こっそり名試合ウォーリントンvsキコ・マルチネス!! 村中vsヤファイの裏で2017年最高試合出たか?【結果・感想】

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英国リーズイメージ
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2017年5月13日(日本時間14日)、英国・リーズでWBC世界フェザー級1位ジョシュ・ウォーリントンvs元IBF世界S・バンタム級王者キコ・マルチネスの一戦が行われた。
一進一退の攻防の末、2-0(116-112、114-114、116-112)の判定でウォーリントンが勝利した試合である。
 
「大激戦のバルテレミーvsキリル・レリク!! まさかの苦戦のダークヒーロー、バルテレミーはクロフォード打倒を果たせるか?」
 
ウォーリントンにとって世界前哨戦に位置づけられ、12回戦で行われた今回。相手は来日経験もある元王者のキコ・マルチネス。
 
「拳四朗vsガニガン・ロペス戦を予想してみる。拳四朗勝利が大方の予想みたいだけど、ガニガン・ロペスもいい選手」
 
序盤から激しいプレスで前に出るマルチネスに対し、ウォーリントンはガードを高く上げて受けて立つ。持ち前の突進力でウォーリントンに襲いかかるマルチネスだが、要所でカウンターを被弾し出足を止められる。
 
「リー・セルビーvsジョシュ・ウォーリントン! 名勝負の予感がしますよコレは。フランプトンvsドネアなんか比じゃないほど」
 
お互いの意地と勝利への執念が真っ向からぶつかる好試合となったが、最後はパンチの正確さとヒット数でウォーリントンがわずかに上回っての勝利。見事にサバイバルマッチを勝ち抜き、タイトルマッチにコマを進めた。
 
これで戦績を25戦全勝5KOとしたウォーリントンは、WBC王者ゲイリー・ラッセルもしくはIBF王者リー・セルビーに標的を絞って王座獲得を狙うとのことである。
 
「ゲイリー・ラッセルvsエスカンドンが楽しみすぐる。両方めちゃくちゃいい選手ですよねこれ?」
 

ジョシュ・ウォーリントンvsキコ・マルチネスとかいう2017年最高試合並みの名勝負。こんな試合がほとんど注目されず、こっそり行われました

英国期待のジョシュ・ウォーリントンが“世界前哨戦”に勝利した。しかも相手は強豪キコ・マルチネス。日本の長谷川穂積にも勝利した元王者である。
 
実はこの試合、村中優vsカリド・ヤファイと同日に別会場で行われていた。もしかしたら同時視聴というか、両方の試合をチラチラ観ながらというファンも多かったのではないだろうか。
同日の同時間帯に別会場で、それぞれ人気者がリングに上がる。まさに英国のボクシング人気を象徴する事例である。あまりいいとは思わないが。
 
「村中優惜しい!! ヤファイを追い詰めるが、最後の最後で失速。敵地で絶好のパフォーマンスは次につながる」
 
というか、ウォーリントンvsキコ・マルチネスだ?
何だ? その好試合が約束された垂涎もののカードは。
 
そんなすげえマッチメークを日本人絡みの試合と被せんじゃねえよww
そういう無駄使いをやってると、そのうち衰退しちゃうぞ? あ?
 
とまあ、名前を聞いただけでもテンション上がりまくりの組み合わせなのだが、実際の試合も期待にたがわぬすばらしいものだった。
「2017年の最高試合候補出ました!!」と言いたくなるほどに。
 

インファイトのスペシャリスト、キコ・マルチネスが至近距離での差し合いでウォーリントンを圧倒する

ジョシュ・ウォーリントンvsキコ・マルチネス。
申し上げたように、めちゃくちゃおもしろかった。
 
お互いに堅いガードと強烈な詰めを得意とするインファイター。
 
スピードはないが、相手をじりじりと袋小路に追い詰め、逃げ場をなくしてから攻め落とすタイプのマルチネス。
すべての攻撃をガードし、前後左右にポジションを変えながらいつの間にかコーナーを背負わせ、長いリーチでガードの間を打ち抜くウォーリントン。
タイプは多少異なるが、がっちりかみ合うこと間違いなしの激突である。
 
「ジェイコブス大健闘!! ゴロフキンのKO記録をストップ!! でもがんばった止まりかな。倒し方は見えたけど誰ができんの?」
 
どちらのインファイトが相手を上回るか。
どちらがパワーと駆け引きで相手を下がらせるか。
また、後退させられた方はどういう対応を見せるか。
 
何から何までテンション上がりっぱなしの試合である。
 
「ヤファイが無難に石田匠に勝利。うん、石田全然間違ってない。アレで正解だしアレしかない。やっぱりヤファイに勝てるのはアイツだろ」
 
そして、結果的に相手を下がらせたのはキコ・マルチネス
大きな一歩目でウォーリントンの股下まで踏み込み、強烈な左でガードの上を叩く。
続けざまにサイドから右フックを被せ、一気に懐に潜り込む。
サイドに逃げるウォーリントンの進路を左足でふさぎ、逆方向から右ボディを叩き込む。
 
身体を入れ替えられるたびに体勢を立て直し、何度もプレスをかける。
 
うん。
さすがはインファイトのスペシャリスト。周辺階級ではNo.1を争うインファイターと言っても過言ではない。
 
「村田vsエンダム感想。疑惑の判定負け? 素人がプロに口出すな。やったことがないヤツが語るな」
 

あれだけ押し込まれてもディフェンスを崩されない。堅いガードをキープするボディバランスといい、村中優とは一味違う

対するジョシュ・ウォーリントン。
正面衝突のインファイトではマルチネスに後れをとったが、この選手のディフェンスはそれで崩されるほどヤワではない。
ガードとパリングでマルチネスのジャブを防ぎ、すぐさま打ち終わりにカウンターを返す。
 
2016年4月の天笠戦でも思ったのだが、実はこの選手はカウンターが得意である。
 
サイドステップで相手の攻撃を受け流し、同時にサイドに回り込む。そこから間髪入れずに打ち込むカウンター。
自分の得意なアングルに位置取り、間を置かずに打ち返すのが本当にうまい選手である。
 
相手の射程を外し、自分のパンチだけが当たる位置にスルッと入り、打ち終わりを狙ってフックを叩き込む。
常にガードを高くキープし、サイドに動きながらカウンターをねじ込む。マルチネスの動き出しを狙って的確にストレートをヒット。あれだけ強いプレスを受けてもガードが崩れないボディバランスもさすがのひと言である。
 
どちらの選手も、まさしく第一人者。
カリド・ヤファイの連打を無防備に被弾し続け、勝負どころの後半に消耗した村中優とは一味違う。
 
「リカルド・ロドリゲスっていい選手だと思う。井上尚弥の苦手なタイプかも? 米国からのオファーがあるってホントかね」
 

なぜ長谷川穂積はキコ・マルチネスに挑戦しようと思ったのか。どう考えても天敵としか思えないのだが

この試合に際し、ためしに2014年4月のキコ・マルチネスvs長谷川穂積戦を観直してみたが、あれヤバいっすねww
結果を知っているからかもしれないが、1R開始直後から絶望感しかない。
 
右のリードをはじかれ、サイドステップをあっさり先読みされる。切り札の左に合わせて踏み込まれ、苦もなく距離を潰される。そのまま右ストレートでまっすぐ下がらされ、ロープ際に追い込まれる。
ギリギリ身体を入れ替え命拾いするが、捕まるのが時間の問題なのは明白である。
 
そして、2R開始早々ロープに詰められ、ラッシュを浴びてダウン。
 
「圧勝ザキヤノフ!! ウォーレン手も足も出ず。やべえなww サウスポーの墓場みたいな試合だった。ザキヤノフ恐るべし」
 
いや、これは負けますわ。
長谷川穂積にとってのキコ・マルチネスは天敵としか言いようがない。
なぜこの相手に挑戦しようと思ったのかというくらいに。
 
「はあ、ラッセルたん…。エスカンドンを接近戦で圧倒して勝利!! この試合好き過ぎて、もう5回くらい観てるw」
 

何じゃこの攻防ww 両者の駆け引きがすご過ぎてついていけないっすww

だが、接近戦でのポジショニングが得意なウォーリントンはまったく別物。見切りと身体能力で対抗して撃沈した長谷川穂積とは根本的に違う。
 
マルチネスの踏み込みに合わせてサイドに回り込むウォーリントン。だが、絶対に正面は外さない。
打ち終わりのわずかなオフバランスを狙ってカウンターを叩き込み、すぐに距離をとる。
 
対するマルチネスはさっと逆足を踏み出し、すばやく方向転換する。
ウォーリントンのカウンターが当たる瞬間にガードを上げ、打ち終わりの打ち終わりを狙う。
 
「やっぱりすげえなトラメイン(トレメイン)・ウィリアムズ。ウィリアム・ゴンサレスを1RKOでぶち抜く」
 
そこでウォーリントンは、マルチネスが方向転換する瞬間のカウンターをボディに切り替える。自分に正対するまでのわずかな間を狙い、進行方向からのボディで挟み打ちにする。
 
これを封じるために、連打で対抗するマルチネス。だが、腕を激しく振る分プレスが弱まり、ウォーリントンに動き出しを狙われてしまう。
 
「バルデス完勝!! セルバニアを寄せつけず。思ったよりいい選手なのかもなオスカル・バルデス。ダウンを奪われながらも攻撃の手を休めず打ち続ける」
 
マルチネスの連打に被せるように連打を放つウォーリントン。
被弾しつつも強引に懐に飛び込むマルチネス。
 
一進一退の攻防。
激しく入れ替わる攻守。
おもしろいったらありゃしないww
 
「KO必至? ブルックvsスペンスウェルター級頂上決戦の行方は? パワーとテクニックの最高峰の激突」
 

「引き出しの多さ」と「体格的優位」で勝利を掴んだウォーリントン。キコ・マルチネスはS・バンタム級で亀田和毅戦ってのはどうよ?

目を奪われるほどの大激戦の末、僅差で勝利したウォーリントン。
どちらに転んでもおかしくない試合だったが、あえて勝因を挙げるとすれば「引き出しの多さ」だろうか。
 
基本的に前進してプレスをかけるだけのマルチネスに対し、動きながらカウンターが打てるウォーリントン。得意分野の接近戦では後れをとったが、プランBを用意していた分、若干の余裕があった感じか。
 
後はナチュラルなフェザー級のウォーリントンと、下の階級から上げてきたマルチネスという体格的な違いも影響したかもしれない。
身長170cmのウォーリントンに対し、キコ・マルチネスは165cm。もしかしたらもう少し小さいかもしれない。
 
この体格差を埋めるために、マルチネスはパンチを打つ際にどうしても伸び上がる必要がある。
シーサケットに敗れたロマゴン同様、小さな選手が伸び上がる際にできるわずかな硬直。これはホントにどうにもならない。この動き出しの瞬間を狙われ、マルチネスが攻撃を寸断されるシーンは確かに多かった。
 
「シーサケット勝利!! PFP No.1 ロマゴンに判定で大金星を挙げる!! すっばらしいねシーサケット」
 
ああ、そういえば。
ウォーリントンは途中で右手を痛めていたかもしれないですね。
 
 
ちなみにだが、キコ・マルチネスは今後はどうするのだろうか。できることなら、僕はS・バンタム級で亀田和毅戦が観たい。
 
「いいじゃん亀田和毅。そうそう、これをやって欲しかったんだよね。エドガー・マルティネスを1RKO」
 
パッと思いついただけだが、今の亀田和毅がキコ・マルチネスのプレスにどう対応するかには非常に興味がある。何かの巡り合わせで実現しないだろうか。可能性は低そうだが。
 
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