アンドレ・ベルトがロンダ・ラウジーのコーチに名乗り? 何か勘違いしてねえか? それでホーリー・ホルムに勝てるのか? 後、ミーシャ・テイトはしっかりかませ犬役を全うしろよ

アンドレ・ベルトがロンダ・ラウジーのコーチに名乗り? 何か勘違いしてねえか? それでホーリー・ホルムに勝てるのか? 後、ミーシャ・テイトはしっかりかませ犬役を全うしろよ

東京夕暮れイメージ
アンドレ・ベルトがロンダ・ラウジーのコーチ役に?

「元女王ラウジー、あのボクサーがコーチ役に名乗り 再戴冠へ強い味方」

UFC女子バンタム級の元女王ロンダ・ラウジーのコーチ役にボクサーのアンドレ・ベルトが名乗りを上げた。

アンドレ・ベルトはスピードと高いテクニックを駆使したトップボクサーで、フロイド・メイウェザーのラストファイトの相手をつとめた選手である。

「メイウェザー、やっぱり判定勝ち!! 現役ラストの試合でも挑戦者ベルトに何もさせず」

2015年11月にホーリー・ホルムに衝撃的なKO負けを喫し、ファイトスタイルの見直しを迫られているロンダ・ラウジー。アンドレ・ベルトを「チーム・ラウジー」に加えることで打撃技術にさらなる磨きをかけ、ホルムへのリベンジを果たすことができるか。

「ロンダ・ラウジーがわかりやすくボブ・サップだった件。ヌネスに48秒TKOか。ちょっとマズい負け方かも」

どうもロンダ・ラウジーの敗因を勘違いしている人が多い気がする

アンドレ・ベルトがロンダ・ラウジーに打撃指導?
これは正直、どうなのだろうか。
僕にはアンドレ・ベルトがセカンドキャリアを見据えた人脈づくりを始めたようにしか思えないのだが。

というか、どうもロンダ・ラウジーの敗因を勘違いしている人が多い気がするのだが、いかがだろうか。

確かにホーリー・ホルムとロンダ・ラウジーの打撃技術には雲泥の差があった。元ボクシング三階級制覇王者に打撃で勝負を挑んだのは無謀以外の何物でもない。
三階級制覇王者に対抗するためにボクシングのトッププロであるアンドレ・ベルトに師事することは決して間違いとはいえないだろう。

だが、あの試合の敗因の本質はそこではない。
ロンダが打撃で勝負し過ぎただの、ホルムの正面に立ち過ぎただのと言われているが、実はそれは枝葉の要素に過ぎない。前回の記事でも申し上げたのだが、ホーリー・ホルムの本当のすごさはあのフットワークだ。

「ロンダ・ラウジー失神KO負け!! ホーリー・ホルムが秒殺女王を完膚なきまでに叩きのめし、女子MMAの歴史を動かす」

ボクシングのリングよりはるかに広いオクタゴンの特徴を最大限に活かしたフットワーク。ロンダ・ラウジーはあの動きにまったくついていけなかったのである。

前回の記事の繰り返しになるのだが、ホルムの最大の特徴はMMAの舞台でもボクシングの打撃技術をそのまま使えていることだ。

通常、MMAでの打撃は相手のタックルやキックを警戒しながら打つために、どうしても奥足に重心を残した構えになる。極端に言えばへっぴり腰での猫パンチである。

その点ホルムは違う。前足に重心を乗せた前傾姿勢の構えから、常に体重を乗せたパンチを打つことができるのである。つまりMMA選手を相手にボクシング時代と同じ打ち方でパンチを打つことができているのである。

それはなぜか。
先ほど申し上げたフットワークがあるからである。
相手が大きく踏み込んでこようがタックルにこようが、オクタゴンの広さを目いっぱい使ったフットワークで距離がとれる。組みつかれて倒されることもない。

相手よりもはるかに長いレンジで打撃勝負ができるので、どんな状況でも重心を前に置いて腰の入ったパンチが打てるのである。
そして、モーションの大きいハイキックや回し蹴りでフィニッシュすることができるのである。

「相手いるのか? クリス・サイボーグ姐さんがUFCデビュー戦で圧勝!!」

フットワーク、打撃、フィジカル。これらをクリアしてようやくグランド勝負に持ち込める

ホルムの強みはそれだけではい。
卓越した打撃技術もさることながら、ロンダ・ラウジーにも劣らないフィジカル。これも僕がホーリー・ホルムをチート扱いする理由の一つである。

組みつかれても倒されない腰の強さによって、打撃系の選手にありがちなグランドでの弱点を帳消しにしているのだ。

ホーリー・ホルムをグランド勝負に持ち込むには、まずはあのフットワークに追いつかなくてはならない。ハイキックの危険を考慮しつつ、懐に飛び込む必要があるのだ。

「テレンス・クロフォード防衛!! ハンク・ランディを5RでKOに沈める見事な勝利!!」

どうにか懐に飛び込むことができたら次は打撃勝負である。ボクシングで三階級を制覇した元王者の打撃をかいくぐってタックルにいかなくてはならない。

何とかホルムの打撃をかいくぐって組みついたとする。次に必要になるのが、強靭な足腰を持つホルムをグランドに引きずり込むだけのフィジカルである。ロンダにも劣らないホルムのフィジカルをさらに超えるフィジカルを発揮して、引き倒さなくてはいけないのだ。

つまりこれだけの防御網を突破して、初めてホルムとグランド勝負をする舞台に立てるのである。

「背中を向けて逃げるマクレガーに中指を立てて挑発するネイト・ディアス。しょーもない、悪童が聞いて呆れるわ」

しかもグランド勝負に持ち込んだからといってそこで勝てる保証はどこにもない。もしかしたらホルムのグランド技術は予想よりはるかに高い可能性もある。そもそもまだ一度もはっきりと倒されたことがないのだから、実力を測ることすらできていないのだ。

グランド勝負に持ち込むのはあくまでもスタートライン。
決してグランド勝負=勝利ではない。

前回の試合を観るとわかるのだが、ロンダはホルムに組みつくところまではたどり着いていた。
だが、そこに至るまでに力を使い過ぎたせいでホルムを引き倒すことはできなかった。強靭なフィジカルで相手を圧倒してきた秒殺女王を持ってしても、ホルムをグランド勝負に引き倒すことすらできなかったのである。

ミーシャ・テイトの役目は盛大にホルムに負ける盛り上げ役

おわかりだろうか。
あの試合は、ロンダ・ラウジーのフィジカルと勝ち気な性格があったからこそ、あそこまでの白熱した試合になったのだ。
これがロンダ以外の選手だったらホルムのフットワークとカウンターを警戒して近づくことすらできない。長い距離で削られ続けておしまいである。
実際に過去のホルムの試合を観ていただきたい。その圧倒的な塩っぷりに驚愕するはずである。

もちろんミーシャ・テイトも例外ではない。あの程度のフィジカルではホルムに近づくのは到底無理だ。
以前の記事で「ミーシャ・テイト? どうせ塩漬けにされて大差判定でホルムだろ」と言ったのはそういう意味である。

「ボクシングよりUFCの方が上? もうめんどくせえよ。人気がとか実力がとか、無意味すぎるだろ」

つまり、3月5日のタイトルマッチでのミーシャ・テイトの役目は一つしかない。
いかにホーリー・ホルムに盛大に負けるか
これのみである。

「ホーリー・ホルムがシェフチェンコに負けちゃった…。やっぱりUFCにはロンダ様が必要だね!!」

普通にやっても塩漬け判定の未来しかないのだから、そんなことをやっていてはタイトルマッチが盛り上がらない。多少無理をしてでも前に出て、豪快にカウンターをもらって仰向けにぶっ倒れるのである。

「ホーリー・ホルムやっぱりすげえぇぇ!!」
「勝てる可能性があるのはロンダしかいねえぇぇぇ!!」

かませ犬としての役割を目いっぱい全うすることがミーシャ・テイトの至上命題である。

「ミーシャ・テイトがホーリー・ホルムに失神KO勝利で初タイトル奪還!!」

打撃に特化した選手がキックやグランド技術に対応すれば最強?

僕は以前から、打撃に特化したファイターがグランドや蹴り技にも対応できればMMAでも最強に近づけると思っていた。
つまり、ボクサーがMMAやキックのリングでボクシングのパンチをそのまま使えるようになれば、それこそが最強ではないかと考えていたのである。

そして、今まさにそれを実現しているのがホーリー・ホルムなのだ。

「ジェシー・バルガスvsサダム・アリ予想!! 期待のサダム・アリが初のタイトル挑戦!!」

以前、元ボクシング日本ミドル級王者の鈴木悟がシュート・ボクシングに転向したことを覚えているだろうか。
実はあの選手はかなりいい線までいっていたのだが、残念ながら少し時間が足りなかった。
日本の格闘技界が本人の対応の向上に反比例して下火になっていったことも大きかった。相手の質や舞台の不足、その他諸々の要因が響いてそこまでの大爆発を起こすことができなかったのは残念だった。
 
「サイボーグvsホルム決まっちゃったよ…。楽しみなようなそうでもないような…。敵なしフェザー級チャンプにホルムは対抗できる?」
 
だが、ホーリー・ホルムは違う。
ボクシングからキックボクシング、そしてMMAと段階を踏んで順調にキャリアを進め、絶好のタイミングで最強女王ロンダ・ラウジーの前に立つことができた。
そして、ロンダが長年築き上げたMMA女子選手のステイタスを根こそぎ奪い取って見せたのである。

まさしく一夜にしての下剋上。
人生を変えたシンデレラストーリー。
こういうことがあるから格闘技はおもしろい。

UFCを始めとした総合格闘技に興味を失っていた僕を再び観戦に引き戻すだけのインパクトを持った一戦だった。

ロンダは打撃技術を向上させるよりもタックルをできるようになる方が重要なんじゃないの?

ここまで語ったところで最初の疑問に戻るのだが、果たしてロンダ・ラウジーはアンドレ・ベルトと打撃の練習をしていていいのだろうか?
それでホルムのフットワークについていけるようになるのか?
わずか数カ月練習した程度で、三階級王者に対抗できるようになるのか?

もちろんパンチの練習だけをやっているとは言わないが、若干方向性がずれているように思えてならないのである。

打撃は最低限でいいから、タックルの精度を上げる方が先決ではないのか?
ロンダがホルムに対抗できるだけの打撃を身につけるより、ホルムがMMAのグランド技術を身につける方がはるかに早そうに思えるのだが。

まあ、タックル技術というのもある意味才能で、そう簡単に会得できるものでもないのだが……。

「ガルシア最大の持ち味は躊躇のないカウンター、そして強靭なメンタル」

とりあえず、今のところロンダ・ラウジーがタックルのスペシャリストになれる気配は感じないのが本音である。

いや、大丈夫か自分?
こういう強気な予想をすると大体ロクな結果にならないことが多いぞ。
ミーシャ・テイトにコロッと負けて赤っ恥などという結果にならなければいいが。

とりあえずアレだ。
ホーリー・ホルムがんばれ。

 
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