木村翔アカンか…。カニサレスの連打をもらいまくって失速。余裕の減量が逆に仇になったか? 村田vsブラントっぽかった【結果・感想】

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中国上海イメージ
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2019年5月26日、中国・江西省撫州市で行われたWBA世界L・フライ級タイトルマッチ。同級正規王者カルロス・カニサレスに元WBC世界フライ級王者木村翔が挑んだ一戦は、3-0(119-109、119-109、118-110)の判定でカニサレスの勝利。見事2度目の防衛に成功した一戦である。
 
 
本来のフライ級から1階級下げて臨んだ木村翔のタイトルマッチ。
いつも通り序盤からガードを上げてぐいぐい距離を詰めるが、鋭いジャブの連打とフットワークを駆使するカニサレスについていけない。たびたび自分の距離まで近づくものの、何度も顔を跳ね上げられる苦しい展開が続く。
 
王者カニサレスは中盤以降も動きが落ちず、再三にわたる木村の突進を左右への動きで回避。常に先手をとる積極性を見せ、12Rを乗り切る。
 
最終ラウンドはお互い足を踏ん張っての打ち合いとなったが、疲労の色が濃い木村はカニサレスに明確なダメージを与えることができず。大差の判定により、残念ながらキャリア3敗目を喫してしまった。
 
「木村翔がサビーリョに2RKO勝利で再起に成功。左構えのアウトボクサーが得意な木村はvs中谷潤人がいいんじゃないか?」
 

木村翔負けた…。村田諒太vsロブ・ブラントっぽかったな。カニサレスの連打に対応できず

階級を下げて挑んだタイトルマッチで木村翔が負けた。
 
相手のカルロス・カニサレスは2016年大みそかに当時WBA王者だった田口良一と引き分け、2018年3月には小西伶弥との王座決定戦を制して戴冠を果たした強豪。
 
パワフルな木村の突進とカニサレスのフットワークの勝負になるのでは? と言われた今回、結果はカニサレスのフットワークが木村のパワーを上回って勝利を挙げた。
 
 
僕個人の感想としては、村田諒太vsロブ・ブラント戦っぽかったなぁと。
2018年11月に米・ネバダ州で行われ、3-0の判定で村田諒太が王座から陥落した一戦だが、流れとしてはあの試合に近かった気がする。
 
「村田はブラントに勝負師として負けてる。準備、経験、覚悟。すべての面でブラントが上回り完勝。文句なしの感動的な試合」
 
そして、思った以上にカニサレスが動きながら連打を打てる選手だということがわかった試合でもあった。
 

左の連打と左右への動き。ジャブが少なく被弾前提の木村翔の突進を手数で相殺する

今回の試合、カニサレスの作戦はめちゃくちゃ明確だったと思う。
 
極力木村と正対せず、常に自分から手を出して攻撃のターンを与えない。
左右に動きながら強めの左を連打し続け、打ち終わりには必ず動いて一か所にとどまらない。
 
・左の連打
・左右への動き
・打ったあとはすぐに動く。
この3つをひたすら徹底していた。
 
 
パワフルで躊躇のないフルスイングが持ち味の木村翔だが、その反面ジャブは少なくスピードがある方でもない。自分の得意な距離に到達するまではガードの上を叩かせて耐えるスタイルなので、どうしても被弾は多くなる。
 
それを見越した上で、カニサレスは木村のパワーを手数で相殺してみせた。
木村が手を出してこない位置で左を連打して動きを止め、サイドに動きながらガードの外側から右をねじ込む。
 
まさにロブ・ブラントが村田諒太のフィジカルを抑え込んだ作戦そのまんま。
 
正直、僕はカニサレスがここまで手数とフットワークを両立できる選手だとは思わず、その点についてはかなり意外だった。
田口戦や小西戦を観る限り、足はよく動くが攻撃パターンはカウンターが中心。手数というより見切りで勝負する印象が強かったのだが。
 
「田中恒成にデラホーヤ、パッキャオを感じた日。田口良一を大差判定で粉砕。僕がボクシングをテレビで観る理由」
 

カニサレスお前、こんなにスタミナのあるヤツだったんかいww いつもは5Rでへばってたのに

また、カニサレスがスタミナ切れを起こさず予想以上に長いラウンドを持ちこたえたのにも驚いてしまった。
 
過去の試合を振り返ると、この選手は間違いなく前半型。
 
序盤から腰の入ったパンチとよく動く足で相手を圧倒し、5Rまでにある程度のリードを奪う。
ところが中盤以降は一気に失速。
ただ、ボディを効かされてフラフラになりながらもごまかし続け、明確にはペースを渡さない。一進一退の攻防の末、前半のリードを守りきって勝利する。
 
どの試合もだいたい似たような流れだったと記憶しているのだが……。
 
なぜか今回に限り、7Rまで持ちこたえるという。
 
いや~、持ちこたえたね~。
持ちこたえましたね~。
 
「久保隼が徐燦(シュ・チャン)にKO負け。敵地で散り、2階級制覇ならず。久保隼への罵詈雑言が井岡vsノクノイ戦並みに酷過ぎる」
 
繰り返しになるが、この選手がMAXパワーで動き回れるのは5Rまで。それ以降は腰の入ったパンチを打てず、苦しそうな表情を隠そうともしない。そんな状態でも足を使いながら要所でカウンターを当て、何とかラウンドを稼ぐスタイル。
 
それがまさか。
7Rに入ってもしっかりと威力のあるパンチが飛んでくるとは。
 
6Rの終了間際などは、むしろ正面からのど突き合いで木村に打ち勝っていたくらい。リズムがよかったせいもあるのかもしれないが、これに関してもめちゃくちゃ意外だった。
 
おい、何で失速しねえんだよカニサレス!!
約束が違えぞ!!
みたいな。
 
動きながら強めに腕を振るって、相当疲れると思うんですけどね。
 

木村翔が本調子でなかったというより、カニサレスの頑張りが目立った試合。でも、木村の試合前のコメントはちょっと不安にさせたかな


なお、今回は階級を下げた木村翔の動きが本来のものではなかったことが敗因と言われているようだが、そうか?
どちらかと言えば、僕にはカニサレスの頑張りの方が目立った気がするのだが。
 
上述の村田諒太vsロブ・ブラント戦もそうだが、あのしんどい作戦を12Rやりきったのは素直にすごいと思う。特にカニサレスは後半のグダグダを含めての選手という印象が強かったので、そこを覆してみせたのは文句なしにすばらしい。
 
もちろん木村翔の調子が悪かったのもあるかもしれないが、そもそも前半からあれだけ被弾すれば中盤以降に落ちるのは仕方ない。そういう意味でも、今回はカニサレスの出来がよかったと言うのが正解ではないか。
 
 
ちなみにだが、現WBOフライ級王者田中恒成は「相手の土俵に乗って勝つことがポリシー」のような選手で、その分木村翔とのタイトルマッチも好試合になった。
 
だが、必ずしもそれが正解なわけではない。
勝負事は結局「相手の力を出させず自分の力を出す」ことが鉄則なので、いかに相手の苦手分野で勝負するかが重要だよねという話。
 
「そして伝説()へ…。 田中恒成が木村翔に判定勝利で最速3階級制覇。至近距離での打撃戦と駆け引きがすごかった」
 
まあでも、今回はちょっと怪しい感じはしてたかな。
 
「減量は全然問題ない」
「ミニマム級まで下げて逆3階級狙っちゃおうかな」
試合前の木村翔からはやたらと余裕のあるコメントが聞こえてきたが、それがかえって不安にさせたというか。
 
妙に余裕あるけど、それってどうなの?
階級差を甘く見過ぎなんじゃないの?
 
L・フライ級でのテストマッチもなく、ぶっつけ本番でいきなり無敗の王者に挑む。
これは勇敢なの?
それとも無謀なの?
 
完全に後出しじゃんけんなのだが、実際この結末はあるかも? とは思っていた。何の準備もなしに2階級も上げた結果、その後のキャリアの歯車が狂った長谷川穂積を思い出したというか。
 
 
ただ、それを踏まえた上でカニサレスの頑張りには驚いたけどね。
 
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