レイ・バルガスが日本に来るぞ?! カボレに圧勝判定で挑戦者決定戦を制す。長谷川穂積がウーゴ・ルイスに勝ったら日本で防衛戦やるよな?

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ラグーナ/メキシコ
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2016年6月11日(日本時間12日)にメキシコシティにあるアレナ・コリセオでWBC世界S・バンタム級挑戦者決定戦が行われ、同級1位のレイ・バルガスが5位のアレクシス・カボレを3-0(120-108、120-108、120-108)の判定で下した。
 
「無敗対決レイ・バルガスvsギャビン・マクドネル予想。かなり興味深い試合です。長谷川穂積の後がまに座るのはどっちだ?」
 
圧倒的大差で決定戦を制したレイ・バルガスは戦績を27勝無敗21KOとし、同級王者であるウーゴ・ルイスへの挑戦権を手にした。
 
「弱点バレバレやんけ。レイ・バルガスがロニー・リオスに大苦戦。バルガスがわかりやすく弱みを露呈」
 
長身の強打者レイ・バルガスがついに世界挑戦権獲得。
標的は2015年10月にフリオ・セハに勝利して王座を獲得したウーゴ・ルイス。もしくはそのルイスとのタイトルマッチが噂される日本の長谷川穂積。
S・バンタム級ホープの真の実力が試されるときは近い。

勝利最優先の安全運転でカボレを完封。リーチとスピードの差を見せつけての勝利を飾る

置きにいったなレイ・バルガス。

この試合を観た感想だが、ごくごく簡潔に申し上げると、
「レイ・バルガスの超安全運転」
これに尽きる。

一定の距離を保ち、ジャブを出しながら左に回る。リーチ差を活かして自分のパンチだけが当たる距離をキープし続け、カボレに反撃を許さない。
カボレの踏み込んでからの左をスウェーでかわし、得意の左ボディ。

自分のスピードを見せつけるような踏み込みから左右ボディ、そこからアッパー、右ストレートにつなげるコンビネーション。
フック気味に軌道を変化させた左、右のショートを顔面に。そして得意のボディをもう一発。

「おなじみムニョス見参!! レイ・バルガスに試練か? 世界前哨戦でベテラン元王者を一蹴できるか」

再び距離をとって小刻みなジャブ。
カボレの反撃をスウェーで避けながら左回り。

試合開始直後から終了のゴングが鳴るまでの36分間、レイ・バルガスがやっていたのはこれだけである。
1Rから12Rまで、どこから観始めても一緒。どこを切り取っても同じような光景が繰り広げられる。すべてのオーディエンスを安らかな眠りにいざなう至高の子守唄である。

今回のレイ・バルガスのテーマは「勝利」。とにかくこの一点だけに全身全霊を傾けたボクシングである。
前回のエスキベル戦でのゴリ押しからの衝撃的KOではなく、スピード差と身長差を最大限に利用した確実な勝利。世界タイトル獲得のための最善手を選択した上での大差判定勝利である。

「レイ・バルガスやべえww強いww こいつは絶対覚えておいた方がいい」

対戦相手のアレクシス・カボレは初めて観た選手だったが、おおざっぱに言うと「射程距離の短い攻防分離型」といったところだろうか。

リーチが長くガードも固い。
だが、いかんせんパンチの射程圏が狭い上に追い足もない。
力のあるパンチを打つには自分の距離まで近づく必要があるが、基本的にはガードを上げてにじり寄るだけ。そのためレイ・バルガスのようなスピードのある相手には追いつけない。
また防御は基本ガードのみで、攻撃に移るまでに時間がかかり攻防分離傾向が強い。そのため、一定の距離を保って高速の連打を打ち込んでくるバルガスにはついくことができない。

一見、野性味溢れるフリースタイルな風貌をしているのだが、実際はイメージとは真逆の選手だった。

なるほど。
確かにレイ・バルガスのようなタイプがこの選手を攻略するには今回の作戦は最も効率的だ。
観客にとってはフラストレーションの溜まる試合だったかもしれないが、今後のキャリアを考えれば勝利優先は仕方がない。無理に倒しにいく必要はまったくなく、試合のプランとしては完璧に近かったのではないだろうか。

「レイ・バルガスがムニョスに勝利し、また一歩王座へ近づく。でも見た目ほど圧勝じゃなかったな」

レイ・バルガスの実力が見えてきた? ガードの低さと強弱のなさが気になる

以前の記事で、僕はこのレイ・バルガスを「すげえ、モノが違う」と絶賛している。だが、確認した試合がすべて一方的だったこともあり、この選手の全体像がいまいち見えていなかったことも確かである。

そして今回の試合で、これまで見えなかったレイ・バルガスの実体がほんの少しわかったような気がする。

まず、見ての通りハンドスピードは抜群である。得意の左ボディを含めた高速のコンビネーションは間違いなく脅威となる。
また、あれだけの強打を連打し続けられるのだから身体全体のパワーもあるのだろう。長身選手にありがちな下半身の不安定さというか、バタバタとした足運びはこの選手には見当たらない。
さらにリーチの長さを活かした距離の取り方もうまい。左腕を突き出して相手の頭を押さえ、勢いを止めておいてから相手の打ち終わりを狙うという狡猾さもある。

つまり、長身選手のやりにくさとファイターのパワフルさを兼ね備えたハイブリッド型。ポテンシャルの高さというか、個体能力自体はピカイチと言っていいのではないだろうか。

逆に懸念材料を挙げるとすれば、一番に目につくのはガードの低さである。
この選手の防御は基本的に上半身のスウェーのみであるため、どうしてもすべてのパンチを防ぐことは難しい。
今回の試合でもカボレのフックを被弾するシーンがたびたび見られたが、追い足がなく射程距離も短いカボレの踏み込みでも、無防備な被弾を許す危険性は常にはらんでいるのである。

また、攻撃が直線的過ぎる部分も見受けられる。
確かにパンチのスピードは速い。強力なコンビネーションもある。
だが、まっすぐ踏み込んで連打、パッと離れて安全圏へ退避。攻撃パターンはほぼこの繰り返しなので非常に単調で読みやすい。調子の悪いときのアミール・カーンというか、もう少し動きやパンチに強弱があればいいと思うのだが。

シフトウェイトがうまい攻防兼備の選手にプレッシャ―をかけられた場合、このままだとかなり苦戦しそうではある。

これは余談だが、2016年7月20日に行われる井岡一翔vsキービン・ララ戦がこんな感じの試合になりそうな気がしている。もちろん井岡がレイ・バルガスで、カボレがキービン・ララである。

予想記事でも申し上げたように、井岡がアウトボクシングに徹した場合は圧倒的なポイント差とともに金返せレベルのつまらない試合が成立するだろう。その具体例が今回のレイ・バルガスvsアレクシス・カボレ戦というわけである。

「キービン・ララってそんなにダメか? 井岡が勝つと思うけど、普通にいい選手じゃないの?」

だから打ち合え井岡。
キービン・ララを倒しにいく気概を見せろ。

長谷川穂積の防衛戦にレイ・バルガス? これは本当に日本にくるんじゃないか?

噂によると、WBC世界S・バンタム級王者のウーゴ・ルイスに日本の長谷川穂積が挑戦することが濃厚らしい。まだ正式発表はされていないが、9月初旬の日本開催が有力とのことである。

つまり、その試合で長谷川穂積が勝てば、防衛戦で長谷川穂積vsレイ・バルガス戦の日本開催までが約束されることになる。

いや、これはなかなか楽しみな展開である。
期待のレイ・バルガスが日本で観られる。
しかも対戦相手は日本屈指のサウスポー長谷川穂積。

「ウーゴ・ルイスに挑戦! 長谷川穂積最終章開幕。ラストファイトか? 大阪で引退をかけて3階級制覇へ」

仮にこの試合が実現すれば、強化版天笠vs超絶劣化リゴンドーの対決になるわけだ。
長谷川が負ければそのまま引退になるだろうし、いろいろな意味でたまらない。どうにかこの青写真が現実のものとなって欲しい。

「長谷川穂積辛勝!! カルロス・ルイスに2度のダウンを奪われながら僅差判定勝ち」

というか、普通に考えてウーゴ・ルイスvsレイ・バルガス戦を直でやればいいだけの話じゃないのか?
なぜそこに長谷川穂積が出てくるんだ?
しかも直近の試合が2階級上のS・フェザーで、なおかつ半年以上試合をしていないロートルが。まどろっこしいったらありゃしない。

「長谷川穂積は引退するべきか? 現役続行するべきか?」

この話はウーゴ・ルイス側からのオファーだったのか、それとも長谷川陣営がねじ込んだものなのか。真相はわからないが、不可解極まりない。

もっと言うと、普段「ベルトの価値の低下が~」とか「金で買ったチャンピオンに価値はない」と大騒ぎしているファンが歓迎ムードなのも意味不明である。

2015年に2試合しかしておらず、どちらの試合もS・バンタムとは別階級での試合。こんな選手がきっちりと挑戦者決定戦をこなしたレイ・バルガスを差し置いて突然出てくる不可思議な現象。今こそ「ベルトの価値」云々騒いでいる方たちは大声で糾弾すべきときだと思うのだが。

不思議だ。
不思議でならない。

何だかんだとそれっぽいことを言ってはいるが、結局好き嫌いの脊髄反射でわめいているだけということなのか?

「言うほどいい試合かこれ? 長谷川穂積がウーゴ・ルイスから王座奪取!! すまん長谷川、あんまり感動せんかった」

まあ、レイ・バルガスを日本で観られる可能性を考えれば悪くはないし、そもそもそういったことにあまり興味がないので別にいいのだが。
長谷川がウーゴ・ルイスに勝てるかもわからないし。

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