セルゲイ・コバレフはPFP最強?! ナジブ・モハメッディを破壊的KOで統一王座防衛に成功

NO IMAGE

虹イメージ
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る

PFP最強はセルゲイ・コバレフで間違いなし?!

ライトヘビー級の3本のベルトを保持する統一王者セルゲイ・コバレフが2015年7月25日(日本時間26日)、アメリカネバダ州ラスベガスで挑戦者のナジブ・モハメッディとWBA・IBF・WBO世界ライトヘビー級タイトルをかけて激突。3回2分38秒でモハメッディをKOに下し圧勝した。無敗王者コバレフが同階級最強を改めて証明した形となった。

「クラッシャー(破壊王)コバレフ見参!! パスカルとの再戦を予想!」

セルゲイ・コバレフ(28戦27勝(24KO)1分)
vs
ナジブ・モハメッディ(40戦37勝(23KO)3敗)

試合開始からモハメッディを圧倒するコバレフ。完全に呑まれているモハメッディを仕留められるか

1R。
リング中央で対峙する両者。
顔の前に両手を掲げた構えのモハメッディ。ガードポジションへの強い意識が感じられる。
しかしその意識が強すぎるせいか、ややパンチにスムーズさが足りない。コバレフのリーチの長さを感じているのだろう。重心を後ろ足に残したまま出すパンチには威力がない。

対するコバレフ。
いつも通りの構えからスムーズな左を出す。
この左が長い。重心を後ろ足に残して防御に傾向した構えのモハメッディにも楽々届く。

「アンドレ・ウォード降臨!! セルゲイ・コバレフ戦が楽しみ過ぎて血管がちぎれそうなんだがww」

手が出ないモハメッディ。
コバレフはモハメッディのボディに長い右、左を的確に当てていく。
身体を丸めて後退するモハメッディ。明らかに嫌がっている。
顔は打たれたくないが、ボディも嫌がる。モハメッディ、試合開始早々ちょっと手の打ちようがない。

「デビッド・レミューvsハッサン・ヌダム・ヌジカムは今年のベストマッチに認定ってことで異論はないよな?」

2R。
このままではじり貧になると踏んだか、序盤から前に出るモハメッディ。だが、防御に傾向したメンタルのままの前進なので明らかに迫力が足りない。頭を下げたフォームで左を出すのだが、その頭がちょうどコバレフの打ち下ろしの右の位置ある。これは危険だ。

左を出しながら前進するモハメッディだが、コバレフがスウェーで軽くかわしながら左を返す。これをモハメッディが被弾。相変わらず的確で強烈だ。

「コバレフ圧勝!! 試合後にチキンソン呼ばわりでなぜかWBC王者を挑発ww」

リング中央で再び対峙する両者。
先に仕掛けたのはモハメッディ。
シャープな左がコバレフの顔面を捉える。お、今のはいいパンチだ。
すぐにコバレフが右を返す。これがモハメッディの頬を捉える!!
モハメッディの腰がわずかに落ちる!! 効いた!!
それを見たコバレフ。大きく踏み込んでの左!!
モハメッディ被弾!! のけぞるように後退。
大きなストライドで追いかけるコバレフ。右、左を立て続けにモハメッディの顔面に叩き込む。身体を丸めて吹き飛ばされるようにロープにもたれるモハメッディ。反動で戻ってきたところにコバレフが畳み掛けるような左右フック!! ショートの右フックが打ち下ろしの形でモハメッディの側頭部を捉える。崩れ落ちるようにダウンするモハメッディ!! すごい攻撃だ。

「ブラッドリーvsリオス予想!! 危険なインファイターを迎え撃つブラッドリー」

カウント8。モハメッディが何とか立ち上がる。
試合再開。
残り1分20秒。持ち堪えられるか。コバレフがこのまま決めるか。

身体を近づけて腕を巻き付けるモハメッディ。
振り払うコバレフ。もみ合う両者。崩れ落ちるように倒れるモハメッディ。足に力が入らない。残り30秒。厳しい。耐えられるか。

モハメッディが頭を下げながら左を出す。
コバレフが右を合わせる!!
このパンチが打ち下ろしのような角度でモハメッディの側頭部をかすめる。
グラグラとよろけるモハメッディ。かすっただけでこの効果。やはり先ほどのダメージは深い。
手を出しながら何とか近づいて身体を密着させようとするモハメッディ。振りほどくように長い腕を振り回すコバレフ。苦しい。モハメッディ本当に苦しい。

アッパー気味の左がモハメッディの顔面を捉えたところでゴング。
2R終了。
コバレフ強い!!

「え、コイツと? アンドレ・ウォードがアレクサンデル・ブランドと激突」

破壊的な強さでKO勝ち。見せ場なく負けたモハメッディ。力の差があり過ぎた……

3R。
腕を顔の前の高い位置で掲げるモハメッディ。1Rから変わらぬ防御重視の構え。
軽くジャブをつきながら左回りに回る。足取りが幾分しっかりしてきている。このインターバルで多少は回復したのか。

コバレフのワンツー。
左の後の右がモハメッディの顔面を捉える!! 長い。この右が本当によく伸びる。
軽くフェイントを入れて、さらに左から右のクロス!!
このパンチがモハメッディの顔面を軽く捉え、右のクロスがまたしても側頭部にめりこむ。左右ともに強い。
吹っ飛ぶように後退するモハメッディ。ロープの反動を利用して再び身体を密着させようと前に出る。しかし、コバレフに振り切られる。すぐに表面化するダメージ。息も絶え絶えである。

意を決したように前に出るモハメッディ。左を出しながら果敢に前進する。そのうちの一発がコバレフの顔面を捉える!! だが、コバレフはまったく意に返さない。
自分の攻撃は通用せず、相手の攻撃には耐えるのがやっと。モハメッディ、絶望的な状況だ。

ガードを下げて楽に構えるコバレフ。すでに余裕の試合運びか。
モハメッディの左に右を合わせる。しかしこれは当たらず、逆にモハメッディの左が鼻先をかすめる。危険な角度。おいおい、余裕を見せ過ぎだ。今のタイミングは危ないぞ。

すぐに危険を察知したか、ガードを上げて左を丁寧に突くコバレフ。
あ〜、キツい。
基本に立ち返られるとモハメッディはキツい。
射程距離が違い過ぎるし、飛び込んでも馬力とフットワークでいなされる。ガードを下げて余裕を見せた数秒間。あれが唯一のチャンスだったか。

右、左。
左、右。
左右どちらかから始まるコンビネーション。そして、どちらも強烈で正確、なおかつ距離の長いパンチ。
コバレフのコンビネーションがモハメッディの顔面を立て続けに捉える。
下がるモハメッディ。悠然と追いかけるコバレフ。一歩一歩の歩幅が大きい。

ガードを上げてコバレフににじり寄るモハメッディ。確かにモハメッディには攻める以外に方法が残されていない。
そこにコバレフ、ノーモーションでいきなりの右!! さらに返しの左!!
モハメッディ、ふいをつかれての被弾!!
何が起きたのかが理解できないうちに吹き飛ぶ!! ダウン!!
これは壮絶だ。立てるかモハメッディ。ここで終わるか?

顔を押さえて立ち上がろうとするモハメッディ。
カウントが進む。
虚ろな目。明らかなダメージ。
戦意を失いかけた表情。
どうだ? 厳しいか?

カウントを9まで数えたところでレフェリーが腕を交差する。
カウントアウト!!
試合終了!!
コバレフ勝利!!
3回2分38秒でコバレフのKO勝ち!!

コバレフは現時点でPFP最強。メイウェザーよりも上なのではないか?

コバレフの圧勝だった。
恐らくコバレフの一方的な試合になるとは思っていたが、それよりもさらに一方的だった。
コバレフは強い。本当に強い。現時点でこの男に誰が勝てるのだろうか。いずれ、この階級でやることがなくなってしまうのではないか。

個人的に現時点でのPFP最強はコバレフだと思っている。全階級が同じ体重だと仮定した場合、コバレフならメイウェザーにも勝てるのではないか。それくらい僕はコバレフというボクサーを評価している。

「メイウェザーvsパッキャオ世紀の一戦終了。祭りのあと」

風貌があまりに違うのでアレなのだが、コバレフはフェリックス・トリニダードの上位互換といってもいいのではないかと思う。
左右どちらのパンチもスムーズで力強く、射程距離が長い。遠くの目標物を的確に打ち抜くストレート。長身から打ち下ろす右には絶望感すら漂うほどの破壊力が秘められている。そして、トリニダードにはないフットワーク。身体全体の馬力。

とにかく身体のバランスが抜群にいいのだ。体幹が強く、どんな体勢からでも強烈なパンチが打てるバランスを持っているのだ。下がりながらでも強烈なパンチがくるので、相手は思い切って前に出られなくなるのである。この辺りはテレンス・クロフォードにも通じるものがあるのではないか。長いリーチ、抜群のバランス。どんな体勢からでも打てる強いパンチ。さらに左右どちらからでもコンビネーションを打てる器用さ。いわばトリニダードとテレンス・クロフォードのハイブリッド。これだけの選手に勝てるボクサーなどそうはいない。コバレフならば、もしかしたらメイウェザーのタッチボクシングを突き破ることができるのではないか。そんな期待を抱かせてくれるボクサーなのだ。

コバレフに勝つ条件を満たしているボクサーは誰だ?

コバレフに勝てるボクサーの条件とは?

パンチの強さ、リーチ、馬力、フットワーク。非常に単純なのだが純粋な戦闘力数値がコバレフより高いこと。すべてにおいてコバレフを上回るスペックを持ち合わせていることだろうか。
ただ、これは相当難しい条件ではないかと思う。恐らくコバレフはこの階級で考え得る最上級のスペックを兼ね備えたボクサーである。それを上回るのは、ライトヘビーの体重の中で実現するのはほぼ不可能だろう。候補とすれば、目下のところライバルと目されるアドニス・スティーブンソンだが、打倒コバレフのインパクトとしてはちょっと弱い。

「アブラハム、マーティン・マレーに判定勝利で防衛成功!! 攻防分離型のカウンターパンチャーは今日も健在だったぞ」

例えばスピードと身体能力で相手を圧倒するタイプはどうだろうか。
反射神経と激しい出入り、豊富な運動量を活かしたボクサーファイターがスピードと当て勘でコバレフをかく乱してカウンターを当てる。これはかなり有効ではないだろうか。
だが、これもやはり相当にハイレベルな身体能力が要求されることは間違いない。2015年3月に激突したジャン・パスカルがまさにそのタイプだったのだが、コバレフのプレッシャーにあえなく撃沈した。やはりコバレフを相手にするには、全盛期のロイ・ジョーンズ並の身体能力が必要になるだろう。
その他にはアンドレ・ウォードあたりだろうか。ただウォードに関しては体格的な優位性がなくなることを鑑みるに、実現の可能性自体が低そうである。

「ケル・ブルックはウェルター級で最強に最も近いボクサー」

もしくは、とことんまで相手のよさを消すタイプ。そして、飛び込み際にコバレフの顔面を捉えるくらいのスピードがあるボクサー。例えば全盛期のバーナード・ホプキンスであれば、コバレフといい勝負ができるのではないだろうか。

ロイ・ジョーンズとバーナード・ホプキンス。2人とも文句なしの歴戦の強者である。その2人の全盛期くらいしか勝てる見込みのあるボクサーが見当たらない。それほどセルゲイ・コバレフという選手の強さは際立っているのだ。

あえて現役選手から選ぶとすれば、やはりホプキンスだろうか。
前回のホプキンスvsコバレフの統一戦。内容は一方的なコバレフ勝利ではあったが、実は11、12Rのホプキンスはコバレフを攻略しつつあった。いきなりの右で顔面を捉えたり、コバレフの猛攻をロープも利用しながらうまくさばいたりと、それなりに流れを変える動きを見せていたのである。
あれを試合開始から実行できれば、もしかしたらポイントでいい勝負ができるのではないだろうか。そういう期待を抱かせる2ラウンドだったのである。

正直、勝つのは難しい。だが奇跡を起こせるとしたら、やはりホプキンスをおいて他にはいないのではないかと思う。
ただ、あれだけ完敗したホプキンスがコバレフとの再戦を望むかと聞かれれば、その実現性は極めて低いと言わざるを得ない。やはりコバレフ一強時代はしばらく続くと考えて間違いなさそうである。

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る

【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!