ジャレット・ハードの理不尽フィジカルがトラウトを粉砕する。ダメだトラウト…。パンチがまったく効かない地獄【結果・感想】

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2017年10月14(日本時間15日)、米・ニューヨークで行われたIBF世界S・ウェルター級タイトルマッチ。
同級王者ジャレット・ハードがランキング11位オースティン・トラウトの挑戦を受け、10R終了TKO勝利。初防衛に成功した試合である。
 
 
一回り大きな体格を活かして距離を詰めるハードに対し、トラウトは左右への軽快な動きとスピーディなジャブでヒットを重ねる。
 
「ジャーメル・チャーロがトラウトに完勝。野性味満載の1発狙いで2度のダウンを奪うも倒しきれず。ハード戦はよ」
 
序盤はトラウトのスピードに手を焼いたハード。
だが中盤以降、左右のストレートが当たり始め、徐々に試合の流れを掴む。
 
そして後半9、10R。
ダメージと疲労で完全にグロッキー状態のトラウト。逆に体力に余裕のあるハードはノーガードでプレッシャーをかけ、10R終盤にトラウトをストップ寸前まで追い詰める。
 
何とかこのラウンドをしのいだトラウトだが、11R開始に応じることができずに試合終了。
ジャレット・ハードがキャリア最大の試練と言われた一戦をクリアした。
 
「クローラvsバーンズ感想。もの足りない人同士の壮絶サバイバル。両者が足りない部分を攻め合う駆け引きがおもしろかったよ」
 
なお勝利したハードは、試合後の会見でさっそく他団体王者との統一戦を希望している。
 

おもしろい試合だった!! そして、フィジカル至上主義の残酷さを感じた試合でもあった

ハード勝利!!
ベテランの技巧派トラウトを10R終了ストップ!!

 
しかし、おもしろい試合だった。
大接戦になるのでは? と思っていたが、まさにその通り。
両者が力を出し切り、最後にハードが少しだけ上回った結果というか。
 
セミファイナルでチャーロがルビンをワンパンKOした試合も度肝を抜かれたが、個人的に一番楽しめたのはこの試合だった。
 
ん?
エリスランディ・ララ?
ああ、そんなヤツもいたっけかww
 
「この試合をわからないヤツはニワカだ!! エリスランディ・ララvsガウシャのハイレベルな駆け引きの末に生まれた芸術的ボクシング」
 
そして、何と言ってもジャレット・ハードの理不尽なまでのフィジカル
両者のあまりのパワー差に、トラウトがかわいそうになったくらい。別にファンでも何でもないけど。
 
「アンカハスvsコンランが楽しみ。こんなロックな兄貴を観たことがないww そして、有村藍里が好きな俺もロックだろ?」
 
いつも同じことを申し上げているのだが、やはりコンタクトスポーツにおいてのフィジカルは至上。スピード&パワーの大正義を残酷なまでに見せつけた試合だったと思う。
 
「ポール・バトラーがスチュアート・ホールを当て逃げで下す。そうそう、井上尚弥相手にこれをできるヤツを探してんのよ」
 

トラウトの調子はよかった。でも、いくら打ってもハードに効かない……

「あ、トラウト負ける……」
これが2R終了時点で僕が思った率直な感想である。
 
一応申し上げておくと、この日のトラウトは調子自体はよかった。
 
右の精度。
サイドへの動き。
抜群の見切り。
ハードの左に対するカウンターの左。
 
相変わらずのテクニシャンぶりというか、さすがは元王者という動きである。
 
「亀海再起のダクアン・アーネット。って、どうなる? コレ全然わからなくね? この両者の試合ってどんな結果になるんだろ」
 
ただ、効かない
トラウトがいくら打っても、ジャレット・ハードにまったく効かない。
 
「こんなん予想できるかww ジャーメル・チャーロが怪童ルビンをワンパンKO!! まさかの1R決着で注目の対決を制す」
 
左右フックをヒットしてハードのプレッシャーを止め、さっとサイドに回り込むトラウト。
だが、全身に力を入れてフルスイングするため、打ち終わりにわずかな間ができる。
 
ハードはその瞬間を狙って左右ストレートを打ち込み、たびたびトラウトの顔面を跳ね上げる。
被弾は多いが、まったく気にすることなくグイグイ距離を詰める。
 
「バルデス完勝!! セルバニアを寄せつけず。思ったよりいい選手バルデス。ダウンを奪われながらも攻撃の手を休めず打ち続ける」
 
バックステップのなさ。
リーチの違い。
そして絶対的なフィジカルの差。
 
「スペンスがピーターソンを圧倒してギブアップ防衛。ボコボコやねピーターソン。スペンスは階級アップした方がよくね?」
 
序盤からあんなフルスイングを繰り返していれば、終盤までもつわけがない。
だが、少しでも力を抜くと一気に持っていかれる。
土台、KOは無理。
 
序盤のポイントと引き換えに、トラウトは体力とフットワークをごっそり奪われてしまった。
 
「比嘉大吾vsトマ・マソン予想。トリプル世界戦の中で唯一楽しみな試合。余裕ぶっこいてると危ないんじゃないの?」
 
恐らくだが、選手としてのクオリティというか、テクニックの部分ではトラウトの方が上だったと思う。
だが、いかんせんフィジカルに差があり過ぎた。
 
同じ階級なのに、あそこまでパワーと体格差があってはどうしようもない。
マジな話、S・ウェルター級時代のジャーマル・チャーロよりも上じゃないか? というくらい。
 
「鉄拳爆発!! ジャーマル・チャーロがテクニシャンウィリアムスを豪腕で沈める!! 5RKOで2度目の防衛に成功」
 

全身全霊をかけてハードのプレッシャーを受け止めるトラウト。徐々に絶望感が漂う厳しい展開。まあ、あの棄権は仕方ないよね

予想記事でも申し上げたように、僕はこの試合、トラウトがスレスレで逃げ切ると思っていた。
 
「ジャレット・ハードvsトラウトが名試合の予感? 勝敗予想がクソ難しいタイトルマッチ。無敗の新鋭にベテランが挑む」
 
序盤はトラウトがリードし、中盤からハードが盛り返す。だが、完全にはペースを渡さなかったトラウトが僅差判定で勝利する。
 
「挑発大好きサンダース君がレミューをヒラヒラかわして大差判定勝利。さすがサンダースww 予想以上にいい選手」
 
ところが、結果はご覧の通り。
試合の流れはだいたい予想通りだったが、出た結果は真逆だった。
 
「エジディウス・カバロウスカスとかいうウェルター級の井上尚弥。リトアニアの井上キタコレww こんなに似てる選手は初めて」
 
中でも予想外だったのは、上述のように両者に圧倒的なフィジカルの違いがあったこと。
僕はトラウトが左右の動きと精度の高い右でハードの前進をさばき、左のカウンターにつなげると思っていたのだが、まったくそんなことはなく。
 
「尾川堅一がテビン・ファーマーに勝つには? どうすりゃいいのかサッパリわかりませんが」
 
序盤からトラウトが両腕をフルスイングして、全身全霊でハードのプレッシャーを受け止める展開。
ポイントはリードしても常に綱渡り状態。いつ均衡が崩れてもおかしくない状況が続いていた。
 
「おおお…ハードがララに勝ちやがった! いい試合だったな。両方がんばった。ちょっとロマvsリゴ戦ぽくもあったかな」
 
全弾フルスイングでパンチを振るうため、どうしても打ち終わりに一瞬の遅れが生じる。
上体を動かしたり、サイドに回るといった余裕はなく、リーチの長いハードのカウンターをさばききれない。
1発、2発目は何とかしのいでも、3発目を被弾して顔面を跳ね上げられてしまう。
 
「サダム・アリがコットに勝利!! よっしゃあぁぁボケェエ…! 終わる気満々のヤツに負けんなって思ったけど、ホントにヨカタw」
 
一度のミスが致命的になりかねない中、精神的にも肉体的にも削られていくトラウト。コツコツ積み重ねたものを一撃でチャラにされるたびに、全身に漂う絶望感が尋常じゃない。
 
セコンドが再三「頭を振れ、右を出せ」と指示を出していたが、いやそりゃ無理だ
右だけでハードは止まらないし、打ち終わりのカウンターをガードするのに精一杯で、頭を振る余裕などどこにもない。
 
「チャーロvsセンテノ予想。センテノに圧勝すればミドル級のチャーロ兄の疑いが晴れるかな? そしてゴロフキン戦の実現を…」
 
あの手詰まり状態であれば、棄権も致し方なし。
余計なダメージを負わないための賢明な判断だったと思う。
 
てか、流血しながらノーガードでゴンゴン近づくハード、かなり怖かったww
 
「セルゲイ・リピネッツvs近藤明広だってさ。よーわからんけど、どうやって勝てばいいんだろね。中谷正義なら勝てるんでね?」
 

荒削りで大ざっぱだが、一番覚醒しそうなジャレット・ハード。何かの要素が突き抜ければ、一気にモンスター化するんじゃないか?

そして、勝利したハードについてだが、この選手の印象は予想記事でも申し上げた通り「不器用なカネロ」
 
L字気味の構えと上体の柔軟性を活かしたクネクネディフェンス。
相手の打ち終わりを狙って打ち込むカウンター。
強靭なフィジカルを活かしてプレッシャーをかけ、ロープ際に追い込んで押し潰すスタイル。
 
「大竹秀典vs丸田陽七太感想。丸田はちょっと期待はずれだったなぁ。フィジカルに巻き込まれて完敗。てか、大竹vs臼井なんて試合があったんかい!」
 
ただ、上体の動きもカウンターの精度もスピードも、カネロには遠く及ばない。現状、足りない部分をすべて圧倒的なパワーで補っている感が強い。
 
「ゴロフキンvsカネロ・アルバレス感想。カネロは初めてゴロフキンの突進を真正面から受け止めて負けなかった選手。まあ再戦だね」
 
特に、相手のパンチを芯で食うシーンはかなり目立つ。
トラウトや前回のトニー・ネルソンのパンチであれば余裕で耐えられるが、たとえばジャーメル・チャーロの剛腕を受けても大丈夫なのか。
 
「ララvsハードが決定しただと……?! さすがS・ウェルター級だなオイ。こんなビッグマッチがサラッと決まっちゃう激戦階級」
 
また、あの追い足ではエリスランディ・ララの動きについていけるとは思えず、スルスルと逃げられてしまうのではないか。
 
この階級では間違いなくトップ中のトップであることを証明したが、それなりに課題も多いように思えた試合だった。
 
「ロマゴンの手詰まり感ぱねえっす…。シーサケットのカウンターで大の字KO負け。PFP No.1の伝説に終止符?」
 
だが、逆に言うとそれだけ伸び代が残っているとも考えられ、何かのきっかけで一気に覚醒する可能性もある(気がする)。
 
クネクネディフェンスの大幅な向上か、カウンターからのコンビネーションか。もしくは追い足か。あの強靭なフィジカルに何かが加われば、手が付けられない領域までいけるのではないか。
一つの要素が突き抜ければ、それこそカネロレベルに化けるポテンシャルを持った選手なのかも。
 
「ヤファイが無難に石田匠に勝利。うん、石田全然間違ってない。アレで正解だしアレしかない。やっぱりヤファイに勝てるのはアイツだろ」
 
そういう意味でも、この試合での経験値はかなりのものだったのではないだろうか。
 
パイナップルみたいな頭してるくせに。
 
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