ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ。ゴロフキンがミドル級では頭5つくらい抜けてる【結果・フィジカル至上主義者の語り】

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2016年4月23日(日本時間24日)に米カリフォルニア州で行われたIBF・WBA・IBO世界ミドル級タイトルマッチ。王者ゲンナディ・ゴロフキンが同級3位の挑戦者ドミニク・ウェイドを2R2分37秒でKOに下し、王座を防衛した。

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ゴロフキンの連続KO防衛記録はこれで16となり、元WBC世界S・バンタム級王者ウイルフレド・ゴメスの記録にあと1に迫った。

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ウェイドが圧倒的な力の差を見せつけられての敗北。大丈夫かコイツ? 引退しちゃうんじゃないの?

圧倒的だった。
ウェイドはゴロフキンの圧力にまったく対応することができず、なすすべなくキャリア初の敗北を喫した。
しかも、この上ないくらいの敗北、言い訳がいっさいきかないほどの力の差を見せつけられての敗北である。
試合後の虚ろな表情を見るに、この敗戦のショックは相当大きかったに違いない。負けたことがショックというより、力の差があり過ぎてどうしようもない無力感によるショックの方が大きいようにも見えた。もしかしたらこれで引退してしまうのではないかと思うほどの落ち込みようである。

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ウェイド自身、これまでコツコツとキャリアを積み上げてきてようやくつかんだチャンスだったはずである。その一世一代の勝負の場で、世界の頂の高さをまざまざと見せつけられたのだから心が折れても仕方ない。それくらい完膚なきまでに叩きのめされた試合だった。
 
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この試合の前にドミニク・ウェイドの過去の試合を観たのだが、一番気になったのがこの選手のフィジカルのなさである。
リーチも長いしスピードもある。左の使い方もうまく、相手によっては接近戦で打ち合うこともできる器用さも持っている。いい選手であることは間違いない。
だが、ゴロフキンと対峙するには絶対的に身体の強さが足りない。
技術やスピードや防御勘といったものより、ゴロフキンの圧力をしのぐには完全にフィジカル不足。根本的にパワー負けするのではないか。そう感じざるを得ないほど、身体全体の力感に物足りなさを感じたのである。

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そして、結果的にはそのとおりの結末が待っていたと言えるのではないだろうか。

恐らくウェイドの狙いはリーチの長さを活かしての打ち合い。
ゴロフキンのパンチが届かない位置で自分のパンチだけを当て、リーチ差でポイントアウトを狙う作戦だったのではないかと思う。
まあ、ウェイドが自分の意思でパンチを出している時間が短か過ぎたので何とも言えないのだが。

だが、その狙いも虚しくあっさりと懐に入られてしまう。そこからは見ての通り。一方的なコンビネーションの餌食である。
2Rのラストなどは、肩にパンチが当たっただけで吹き飛ぶという有様である。恐らくその前の左フックからの左アッパーがとどめになっていたのだと思うが。

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相手がいねえよミドル級。タレント不足が深刻だ

ゴロフキン強い!!
信じられない!!
誰が勝てるんだ!!

こんな驚きの声が飛び交ってはいたが、実際はゴロフキンと試合をするにはウェイドが力不足だったと言う方が正解ではないだろうか。

というより、ここ最近のミドル級のタレント不足はかなり深刻ではないかと思う。ゴロフキンだけが頭5つくらい抜けていて、その他の選手はドングリの背比べ状態である。
前回のデビッド・レミュー、そして今回のドミニク・ウェイド。他団体の王者やランキングトップの選手でもこの体たらくである。

「ゴロフキンが豪打のレミューに勝利!!」

たとえビリー・ジョー・サンダースとの統一戦が実現していても似たような結果が待っていただろうし、ピーター・クイリンやダニエル・ジェイコブスでも恐らく話にならない。

「ジェイコブス、クイリンを瞬殺!! 初回の壮絶ラッシュでTKO」

唯一ゴロフキン相手に健闘したといえるのがウィリー・モンロー・ジュニアだが、この選手はどういうわけだかあれ以来試合をしていない。
ミゲール・コットは間違いなくゴロフキンとやらなくて正解だったし、注目されるカネロ・アルバレスも契約体重に難癖をつけて先延ばしにしているのもよくわかる。

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エリスランディ・ララの体格がミドル級に耐えられるものだったら。
アンドレ・ウォードの体格があと一回り小さければ。
フロイド・メイウェザーがゴロフキンとの一騎打ちに色気を出せば。

ないものねだりをせざるを得ないくらい、この階級にはゴロフキンの相手がいない。

誰とでもやる。
どこでもやる。
すべてのベルトを守りたい。

常に笑顔を絶やさず謙虚な受け答え。
そして、いつ誰とでもどこででも試合を受けるという気概。
報酬よりも名誉や価値を大事にする姿勢。

絵に描いたようなヒーローの理想像を体現するゴロフキンだが、自身のハイレベルさと周りのレベル低下によって、なかなか臨むような試合が組めないのが現状である。

これはロマチェンコとも若干かぶるのだが、何とか本人とファンの臨むような相手に巡り会えることを祈るばかりだ。

「ロマチェンコにウォータースは勝てるか? 無理だろうなぁ。勝って欲しいけどなぁ」

やっぱりフィジカル不足のウェイド。負けるべくして負けました

26歳の無敗のホープに何もさせずに一蹴したゴロフキン。その勝因はいろいろあるだろうが、一番大きな要因はやはりフィジカルの差だろう。

「今さらメイウェザーとパッキャオを語る。アルバレスvsカーン戦を観て」

自分のリーチが活かせる距離で打ち合いたいウェイド。だが、ゴロフキンの圧力を受け止めるだけのフィジカルがないのであっさり懐に入られてしまう。
「足を使って距離をとればいいのではないか」と思うかもしれないが、実はそんな単純なものではない。
恐らくウェイドはゴロフキンの前進に対して、足を踏ん張って打ち返さなければ一気にやられてしまうと感じたのだ。足を踏ん張り、力を込めたパンチを打っていなければあっという間にコーナーに追い込まれてしまう。そしてコンビネーションの波に飲まれてしまう。そう感じたからこそ、ゴロフキンと正面から打ち合ったのである。

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ただ、力を入れてパンチを打つということはフットワークを犠牲にすることに他ならない。
当初の作戦はゴロフキンのパンチが届かない位置で打ち合うというものだったはずだ。
だが、ゴロフキンの想像以上の圧力を受け止めるので精一杯で、距離を詰められてもそこからフットワークを使うということができないのである。

しかも足を止めて全力で打ち合っているのに、その局面でも簡単に打ち負けてしまうのだ。想像の遥か上をいく硬質な拳が、自分のパンチの内側を間断なく飛んでくるのである。

自分の有利な距離で打ち合おうにも、あっさりと懐に入られる。
フットワークで距離をとることもできない。
打ち合ってもダメ。
どのみちウェイドは詰んでいたのである。

そして、その根底にあるのが両者のフィジカルの差というわけだ。

今回のような試合を観ると、フィジカル至上主義者にならざるを得ない

何度も申し上げているように僕はフィジカル至上主義者である。
どんなスポーツにおいても、フィジカルの強さは絶対的な優位性を持つと思っている。特にコンタクトの発生する競技ではなおさらだ。

たとえばサッカーやラグビーは相手のゴールに到達することが目的のスポーツである。そして、相手ゴールに到達する一番の近道は一直線である。
極端な話、相手を全員吹き飛ばして最短距離を一直線に走ることができれば、それが最も効率的に得点する方法である。
さすがにそれは極端すぎるが、相手を圧倒するフィジカルさえあれば細かいパスワークは必要なくなる、自分の手からボールを離す時間を短くできるというわかりやすい話である。

特にボクシングのように相手とのコンタクトが発生する競技では、フィジカルの重要性はさらに増すはずだ。
ましてや同じ体格の人間同士であれば、身体の強さがある方が有利であることは明白だ。

コンタクト系のスポーツ経験がある方はわかると思うが、細かい技術やテクニックなどというものは身体の強さがあればある程度は押し切れる。
逆にパワーのある相手をスピードやフットワークでどうにかするには、相当な差がなければ難しい。
技術差はフィジカルで埋められるが、フィジカルの差を技術で埋めるのは並大抵のことではない。 
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さらに言うと、スピードや軽やかなフットワークを実現するにもフィジカルは必要である。
以前の記事でパッキャオの身体の強さについて申し上げたことがあるが、素早く動くということは必然的にストップ・アンド・ゴーが発生することになる。

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ストップ・アンド・ゴーの「ストップ」の部分。ここでのバランスを保てないとそれだけでスキが生じるし、次の動作に移行するまでにも時間がかかる。
スピーディな動きからの激しいストップ、そしてゴーにつなげるまでのタイムラグをいかに短くできるか。一連の動作をどれだけスムーズかつパワフルに実現できるか。これにはやはりフィジカルがものを言うのである。

そしてロマゴンやゴロフキンのように、シフトウェイトをうまく使うことでパンチの貫通力を生み出すバランス感覚。これも下半身の強靭なフィジカルあってのものである。

こう考えると、どうしてもフィジカル至上主義者にならざるを得ないと思うのだが、どうだろうか。
特に日本人は「組織力」とか「細かい技術」といった言い回しが好きだ。だが、細かい技術でフィジカルの差を埋めることなど不可能だと断言してもいいと僕は思っている。

そういった意味でいうと、メイウェザーやアンドレ・ウォード、そしてギジェルモ・リゴンドーなどは本当にすごいと思う。
なぜなら、彼らはフィジカルの差を圧倒的な技術で埋めるということを実現してみせた希有な存在だからである。
特にメイウェザーは元々S・フェザー級出身ながら、フィジカルモンスターの揃うS・ウェルター級までを制覇した規格外の化け物だ。
軽量級の倒し屋から中量級のタッチボクサーへ華麗な転身を遂げ、卓越したテクニックで見事前人未到の49連勝を果たしたのである。
彼らのボクシングスタイルが好きかどうかは別の話だが、彼らがやっていることがどれだけすごいかということは認識しておいた方がいいのではないかと個人的には思っている。

ちなみに僕はリゴンドーのことが大嫌いだ。

おや、ゴロフキンvsドミニク・ウェイド戦の感想記事のつもりが、別の方向に話が進んでしまった。

まあ、いいか。楽しかったから。

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