ムンギアvsホーガン感想。ホーガン大健闘! まさかの展開にビックリした。苦戦と聞いたのでてっきりインファイトかと…【結果・感想】

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メキシコイメージ
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2019年4月13日(日本時間14日)、メキシコ・モンテレーで行われたWBO世界S・ウェルター級タイトルマッチ。同級王者ハイメ・ムンギアがランキング1位の挑戦者デニス・ホーガンと対戦し、2-0(115-113、116-112、114-114)の判定で勝利。辛勝ながら4度目の防衛に成功した。
 
 
32戦全勝のムンギアが4度目の防衛戦を迎えた。今年1月26日以来、約2か月半という短いスパンでの登場となる。
対戦相手は28勝1敗1分の強豪デニス・ホーガン。2017年には日本の野中悠樹にも勝利しており、今回は満を持しての世界タイトル初挑戦である。
 
 
試合は開始直後から王者ムンギアが前に出て積極的に腕を振る展開。
それに対し、挑戦者ホーガンは左右に動きながら距離をとり、ムンギアのリードにコンパクトなカウンターを合わせていく。
 
この動きにムンギアはうまく対応できず。
時おりロープに詰めるものの、要所でカウンターを被弾するなどなかなか攻めきれない。
 
中盤からは徐々にパンチがヒットし始めるが、リング中央ではしばしば打ち負けるシーンも。
何とか2-0の判定で勝利を挙げたが、前回の井上戦に続いてフラストレーションの溜まる防衛戦となってしまった。
 
「すっげえ…! ウィリアムスがハードに勝利。Mr.まあまあの人が怪物王者を攻略。クリンチの少ないクリーンなボクシングって?」
 

試合展開にビックリした。ホーガンがこんな作戦を選択したとは

2013年のデビュー以来、ハイペースでリングに上がり続けるハイメ・ムンギア。今回でキャリア33戦目となり、年6試合に迫るペースを継続している。しかも、王座戴冠を果たした2018年も年5試合。王者クラスになると年2、3試合がデフォルトとなる中では異例の存在といえる。
 
 
そして、先日DAZNでO.A.された4度目の防衛戦を観た次第である。
 
とりあえずの感想としては、率直にビックリした。
まさか挑戦者のデニス・ホーガンがこういう作戦を選択するとは。
 
この試合に関しては、
「ムンギアが大苦戦」
「弱点を露呈した」
「これじゃジャレット・ハードにはかなわない」
など、ムンギアの微妙な試合運びに対するネガティブな感想が多く聞かれた。
僕自身、一連の感想を見て「どうせアレだろ? 前回の井上戦みたいにインファイトでがっつりイワされたんだろ?」などと思っていた。
 
それがまさか、あんな位置で勝負したとはね。
 
いやだって。
ヒゲの白人で、名前が「ホーガン」ですよ?
そりゃあ、インファイターを想像するでしょ。

 
まあ、しょーもない冗談はともかく。
2018年5月にサダム・アリがボロ雑巾にされた試合の印象が強く、個人的にハイメ・ムンギア相手にあの作戦は一番危ないと思っていた。
 
「やっべえw 巨人ムンギアがアリを爆撃。ムンギアなんだコイツ。プロレスラーみたいだな。は? これでもハードの方がデカいの?」
 

サダム・アリとホーガンの違い? カウンターの精度と打ち方じゃないかな。効果的なムンギア対策だった

今回のデニス・ホーガンとサダム・アリの違いだが、具体的にはカウンターの精度、打ち方に差があったように思う。
 
サダム・アリはどちらかと言えば1発狙い。
相手の無数のパンチから合わせられそうな1つを選択し、「せーの」でフルスイングする。
1発の威力は凄まじいが、その分外された際のリスクも大きい。
 
それに対し、ホーガンのカウンターはコンパクトでスムーズ。
基本的にどの角度、どのパンチにも反応し、同時打ちのタイミングで被せることが可能。
今回もムンギアの1発目の左リードに合わせ、そのつど連打の発動を抑え込んでいた。
 
また、前に出した左を小刻みに動かすことでムンギアの警戒心を強め、突進力を抑止。大振りのパンチを冷静に見極めつつ、軽いが的確なカウンターのヒットを重ねた。
 
ロープに詰まればすぐさま身体を寄せ、至近距離でのもみ合いに持ち込む。頭を擦り付けるようにスペースを潰してムンギアの動きを封じる。
 
おお、なるほど。
左右に動くだけではムンギアの圧力から逃げ切れないと思っていたが、カウンターをチラつかせて出足を止めるわけか。
しかも、ムンギアはインファイトにやや難がある選手。回転力が上がると手に負えなくなるが、勇気を持って懐に飛び込めば安全地帯にたどり着ける。
 
井上岳志は近づき過ぎたせいでパンチを打つスペースを失ったが、今回は逆。ホーガンはカウンターの脅威と足で出足を止め、動けるスペースを確保した上で勝負した。
 
「大健闘の井上岳志。ハイメ・ムンギアに3-0の判定負け。でもめちゃくちゃカッチョよかったよな。採点は…118-110かな?」
 
どちらが正解かはわからないが、ムンギア対策としてはすばらしかったと思う。
 
もしかしたら、サダム・アリがウェルター級上がりの選手なのに対し、ホーガンがミドル級から階級を下げた選手だったことも影響したのかもしれない。
 

意外と神経質なムンギア。ローブローやバッティングにイライラしてペースを乱す


常に左右に動いて正面を外し、細かい左リードでけん制。
ムンギアの右に同時打ちのタイミングで左を被せ、そこから連打につなぐ。
リング中央での打ち合いではムンギアのパンチにカウンターを合わせまくり、逆にロープに押し込んでいく。
 
アングルを変えながらカウンターを被せまくる作戦は2017年にケル・ブルックがエロール・スペンス相手に実行したものだが、パンチが大振りな分、今回のムンギアにはめちゃくちゃ機能した。
 
「最強スペンスがマイキーに大差判定防衛。ど正面からのどつき合いは見応えあったな。策士マイキーは黒星の代わりに評価を得たか?」
 
そして、前回の井上戦で露呈したのがムンギアの神経質さ
ローブローやバッティングに対して露骨に嫌がる表情を見せ、そのつどレフェリーにアピールする。
 
この試合、ホーガンはクリンチ際に頭をグリグリ押しつけ、必ず側頭部を叩いていた。
そういう意味でも、山ほどムンギアを研究してきたんだろうなぁという印象を受けた。
 
また、この選手はラウンド終わりに必ず両手を挙げてガッツポーズするのだが、アレも意外と効果があった気がする。
ラウンド終わりのガッツポーズはライト級王者のマイキー・ガルシアも必ずやるヤツだが、ホーガンはよりアクションがオーバー。
 
てか、実際どうなんすかね?
後半のしんどい局面で目の前でアレをやられると。
 
イラっときて冷静さを失ったりするんでしょうか。
「クソが、舐めんな」みたいな。
で、さらに空回りさせられるみたいな。
 
そこまで計算してやっていたとしたら、ホーガンは相当な策士だなと。
 
「再戦でエストラーダがシーサケットに勝利。この2人は噛み合いすぎるよな。DAZNの対応の悪さ? 村田諒太の責任だろうな」
 

ムンギアの今後は結構キツそう? まともに勝負してくれる相手はいないのでは。カネロとは相性最悪に思える


なお、ギリギリで命拾いした(ジャッジに助けられた?)ムンギアだが、今後のキャリアはかなり厳しいものになるかもしれない。
 
自分のペースで腕を振れる場面では化け物的な強さを発揮するが、インファイトが苦手+大振り過ぎてカウンターを狙われやすい。
しかもローブローやバッティングにやたらと神経質で、至近距離でゴチャゴチャされると冷静さを損なう。
 
前回、今回とその部分を露呈したことで、恐らくここから先の挑戦者はまともには勝負してこない。
どうにか無敗は守ったものの、周辺階級の選手に「やりようによっては勝てる」という印象を与えた感が強い。
 
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また、本人はいずれ同国のスターであるカネロへの挑戦を目論んでいるとか。
 
いや~、どうなんでしょうか。
今回の試合を観る限り、カネロには遊ばれて終わりそうな……。
見切りのいいカウンター使いはムンギアにとっては相性最悪な相手に思えるが。
 
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