正気か? ケル・ブルックがゴロフキンに挑戦? しかもミドル級正規のウェイトで? さすがにそりゃアカンのではないか?【予想】

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ロンドンビッグベンイメージ
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2016年9月10日(日本時間11日)に英国ロンドンにあるO2アリーナで、世界ミドル級統一王者ゲンナジー・ゴロフキンとIB世界ウェルター級王者ケル・ブルックの試合が行われる。

この試合はミドル級契約で行われ、ゴロフキンのタイトルにケル・ブルックが挑戦する形となる。

「無謀にもほどがあるケル・ブルックがゴロフキンに5RTKO負け!! セコンドのナイス判断」

WBA、WBC、IBF3団体の統一王者であるゴロフキンは現在WBA王座を16連続でKO防衛中。当初はクリス・ユーバンクJrとの対戦交渉が進められていたが、締結間近で決裂し急転直下でケル・ブルックとのビッグマッチ決定に至ったとのことである。急きょ対戦を打診されたケル・ブルックはゴロフキン側からのオファーを快諾、階級を超えたまさかの大物対決実現である。

PFPトップ3常連である最強王者ゴロフキンに英国の雄ケル・ブルックが挑む注目の一戦。アミール・カーンvs“カネロ”・アルバレス戦に続き、予想外のサプライズなマッチメークからの名試合が生まれるのだろうか。

「カーン仰向けにバッタリ。“カネロ”・アルバレスが壮絶カウンター一発でカーンを失神KO!!」

ゴロフキンvsケル・ブルックびっくりタイトルマッチ。両者の次戦交渉がとん挫したことによるサプライズ

ゴロフキンvsケル・ブルック開催!!

まさかのタイトルマッチ決定である。
ゴロフキンはクリス・ユーバンクJr、ケル・ブルックはジェシー・バルガス。両者の次戦がほぼ決まりかけていた状況からの突然の路線変更に多くの方が驚いているようである。

もちろん僕もそのうちの1人なのだが、同時に両者の次戦が潰れてしまったことに対して残念な気持ちもある。
特にケル・ブルックvsジェシー・バルガスの統一戦は以前にも申し上げた通り、2016年でもっとも楽しみにしていた試合の1つである。

「クロフォードvsポストル予想!! 虚弱クリチコ・ポストルがソリッドスター・クロフォードに挑む!!」

ウェルター級トップレベルの実力を持つ(と僕が勝手に思っている)ケル・ブルックに叩き上げ感満載のジェシー・バルガスが挑む一戦。僕のお気に入り選手の1人だったサダム・アリとバルガスとのタイトルマッチは本当におもしろい試合だったし、バルガスがあのままの勢いでケル・ブルックに挑むのであれば何かが起きる可能性もある。

「ジェシー・バルガスがサダム・アリをTKOで下して勝利!! 激戦を制したバルガスが2階級制覇達成!!」

また、ケル・ブルック側にとっても強豪ジェシー・バルガスを倒せば階級屈指の実力者であることの証明もできる。英国開催ということでレフェリングがケル・ブルック有利に働く可能性も考えられるが、それを差し引いた上でも楽しみで仕方がない。

僕の中ではポストルvsクロフォード、コバレフvsウォード戦に並ぶ楽しみな一戦だったわけである。

「俺的PFPのNo.1コバレフ登場!! イサック・チレンベに勝ってウォード戦へ進めるか?」

そして、ゴロフキンとの対戦交渉が進められていたクリス・ユーバンクJr。
実を言うと、僕はこの選手の試合をほとんど観たことがなく、ユーバンクがどんな選手なのかをあまり知らない。

「スペンスがブンドゥをKO!! アカン、こりゃぁガチだ。絶対キース・サーマンより上でしょ?」

ちらっと観た感じでは防御勘のよさそうな華のある選手というイメージだろうか。偉大な父親を持ち、対戦相手が危篤状態に陥ったこともあるというニュースも含めて非常にニュースバリューのある選手なのかと漠然と思っていた次第である。

「無敗を継続しているようだし、実際の実力はどうなのだろう。ゴロフキンとのタイトルマッチが正式に決まったらじっくり見てみよう」
そんな風に思っているうちに交渉決裂の報を聞き、びっくらこいたというわけである。

聞いた話によるとユーバンク側がゴロフキン側に無茶な条件を突きつけたとのこと。

「クロフォードがポストルに大差判定勝利!! ん? クロフォード圧勝? むしろポストル勝てたんじゃないのか?」

恐らく、陣営はユーバンクJrがゴロフキンに勝てる気がまったくしなかったのだと思う。
どうせ勝てない、どうせキャリアに傷がついてしまうのであればせめて稼げるだけ稼いでやろう。目いっぱい自分たちに有利な条件を提示して、ゴロフキン側が折れればOK。たとえ負けてもガッポリ稼げる。

仮に交渉が決裂しても「条件面で折り合いがつかなかった」でカタがつくし、逃げたと言われることもない。おまけに無敗も継続できる。
いろいろな状況を天秤にかけた上で、強気に交渉した方が得だとの判断が働いたのではないかと想像する。ユーバンクJr本人ではなく陣営が。

まあ、真相はわからないのだが。
※2014年にビリー・ジョー・サンダースに負けてますね。勘違いしてました。すみません。

「最強巨神兵コバレフの攻略法判明? チレンベ(チレンバ)の大健闘で大差判定ながら不安を残す」

ゴロフキンに挑む勇気を称賛されるケル・ブルック。いや、普通に考えて無謀なだけじゃないのか?

今回のゴロフキンvsケル・ブルック戦決定を受けて、英国のファンからケル・ブルックの勇気が称賛されているという。

だが、この話を聞いた僕の率直な感想は、
「ケル・ブルック正気か?」

アミール・カーンvs“カネロ”・アルバレス戦が思った以上に名試合になったこと。そしてリング上で堂々とゴロフキン戦をぶち上げておきながら早々にタイトルを返上し、S・ウェルター級のリアム・スミス戦に進んだカネロの姿勢。
この一連の流れとケル・ブルックの決意を比較した上での称賛であることは誰の目にも明らかである。

「ケル・ブルック、すごい勇気だ」
「最強の相手に果敢に挑んでこそ真のボクサーだ」

だが、冷静に考えてこれは称賛されることなのだろうか。僕にはケル・ブルックの無謀な挑戦にしか思えないのだが。

繰り返しになるが、僕は以前からケル・ブルックは階級トップクラスの実力の持ち主だと思っている。
柔軟な上半身とそれを活かしたバネ。さらにショーン・ポーターの突進を正面から受け止めることができる身体の強さ。大砲のような左右のパンチとそれを生み出す強靭なフィジカルはスピード&パワーのウェルター級でも類を見ない。

「ケル・ブルックは強化版ハメドだ!! ケビン・ビジェールに圧勝!!」

フィジカル至上主義者の僕にとって、このケル・ブルックのボクシングはよだれが出るほど好きなスタイルである。
ジェシー・バルガス戦に勝利したあとはエロール・スペンスやティモシー・ブラッドリーあたりとの最強決定戦に進んでもらいたい。そんな感じで常に動向に注目していた選手である。

「エロール・スペンスがクリス・アルジェリをまったく問題にせず!! こりゃ本物だ」

だが、それはあくまでウェルター級での話。
ケル・ブルックは確かに柔軟で強靭なフィジカルを持った階級屈指のファイターだが、あくまでも適正体重の中ではという話である。
2階級も上の選手、しかもPFPトップ3常連であるゴロフキンのプレッシャーに対してもフィジカル的優位性を発揮できるとはとても思えない。
ゴロフキンの突進に耐え切れずにコーナーに追い詰められて連打の嵐に晒される。そんな結末が待っているようにしか思えないのである。

「ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ」

それを言うならカーンvsカネロ戦もそうだろ? 無謀な挑戦と言われながらもカーンが健闘したではないかと言われるかもしれないが、残念ながらあの試合と今回はまったくの別物だ。

「左だけ? 違うわ! スティーブンソンがウィリアムスを4RKOで下す!! L・ヘビー級たまらんな」

ミドルのタイトルを保持していたとはいえ、カネロはもともとS・ウェルター級の選手である。カーンとのタイトルマッチもS・ウェルター級+1ポンドの155ポンド契約のキャッチウェイト。なおかつ試合発表から当日まで3カ月の準備期間があったカーンに対し、今回のブルックは準備期間2カ月と条件的にも不利である。
S・ライト級からアップしたカーンと純粋なウェルター級のブルックということで有利な点もあるが、さすがに長年ミドル級で最強の名を欲しいままにしているゴロフキンとの差を埋めるほどのインパクトはない。

「ワイルダーがアレオーラを下してV4!! 圧勝? 意外と危なかったぞこの試合」

スタイル的な相性が悪すぎる。この両者は体重差がそのまま戦力差になりかねない

そして、この対戦があり得ないと思える最も大きな要因が両者のスタイルである。

前述の通り、ケル・ブルックは階級屈指のフィジカルを活かして相手をねじ伏せるパワー型のスタイルを得意としている。
ショーン・ポーターの突進をはね返せるほどのパワーで相手とのスペースを作り、大砲のようなパンチを打ち込む。柔軟な上半身と強靭な両腕のガードで攻撃を無効化し、じわじわと圧力をかけて相手を下がらせる。
つまり、ケル・ブルックの強さは階級屈指のフィジカルありきのものであり、現在のウェルター級にパワー面でケル・ブルックを上回れる選手が見当たらないからこその最強説である。

「サーマン←才能だけでやってる人がポーターに辛勝!! ノンストップのハイスピードバトル!!」

そう考えると、2階級も上のミドル級では得意のがっぷり四つで相手を圧倒できるわけがない。それだけでなく、理詰めとプレッシャーの鬼であるゴロフキンが相手ではどうにもならない。相手の突進を受け止めるスタイルのケル・ブルックとゴロフキンでは、体重差がそのまま戦力差になる可能性が高い。

追い足がなく、コンビネーション勝負が中心のカネロなら、アミール・カーンの持久走でどうにかなるかもしれないと思えたが、あのときとはまったく事情が違う。あまりにも両者の相性が悪すぎると言わざるを得ないのである。

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勝敗予想はゴロフキンの5RでのKO勝ち。ただ、それより事故が起きないことを願う

今回の勝敗予想だが、5RKOでゴロフキンの勝利。これでいきたいと思う。

試合開始直後はプレッシャーをかけるゴロフキンにケル・ブルックがパワフルな反撃を見せて会場を沸かせる。だが、徐々に地力の差が表面化して流れがゴロフキンに傾く。
そしてケル・ブルックはゴロフキンの猛攻にガードで手いっぱいになり、防戦一方となる。

迎えた5R。
ゴロフキンのフックをテンプルに被弾したブルックがコーナーに詰められ、袋小路でラッシュを浴びる。
ゴロフキンのストレートをカウンターで被弾し、尻持ちをつくブルック。その姿を見たレフェリーが両手を交差させて試合を止める。
何となくだが、そんな感じでゴロフキンの圧勝で終わりそうな気がする。

万一奇跡が起きるとすれば、ケル・ブルックのハメドばりのアッパーがガードの間を突き抜けた場合だろうか。
ただ、その1発でKOできなければケル・ブルックに勝機はなくなるだろうし、その1発でKOできる確率も低い。
しかも判定になればホームタウンデシジョンの起きやすい英国開催である。ゴロフキンは勝利のためにKOを狙いにいく可能性が高く、どちらにしてもケル・ブルックには厳しい試合展開が待っているように思える。

というより、本音を申し上げれば予想どうこうよりも不幸な事故が起きないことを願っている。どのラウンドで決着がついても構わないので、とりあえずケル・ブルックには無事にリングを降りてもらいたい。

カーンvsカネロ戦はカネロが1発当てればいいという試合だったが、今回はちょっと勝手が違う。真綿で首を締めるように理詰めでくるゴロフキンを相手に我慢に我慢を重ねた結果、ケル・ブルックが甚大なダメージを負ってしまう可能性もあるように思える。
個人的にケル・ブルックは好きな選手なので、今後も試合を継続して観戦していきたい。何とか事故が起きないことを祈るばかりである。

強すぎるがゆえに不遇のゴロフキンと、カーンに触発されたケル・ブルックの思惑が一致したミスマッチ

ソーンダースとの統一戦オファーはにべもなく断られ、もう1人の対抗王者であるダニエル・ジェイコブスはテレビ局やプロモーターの関係で実現の障壁が高い。

「ジェイコブス、クイリンを瞬殺!! 初回の壮絶ラッシュでTKOに下し、見事防衛成功」

ようやく決まりかけたクリス・ユーバンクJr戦は妙な駆け引きに巻き込まれてとん挫。
そして肝心のカネロは準備期間にたっぷり1年半をかける予定(2017年9~10月にカネロvsゴロフキンが開催されると仮定して)である。

「“カネロ”・アルバレスがリアム・スミス挑戦にファン失望?」

1人だけ抜けた実力を持っているがゆえにうまくキャリアが進まないゴロフキンだが、年齢的なものも含めて焦りもあったのだろう。今回のケル・ブルック戦は渡りに船だったはずだ。

また、ケル・ブルックにとってもジェシー・バルガス戦の交渉が難航していたところで突如舞い込んだビッグネームとの対戦オファー。“ボチボチの相手”との国内防衛路線に入りかけていた状況を打破する意味でも断る理由はなかったと思われる。

海外のサイトなのでソースを見失ってしまったが、ケル・ブルック本人がゴロフキン戦を望んでいるというコメントを見た記憶もある。カーンvsカネロ戦が発表された前後だったはずなので、同じ英国人であるカーンに触発された部分もあったのだろう。

PFPトップ3常連のゴロフキンの登場。しかも地元の英雄であるケル・ブルックとの一騎打ちである。今回の一戦はボクシング人気の高い英国ファンにとってもサプライズな試合であることは間違いない。アンダーカードにも世界戦を組み込む予定とのことで、興行的には成功間違いなしの一大イベントだ。

つまり誰もが得をし、誰もが喜び、誰もが楽しみにする試合。
それが今回のゴロフキンvsケル・ブルック戦というわけである。

ただ一つ、体重差という致命的要因を除いては

いや、本当にこのイベントが無事に終わることを祈る。

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