再戦でエストラーダがシーサケットに勝利。この2人は噛み合いすぎるよな。DAZNの対応の悪さ? 村田諒太の責任だろうな【結果・感想】

再戦でエストラーダがシーサケットに勝利。この2人は噛み合いすぎるよな。DAZNの対応の悪さ? 村田諒太の責任だろうな【結果・感想】

ボクシンググローブ
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2019年4月26日(日本時間27日)、米・カリフォルニア州で行われたWBC世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者シーサケット・ソー・ルンビサイと同級1位ファン・フランシスコ・エストラーダの一戦は、3-0(116-112、115-113、115-113)の判定でエストラーダが勝利。約1年2ヶ月ぶりの再戦を制し、念願の王座戴冠を果たした一戦である。
 
 
2018年2月以来の再戦となった今回。
序盤から軽快な動きで連打を浴びせるエストラー打に対し、王者シーサケットはオーソドックスの構えで受けて立つ。強烈なボディとストレートを中心に反撃を見せるものの、スピードのあるエストラーダの動きについていけない。
 
試合はエストラーダ優勢のまま後半へ。
そして迎えた9R。このラウンドからシーサケットがたびたびオーソドックスとサウスポーを使い分けて反撃に出る。左ストレート、右フックをヒットし、徐々に試合の流れが変わる。
対するエストラーダも要所で連打を浴びせてシーサケットの前進を止め、そのつど流れを引き戻す。
 
一進一退の大接戦となった終盤だが、両者ともに明確なダメージはなく試合終了。序盤のリードを守りきったエストラーダが3-0の判定で勝利し、2015年以来の王座返り咲きに成功した。
 
「ロマゴン復活! ヤファイを右一閃でTKOに下して3年ぶり王座返り咲き。デカなっとったな。パワフルな前進が戻った」
 

エストラーダとシーサケットは噛み合いすぎる。何度やっても大接戦になる

2018年以来、約1年2ヶ月ぶりの再戦となった両者のタイトルマッチ。
前回同様の好試合となったが、今回は僅差でエストラーダが勝利。ポイントこそ競っていたが、12Rを通してペースを取り続けたのはエストラーダの方。内容的にはエストラーダの完勝と言えるのではないか。
 
「感動しちゃったよシーサケットvsエストラーダ。引き出しの多いエストラーダをシーサケットがテーブルごとひっくり返した」
 
てか、この両者は噛み合いすぎるよな。
 
シーサケットは強フィジカルとパワフルなスイングが持ち味のファイターだが、回転力、追い足はそこまでではない。
エストラーダはスムーズなコンビネーションに加えて足も使える器用さがあるが、シーサケットのパワーから12R逃げ切れるほどじゃない。
 
必然的に打ち合うシーンが増え、そのつど互角の差し合いが繰り広げられる。
回転力と精度の高さはエストラーダだが、パワフルで印象的な1発はシーサケット。恐らくこの両者は何度やってもこういう試合になるんだろうと。
 
イメージ的にはアブネル・マレスvsレオ・サンタ・クルスや田中恒成vs木村翔などか。選手同士はめちゃくちゃしんどいとは思うが、観る方はクッソ楽しいというパティーン。
 
「やっぱりカライジッチいい選手。ベテルビエフとの壮絶なカウンターの打ち合いに散る。船井vsアンカハスは興味ないからいいや」
 

エストラーダの器用さ、がんばりとシーサケットの作戦ミスかなぁ。シーサケットが右構えでいったのはマズかった気が…

具体的な感想としては、エストラーダの器用さとシーサケットの作戦ミスが明暗を分けたかなぁと。
 
まず今回の試合、エストラーダの作戦はかなりはっきりしていたと思う。
足を止めずに左右に動き続け、とにかく手を先に出す。
シーサケットよりも先に1発目を出し、サイドに動きながら相手の打ち終わりにパンチを返す。
 
シーサケットよりも先に手を出し、シーサケットの打ち終わりに手を出す。同時打ちではなく、微妙にタイミングをずらして。1発1発に力を込め、シーサケットに前進を許さない。しかも、その作業を常にサイドに動きながらやり続ける。
 
めちゃくちゃしんどい作戦だが、今回のエストラーダの気合いはすごかった。
前回は足を使って勝負した結果、きわどい判定で敗戦を喫した。その反省を踏まえてのことだとは思うが、あの間合いでシーサケットと対峙するのは相当な勇気を要したのではないか。人生をかけてというか、この試合で王座戴冠を果たすという決意は相当なものだった気がする。
 
「ダニエル・ローマンがTJ・ドヘニーから2度ダウンを奪い王座統一! ドヘニーもナイスファイトな好試合に大満足です」
 
対するシーサケットだが、今回選択したのはオーソドックスでの打ち合い。
普段はサウスポーで構える選手なのだが、本人によるとエストラーダがサウスポーに慣れていることを見越したという。
 
ただ、これはちょっと失敗だった気がする。
エストラーダはサウスポーを苦にしない選手ではあるが、対オーソドックスに比べればやはりリードの数は減る。
 
また、被弾をものともしないフィジカルを武器とするシーサケットだが、今回のエストラーダはそこまで計算していたように思える。
先にリードを当て、シーサケットの反撃を左に回り込んで芯を外す。この際、右構えの場合は背後に回る形になるため、シーサケットの手はどうやっても届かない。
 
逆にサウスポー中心に切り替えた9R以降は、エストラーダのバックステップより先にシーサケットの左が届くシーンが目立っていた。
 
右構えでスタートしたのが陣営の作戦だったか、何かのトラブルがあったかは不明だが、もう少し早いラウンドでサウスポーにスイッチしていれば? という気がしないでもない。
 
「カネロがジェイコブスに辛勝。相手のよさを消すのが得意なジェイコブス。カネロ打倒一番手はまさかのアイツ?」
 

相手のタイプ、試合の流れでスタイルを変えるエストラーダの器用さ。総合力の高さだけならPFP級?

そして、毎度申し上げているように、エストラーダという選手はホントに器用だなと。
 
2012年のロマゴン戦ではコンビネーションとプレスの真っ向勝負。
2013年のブライアン・ビロリア戦やミラン・メリンド戦では、アングルと距離を支配してのカウンタースタイル。
2017年のカルロス・クアドラス戦では再びロマゴン戦のようなプレス。
2018年のシーサケット戦Vol.1では足を使ったメイウェザーに近い動き。
 
で、今回の再戦では、近場で左右に動きながらの連打勝負。
 
相手のタイプ、試合の流れによって自らの動きを大きく変え、見事に対応してみせる。この試合も終盤3Rはさすがに疲れが見えたが、周到な準備と器用さは山ほど感じられた。
 
「すっげえ…! ウィリアムスがハードに勝利。Mr.まあまあの人が怪物王者を攻略。クリンチの少ないクリーンなボクシングって?」
 
いや、どうなんだろうなコレは。
ある意味器用貧乏で長所がないとも言えるのかもしれないが、どんな相手でも必ず互角以上の接戦に持ち込める。その能力は文句なしですごいと思うのだが。
 
山中慎介やギジェルモ・リゴンドーのような突出した特徴があるわけではない。だが、総合力の高さで言えばPFPのTOP10にも入るんじゃないの? などと思ったり。
 
まあ、さすがに僕の好みがふんだんに含まれた話ではありますが。
 

DAZNの粗相。メイン以外の試合をすべてすっ飛ばす暴挙に。でも、DAZNを利用する限り仕方ないのかな


またこれは余談だが、今回の試合を中継したDAZNが粗相をやらかしたことは記憶に新しい。
 
朝10:30スタートと明記されていたにも関わらず、約2時間にわたって「まもなく始まります」の表示を延々と流し、セミセミ、セミファイナルをすっ飛ばすという暴挙に。
 
結局O.A.されたのはメインのエストラーダvsシーサケット戦のみで、それ以外の試合を楽しみにしていた視聴者を激怒させた。
 
「カライジッチが怪物ベテルビエフに挑戦。マーカス・ブラウンを苦しめた長身カウンター使いが初の世界戦。がんばれ俺のカライジッチ」
 
これねえ……。
 
DAZN側の言い分としては、
「だってエストラーダvsシーサケット戦って言ったじゃん」
「嘘はついてねえから」
「なんか文句あんの?」
ということなのかもしれないが、いや、さすがにそれを承服するのは難しい。
 
O.A.されなかったことだけでなく、そこに合わせてスタンバイした時間を返せという話でもある。マジでメインのみの予定だったのなら、なぜ10:30開始なのよ? という。
 
「やっばw プログレイスがレリクを顔面粉砕TKO。こんな一方的になるとは…。勝てるとしたらバランチェクの方が可能性高い?」
 
ただ、個人的には仕方ないかなぁという気がしないでもない。
 
以前にも放送予定の試合が数日前にラインナップから消えたこともあるし、O.A.中に突然映像が消えたり音が消えたりしたこともある。この辺はDAZNを利用する限り、許容範囲と考えるしかないのかもしれない。
 
もっと言うと、単純にコンテンツとしてのボクシングが重視されていない可能性も高い。
 
Jリーグを10年2100億円で囲いこんだり、Bリーグの全試合を中継したり。
プロ野球で言えば、頑としてDAZNに放映権を渡さなかった巨人との交渉を粘り強く続け、ようやく今シーズンからホームゲームの中継をスタートさせたり。
 
また、Jリーグ中継初期に起きた障害に対して代表が直々にコメントを発表し、お詫びとして無料視聴期間を大幅に延長する措置をとったり。
 
実際、DAZNは利用者をないがしろにしているわけではない。分母が多い部分に関しては
 
利用者の声が大きい場所にはサービスを手厚く、そうでない場所にはそれなりに。当たり前だが、これこそが「数の正義」というヤツ。
 
正直、巨人の牙城を崩した実績は僕の中で有能としか言いようがない。まあ、ボクシングだけのためにDAZNに加入しているのであれば、残念ながらお得感は少ないかもしれないけどね。
 
なお、僕自身はボクシング以外にも野球、バスケ、ラグビー、サッカー、MMA、キック、アメフト、テニス、プロレスと広く浅く観る人間なので、DAZNのようなサービスはクッソありがたい。
 
「テモフィオ・ロペスがタトリを1発KO。パフォーマンスの是非はどうでもいいけど、指導者が否定するのはアウトだろうな」
 

すべては村田諒太の責任。アイツがロブ・ブラントに負けたせいで、日本でのボクシングの重要度が大幅に低下した

てか、結局村田諒太の影響は大きいだろうな。
 
あいつが2018年10月にロブ・ブラントに負けたせいで、DAZN Japanによるボクシングプロジェクトが頓挫した感が強い。
 
「村田はブラントに勝負師として負けてる。準備、経験、覚悟。すべての面でブラントが上回り完勝。文句なしの感動的な試合だった」
 
試合前はこんなに力が入ってたのに。

 
しかも、2018年4月のエマヌエーレ・ブランダムラ戦では、セミファイナルの比嘉大吾vsクリストファー・ロサレス戦をディレイでO.A.したりもしていたのだが。
 
もしかしたら、米国進出→日本でのビッグマッチの流れでボクシングファンの加入者を増やし、他の日本人選手にも波及していく予定だったのかもしれない。
 
それが、絶対有利と言われたロブ・ブラントにボロ負けしてすべてが狂った。
2019年7月の再戦にDAZNが絡むのかは不明だが、少なくとも彼らの中で村田諒太の商品価値が暴落したことは間違いなさそう?
 
つまり、今回の興行でメイン以外のすべてがシカトされた原因は、村田諒太がロブ・ブラントに負けたせいなのである(暴論)。
 
「「那須川天心に勝ったら1000万円」企画は正解だったのか? プロ崩れとパンチの得意なキックボクサーのスパーリング風景を見せられて楽しいの?」
 
まあ、それでもDAZNがあるおかげ? でWOWOWエキサイトマッチが生中継をがんばったりもするし、競合他社の存在による相乗効果は大事だよね。
 
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