コットvs亀海感想。あ~、亀海これでいっちゃったか。もう少しやりようがあったような気が…。頂上は高かった。コットに完敗【結果・感想】

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頂上登山イメージ
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2017年8月26日(日本時間27日)、米・カリフォルニア州にあるスタブハブ・センターで行われたWBO世界S・ウェルター級王座決定戦。元4階級制覇王者で同級1位のミゲール・コットと同級6位の亀海喜寛の試合が行われ、ミゲール・コットが3-0(120-108、118-110、119-109)の判定で勝利を飾った。
 
 
開始ゴングとともに鋭いプレッシャーでコットにロープを背負わせる亀海。
だが、コットは左右へのステップと打ち終わりのカウンターで亀海を翻弄。1年9か月のブランクを感じさせない動きを見せる。
 
劣勢にも諦めない亀海は前進を止めず、再三コットをコーナーに追い詰める。だが、そのたびにコットのコンビネーションを浴び、クリンチとボディワークで脱出を許してしまう。
 
そして中盤以降、やや手数が減った亀海に対し、コットはサイドステップと冴えわたるコンビネーションで侵入を許さない。
 
結局そのまま亀海は流れを変えることができず、ジャッジ1人がフルマークをつける3-0の完敗。日本ボクシング史上最大の挑戦と言われた試合で勝利を飾ることはできなかった。
 
なお勝利したコットは試合後、次の試合で引退することを改めて公言している。
 
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亀海敗北。日本ボクシング史上最大のビッグマッチを勝利で飾れず。でも評価が下がるような試合ではなかった

亀海喜寛届かず!!
コットの老獪さに翻弄され、反撃の糸口を見つけられず。
 
亀海喜寛が敗れた。
日本ボクシング史上最大と言われる大一番で、元4階級制覇のスーパースター、ミゲール・コットへのジャイアント・キリングが期待された亀海。
 
だが、結果は試合巧者のコットのテクニックに及ばずの完敗である。
 
それでも諦めずに前に出続けるスタイルは観客の共感を呼び、試合後には両者をたたえる拍手が鳴り響いた。
当の亀海も「必ず戻ってくる」と宣言。早くも次戦のオファーがあったとのことで、負けたとはいえ、決して評価が落ちる試合ではなかった。プロモーターの心をさらに掴むことに成功したと言えるのではないだろうか。
 

内容的にはぐうの音も出ないほどの完敗。あのインファイトで亀海が勝てる可能性はほとんどないと思っていた

ただ、多くの方がおっしゃるように、内容的には完敗。
正直、このままだと何度やってもコットには勝てないんじゃないの? というほど、両者には差があったと思う。
 
 
とりあえず試合を通して思ったのが、
「あ~、この作戦でいっちゃったか亀海」
 
観ての通り、亀海の作戦はこれまでの試合とほぼ同じ。
 
自分から前に出て間合いを詰めての打ち合い。
肩で攻撃をブロックしつつ、その反動で両フックを返す。
顔面へのカウンターは首をひねってダメージを逸らし、すぐさまガードを上げて前に出る。
 
この選手がアメリカのリングで身につけたパワー勝負と、かつて得意としていた防御を融合させた攻防兼備のスタイル。前進しながら左右のカウンターを打ち込む「亀海の完成版」とでも言えばいいか。
 
だが、このスタイルがコットに通用するかと言ったら、正直ちょっと難しいと思っていた。
以前の記事で「亀海がコットをKOする未来が見えた」「やらなくても亀海が勝つことはわかっている」などとぶち上げたが、当たり前だがこれはお祭りを盛り上げるためのネタである。
 
実際には亀海がコットに勝てる要素は極めて少なく、特に亀海が前に出ての接近戦で勝機を見出すのは難しいと感じていた。
 
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ちょっと2008年のミゲール・コットvsアントニオ・マルガリートVol.1と被ったかな。コットはあの頃から大幅にレベルアップしてるしね

そして、今回の試合を観て思い出したのが、2008年のミゲール・コットvsアントニオ・マルガリートVol.1。マルガリートの圧力に押されたコットが、キャリア初のTKO負けを喫した試合である。
 
あの試合のコットが実践したのは、今回と同様打ち終わりを狙って連打を返すスタイル。
マルガリートの連打をガードし、コンビネーションを返してスペースを確保し、サイドに回って距離をとる。高いガードとスムーズなコンビネーションを得意とする、コットの基本的な動きである。
 
ただ、この試合ではマルガリートの圧力が想定を超えており、コットは連打を防ぎきることができなかった。得意のコンビネーションでマルガリートの前進をストップできず、最後は連打に巻き込まれて押し潰されてしまった。
 
だが、そこはさすがのミゲール・コット。
2011年の再戦では、ロープ際のインファイトで大幅な改善を見せている。
マルガリートの打ち終わりにコンビネーションを返すスタイルは同じだが、それ以上に足を止めないことに重点を置いていた。
 
直線的に間合いを詰めるマルガリートに対し、常にサイドに動きながらパンチを返す。
ロープ際に詰められた際は無理に打ち合わずにクリンチで腕を抑える。そしてボディワークを駆使して身体を入れ替え、別アングルからカウンターを打ち込む。
ハンドスピードの優位性を活かして先に手を出し、あらかじめマルガリートの突進力を鈍らせることも忘れない。
 
2008年と比べて肩周りも大きくなっていたし、2つの試合を続けて観ると、コットがあの敗戦から一段レベルアップしていることがよくわかる。
 

亀海がマルガリートよりも劣っているとは思わない。でも、コットの経験値と老獪さで完全にやり込められた

この試合の亀海は、まず最初にダッシュでコットに近づき、そこからさらに距離を詰めることを徹底していた。
じっくり距離を詰めて反撃にあったマルガリートと違い、コットに手を出す暇を与えなかったのはよかったと思う。
 
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また、マルガリートよりも1歩近い位置で打ち合っていたし、自分の距離に持ち込むことには成功していた。コットが再三両腕で亀海を押し返したり、1発1発を強めに打っていたのを見ると、コット自身もあの間合いでの打ち合いを嫌がっていたのかもしれない。
 
だが、相手の腕を掴んで身体を入れ替えたり、狭いスペースでガードの間を通したり、インサイドの攻防では圧倒的にコットの方が上だった。
 
今の亀海と当時のマルガリートのどちらが上かはわからないが、膨大な経験値を持つコットの老獪さにうまくやり込められた感じである。
 

カウンター狙いの待ちのスタイルでいって欲しかった……。今までの自分を信じる姿勢も間違いじゃないと思うけど……。いや、悔しい

申し上げたように、僕は亀海がコットとインサイドで勝負しても勝てる見込みは少ないと思っていた。そして、残念ながらその通りの結果が出てしまった。
 
じゃあどうすればよかったの? という話なのだが、個人的にはカウンター狙いの待ちのスタイルでいってもらいたかった。
 
以前の予想記事内でこんなことを言っているのだが、勝てる可能性があるのでは? と思っていたのはまさしくコレ→
「亀海によるコットの倒し方その3:至近距離でのカウンター狙い」
 
リング中央に陣取り、コットに先に手を出させる。
得意のショルダーロールとスリッピングアウェイでダメージを回避し、反動をつけたカウンターで迎撃する。
参考になる選手が見つからないのだが、メイウェザーのクネクネディフェンスをリングの真ん中で実践するイメージとでも言えばいいか。
 
かつての亀海はメイウェザーもどきのようなスケールの小さなアウトボクサーだったわけだが、今はその頃とは別人に近い。
 
アメリカのリングでもインファイトできるほどのフィジカルを身につけた今の亀海であれば、コットを寄せつけずにカウンターを返せるかも? コットにリターンの脅威を植え付けて踏み込みを躊躇させ、そこから押し返せるかも? かろうじて分があるとすればそこじゃないの? などと考えていた次第である。
 
実際各ラウンドのラストや、10R中盤くらいでちょこちょこそういう動きを見せてたしね。
アレをもっと中心にやってもらいたかったなぁと。
 
とは言え、これまでの自分のスタイルを貫くメンタルというのもめちゃくちゃ理解できる。
思いきった作戦変更のワンチャンに賭けるのとどちらが正しいかは何とも言えないところで、この日の亀海を批判するつもりもない。
 
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でも、もう少しやりようがあったような、なかったような……。
 
いや~、厳しかったかな?
ホントに悔しいけど。
 
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