山中2RKO負け引退表明。ネリ体重超過で試合に臨み、パワフルな連打で圧倒。めんどくせーけど、一応感想を言っておこうか【結果・感想】

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2018年3月1日、東京・両国国技館で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチ。
同級前王者ルイス・ネリと挑戦者山中慎介の一戦は、2R1分3秒TKOでネリが勝利。前戦に続き、2連勝を飾った試合である。
 
「山中がネリと再戦? やめた方がよくね? 勝てそうに見えないんだが。というより、ホントにこの試合やっちゃうんすか?」
 
開始直後からキレのいい右で距離をとる山中に対し、ネリは身体を振りながら右リードで対抗。徐々に距離を詰めていく。
 
自分の間合いに入ったところでネリが得意のラッシュを浴びせるが、山中も固いガードで防ぐ。
 
だが、1R残り35秒。
ネリの右がカウンター気味にヒットし、山中が膝をつく。
レフェリーはこれをスリップと判断したが、山中のダメージは明らか。
 
「プログレイスがインドンゴをボッコボコで初戴冠。まんま山中vsルイス・ネリだったな。相性の悪さがモロだった」
 
その後、ラウンド終了間際に1度。続く2Rには3度。計4度のダウンを奪われてのレフェリーストップ。
2R1分3秒、TKOでルイス・ネリが勝利した。
 
 
敗れた山中は試合後、現役引退を表明している。
 
なお、この試合はネリが体重超過で王座をはく奪され、山中が勝利した場合のみ戴冠という変則ルールで行われている。
 
「ダラキアンvsビロリア、ニエテスvsレベコ、ビーモンvsラモス、ラミレスvsアメドなど。やっと観たのでまとめて感想を書いていくぞ」
 

山中の動きは悪くなかったと思う。衰え云々はともかく、相当ネリ対策はしてきていた印象。ネリはアレだ。絶好調だったね……

禁止薬物の陽性や前日計量での大幅な体重超過など。
2017年8月の初戦以来、さまざまな物議を醸しつつも強行開催された今回。
 
もろもろの意見はあるが、とりあえず試合の感想を。
 
 
まず、今回の山中はそこそこよかったと思う。
・必殺の左を意識させながら、遠目から鋭いジャブを打つ
・ネリの踏み込みに合わせて一歩下がり、カウンターで左を合わせる
・連打を浴びても後退せず、ガードの上を打たせて耐える
 
前回の反省を踏まえ、対策を練ってきたことがうかがえる立ち上がりだった。
 
「山中陥落…。ネリの猛打に4RTKO負け…。お前もか山中。こんな一気に世代交代するかね。ネリ恐るべし。山中の作戦の上をいったな」
 
対するネリだが、こちらは前戦以上に絶好調だったのではないか。
足取りも力強く、パンチもパワフル。
 
前後の動きで山中のリードをさばき、サイドに回り込みながら徐々に接近。
マジな話、左右に動きながらあれだけリードの右を連打できるのというのはかなりすごい。それもサウスポー同士で。
 
まあ、山中の左をまったく怖がらずに前に出ていたところを見ると、体重超過の効果は間違いなくあったと思う。
 
細心の注意を払う山中の懐にあっさり入り、前回以上の連打を浴びせる。
そして打ち合いの中で、コンパクトなカウンターをヒットしダウンを奪う。
 
「気づくのおっせえw 岩佐vsサウロン。大差判定で岩佐が初防衛成功。ジリ貧の両者が後半に「あっ」ってなる」
 
1度目はスリップとみなされたが、どう見ても山中のダメージは深い。
足腰がフワフワしたまま2度目のダウンを喫し、おまけに足までグネってしまった。
下半身の踏ん張りが効かず、ダメージを引きずったまま突入した2R。すでに山中にはなす術がなく、3度のダウンの末にレフェリーストップという結末である。
 
禁止薬物の摂取や体重超過を無視すれば、この日のネリのパフォーマンスはベストに近いものだった気がする。
 
「カネロの禁止薬物陽性の裏でいろいろあったよ。コバレフvsミカルキン、ビボルvsバレラ、ジョシュ・テイラーvsカンポス」
 

今回の試合を強行開催した件について意見を言っていこうか。でも、僕個人の意見だからね?

とまあ試合の感想はこんな感じなのだが、ではここからは今回の試合を強行開催した件について。
 
禁止薬物の陽性反応が出たにもかかわらず、サスペンドもなしに防衛戦を認める王座認定団体と、ロクな抗議もせずに興行開催にこぎつけたプロモーター。
 
「バルデスvsクイッグ感想。体重超過でパツパツのクイッグがバルデスに判定負け。体重超過に対するペナルティが緩い理由?」
 
また、故意のドーピングはないと言い切り、体重超過にも悪びれる様子がないネリとその陣営。
 
12度の防衛を果たし、2010年代の日本ボクシング界をけん引した王者の幕引きがこれでいいのか。
 
などなど。
あれやこれやと言われているが、適当に僕の意見を述べていこうと思う。
 
「感動しちゃったよシーサケットvsエストラーダ。引き出しの多いエストラーダをシーサケットがテーブルごとひっくり返した」
 
なお毎度申し上げておりますが、あくまで僕個人の意見です。
反対意見や気に入らない部分があるかもしれませんが、それはそれ。
考え方は個人の自由ということでよろしくです。
 
「比嘉大吾が9RTKO負け。体重超過で王座剥奪、連続KOも途切れる。てか、新王者ロサレスすげえいい選手」
 

結構早い段階で「反対してもしゃーない」と思いました。だって、何言っても徒労だし

まず、今回の興行の開催については、僕は割と早い段階であきらめていた。
 
禁止薬物摂取が故意かどうか、ルイス・ネリが“シロ”か“クロ”かにかかわらず、ドーピング検査で陽性反応が出た選手を処分しない王座認定団体。また、それに抗議もしないプロモーター。
どこからどう見ても異常な状況としか言いようがない。
 
だが「ネリと山中が再戦の方向」という話題が出ても、ボクシング関係者からはほとんど反対意見は聞かれず。
 
「サッカー日本代表がコロンビアにジャイアント・キリング!! MOMは柴崎岳で異論ないよな? スキャンダルは注目を集めるには最高」
 
以前にもちょろっと申し上げたが、ジョーブログのプロテスト企画に対して「ボクシングを金儲けに利用するな」とほざいていたボクシング関係者がだんまりを決め込んでいる時点で、僕はこの試合の是非を言うのは無意味だと感じていた。
 
ジョーブログなど比較にならないレベルの金儲け目的というのは、アホでもわかるのに。
 
強い者には弱く、弱い者には強い。
プロ()だ素人()だと抜かすなら、相手が誰だろうが堂々と批判してくれよ。
 
すんなり再戦が決定したのは「?」しかないが、すべてが徒労としか思えなかったのでスルーしていた次第である。
 
「比嘉vsロサレス予想。って、もう防衛戦やるの?! ああ、村田諒太と拳四朗を抱き合わせでトリプル世界戦にするのね」
 

体重超過は頻発しますよ。当たり前ですよ。いい悪いじゃなく、やった方が実利が大きいもん

そして問題の体重超過についてだが、これも以前から申し上げている通り。
本音を言うと、僕にはそこまでの拒否感がない。
 
王座や団体の増加により、現状王座に固執する必要性は低下している。
1つの階級に留まって防衛を重ねるよりも、「誰に勝ったか」や無敗レコードを継続する方がはるかにうま味がある。
 
しかも、体重超過をやらかしても大した罰則もなく、勝利すれば公式な記録として残る。
 
「井上尚弥がマクドネル兄と交渉中だってさ。いいんじゃないの? マクドネル。これに圧勝しちゃうと英国でも道が閉ざされるけどね」
 
もはや、無理な減量で体重を合わせる意義は薄い。
たとえ体重超過で王座をはく奪されても、「ベストコンディションならこれだけのパフォーマンスを出せる」ことをプロモーターや関係者にアピールできれば次につながる。
 
今回のネリも、王座を失っても無敗を守れたのだから問題なし。
 
「ブローナーvsバルガスが熱かった。まさかブローナーの試合でこんなにテンションが上がるとはw 会場が殺伐としたんだって」
 
日本ボクシング界にとってのWBCバンタム級王座は、数々の名王者に受け継がれた伝統あるもの。
 
だが、そんなことはネリには1ミリも関係ない。
計量の場でちょろっと神妙な顔で謝罪し、あとはブーイングに耳を塞いでいればいい。
リングの上にいる時間など、長くてもせいぜい1時間弱。
試合後に「計量のメリットは山中にあった」などと言えるメンタルがあれば屁でもない。
 
「比嘉がフエンテスを1RKO。もうフライ級は十分でしょ。WBC狙いでシーサケットvsエストラーダの勝者に挑戦だろ」
 
要は、体重超過が一つの兵法として成立している現状、やったもん勝ちというヤツ。
いい悪いではなく、「そりゃ体重超過するでしょ」としか言いようがない。
ルールの抜け道を突くという意味では、むしろ正解じゃないの? とすら思えるほど。
 
 
リングが神聖な場所だって?
ジョーダンでしょww
みたいな。
 
「圧勝ダニエル・ローマン。松本亮手も足も出ず。誰だ松本が勝つとか言ってたヤツは? 僕だけどww まあ相手が悪いよ」
 

体重超過に文句を言っても仕方ない。その結論に至ったのが、2013年でした

もちろん「そんなことはない。体重超過は許せない」という意見はもっともだし、絶対的にそれが正しい。
 
 
一応申し上げておくと、僕が体重超過についてガタガタ言う気が失せたのは2013年
当時IBF世界S・フライ級王者だった亀田大毅が、WBA同級王者リボリオ・ソリスとの統一戦後に王座を返上し、日本のリングに上がる機会を奪われたときからである。
 
「ネリ再起。WBSS参戦目指してパブスタンとの10回戦に挑む。今後、ネリが体重超過をしない理由」
 
あの試合の亀田大毅も山中と同様、体重超過で王座をはく奪されたソリスと試合をさせられている。なおかつ、減量をあきらめたソリスは報道陣の前でコーラをがぶ飲みする始末。
 
しかも、試合後にはルールの行き違いで「恫喝」や「監禁」などの疑いをかけられ、日本で試合をする機会を奪われている。結果、亀田一家はその疑いを払しょくするのに何年も費やすハメになっている。
 
「亀田和毅が余裕の勝利! イバン・モラレスとの3兄弟対決を制す。てか、世界前哨戦だったのね」
 
そして、自分より一回り大きな相手と試合をさせられた大毅の件はほぼほぼスルー。
逆に「自業自得」だの「亀田家だから仕方がない」といった声の方が大きかったくらいである。
 
山中慎介はキャリアの集大成として挑んだ試合でケチがついたが、当時の亀田大毅は24、5歳。ここから2、3年が全盛期という時期に意味不明な理由でホームグラウンドを奪われ、相手の体重超過への批判はロクにされず。
強烈なバイアスで見られていたことを含め、不憫としか言いようがない。
 
僕がいろいろなものを諦めるには十分な案件だった。
 
「コラレス陥落。マチャドのカウンターで壮絶ダウン。って、体重超過で負けるってどこのネタキャラだよw これからどうすんねん」
 
さらに言うと、その1年半後にリボリオ・ソリスは山中の相手として日本に呼ばれ、同じジムの粟生隆寛は体重超過と禁止薬物でバッキバキに強化されたレイムンド・ベルトランに不当にボコられキャリアがストップしている。
 
「比嘉大吾無期限ライセンス停止。無茶な減量が美徳とされる風潮は「あしたのジョー」の影響らしいけど、それってマジなの?」
 
日本のボクシング界はくるところまできた?
このままだとボクシングが崩壊する?
 
いやいや。
別に変わってねーよww
 
むしろSNSなどで個人が意見を言える環境が整った分、マシになったくらいじゃないの?
 
「ボクシングの体重超過が完全に様式美な件。体重超過を減らすには? やらかすメリットを削ればいいんじゃないの?」
 

禁止薬物? ドーピング? もちろんダメだけど、多過ぎて慣れちゃったよ。だって、オリンピックに向けて国ぐるみでやってんのよ?

また禁止薬物についても、散々申し上げてきた通り。
 
「日本人選手もドーピングしちゃえよ←一理ある? 山中vsネリの再戦が決まりそうだから、改めてゴニョゴニョ言ってみる」
「ドーピングって何でいけないの? ルイス・ネリ問題に絡んで気になっていたことを調べてみた。自分なりの意見も言ってみようか」
 
ドーピングは絶対にダメだが、あまりに巷に溢れているせいで慣れてしまった。
 
先日の平昌オリンピックでも、国ぐるみでのドーピングが発覚したロシアは出場資格をはく奪。“シロ”と判断された選手に限り、「ロシアから派遣された五輪選手(OAR)」という謎の肩書きで参加を許されている。
 
国を挙げてドーピングが進められているスポーツ界の現状、ルイス・ネリが“シロ”か“クロ”かなどは氷山の一角に過ぎない。
 
「ヘビー級のビッグマン無双を打破するには? ワイルダー、ジョシュアの2強を打倒するてっとり早い方法を考える。新階級設立?」
 
また、海外のMMAの世界ではドーピングは「バレなきゃOK」「公然の事実」であり、「そこそこ勝てる実力」さえあれば引退後の仕事はいくらでもある。
リスクよりもメリットの方がはるかに大きく、それこそやったもん勝ちの状況と言われている。
 
「猛獣井上尚弥がマクドネルを1RTKO。あんぐりですね。解説山中慎介に喋る暇を与えない秒殺劇。マクドネルはお疲れ」
 
禁止薬物の陽性反応が出た尾川堅一の件を受けて、
 
・尾川堅一はドーピングをするような人間ではない
・日本人選手がやるとは思えない
・そもそも、日本人選手にはドーピングの知識自体がない
・過去ン十年、ボクシング界でそんな話を聞いたことがない
 
とおっしゃっていた方もいたが、それ逆だろと。
 
日本でドーピングの知識がある人間が皆無なら、ちょっと勉強すればダントツ1位になれるじゃねーか。
世界戦やそれに準ずる試合以外では検査もしていないのなら、やりたい放題できるじゃねーか。
 
「尾川堅一ドーピング陽性!! まあ、いろいろ不運が重なったかな。処分がどうなるかは知らんけど、割とよくあることだよ」
 
今はSNSなどで海外の選手とも直接コンタクトがとれる時代。
ちょっとイキれば、いくらでも入手経路と知識を確保する術はある。
 
リスクに見合うだけの見返りがあるなら、このガバガバの状況を利用しない手はないと思うのだが。
 
いや、もちろん日本人選手が禁止薬物を摂取しているなどと言うつもりはないです。
 
 
それらを加味すると、今回の件が特別だったとは僕には思えない。
対岸の火事だと思っていたものが、いつでも目の前で起こり得る出来事だとわかっただけの話。
 
だからと言って、OKだと言っているわけではないし、自分がすべて正しいとも思っていないので念のため。
 
「エマヌエル・ロドリゲスなかなかいいっすね!! ポール・バトラーを寄せつけず。井上尚弥vsペッチバンボーンだったな」
 

山中慎介の姿には心打たれた。山中本人を応援することって、そんなにダメかな

では最後に山中慎介について
 
2017年8月に王座陥落してから2018年3月に引退を表明するまで。
山中慎介という選手は本当にすばらしかったと思う。
 
「まさにここから」というタイミングで試合を止められ、
信頼していたトレーナーはセコンドから外される。
 
「岩佐亮佑、ドヘニーとのV2戦。なかなか厳しそうだけどがんがれ。前回のサウロン戦はノーカンでいいから」
 
試合後に相手選手から禁止薬物が検出され、
それに対して陣営は抗議もせず、
引退か再戦かの2択しか与えられない。
 
この状況でも文句ひとつ言わず、
前だけを向いて練習を続ける。
 
「京太郎を応援する理由? そんなもん「ヘビー級だから」でいいだろw 2018年の世界戦実現なるか」
 
そして、体重超過を犯したネリに発した「ふざけんなよ」の言葉。
張り詰めていたものが、最後の最後に崩れかけた瞬間だったのではないか。
 
 
周りが「試合を中止すべき」と言う中、それでもリングに上がり目の前の相手に立ち向かう。
 
ボクサーとして?
男として?
父として?
人間として?
 
何とも言えないが、この山中慎介の姿は少なからず僕の心を打つものだった。
 
「オールタイム・ベストの幕引き。元PFPロイ・ジョーンズ引退。スコット・シグモンに3-0の判定で有終の美を飾る」
 
「この試合を肯定するのは間違い」
「山中はがんばったなどと口にするな」
「ボクシングの未来を考えればわかること」
 
言いたいことは重々承知しているが、山中本人を応援するのってそんなにダメか?
 
ボクシング界の未来にとっては悪影響でも、現役・山中慎介は今だけ。
僕にはこの気高いファイターを応援することが悪だとはとても思えない。
 
「ま~た誰得マッチww サンダースvsマーティン・マレー。痛いの大っ嫌い。絶望的に退屈で平和な試合になる予感がするぞ」
 
だいたいそんな感じ。
最後はちょっとキモくなったけど。
 
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