人気? 低迷? それでもラグビー人気が定着しないワケ。ワールドカップでの快進撃を続ける日本代表

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五色沼
ラグビー人気は本物か? やっぱり低迷か?

イングランドで開催されているラグビーワールドカップ2015の盛り上がりがすごい。南アフリカ戦での奇跡的な勝利、サモア戦での大勝と試合を重ねるたびに歴史を塗り替える日本代表チーム。
スコットランドvsサモア戦の結果次第で予選敗退が決まる状況ではあるものの、今大会の雄姿は間違いなく称賛されるべきものだろう。

「サモアvsスコットランド予想!! ラグビー日本の命運を握る一戦を予想する!!」

4年後の2019年に日本で開催されるワールドカップに向けて、今大会の快進撃が低迷するラグビー人気を取り戻す大きなきっかけとなったことは動かしようもない事実だ。
これを最初のステップとして今後の4年間、どれだけ日本にラグビー人気を定着させることができるか。競技人口減少に悩むラグビー界をどれだけ立て直せるか。今回の盛り上がりを一過性のもので終わらせることなく、今後も継続していけるか。ワールドカップ終了後のラグビー界の手腕に大注目である。

「サンウルブズがなぜ勝てないかだって? 弱いからでしょ」

空前のラグビー人気は一過性のもの?

ラグビーの盛り上がりがすごい。
連日Yahoo!のトップページにニュースが掲載され、日増しに世間での関心の高まりを感じる。僕の周りでも普段ラグビーを観ない方たちが口々に「日本すごい」「ラグビーおもしろい」とおっしゃっている。

2019年に日本で開催されるワールドカップに向けてこの盛り上がりを定着させていくことがラグビー界にとって最重要事項だが、果たして日本ラグビー界にそれが可能なのだろうか。

「日本vsアメリカ戦結果!! 日本が激闘の末にアメリカを下し、予選敗退ながらラグビーワールドカップ3勝目を挙げる!!」

結論から言うと、僕は難しいと思っている。
残念ながらこの盛り上がりは一過性のものに過ぎず、1年も経てばもとの不人気スポーツに戻るのではないかと予想している。

「ラグビーシックス・ネーションズの注目国はフランスだ!! 日本の解説者はクソ無能だ!!」

今大会で日本チームがベスト8に進めるかどうかはわからないが、恐らく大会終了直後は様々なメディアでの露出が見込めるはずだ。
五郎丸選手が桜のジャージを着て「とんねるずの食わず嫌い王」に出演することもあるかもしれない。リーグ戦の観客数も大幅な伸びを見せるだろう。

だが、それもあくまで一時的なもの。残念ながらこの盛り上がりは4年はもたない。「盛者必衰のことわりを表す」の言葉通り、もとの木阿弥に戻るのではないだろうか。

「サンウルブズが五郎丸レッズに惜敗!! 出たよ無能解説。おもしろい試合だったのに」

ラグビーワールドカップ、1ヶ月半は長くね?

理由はいくつかあるのだが、まず第一にワールドカップの開催期間1ヶ月半は長い。9月18日に開会して、決勝戦が10月31日である。しかもベスト8が出揃った決勝トーナメントの1戦目が10月17日。ここから決勝までに2週間はいくら何でも長過ぎる。

もし日本がベスト8に進んだとしても、残念ながら決勝まで残るとは考えにくい。となると、間違いなく決勝戦は空気だ。
例えば日本がベスト8に進んだと仮定して、10月18日の試合で負けたとする。そうなったら決勝戦までにはたっぷり12日間だ。間違いなく熱は冷めるし、一部のファン以外は観ないだろう。

「ラグビーワールドカップ決勝戦予想!! オーストラリア(ワラビーズ)vsニュージーランド(オールブラックス)」

ラグビーというスポーツの過酷さは理解している。野球のように毎日試合ができるような競技ではないことは重々承知している。ベストのパフォーマンスを出すには一週間前後の休養が必要なこともわかる。
それを踏まえたうえで、やはり開催期間一ヶ月半は長い。
そもそも、一つの大会の中で中九日や中十日などという日程は普通に考えて常軌を逸している。

スコットランド戦の日本が中三日の日程の影響で、ベストな状態で試合に臨めなかったことは記憶に新しい。
これを解消するために参加国を増やして日程に余裕を持たせてはどうかという意見もあるようだが、それこそ無理な相談である。そんなことをすれば、さらに開催期間が延びてグダグダ感が増すだけだ。

「阪神補強!! 2016年シーズンを考える。暗黒への道をひた走る阪神タイガースが今すべきこと」
もう一度言うが、ラグビーは中三日で過密日程と言われてしまうスポーツだ。
日程を詰めればそれだけクオリティの低下は避けられない。しかし、万全の日程を組めば間延びする。
どの道、行き詰っているのだ。

「ニュージーランドが南アフリカに辛勝!! 史上初の2連覇へ向けて難敵を下し、決勝進出を決める!!」

そして今大会、開催国のイングランドが予選で敗退していることも大きい。
結局、こういう大会ではホスト国が勝ち進まない限り、本当の盛り上りは得られないものだ。
どこぞの国同士の試合を見せられて、いくら「いい試合でしょ?」と言われても、ライト層にはピンとこない。自国チームへの感情には遠く及ばないのである。ホスト国には最低限準決勝までは残る義務がある。

2019年に日本で開催されるワールドカップ。
 
「ダン・カーターが神戸製鋼入りするってよ!! 世界的なプレイヤーが観たければラグビートップリーグがおススメだよん」
 
この大会で日本が今大会以上に勝ち進む保障はどこにもない。むしろ2015年大会が最低基準となり、この成績を下回るようなことがあれば「期待を裏切った」といわれるだろう。うすら寒い空気の中、人知れず行われる決勝トーナメントが容易に想像できる。
行くも地獄戻るも地獄である。

「ラグビーワールドカップの優勝国を予想する。ニュージーランド(オールブラックス)1択だけどな!!」

世界最高峰のリーグといわれるスーパーラグビーに関しては、規模と開催地が広過ぎて何のこっちゃわからない。日本の参戦が決まって話題になっているが、あれを一般の人に浸透させるのは相当至難の業なのではないだろうか。

「TMOって必要? テレビジョンマッチオフィシャル不要論を唱えてみる。暴論かな?」

ラグビー選手はもっとチャラくなるべき

言葉は悪いが、ラグビー選手はもっとチャラくなるべきではないかと思う。女性人気を意識して、もっとミーハーに迎合するべきだと思うのだ。

所属チームや代表チームも看板選手を積極的にCMに出したり、メディアに露出させて選手の人気を浸透させるべきなのだ。
今回の大会でわかったと思うが、ラグビー界にも人気が出そうなスター性のある選手はいる。フルバックの五郎丸やウィングの山田などはもちろんのこと、主将のリーチ・マイケルも女性にとっては「かわいい」部類に入るのではないかと思う。
こういう選手をどんどん露出させて、ライト層を取り込む努力をするべきなのである。

前にも言ったが、スポーツの人気はイコールミーハーの数といっても過言ではない。いかにキャーキャー言われるかが人気のバロメーターなのだ。

「あの選手がかっこいい」
「あの選手かわいい」
「一生懸命やってる姿がいい」

興味を持つきっかけなどこれで十分なのである。

今から10年ちょっと前にもそのチャンスはあったのだが、ラグビー界はそれをみすみす逃した。大畑大介、小野澤宏時、斉藤祐也などスター性のある選手が揃っていた時期だったのに、本当にもったいないことをしたと今でも思っている。
あの時期に少しでもメディア露出を増やしてミーハー層を取り込む努力をしていれば、ここまで日本ラグビー界が停滞することもなかったのではないだろうか。

例えばアマチュアスポーツでも高校野球の人気がケタ違いだが、よく見ればやることをやっているのがわかる。毎年有名アーティストの楽曲をテーマソングに選び、その曲を聴けば「あ、甲子園だ!」とわかるくらい、世間に浸透させているのだ。
何より「栄冠は君に輝く」のインパクトは絶大だ。
曲名は知らなくても実際に聴いてみれば「あ、甲子園のヤツだ!!」と瞬時にわかるほどメジャーな曲である。

残念ながらラグビーにはそんなものは存在しない。聴いただけでラグビーを連想するような曲など、これまで出会ったこともない。実際はあるのかもしれないが、少なくとも僕は知らない。つまりライト層と呼ばれるラグビーファン予備軍は知らないということだ。そういったところからも取り組みの薄さが感じられるのである。

吉本新喜劇に毎年日本代表選手が出演していることもあまり知られていない。こういう部分をもっと世間にアピールするべきなのに、それすらやっていないのだ。

ラグビー界を見ていると、無駄に硬派ぶって閉鎖的な雰囲気を端々に感じるのだが、本当にいただけない。かつてのアマチュアイズムの名残だと想像するが、心底不要な思想だと思う。

自称コアなファンが人気沸騰を妨げる?

そしてこれも不人気スポーツにありがちなのだが、やたら閉鎖的で通ぶった客層が多いのもラグビーの特徴である。
会場に行くとわかるのだが、妙に小難しい表情で観戦している観客が多いのだ。よくわからん理論を偉そうに語る人間の声がひときわ大きいのである。こんな閉鎖的な空間に新規のファンが入っていけるはずがない。

騒げばいいのだ。
野球のように外野席で手拍子するスタイルが正解かどうかはわからないが、非日常のお祭り気分を味わうのもスポーツ観戦の大きな醍醐味なのだから。

これは格闘技にも通じるのだが、少し人気が出るとすぐ「ニワカw」と騒ぐ自称コアなファンが現れる。そして、いわゆるライト層のファンを見下し始めるのである。
これではせっかく興味を持ってくれても、すぐに嫌気がさして離れてしまう。結局もとの木阿弥に逆戻りである。

「日本の格闘技が不人気な3つの理由」

野球のようにすでに人気が定着しているスポーツなら話は別だ。自称コアなファンが新規のファンを遠ざけようと、もともとの分母がケタ違いなので大きなダメージにはならない。
だがラグビーや格闘技は違う。新規も古参も一致団結して裾野を広げることを考えなくてはいけない。狭い世界で小さなパイの取り合いをしている場合ではないのだ。

そしてこれは余談だが、選手はワールドカップで勝利したときのインタビューでもっとはしゃいでもいいのではないだろうかと思う。
「次もありますから」
「練習してきたことを出せて嬉しい」
「切り替えて次の試合に向けて準備したいと思います」

違う違う。
次への準備は確かに大事だが、今この瞬間くらいはカメラの前で飛び回ってもいいのではないかと思うのだ。変にスカした対応をするより、思いっきり騒いだ方が視聴者の印象に残るし好感度もアップするのではないだろうか。

「日本がサモアに勝利!! ラグビー日本の歴史を塗り変える!!」

ノーサイドの精神はわかる。
だが、せっかく歴史的な快挙を成し遂げたのだ。せめて日本向けメディアのインタビューくらい目いっぱい騒いでもバチは当たらないし、今後のラグビー人気を考えても正解だと思うのだが、どうだろうか。

ついに動き出した大国アメリカ。本気のアメリカは最強だぞ

2016年春、アメリカでラグビーのプロリーグが発足する。

ニュージーランドとのテストマッチの盛況ぶりを見て、関係者が「これはいける」と思ったことがきっかけだという。「いける」というのは、要するに「金になる」という意味なのは明白だが、さすが大国アメリカである。
聞きかじった情報なので確かなことはわからないのだが、イングランドの会社と提携して試合放映にも力を入れるという話だ。

これは想像以上に大ニュースだと思うのだが、どうだろうか。
いかんせんアメリカである。
NFLというアメフト世界一の土壌がある国だし、元々身体能力にはまったく問題のない人たちだ。4、5年もすればアメリカは世界でも有数のラグビー大国になるのではないだろうか。

儲かるところに惜しみなく金をかけるアメリカの姿勢。これは本当にすばらしいと思う。
前にも言ったが、ラグビーは金満スポーツである。
金をかければかけただけいい選手が買えるし、いいコーチが呼べる。最新の理論も手に入るし、最先端のトレーニングもできる。

プロスポーツ全般に言えることだが、金をかければかけるほどチームは強くなるし人気も上がる。人気が上がればさらに金が増え、よりチーム強化に力を入れることができる。
残酷な現実だが、金で勝利は買えるのだ。
妙なアマチュアイズムが根強く残る日本で、この考えはなかなか浸透しない部分なのだが。

「日本が南アフリカに勝利!! 日本代表を支える外国人。ラグビーW杯で起きた奇跡をひも解く」

現状、アメリカチームを何となく格下扱いしている日本だが、優位な立場でいられる期間は長くない。
アメリカが本気になればあっという間に日本は抜かれる。ワールドカップの1勝目から2勝目までに日本が費やした24年間を、アメリカチームはものの4、5年で埋めるだろう。

金のある場所に優秀な人材が流れるのはどこの世界でも共通の摂理だ。恐らく日本に来ているワールドクラスの選手たちも徐々にアメリカリーグに流れるし、2019年のワールドカップでアメリカと日本の立場は完全に逆転するのではないだろうか。

日本ラグビーのさらなる発展に向けて

2019年に向けて日本ラグビーがさらに発展するには、
・外国人コーチ路線を継続する。
・実績のある有名なコーチをお金をかけて呼ぶ。
最低限この2つは徹底するべきである。

実績と指導力は別というのはよく聞く話だが、日本人は権威に弱い。ある程度の名前があるだけで従順になる選手は多いだろう。それを踏まえると、残念ながら清宮ではインパクトに欠ける。

そして、トップリーグの各チームは今よりもさらにお金をかけて大物外国人を狙うべきだ。アメリカのプロリーグに負けないような待遇を用意して、戦力の流出を阻止するのだ。

さらにチームの看板選手には積極的に広告塔としての役割を果たしてもらう。企業CMにラグビー選手をどんどん起用するのだ。それも女性人気を意識して容姿重視で起用するのである。

露出と実態。
お金をかけてこの2つを露骨に両立させるのである。
「自然な形で」とか「無理のない範囲で」などではダメだ。とことん露骨にだ。自称コアなファンとやらが顔をしかめるくらい露骨に金をかけるのだ。

安心していい。勝てばすべてが忘れられる。
勝てば官軍。
結局そういうことなのだ。

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