カーン仰向けにバッタリ。“カネロ”・アルバレスが壮絶カウンター一発でカーンを失神KO!! ついにゴロフキン戦との最強対決実現か?

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T-モバイルイメージ
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2016年5月7日(日本時間8日)、米・ラスベガスのT-モバイルアリーナでWBC世界ミドル級タイトルマッチが開催された。

王者サウル・“カネロ”・アルバレスがアミール・カーンの挑戦を受け、6Rに右オーバーハンドのカウンターで戦慄のKO勝ちを収めた。
パンチを受けたアミール・カーンは仰向けに倒れたまましばらく動けず。思わずアルバレスが歩み寄って確認するほどの戦慄KO劇だった。

防衛に成功した王者アルバレスは試合後、リングサイドで観戦していたゴロフキンとの対戦について聞かれると「いつでも戦う」とのコメント。会場は大きな盛り上がりを見せた。

「カネロ・アルバレスとカーンがまさかのミドル級タイトルマッチ!? 斜め上のマッチメークに業界騒然!!」

期待されるミドル級の両雄の激突はいつになるのか。2016年内に実現されるのか。今後の動向に注目である。
 
「過去最強カネロがヘロヘロチャベスを寄せつけず。体重差マッチを圧勝でクリア。ってか、この試合はアカン」
 

予想以上によかったカーン。タッチボクシングでペースを掌握

まずこの試合、カーンはめちゃくちゃがんばったと思う。
あのカネロを相手に4Rまではハンドスピードと左右へのフットワークで、間違いなくペースを掌握していた。
どちらがポイントを取ったかは何とも言えないところだが、追い足のなさに弱点のあるカネロに対してカーンの作戦は見事に成功していた。

「クロフォードがポストルに大差判定勝利!! ん? クロフォード圧勝? むしろポストル勝てたんじゃないのか?」

ただ、5Rに入ってカネロが踏み込みを強めたのと、カーンの動きがやや直線的になったことが痛かった。
序盤からフックを意識させてボディ、ボディを意識させてフックというフェイントを要所でヒットさせていたカネロもうまかったと思う。そのボディが徐々に効いていたのかはわからないが、カーンに左右の動きが少なくなってきたところでの壮絶KO劇だった。
まあ、基本的にカーンは試合中盤に緩むことが多い選手なので、タイミング的にその時間帯だっただけなのかもしれないが。

序盤のカーンを見て「お、これは!!」と思ったものの、この動きが12R続くと考えた方は少ないのではないだろうか。

「恐れ入りましたカネロ。リアム・スミスにあんな勝ち方するか」

僕も序盤のカーンは相当いいと思った。だが、カネロのプレッシャ―を受けながらフルラウンドにわたってタッチボクシングを展開できるとはとても思えなかったことも確かである。この流れは長くは続かない。すぐにカネロがペースを奪い返すだろうと思って見ていた。

だが、それでも6Rまで動き続けたカーンは普通にすごかったと思う。3、4Rくらいにカネロが捕まえるのではないかと思っていたが、カーンはその予想を上回る善戦を見せてくれた。

「クロフォードキター!! 無敗統一王者がジョン・モリナと対戦。キレッキレのスピードスターがビッグマッチに向けて再始動」

要するに、踏み込みとバックステップにレンジのある選手をカネロは苦手としているということなのだろう。
出入りの激しいハンドスピードタイプであるモズリーをまったく問題にしなかったカネロだが、カーンはまさに今が全盛期である。ウェイトも違うし、さすがにあのモズリー戦と同じような結果になると考えるのはちょっと早計だっただろうか。

「チャーロ兄ジャーマルがトラウトを撃破!! フィジカルモンスターがテクニシャンをねじ伏せる」

カーンの距離に対応したカネロが一発で試合を決める!! 年間最高KOの1つじゃないか?

序盤はやや劣勢だったとはいえ、5Rからのカネロはやはりさすがのひと言だった。
カーンの動きがやや落ちたのもあるが、あれだけのスピードに中盤で対応してみせたのはやはりカネロ恐るべしとしか言いようがない。

恐らくカネロはあのラウンドでカーンとの距離感を完全に掴んだのだと思う。
カーンの連打をバックステップでうまく避けていたし、打ち終わりを狙うタイミングを測っているのが見てとれた。
狙われていることに気づいたカーンの手数が減り、コーナーに追い込まれるシーンが増えたのもこのラウンドだったと思う。

「“カネロ”アルバレスがリアム・スミス挑戦にファン失望?」

そしてフィニッシュの6Rである。

距離を詰め、カーンをコーナーに追い込むカネロ。
足を使って左回りに回るカーンだが、カネロのボディからの左フックで動きを止められる。

鋭い踏み込みからスピーディな連打で反撃するカーン。
だが、カネロはすべてのパンチを防ぎきる。

そして残り32秒。
カーンがモーションに入った瞬間、カネロが右フックを合わせる。

ドシュッ!!

凄まじい破裂音とともにカーンの左腕がカネロの目の前をゆっくりと通過する。
空中で意識を失ったカーンがバッタリと仰向けに倒れる。
まるで2012年のダニー・ガルシア戦のフラッシュバック。

カーンの顔を覗き込んだレフェリーが両手を交差して試合終了を告げる。
6R2分37秒TKOでカネロ勝利!!
いっさいカウントのいらない衝撃的フィニッシュである。

いや、すごいパンチだった。
会場の盛り上がりもすごかったが、僕も画面の前で目をひんむいてしまったww
これは間違いなく2016年のベストKOの1つになるのではないだろうか。それくらいすごい結末だった。

負けはしたものの、今回のカーンは本当にいい動きをしていたと思う。
繰り返しになるが、僕はカネロがもっと早い段階で距離を詰めることができると思っていた。
追い足のないカネロに対し、カーンはリーチ差を活かしたハンドスピードと出入りの激しさでペースを握っていたのである。試合序盤は満点に近いボクシングを展開していたと言っていいのではないだろうか。

「クロフォードvsポストル予想!! 虚弱クリチコ・ポストルがソリッドスター・クロフォードに挑む!!」

調子自体もかなりよかったはずである。結末だけ見れば順当ではあるが、あのフットワークをフルラウンド出せれば今後は相当活躍できるのではないだろうか。
まあ、それができないせいでいまいち突き抜けられないとも言えるのだが。

さらに、それまでのラウンドでカネロはカーンの左に何度も右を合わせてきていた。ちょうどタイミングを掴んだのがこのラウンドだったというのもあると思う。一発で局面がひっくり返ってしまうあたり、これが階級の差といえばその通りなのだろう。

「今さらメイウェザーとパッキャオを語る。アルバレスvsカーン戦を観て」

ビルドアップしたカーンに対する僕の期待感は尋常じゃなかった

この試合を迎えるにあたって会見の映像をいくつか見たのだが、そこにはこれまでよりもかなり増量したカーンの姿があった。スーツの上からもわかるほど胸が盛り上がり、ミドル級参戦に向けて相当ビルドアップしていることがうかがえた。

以前の記事でも申し上げたように、カーンはスピードと出入りの激しさを活かしたタッチボクシングで判定勝ちを狙ってくると考えていた。
だが上半身をビルドアップさせたカーンの姿を見て、もしかしたらパワーで対抗しようと考えているのかもしれないと思い始めていたのである。

「無謀にもほどがあるケル・ブルックがゴロフキンに5RTKO負け!! セコンドのナイス判断」

当たり前の話だが、戦力が劣る側が何も策を講じずに真正面からぶつかっていたのでは戦力通りの結果しか出ない。
アンダードッグがサプライズを起こそうと思ったら、必ず何かを仕掛ける必要があるのは明白である。
 
「“スウィフト”ガルシアvs“ワンタイム”サーマン予想!! 興味ないけど展望を。ガルシアの鬼フックとサーマンの高速コンビネーション」
 
そう思っていた矢先に見たのが異様に増量したカーンの姿である。
これはもしかしたらパワー勝負を仕掛けるつもりなのか? カネロ相手に真正面から打ち合って力でねじ伏せる気なのか?
そんなサプライズが待っているのではと感じてワクワクしていたのだ。

結局カーンの選択した作戦は足を使ったタッチボクシング。当初の予想通りだったわけだが、何かを起こそうとする意思だけはひしひしと感じることができた次第である。

「正気か? ケル・ブルックがゴロフキンに挑戦? しかもミドル級正規のウェイトで?」

増量によって多少スピードは落ちていたものの、リーチの差とハンドスピードを活かしたタッチボクシングは完璧に近い形で機能していた。
最低限のスピードをキープしながらカネロのプレッシャ―に負けないパワーを兼ね備える。カーンは勝つためにできるかぎりのことをしてリングに上がったのだ。

どうしても両者の体格が同じであればと思ってしまうのだが、もしカーンの身体が今以上に大きかった場合にあのスピードを維持できているかは甚だ疑問である。それが階級制スポーツの難しいところなのだが。

ただ、この試合に関してはカーンの健闘に拍手を贈りたいと思う。ここまで何かが起こるのではないかと期待させてくれたのはいい意味で予想外だった。

以前にも申し上げたように、フィジカル差のある相手をテクニックで打ち負かすには相当の差がなければ難しい。逆にある程度の技術の差であれば体力で押し切ることは十分に可能だ。
つまり、今回の試合はカーンにとってそれほど危険な試合だったのである。
あのカネロに対して、4Rまで有利に試合を進めただけでも階級差を超えての大健闘と言って差し支えないのではないだろうか。

「アンドレ・ウォード降臨!! サリバン・バレラを大差判定で下してL・ヘビー級のテストマッチを楽々クリア」

ゴロフキン戦実現なるか? ってか、この試合は意外と予行演習になったんじゃないのか?

カネロの今後といえば、もちろんゴロフキンとの激突。これしかない。
ウェイト問題を含めた条件面、そして報酬面でも障害は多いと思うが、これは何としても実現しなくてはならないカードだ。

「ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ」

ただ今回の試合を観て改めて思ったが、カネロがゴロフキンに勝つのは相当難しい。
体格差もあるだろうし、あのゴロフキンのプレッシャ―を受けながらコンビネーションで対抗するのはいかにカネロでも厳しいだろう。

「“カネロ”・アルバレス、コットに大差判定勝ち!! 最高峰の技術戦に完勝」

仮にカネロがゴロフキンに勝つとしたら自分がプレッシャ―をかける側に回ることではないかと思う。前に出て距離を詰めながら自分に有利な態勢でコンビネーションを打つ。ゴロフキンを下がらせることさえできれば、カネロにも少しは勝機が生まれると思うのだ。

そして、今回の試合でスピードのあるカーンを仕留められたことは大きい。茶番と揶揄された試合ではあったが、対ゴロフキン戦のシュミレーションができたという意味ではよかったのではないだろうか。
我ながらものすごく前向きな思考をしているが。
 
「ポーターvsベルト感想。体力腕力万歳ポーターがベルトを突進力と腕ぶん回しでKOする」
 
カーンにとっても念願のビッグマッチとなったわけだし、結果的には両者に大きなメリットがあった試合だったと思う。

とりあえず、本当にいい試合だった。
カーンはお疲れさまである。

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