田口すごかった。メリンドに完勝するとはね。負けるとか言って申し訳ないww L・フライ級で規格外のフィジカルと戦術の幅がすげえ【結果・感想】

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フィリピン海イメージ
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2017年12月31日、東京・大田区総合体育館で行われたWBA&IBF世界L・フライ級統一戦。WBA王者田口良一がIBF王者ミラン・メリンドと対戦し、3-0(116-112、117-111、117-111)の判定で勝利し、2団体統一に成功した。
 
 
WBAとIBF王者同士の統一戦となった今回。
 
初回はIBF王者メリンドが田口の一瞬の隙をついて鋭く踏み込み、連打を浴びせる。
だが2R以降、一回り身体の大きな田口がリーチと上背を活かしたプレスとジャブで前進。徐々に試合のペースを掴む。
 
中盤以降、完全に試合を支配した田口。
9Rにメリンドが強引な前進でペースを取り戻しにくるものの、田口はこれを真正面から受け止める。
 
最後はロープ際での連打でメリンドをダウン寸前まで追い込むなど、無尽蔵のスタミナを見せつけての勝利。見事、日本人2人目の2団体統一王者に上り詰めた。
 
「拳四朗4RTKO!! ペドロサ手も足も出ず。いいですね拳四朗。ホントに期待できるぞこの選手。まあ、今回は相手が微妙だったけど」
 

負けるかもしれないとか言ってスマセンww 田口めちゃくちゃいい試合でした

ではまず最初に。
 
すみません田口!!
負けるかもしれないとか言って、完全に舐めてました!!
というか、ナイスファイト。めちゃくちゃすごかったっす!!

 
いや、この試合の田口はマジですごかった。
まさかミラン・メリンドをあそこまで圧倒するとは。
今回ばかりは危ないと思っていたのだが。
 
「田口負ける? ミラン・メリンドとの統一戦で2017年大トリ。ヤバいな田口。パワーでどこまで圧倒できるか」
 
我ながら見る目のなさに笑ってしまうのだが、それはそれ。
サイコーにいい試合だったことは間違いない。
テンション上がりまくりでございます。
 
「田中恒成フライ級初戦。ロニー・バルドナドは結構おっかない? 無敗対決の世界前哨戦を制してタイトルマッチに進めるか」
 

2R以降、ほとんど主導権を渡さず。メリンドのカウンターに巻き込まれると思ってたけど

繰り返しになるが、この試合の田口は本当にすごかった。
 
対戦相手のメリンドはカウンターが得意な選手で、前回のヘッキー・ブドラー戦でもそのカウンターがうまく機能していた。
 
相手のパンチに合わせて踏み込み、同時打ちに近いタイミングでカウンターを被せる。そして、さらにもう一歩前に出て連打を浴びせる。
 
「ま~た誰得マッチww サンダースvsマーティン・マレー。痛いの大っ嫌い。絶望的に退屈で平和な試合」
 
2017年5月の八重樫東戦は、まさしくこのパターンがハマっての勝利。メリンドの中間距離での精度の高さを見せつけた1RKOだった。
 
そして今回の田口も、この得意パターンに巻き込まれてしまうのではないか。右ストレートに左を合わせられ、そのまま連打で押し込まれてしまうのではないかと予想していた。
 
「リー・セルビーvsジョシュ・ウォーリントン! 名勝負の予感がしますよコレは。フランプトンvsドネアなんか比じゃないほどに」
 
ところが、(僕の)予想に反して試合は終始田口ペース。
1Rはメリンドのラッシュに面食らった感があるが、それ以降はほとんど主導権を渡すことはなかった。
 
「田口良一陥落。ブドラーに判定負けで統一王座防衛ならず。てか、地上波ボクシング中継なくなるんすかね」
 

まるで内山高志じゃねえか。左ジャブと距離の取り方が達人級だった

中でも、左ジャブと間合いの取り方は本当によかったと思う。
 
メリンドが踏み込みの鋭さを発揮できない位置まで近づき、絶えず細かい左を出し続ける。
ジャブの連打でカウンターのタイミングを与えず、打ち下ろし気味の右で前進を止める。
 
メリンドが強引に間合いを詰めれば、左足を大きく踏み出しての左ボディ。
右を打つ際も、ワンツーではなくいきなりの右。左をたっぷり意識させておいての右なので、メリンドも左を被せるタイミングが掴めない。
 
中間距離では細かい左と外側からの右、接近戦では左ボディとサイドステップしての右フック。
体格とリーチの差を目一杯活かし、メリンドにほとんど仕事をさせない。
 
1Rに比べて半歩ほど近づいただけだとは思うが、これによって完全に間合いを支配してしまった。
 
うん、こりゃすげえ。
完全に内山高志のボクシングじゃねえか。
 
「田中恒成vs田口良一決定か。どうなるかがまったくわからん。今回はTBSで全国中継されるってさよかったな」
 
中間距離では左で突き放し、打ち下ろし気味の右につなぐ。ボディをチラつかせて踏み込みを躊躇させ、徐々に相手を消耗させていく。
 
1発1発に内山のような破壊力はないが、やっていることは同じ。
さすがは偉大な先輩のあとを継ぐ名王者である。
 
「木村翔が五十嵐を根元から粉砕。大振りで恐怖を植え付けて真ん中を右でドーン。圧巻の五十嵐対策でしたね木村翔」
 

接近戦もOK。勝負を賭けたメリンドの突進を正面から跳ね返し、逆に打ち勝つパワーもさすがの田口

また9R以降、勝負を賭けて前進したメリンドを、真正面から跳ね返したフィジカルもいい。
 
田口のよさはフィジカルの強さと無尽蔵のスタミナだと以前から連呼してきたのだが、ラスト4Rはそれがモロに出たのではないか。
 
大きく踏み込み、全力で腕を振るメリンドに対し、田口は足を踏ん張って絶対に下がらない。
微妙に身体の位置を変え、強引に前に出るメリンドをいなしながらボディ、顔面にパンチを当てていく。
また、上から覆い被さったり、頭をグリグリ押しつけるように体重を預けるなど、地味なところでの狡猾さも見られた。
 
「アコスタがアレホにKO勝利で初王座。ナイスファイト。田中恒成のすごさが改めてわかる試合だったな」
 
中間距離では小型版内山を思わせる達人ぶり。
接近戦では強さとうまさを兼ね備えた万能感。
 
宮崎亮やカルロス・カニザレスの足に追いつき、ロベルト・バレラをパワーで圧倒。そして今回はミラン・メリンドを中間距離で上回ってみせた。
 
正直、すでに経験値は内山高志を超えたのではないかというほどである。
 
「田口vsバレラ感想。ベストバウトきたか? やっぱり田中恒成に勝つ可能性のあるのは田口だよな」
 
前回の試合では「最初から最後まで全力疾走でしんどそうだし、観ている方もしんどい」と申し上げたが、アレも含めてボクシングの幅というヤツなのかも。
 
とにかく文句なしというか、メリンド相手にこの勝ち方なら、田口の実力にイチャモンをつける要素はないように思える。
 
「バルデスvsクイッグ!? またおもしろそうな試合を組みやがって…。今回ばかりはバルデス大ピンチじゃない?」
 

田口のフィジカルの強さが目立った今回。上背とリーチ、パワーの差で、メリンドよりもはるかに選択肢が多かった

こうして見ると、改めてコンタクトスポーツにおけるフィジカルは至上だなと。
 
ミラン・メリンドは間違いなくすばらしい選手だが、今回は田口の上背、リーチ、身体の強靭さに歯が立たなかった感は強い。
 
相手の打ち終わりを狙ってカウンターを被せ、そこから踏み込んで連打を浴びせるのが得意なメリンド。だが、今回に限ってはそのパターンがあまり機能しなかった。
 
1Rの終盤や9Rの前半など、たびたびメリンドのラッシュは見られたものの、そこからが続かず。
 
田口がうまかったのはもちろんだが、それ以上に両者の体格差は大きく影響していたのではないか。
 
「田中イキり過ぎたな。パランポンを9RTKOに下すも、試合後に病院に直行」
 
恐らくだが、田口相手にアレを1度やるには相当な体力と気力を要するのだと思う。
 
中間距離でのジャブの指し合いではかなわない。
試合の流れを変えるには、メリンドは得意のカウンターと連打で後退させるしかない。
だが懐が広く、身体が強い田口をたじろがせるには、パワーと気力を総動員する必要がある。
 
「拳四朗がメリンドに圧勝!! これを待ってた。WBSS観戦はテレビでよかった。シーサケットのONEについても」
 
しかも、それだけ意を決して踏み込んでも、田口はケロッとして打ち返してくる。
 
逆に体格差、パワー差を活かせる田口は、基本的に左ジャブのみでペースを支配できる。たとえ懐に入られても、ある程度は余裕を持って対処できる。
フィジカルに差があるおかげで、大幅に選択肢が広がったイメージである。
 
身長168cm、リーチ171cm。
L・フライ級という制限の中でこれだけのサイズとパワーを両立しているのは、実はかなり規格外なのではないか。
 
「気づくのおっせえw 岩佐vsサウロン。大差判定で岩佐が初防衛成功。ジリ貧の両者が後半に「あっ」ってなる」
 
内山vsコラレスのように、野性的なサウスポー相手にどうなるか。自身より上背のある相手にもあのジャブが通用するのかという懸念はあるが、そもそも論としてL・フライ級の体格でそんなヤツがいるのかという話。
 
それこそ井上尚弥や田中恒成レベルの選手が絞りに絞って、鶏ガラ状態で対峙して初めて互角。
何となくだが、今回の試合を観てそんなことを思ってしまった。
 
ちなみにだが、田口の次戦はミラン・メリンドと大接戦を演じたヘッキー・ブドラーが有力とのこと。そして、その次は2016年大みそかに引き分け防衛を果たしたカルロス・カニザレスとの再戦だとか。
 
なるほど。
相変わらず大変そうな試合が続きそうな匂いがプンプンする。
 
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