テテがアロイヤンに快勝! テテがよかったよね。この対応力は予想してなかった。何をIQ高い感じ出してんだよお前ww【結果・感想】

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2018年10月13日(日本時間14日)、ロシア・エカテリンブルグで行われたWBSSバンタム級1回戦およびWBO世界バンタム級タイトルマッチ。
同級王者ゾラニ・テテが6位のミーシャ・アロイヤンと対戦し、3-0(114-111、114-111、114-110)の判定で勝利。準決勝へと駒を進めた一戦である。
 
 
180cmを超えるリーチを武器に2013年から連勝を続けるテテが、元トップアマのミーシャ・アロイヤンを敵地で迎えうった今回。
 
序盤からテテの右ジャブが冴え、立ち上がりからいきなりアロイヤンからダウンを奪う。
その後もテテが長いリーチと距離感を活かしてヒットを重ね、アロイヤンにペースを掴ませない。
 
後半8、9Rにアロイヤンに追い込まれるシーンもあったが、それ以外はほぼ問題なし。
クリンチとフットワークを巧みに使い分け、元トップアマのアロイヤンに何もさせずに判定勝利を挙げた試合である。
 
 
なお勝利したテテは、11月3日に行われるライアン・バーネットvsノニト・ドネアの勝者と準決勝を戦うことになる。
 
「テテ負けたの!? カシメロ勝ったの!? フィリピンの腕力大王がバンタム級の長い人をワンパンで沈める」
 

おもしろい塩漬け試合だった。思ってたのとは違うけど。両者の心理状態と駆け引きが見える好(塩)試合

まず今回の試合、率直な感想を申し上げると「なかなかおもしろかった」
 
基本的にはテテがアロイヤンを塩漬けにした試合なのだが、それでも両者の駆け引きが随所に見られた。なので、僕にとっては非常に楽しい試合だったと言える。
 
場面ごとに切り取るとかなりの塩試合だけど、全体を通して観ればなかなかおもしろい。思ってたのとはちょっと違うけど。
うまく言えないが、だいたいこんな感じか。
 
勝利したゾラニ・テテは次戦でバーネットvsドネアの勝者と当たるわけだが、個人的にはバーネット戦が観たい。
 
ドネアでもいいのだが、アロイヤンにこの勝ち方をしたテテが、アロイヤンの上位互換? 的な試合運びができそうなバーネット相手にどんな対応を見せるかには非常に興味がある。
 
まあ、決勝で井上尚弥に勝てるとすれば、何だかんだでドネアが奇跡を起こすくらいしかなくね? とも思っておりますが。
 

アロイヤンの接近戦が機能すると思ってました。それを見越したテテの対応力がお見事だったね

まず今回の試合、僕はアロイヤンが接近戦で勝負すると思っていた。
 
長身、長リーチのゾラニ・テテはジャブが鋭く動きも速い。
この選手と普通に対峙しているだけでは、遠い位置で削られ続けて終わり。
 
逆にフィジカル面はやや脆弱で、懐に入られた際に脆さを見せる場合がある。
過去に喫した3敗も、すべてインファイトに巻き込まれてのもの。
 
恐らくアロイヤンもそこを狙って作戦を立ててくるはず。
そして、アロイヤンの接近戦が機能すればテテ陥落は十分あり得る。
 
だいたいこんな感じで予想していた。
 
「ゾラニ・テテvsミーシャ・アロイヤン予想。WBSS準々決勝で長身サウスポーとトップアマの塩マッチ?」
 
だが、結果は真逆。
 
アロイヤンの接近戦はことごとくテテに封じられ、鋭い右で足止めされる地獄。
ところどころで元トップアマらしい動きは見せたが、試合内容としては完敗と言わざるを得ない。
 
特に「おお」っと思ったのが、やはりダウンを奪った初回。
テテがいきなり前に出て腕を振り、アロイヤンの出足を止めたのには大いに驚かされた。
 
接近戦を挑む暇もなくラッシュを浴びて、一気に警戒心を強めるアロイヤン。
 
ダウンを喫した右もそうだが、その前にテテが懐でフルスイングした左。あの1発に思いっきり面食らった感が強い。
しかも、テテは咄嗟に出したというより、最初から狙っていたように思える。
 
要は、アロイヤンの接近戦狙いを予測し、自分から前に出て出鼻を挫く。これがテテ陣営の作戦だったということか。
 
いきなり相手の出足を止めてペースを掴んだ試合として思いつくのは2013年のギジェルモ・リゴンドーvsノニト・ドネア戦だが、今回のテテもまさにそれ。
初回から勝負をかけるのはかなり勇気がいるとは思うが、それも含めてマジでお見事だった。
 
まあ、リゴンドーはあの試合でドネアの出足とともに自分のキャリアまでもストップさせてしまったわけだがww
 

テテのフルスイングに警戒心を強め、ペースを崩したアロイヤン。遠い位置から踏み込み、楽々かわされる展開

いきなりダウンを喫して出鼻を挫かれたアロイヤンは、それ以降、完全にペースを崩してしまう。
 
遠い位置から思い切り踏み込み、左を1発。
そのままテテの腕を抱えてリング上で停滞する。
 
初回にテテのフルスイングを被弾したおかげで警戒心を刷り込まれ、なかなか近場での連打を出せない。どうしてもテテの腕を掴むことに神経を使ってしまう。
対するテテは、アロイヤンの踏み込みをバックステップで楽々かわし、すぐさまリターンを返す。
 
うん、キツいね。
これはキツい。
 
過去、テテを接近戦に巻き込んで勝利した選手は、ガードを上げてじっくり距離を詰める方法で攻略してみせた。
 
だが、今回のアロイヤンは遠い位置から飛びかかって腕を振るだけ。
一足飛びで間合いをゼロにしようという意識が強く、それが完全に空回りしている。
しかも初回にいきなりダウンを食ったせいで、明らかに「より速く」「より遠く」への傾倒が見られる。
 
確かにアロイヤンの踏み込みは鋭いが、さすがにテテの脚力とリーチを超えるほどではない。
そもそもの身長、足の長さが違うし、来るとわかっているならいくらでも対処のしようがある。
 
もともとアロイヤンはモルティ・ムザラネのように「被弾覚悟で我慢してじっくり前へ」というタイプではないが、それでもいきなりラッシュを浴びて浮き足立ってしまったか。
 

コツを掴みかけたアロイヤンと、それをさらに上回ったテテ。こういう対応力のある選手だったんだな


そして、アロイヤンが「このままじゃアカン」と気づいたのが8R。
 
なるべく自分からは手を出さず、テテのリードを確実にガードしながら前に出る。
コーナーに追い詰め、近場での連打を浴びせる。
 
これまでのように遠い間合いから飛び込むのではなく、ガードを上げてじっくり距離を詰める作戦への移行である。
 
実際8、9Rはテテがコーナーに詰まるシーンが増え、ようやくアロイヤンがコツを掴んだか? と思わせる流れだった。
 
だが、この日のテテは対応力が違う。
 
アロイヤンのプレッシャーで後退させられた8、9Rを受けて、10R以降は自分から前に出てアロイヤンを迎えうつ。
 
ガードを上げて体当たりするように距離を詰め、無理やりアロイヤンの前進を止める。
リング中央から決して下がらず、逆にアロイヤンを押し返してみせる。
 
顎が上がり、肩で息をするアロイヤン。
身体を密着させるテテを肘で押し返し、レフェリーから注意を受けてしまう。
全身から漂う手詰まり感が凄まじい。
 
いや、今回のテテは本当にすごい。
相手の作戦を読んで先回りし、さらに対応力でも上をいく。
 
基本的にこの選手はあまり頭を使う方ではないと思っていたのだが、こういう支配力? 対応力? を持ち合わせた選手だったのはちょっと意外だった。
軽くテレンス・クロフォードの下位互換っぽくもあったかな?
 
「村田はブラントに勝負師として負けてる。準備、経験、覚悟。すべての面でブラントが上回り完勝。文句なしの感動的な試合」
 
短いラウンドを全速力で走り抜けるアマチュアと、12Rの中で流れを感じながらペース配分できるプロ。
 
よく「アマチュアの方がプロよりもハイレベルだろ」みたいな議論を見かけるが、正直僕はそこには興味がない。どちらが上でも下でも「へえ、そうなんだ」としか思わない。
 
ただ、今回に関しては、ゾラニ・テテのプロでの経験値がトップアマの実力を上回ったと言えるのではないか。
再戦すればどうなるかはわからないが、現時点では間違いなくゾラニ・テテの快勝だった。
 
 
ちなみにだが、僕が12Rを通しての押し引きがもっともうまいと思う選手は、問答無用で井岡一翔である。
 
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