーシームを引っ張られてライト前ヒットを許す。2番メイビン対してはツーシーム、スライダー、スプリットを引っかけてしまい、ストライクが入らずフォアボールを許す。球自体はいつもと変わらないように見えるが、制球が定まらない。

3番フリーマン。
初球、2球目と低めに外れてカウント2-0。
3球目。88マイルのスプリット。しかしこれが落ちきらない。フリーマンが鋭くバットを振り抜く。打球はライト前に転がるタイムリーヒット。あっさり1点を返される。
あ〜、やばい。今日の田中はやばいかもしれない。

4番スウィシャー。カウント0-1からの2球目。真ん中やや外寄りのツーシームをセンターに打ち上げる。エルズベリーがガッチリキャッチするが、3塁ランナーが生還し2点目。あっという間の2点である。何とかここで立ち直って欲しい。

5番ガルシア。
1球目のスライダー、2球目のスプリットと外側低めにコントロールよく投げ込み、0-2と追い込む。
よしよし、ここで1球フォーシームを高めに見せたい。

3球目。スライダーが外側に大きく外れる。
4球目。外側のスプリット。これをガルシアがひっかけてボテボテのファール。
5球目。外側低めに93マイルのフォーシーム。外れてボール。
6球目。内側低めへのスプリット。ガルシアがかろうじて当ててファール。
7球目。外側低めへのスライダー。この球をガルシアが手を伸ばして拾う。打球はレフト前に落ちてヒット。1アウト1、2塁。
う〜ん。低めばかりでさすがに慣れられた感じだ。1球高めに見せると違ってくると思うのだが。

6番ピーターソンはカウント2-2からのスプリットでセンターフライに打ち取る。
1-2から投げた外側高めへの94マイルのフォーシーム。あれはよかった。あの球を見せてからのスプリット。おかげで多少甘くなっても捉えられずに済んだのだ。

7番ベタンコート。0-2からのスプリットでこれまたセンターフライに打ち取り3アウト。
ベタンコートの打球はセンターの頭上を越えるかと思われた大飛球だったが、エルズベリーが背走しながらキャッチしてアウトにする!! すげえ!!
ファインプレーでピンチを脱した田中。ここから調子を上げていきたい。

2回から俄然調子を上げる田中。フォーシームのキレが抜群だ

2回表にヤンキースが4点を追加し、9-2として迎えた2回裏。
多少余裕が出たのか、ブレーブスの下位打線相手に田中が躍動する。

8番シモンズ、9番デトウィラー、1番マーカーキスを三連続見逃し三振に打ち取る。しかも球威のあるツーシームやフォーシームをどんどん投げ込み、相手にまともなスイングをさせないピッチング!! 素晴らしい。

引っかかり気味のスプリットやスライダーではなく、球威のある直球系に切り替える柔軟性。腕を思い切り振っていれば、そのうち変化球のキレも出てくるだろう。初回はヤバいと思ったが、これなら何とかなりそうである。

3回。
先頭バッターの2番メイビンをカウント0-2からの内側スライダーでファーストフライに打ち取り1アウト。右バッターの内側からストライクにするスライダー、通称フロントドアは完全に自分のものにしている。

3番フリーマン。初球、93マイルのフォーシーム。外側やや低めの球をフリーマンがアッパースイングですくい上げる!! 打球はぐんぐん伸びてセンターバックスクリーンに飛び込む!! ソロホームラン!! 得点9-3。

いや〜、こりゃすごい。ものすごいホームランだった。これはしょうがない。フリーマンがお見事ということでいいのではないだろうか。球威もあったし、このホームランは気にしないでいい。

4番スウィシャー、5番ガルシアを無難に内野ゴロに打ち取り、この回を切り抜けた田中。
特にガルシアにはフォーシームを2球続けた後に、同じコースから落とすスプリットでショートゴロ。フォーシームの球威があるからスプリットもよく落ちる。点差もあるし、この後のピッチングにはかなり期待してよさそうだ。

4回。
この回もフォーシーム中心で攻める田中。
6番ピーターソンにはカウント1-1から高めのフォーシームをファールさせ、その後にスプリットを投じてセンターフライに打ち取る。
7番ベタンコートには初球カーブの後、スプリット、フォーシームを織り交ぜ、最後はスライダーで三振を奪う。
8番シモンズは外のスライダーを引っ掛けさせてサードゴロ。
あっさりと三者凡退でこの回を抑える。躍動感とリズムが出てきた。

5回。
この回は一転してスライダー中心で攻める田中。
9番代打のラバーンウェイをカウント1-2から外側にスライダーで三振にとる。
1番マーカーキスには初球、2球目、3球目と外角のバックドア、外側のスライダーを投げ込みカウント1-2と追い込む。
4球目のスプリットはファールされたものの、5球目もスプリットを続けて平凡なセカンドゴロに打ち取る。

2番メイビンには初球、2球目のスライダーが外れてカウント2-0としたものの、3球目、4球目に高めのフォーシームを続けて2-2と追い込む。5球目のスプリット、6球目のスライダーはともにファールされたが、7球目に94マイルのフォーシームを内側に投げ込み空振り三振を奪う!!

最高だ。外側高めのフォーシームを2球続けた後にスプリット、スライダーを見せる。そして最後はまさかの内側フォーシーム。外側のスプリットを予想していたメイビンは腰が引けてまともなスイングをすることができなかった。

6回。
この回の先頭は、先ほどセンターバックスクリーンに弾丸ライナーでのホームランを許している3番フリーマン。
初球。今日、特にキレがいいスライダーが外角に決まって1ストライク。
2球目は内側へのカットボール。外れてカウント1-1。
3球目は外側へのスプリット。これも外れて1-2。
4球目は再び膝元へのカットボール。フリーマンが窮屈なスイングでファール。カウント2-2。
5球目は外側低めへのスプリット。フリーマンが長い腕を伸ばしてスイングするが、打球は平凡なサードゴロ。ヘドリーが落ち着いてさばき1アウト。内外角を有効に使った攻めでフリーマンを完全に抑え込んだ。素晴らしい。

続く4番スウィシャーをセカンドゴロ、5番ガルシアをレフトフライに打ち取り、この回も三者凡退に切って取った田中。点差も開いているし、この調子であれば10勝目は確定的だろう。

「ヤンキース田中将大、完璧な投球で5勝目!! 今季初めて100球を超える」

7回。
ここまでの投球数が92球の田中。いつも通りならこの回がラストだが。

先頭の6番ピーターソンにセンターへの大飛球を打たれるが、またしてもエルズベリーが背走キャッチで1アウト!! 手を叩いて喜ぶ田中。

7番ベタンコートをセカンドゴロに打ち取り、2アウトランナーなしで迎えた8番シモンズ。初球のスライダーが高めに抜ける。この球をシモンズがやや泳ぎながらスイング!! 打球は左中間を破るツーベースヒット!!
いや、今のは失投だったな。やっぱり見逃してくれなかったか。
2アウト2塁。田中、久しぶりのピンチである。

打席には代打のボーン。
初球は88マイルのスプリット。ハーフスイングで1ストライク。
2球目。同じコースへのスプリット。ボーンがかろうじて当ててファール。カウント0-2。
3球目。外側への95マイルのフォーシーム。糸を引くような軌道を描いてマッキャンのミットに吸い込まれる!! 見逃し三振!!
最高の球だ。ボーンも納得した表情でベンチへ引き返す。これこそギアチェンジの田中将大である。

この回で球数がちょうど100球となり、リリーフにマウンドを譲った田中。
その後もヤンキース打線が得点を重ね、終わってみれば15-4と圧勝。田中に今シーズン10勝目(6敗)が記録された。

課題はやはり中四日。これを克服しない限り「エース」とは呼ばれないだろう

今日の田中将大はかなりよかった。
登板間隔が中六日だったのも大きい。フォーシームに球威があり、それに伴って変化球もよくキレていた。特にスライダーのキレは抜群だったのではないだろうか。2回以降、ホームランは残念だったがそれ以外はほぼ完璧な投球だった。
この投球を中四日のペースで毎回できれば、文句なしのエースなのだが。

やはり日本人ピッチャーは中四日の登板間隔にどれだけ適応できるかが課題である。実力をそのまま出せばメジャーでエース級の活躍ができるピッチャーは今でも日本に数人はいる。だが、その全員が中四日に適応できるタフさがあるかと言われたら、それはまた別の問題だろう。日本でも日程の関係で中五日で登板することもあるが、たいていその日の出来はよくないことが多い。

「田中将大、2本のソロ本塁打に泣き今季5敗目。なぜ今年は被本塁打が増えたのだろうか」

メジャーの中四日100球と日本の中六日120球。
どちらがいいか悪いかという議論は尽きることはないが、メジャーでコンスタントに活躍するにはやはり中四日でローテーションを守ることは必須条件である。今シーズンの田中がいくらQSを記録しても、エースと評価されないのは中四日でのローテーションを守っていないからに他ならない。

田中の登板間隔に対してどうこう言う気はないが、いつか全員を黙らせるほどの活躍を見せる選手が現れて欲しいものである。

「田中マー君、課題は中四日? 11勝目をマークするも不調」

まあそれはそれとして、今日の勝利は素直に嬉しい。ナイスピッチングである。

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