ラグビー7人制(セブンス)の魅力。メダル獲得できるか? ニュージーランド、フランスに勝利し、フィジーと激突。南ア? イギリス?【リオ五輪】

ラグビー7人制(セブンス)の魅力。メダル獲得できるか? ニュージーランド、フランスに勝利し、フィジーと激突。南ア? イギリス?【リオ五輪】

リオ五輪サークル
ブラジル、リオデジャネイロで開催中の夏季五輪(リオ五輪)。
男子7人制ラグビー(セブンス)の日本代表が10日、決勝トーナメント準々決勝でフランスを12-7の逆転で敗り、ベスト4進出を決めた。

大会初戦のニュージーランド戦に14-12の逆転で勝利した日本代表。2015年W杯の南アフリカ戦に匹敵するアップセットを見せたが、今度は準々決勝でフランスを敗る快挙を達成する。

これで4位以内を確定させた日本代表。
女子は残念ながら予選敗退となってしまったが、男子の快進撃はすばらしい。
2015年W杯で一気に注目が集まった日本ラグビーだが、リオ五輪の7人制でもメダル獲得まであと一歩のところにきている。準決勝のフィジーは強豪だが、どうにか勝利を掴んでいただきたいものである。

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7人制ラグビーと15人制ラグビーはまったくの別物。ルールは同じだが、中身は全然違う

7人制ラグビーが熱い。

今回のリオ五輪から正式種目となった7人制ラグビー。
ルールは15人制とほぼ同じだが、主な違いはトライ後のゴールキックがドロップゴールであること、そしてトライをとった側のボールのキックオフで試合が再開されることである。

ポジションはバックス4人とフォワード3人という陣容。
だが、ポジションによる区別はほぼセットプレーのみで、インプレー中はバックスもフォワードも関係なく走り回る必要がある。

とにかく走り回ったもん勝ち。
いかにボールをキープし続け、プレーを切らずに走りきれるかにかかっている競技と言っても過言ではない。

15人制では22m内からはタッチキックでプレーを切るのが基本だが、7人制では相手ボールのラインアウトで試合が再開されるためにそれは御法度となる。

またディフェンス面でも同様で、素早く詰めろ、タックルは低く入れ、身体の大きい相手は2人がかりで止めろ、相手がスピードに乗る前に倒せと言う15人制の基本も7人制にはまったく当てはまらない。

15人制と同じ広さのグランドを7人で走らなければならないため、素早く距離を詰めていたらワンステップで抜かれて終わり。低いタックルに入っても、上半身のボディコントロールでボールをつながれてしまったら無意味。かといって、1人を2人がかりで止めにいってしまったら残りは5人。自動的に相手に数的有利を作られてしまう。
つまり相手がスピードに乗る前に倒せではなく、究極的なことを言えば「相手がスピードに乗ったら諦めろ」が正解である。

極端な話、後ろに走ってでもボールをキープし続けることを優先するべき。ぐちゃぐちゃなパスでも相手にとられるよりはマシ。全力で走るのは勝負の瞬間のみに限定し、とにかく少ない人数で広いスペースを有効活用することを主眼におく。必然的に全員が15人制のウィングの動きを要求されることになるのである。

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要するに、15人制と7人制は同じラグビーでも似て非なるもの。ルールは同じだが、まったくの別競技として観るのが正しい。

特に1試合ごとに1週間のインターバルをあける15人制と、各チームが1日に何試合もこなす7人制。日程的な部分を見ても、両方の競技が別物であることがわかるのではないだろうか。

そう考えると、2週間という開催期間では15人制ラグビーを正式種目にすることは不可能だが、7人制ラグビーは競技性やスピード感を含めてうってつけなのだ。

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7人制ラグビーは他競技からの転向が非常にしやすい競技。身体能力を持て余しているトップ選手なら多いに可能性がある

7分ハーフという短い時間、そして「走りきったもん勝ち」というある意味単純な競技性を考えると、7人制ラグビーは他競技からの転向が非常にしやすい側面を持った競技である。

一時期、元日本代表の吉田義人が日本初の7人制ラグビーチーム「サムライセブン」を発足して話題になったが、あのチームのセレクションに元プロ野球選手の梶本勇介が参加していたことを覚えているだろうか。
また、読売巨人ジャイアンツに所属する大田泰示にエディ・ジョーンズが惚れたことも話題になった記憶があるが、これらは冗談でも何でもなくアリだ。

大田泰示の場合は15人制だが、身体能力抜群の選手を他競技から引っ張ってラグビーの転向させるというのはマジで可能性がある。

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トップ選手といっても阿部慎之助のような体型では無理だが、大田泰示の他にオリックスの糸井嘉男やDeNAベイスターズの梶谷隆幸のような選手は普通に7人制ラグビーに向いていると思う。

特に巨人大田のように足が速く身体も強い。バネもあり、ボールを遠くに飛ばす力もある。他に類を見ない身体能力を持ちながら、ただ野球が苦手だというだけで燻っている選手にとって、7人制ラグビーへの挑戦は起死回生の一手になる可能性は高い。

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まあ、数千万から数億の年俸を受け取るプロ野球選手がその地位を捨ててわざわざラグビーを始める必要性はどこにもないのだが。

とにかく、7人制ラグビーはそれくらい間口が広く、身体能力を持て余す選手にとっては大きな可能性を持った競技だということである。

恐らく今大会最強のフィジー。日本代表にとってはかなり厳しい試合になりそう

ではここからは、8月12日に日本代表と対戦する相手について見ていきたいと思う。

まず準決勝で日本とぶつかることが決定しているフィジー。

このチーム、はっきり言って強い
ニュージーランドを下した準々決勝を観たが、恐らく今大会最強だ。
正直に申し上げて、このチームに日本が勝つのは相当難しい。あのニュージーランドがほぼ何もできずに翻弄されたのだから、ポテンシャルも完成度も桁違いと言わざるを得ない。
 
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特徴としては、本当に7人制らしいラグビーをするチームといったところだろうか。
ボールを持った選手は無理に突っ込まず、スペースができるまでゆっくりパスを回す。スピードの強弱と細かいステップを駆使してなるべく長い時間ボールを持ち、相手のタックルをまともにもらわないようなボディコントロールを意識する。

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1人目のコンタクトが発生しても、2人目は無理に密集に入らずフォローに回る。そして1人目のプレイヤーからボールを受け取り、さらにパスをつなぐ。とにかくプレーを切らずにボールをキープし続け、相手のほころびを見つけて一気に走り抜けるのである。

「相手とのコンタクトを少なくしろ」「全力で走るのは一瞬だけ」と言われる7人制ラグビーだが、試合になるとどうしても15人制の癖が抜けずに全力で走ってしまうプレイヤーは多い。
だが、その点フィジーは非常に徹底されていて、有り余る身体能力をうまく制御しつつ、必要な局面でのみ爆発させることに特化したチームと言えるのではないだろうか。

もう一度言うが、このチームに日本が勝つのは相当難しい。
まあ、7人制は15人制とは違って番狂わせが起きやすいし、試合間隔も短いので「勢い」も継続できる。とにかく1トライ1ゴール差をキープして後半に持ち込めば、ラスト1分での逆転トライという可能性も十分に考えられる。

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もう一つの準決勝、南アフリカとイギリス。身体能力の南アフリカ、そしてパワー重視のイギリス

次はもう一つの準決勝に登場する2チーム。南アフリカとイギリスである。

まず南アフリカについてだが、このチームはとにかく試合がおもしろい
身体能力抜群の選手がグランドを全力で走り回るのである。

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ペース配分や7人制のセオリーなど知ったこっちゃない。とりあえず全力でいけるところまで突っ走れ。密集ができたらとにかく押せ、奪え。

先行逃げ切りで相手の度肝を抜き、あとは何とかなるだろう。そんな感じで、走力自慢、パワー自慢の選手がグランドを縦横無尽に走り、相手をねじ伏せるスタイルである。
言ってみれば、15人制をそのまま7人制に持ち込んだチームといった感じだろうか。

もちろん7人制のセオリーとはかなりかけ離れてはいるが、何と言っても試合時間が7分ハーフの競技である。「セオリー云々言うより走っちゃえ」というスタイルでも、スピードとパワーでどうにかなってしまう部分は多いのだ。

それを言ったらおしまいだと思うかもしれないが、それもまた7人制ラグビーの魅力の一つというヤツである。

そして、この南アフリカと準決勝を戦うイギリス。
このチームは日本が予選で19-21と敗北を喫しているチームである。

特徴としては、縦突進を得意とするチーム
身体が大きく突破力のあるフォワードが、相手のディフェンスをど真ん中からぶち抜いてトライを奪うというパワフルなスタイルである。

こちらもまた7人制のセオリーとは若干ずれたスタイルなのだが、実際そんなことは大した問題ではない。
ラグビーにおいての最大の目的はトライを奪うこと。そして、トライを奪うのに最も効率的なのはまっすぐ走ることである。

つまり、目の前の相手を吹っ飛ばして道ができるのであればそうすればいい。身体の大きな選手が自分より小さな相手を吹っ飛ばして走路をこじ開ける。ミスマッチを無理やり作ってひたすらそこを突く。
これもある意味7人制ラグビーのセオリーと言えるのかもしれない。

ただ、縦突進を重視する分、どうしてもディフェンス力が落ちるというデメリットは生まれる。
試合展開はバチバチの点の取り合いになることが多く、また縦突進を封じられると一気に攻め手を失うという面もある。
予選の日本戦は点の取り合いで勝利した典型であり、準々決勝のアルゼンチン戦は相手に縦突進を警戒されて攻め手を失った典型的な試合である。
つまり、試合によって好不調の波が激しいのがこのイギリスチームの最大の特徴ではないだろうか。
 
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7人制ラグビーはおもしろい。絶対に人気コンテンツになるはずなんだけどな

長々と7人制ラグビーについて語ってきたが、何となくこの競技のおもしろさが伝わっただろうか。

セオリーなどあってないようなもの。
ご覧のように、準決勝のチームを見るだけでも各チームにそれぞれ際立った特徴があって興味深い。
もう少しうまく宣伝すれば、7人制ラグビーはもっと人気が出るコンテンツなのだが。

「ラグビー人気アカンな…。ダン・カーター来日が完全に空気って……」

だからアレだ。
7人制ラグビー観ようぜみんなww

ちなみに、今回のオリンピックで初めて7人制ラグビーを観たという方で、
「おもしろいけど試合時間が短い。もう少し交代を増やすなど、工夫すればたっぷり堪能できるのではないか」
とおっしゃっている方がいた。

「TMOって必要? テレビジョンマッチオフィシャル不要論を唱えてみる。暴論かな?」

お気持ちは非常にわかるが、そこは勘弁していただきたい。
この競技、観てる分にはあっという間かもしれないが、やっている側の辛さは尋常じゃない。
恐らく大半の選手が開始3分で戻しそうになっているはずであるww

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