今年一番興味の薄い再戦リナレスvsクローラ。無理ゲー? リナレスのとびっきりの才能がクローラの努力をまたしても凌駕する【結果・感想】

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リベンジイメージ
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2017年3月25日(日本時間26日)に英・マンチェスターで行われたWBA世界ライト級タイトルマッチ。
同級王者ホルヘ・リナレスが前王者でランキング4位のアンソニー・クローラと対戦し、3-0(118-109、118-109、118-109)の判定勝利で防衛に成功した試合である。
 
2016年9月以来の再戦となった両者。
前戦同様、ガードを上げたクローラがプレッシャーをかけ、リナレスがスピーディな連打で迎えうつ展開。
そして、スピードに勝るリナレスが各局面でクローラの突進力を上回る。クローラも持ち前の粘り強さで懸命に試合を組み立てるが、7Rにダウンを喫するなどリナレスを攻めきれず。
 
「マイキー・ガルシアvsブローナー決定!! マジかよスゲー試合だよこのマッチメイク。体重超過あり?」
 
最終的に3人のジャッジ全員が118-109で支持。
文字通りリナレスの完全勝利である。
 
「リナレスvsルーク・キャンベル予想。濃い顔族か平たい顔族か。強化版阿部寛の顔力で英国の英雄を吹っ飛ばせリナレス」
 
なおこの試合で勝利したリナレスは、今年1月にズラティカニンに勝利してWBC王座を奪還した“マイキー”ことミゲル・アンヘル・ガルシアとの統一戦に進む予定とのことである。
 
「マイキー・ガルシアがズラティカニンにKO勝ち。空中で失神してゆっくり崩れ落ちる衝撃映像」
 

2017年で一番興味がなかったリナレスvsクローラ再戦。でも観ましたよ? ミーハーだからww

リナレス完全勝利!!
最後までクローラを寄せつけず、力の差を見せつける!!

 
表題の通りなのだが、僕は当初から、ビックリするくらいこの試合に対する興味が薄かった
 
前回の試合を観る限り、再戦しても流れはだいたい想像できる。
クローラが前に出てプレッシャーをかけ、リナレスがそれをスピーディなコンビネーションで迎えうつ展開。
どちらが勝つにせよ、何度やってもこの両者はそれほど代わり映えしないはず。
そして、正直クローラがリナレスに勝てる可能性は薄い。
 
もともとダイレクトリマッチ自体があまり好きではないのだが、それ以上に似たような展開と結末になりそうな試合にいまいちテンションが上がらなかった。
 
最近「興味がない」ばかり言っている気がするが、今回はその中でもケタ違いに興味がない試合だったことを報告するww
 
「ポール・バトラーがスチュアート・ホールを当て逃げで下す。そうそう、井上尚弥相手にこれをできるヤツを探してんのよ」
 
だったら何で観たんだよww
興味ないならシカトすればいいじゃんかww
という話なのだが、残念ながらそういうわけにはいかない。
 
なぜならミーハーだから。
有名な選手の試合を見逃すと損した気分になるから。
 

慎重な立ち上がりを見せるクローラと、攻撃姿勢を強めるリナレス

1、2Rと、慎重にリナレスの動きを観察するクローラ。
高く上げたガードはいつも通りだが、前回ほどの積極的なプレッシャーをかける気配がない。
前後に小刻みに動きつつ、時おり左を出すのみでリナレスを深追いせず。思ったよりも静かな立ち上がりである。
 
「マイキー・ガルシアがブローナーに判定勝利。階級の壁をちょっと感じたかな。ブローナーもよかったよね?」
 
対するリナレス。
こちらは基本的には前戦と同じ。
前後左右に動きながらスピーディな連打でクローラの前進を寸断。相変わらずのハンドスピードで都度、クローラの出足を止めておき、さっとサイドに回り込む。さらにアングルを変えた位置からフック気味のアッパーを打ち込む。
相変わらず帝拳の同僚が「スタイリッシュ」と口を揃える動きである。
 
「5度ダウンのカールソンが山中に敗れる!! 神の左()を活かすための神隠しの右()が冴え渡るww」
 
ただ前戦と違い、若干スタンスを狭めてクローラと正対する。前手の左を下げてリラックスさせ、左足重心の前傾姿勢の構えである。
 
これまでよりもさらに攻撃に傾倒したスタンス。
スピード&パワーを重視した構え。
 
「クローラvsバーンズ感想。もの足りない人同士の壮絶サバイバル。両者が足りない部分を攻め合う駆け引き」
 
なるほど。
これでクローラのプレッシャーに対抗する作戦か。
リラックスした構えから、クローラの動き出しを狙って得意のコンビネーション。
前戦でもこのコンビネーションは十分機能していたが、どうしてもロープを背負わされるシーンも見られた。勝利したとはいっても厳しい試合だったことは間違いない。
 
「リナレスはキャンベルに二度と関わるなww 2-1の判定でスレスレ勝利。危ない試合だった。再戦したら負けるんでない?」
 
今回はその反省を活かし、より攻撃的なスタンスでクローラの動き出しを狙う。プレッシャーをかけようと前進してくるクローラに、その機会すら与えない。得意の中間距離に釘付けにして、思う存分コンビネーションを叩き込む作戦である。
 
そしてこのリナレスの作戦が、クローラの慎重な立ち上がりとモロに噛み合ってしまった
 

初戦でリナレスとの力量差を実感したクローラが選択したのは後半勝負。そしてその作戦はうまく機能していた

リナレス同様、恐らくクローラも前戦を受けての慎重な立ち上がりだったはず。
 
前回の試合で自分とリナレスの力量差はわかった。
まともにぶつかったのでは、リナレスのスピードについていけない。
ガードの間からいいように打ち込まれてポイントアウト。もしくはダメージの蓄積で足が止まる可能性が高い。
 
もちろんそれは今回も同じ。
これまで通り初回からプレッシャーをかけていては、リナレスをリズムに乗せてしまう。
かといって、前戦以上にプレッシャーを強めれば最後まで体力が続かない。
 
そう考えた上で出した答えがあの慎重姿勢。
前半はリナレスにガードの上を打たせ、体力の消耗を狙う。
リナレスが失速を見せるであろう後半以降、ペースを上げて攻勢に転じる。
結果的に10、11RあたりでKOできれば最高。
そんな感じの作戦だったように思う。
 
「田中恒成vsアンヘル・アコスタ予想。過去最強の挑戦者が愛知に来るぞ。ミゲール・コットの秘蔵っ子が期待の田中恒成に挑む」
 
そして、実際その作戦はうまく機能していた
8R以降、疲れを見せるリナレスに対し、試合を支配していたのはクローラだった。
再三リナレスにロープを背負わせ、自分の得意なパターンに持ち込んでいた。
 

やっぱり才能が違うんですよ才能が。またしてもリナレスがスピード&パワー大正義を見せつけてクローラに圧勝

だが、残念ながらクローラにできるのはそこまで。
 
持ち前の位置取りのうまさ、巧みなプレッシャー、ガードの堅さで追い詰めはするものの、そこに至る過程での体力の消費があまりにデカい。リナレスとのスピード差を埋めるための作業が精一杯で、どうしてもフィニッシュに持ち込む余力が残らないのである。
 
これはもう、作戦や組み立てどうこうの話ではなく、単純に才能の差
アンソニー・クローラという選手はボクサーとしてのクオリティ、完成度は確かにすばらしい。どんな状況でも自分のスタイルを貫くメンタルを含め、実力的には申し分ない。
 
「ガルシアvsサーマン感想!! 才能の塊キース・サーマンがパワーでダニー・ガルシアを置き去りにする」
 
だが持って生まれた才能というか、個体能力の差がリナレスとはいかんともし難い。
前戦の感想記事でも申し上げた通り、今回の試合もリナレスのスピード&パワーの大正義ぶりがクローラの完成度をあっさり飛び越えた。持たざる者の限界が見えたと言ったらアレだが、僕がフィジカル至上主義にならざるを得ない理由が凝縮された試合だったと思う。
 
「リナレスがクローラに勝利!! 才能が凡人の努力をあっさり凌駕する。スピード&パワーの大正義をまざまざと見せつけられた」
 
たとえば7Rにダウンを奪ったスマッシュ気味の左アッパー。
あんな一瞬の閃きのようなパンチをクローラが打てるとは思えない。
 
クローラはすげえがんばると思う。でも、アイツがどれだけ努力しても、どうせリナレスが才能で圧倒するんだろ?
 
これが僕がこの試合に興味が沸かなかった一番の理由である。
 
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最初から飛ばしていればクローラにもチャンスはあった? いや無理か。どの道この再戦は無理ゲーだった

今回の試合、個人的にクローラにチャンスがあるとすれば、前半から飛ばして試合中盤までにKOすることだと思っていた。
 
開始直後から前戦以上に前に出てリナレスを追い詰め、なるべく早い段階で消耗させる。被弾の数は多少増えるだろうが、それでも前回のように自由に動かれるよりははるかにいい。
 
そして、何とか自分の体力が尽きる前にリナレスにダメージを蓄積させ、6、7R前後に勝負を賭ける。
 
コーナーを背負わせて左ボディ。
下を意識させておいて左フックをドカン。
 
「ロマチェンコ攻略の糸口見っけ? マリアガボッコボコ。今日も対戦相手をオモチャにして遊ぶ」
 
そこでKOできれば万々歳。
もしダメだったら諦める。
 
要は、クローラが勝てるとすればKO。
その可能性を見出すには前半から飛ばすしかない。
そんな感じで考えていたので、一応クローラの立ち上がりには注目していた次第である。
 
 
だが、蓋を開ければ見ての通り。
 
クローラは序盤からリナレスの出方をうかがう慎重姿勢に終始。
ガードを堅めてじっとしているうちに隙間を打たれまくり、ポイントとペースをごっそり持っていかれるパターンである。
作戦通り後半ペースアップしたものの、クローラ自身の失速も隠せず。
 
何度もリナレスを追い詰めるシーンは作ったが、残念ながら倒せるイメージまでは持てなかった。
 
「KO必至? ブルックvsスペンスウェルター級頂上決戦の行方は? パワーとテクニックの最高峰の激突」
 
まあ、クローラの気持ちもめちゃくちゃわかるのだが。
 
・前王者
・ダイレクトリマッチ
・超地元
・これに負けるとメインストリームから外れる
 
この条件下で、初回から全力で勝負を賭けろというのは確かに厳しい。
どうしても、序盤は安全にいきたいと考えるのがベターである。
 
普通にやったのでは、前戦同様スピード&パワーで圧倒される。
後半勝負を見込んで慎重な試合運びを選択しても、追いつけないほどの差がついてしまう。
前半から飛ばしてKO狙いでいっても、失敗した場合は悲惨な結末。
 
「ジェイコブス大健闘!! ゴロフキンのKO記録をストップ!! でもがんばった止まりかな。倒し方は見えたけど」
 
ん〜〜〜。
やはりクローラにとって、この試合はハナから無理ゲーだった。
そういうことなのかもしれない。
 
せめてもう少し連打が続けばな。
でも、リナレスのコンビネーションへの対処で手一杯か。
 
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