田中恒成にデラホーヤ、パッキャオを感じた日。田口良一を大差判定で粉砕。僕がボクシングをテレビで観る理由【結果・感想】

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岐阜イメージ
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2019年3月16日、岐阜メモリアルセンター で愛ドームで行われたWBO世界フライ級タイトルマッチ。同級王者田中恒成がランキング4位で元L・フライ級統一王者田口良一と対戦。3-0(117-111、117-111、119-109)の判定で勝利し、初防衛に成功した。
 
2017年末に予定されていた両雄の一戦が実現した。
田中恒成の負傷により一度は頓挫したが、2018年5月に田口がL・フライ級王座から陥落。今回改めて仕切り直しとなった試合である。
 
 
そして、試合は期待に違わぬ大激戦。
初回から積極的に距離を詰めて腕を振る田口に対し、田中も真正面から受けて立つ。ハンドスピードを活かした連打で田口の強打を止め、至近距離のボディでダメージを蓄積させていく。
 
田口も得意の左ボディで応戦するが、左右に動き続ける田中についていけない。時おり強烈なカウンターで顔面を跳ね上げられるなど、劣勢の状況が続く。
 
後半、中間距離での差し合いで田口がやや持ち直したものの、最後まで田中の動きは落ちず。ジャッジ1人が119-109をつける3-0の大差判定で見事に初防衛を飾った。
 
「田中恒成がゴンサレスを7RTKO。だから田中は近場の差し合いで勝負する選手だと8億5248万5年3ヶ月前から言ってる」
 

田中恒成勝利!! 田口良一もがんばった。でも、今回は田中がすごすぎた

1年半越しの因縁の対決に田中が勝利した。
結果は3-0(117-111、117-111、119-109)の大差判定勝利。元統一王者の田口良一を相手に見事な試合運びで初防衛を飾った試合である。
 
僕もこの試合は以前から楽しみにしていて、画面に食い入るように観戦したのだが、いやすごかった。今回の田中恒成はホントにすごかった。
 
Twitterでも申し上げたが、1Rの動きを観て「こりゃ田中勝つな」と。


3Rに右フックで豪快にグラつかされて「あれ? また大恥かくパティーンか?」と一瞬思ったのだが、すぐに立て直したので「ああ、大丈夫」みたいなww


前傾姿勢で距離を詰め、ハンドスピードで田口を圧倒。
小さくサイドにステップしながらボディを打ち込み、さらに顔面へ。
田口が強引に腕を振れば、一歩下がって打ち終わりにカウンターをヒット。
 
以前からこの選手は激しい出入りよりもインファイトで勝負した方がええんちゃうか? と申し上げてきたが、今回の試合運びがまさにそんな感じ。
何とも言えないが、近い間合いで自分の持ち味を発揮する方法を確立したか?
 
「田中恒成ええじゃないですか! バルドナドを9RTKOで下し、フライ級初戦を飾る」
 
個人的に田中恒成は2015年のビック・サルダール戦→2016年のレネ・パティラノ戦にかけて覚醒したと思っているのだが、前回の木村翔戦から今回の田口戦で2度目の覚醒が起きた気がする。
 
 
なお、Twitterに関しては普段使っているアカウントと間違えて呟いたことを報告しておくww
 

田口もナイスファイト。でも、作戦をちょっとミスったかな。まさか自分から接近戦を仕掛けるとは

敗れた田口良一については、こちらもめちゃくちゃがんばったなと。
 
前半あれだけ厳しい展開の中でも諦めずに打ち返し、後半以降は持ち直す粘り。この選手がまともにグラついた姿を観たことがないというか、さすがは元統一王者というファイトだった。
 
ただ、若干作戦をミスったかな? と思う部分はある。
 
僕は今回の試合、田中がいかに接近戦に持ち込むかが試合の見どころだと思っていた。
田口の左ジャブをかいくぐり、近場での打ち合いにどう巻き込むか。恐らく至近距離でのハンドスピードは田中>>田口で、田口が活路を見出すには田中を中間距離にとどめておく必要があると予想していた。
 
「そして伝説()へ…。 田中恒成が木村翔に判定勝利で最速3階級制覇。至近距離での打撃戦と駆け引きがすごかった」
 
ところが、実際には初回から前に出たのは田口の方。
ガードを上げて低い姿勢でぐいぐい距離を詰め、至近距離でショートを打ち込んでいく。
左ジャブでスペースを作り、もう一歩踏み込んでボディ。そこからガードを上げてさらに前進し、頭の当たる位置での打ち合いを挑む。
 
正直、これはちょっと意外だった。
両者の戦力を比較すると中間距離では田口に分があり、勝負するのもそこしかないと予想していたので。
 
そして、田口が自分から出てきたのは田中にとっては待ってましたの展開。
近場でのハンドスピード、正確性は間違いなく田口より上。しかも、階級アップによってフィジカル面も強化され、正面衝突で押し負けない力強さも身につけた。
 
逆に田口はL・フライ級時代のパワフルさがやや目減りしたイメージ。持ち味の強靭なフィジカルがちょっと感じられなかった。
 

田中のジャブの多彩さにも驚いた。中間距離でも田口に打ち勝つとはね

もう一つ付け加えると、田中のジャブの多彩さにも驚かされた。
 
予想記事でも申し上げた通り、両者を比較すると
至近距離では田中
中間距離では断然田口
遠い距離では田中
だと思っていた。
 
「田中恒成vs田口良一決定か。どうなるかがまったくわからん。今回はTBSで全国中継されるってさよかったな」
 
だが、今回は中間距離でも田中が打ち勝つシーンが見られた。
8、9Rあたりで田口がジャブを多用して立て直そうとしていたが、そこでも田中は臆さず左の差し合いを挑み、逆に打ち勝ってみせた。
 
左の差し合いから連打につなぎ、打ち終わりを狙って右をヒット。田口を下がらせ、得意の至近距離に持ち込む。
 
これまでビック・サルダールや木村翔など単発気味の相手には打ち勝ってきた田中だが、小型版内山(僕がそう呼んでいる)の田口に同じことができるとは。
 
なるほど。
確かにこれはアルテム・ダラキアンとの統一戦が観たいかもしれない。
 
「木村翔アカンか…。カニサレスの連打をもらいまくって失速。余裕の減量が逆に仇になったか? 村田vsブラントっぽかった」
 

田中に感じるデラホーヤ、パッキャオ。歴代スター選手と同種の雰囲気が田中にはある


そして、僕がもっとも感銘を受けたのが田中のスター性。


「田中恒成はドラゴンボールの孫悟空っぽいところがある」
「相手の力を全部出させた上で勝利する」
などと申し上げたが、このあたりの性格は歴代のスター選手とかぶる部分がある。
 
フリオ・セサール・チャベスに真正面からの打ち合いで引導を渡したオスカー・デラホーヤや、ふた回り大きなアントニオ・マルガリートをKO寸前まで追い込んだマニー・パッキャオなど。
損得勘定を度外視したファイトで観客を沸かせるスター性。
 
いや、こういうのってマジであるんだよな。
勝敗を超えた醍醐味というか、美学というか。記録よりも記憶に残るというか。
 
勝敗以上に人の心を動かす力がスポーツにはあって、スター選手っていうのはそれを見事に体現してくれるんですよね。
 
「ダニエル・ローマンvsTJ・ドヘニー。新しい扉のその先へ。後楽園ホールのリングは世界へ続いてた()」
 
目の前に立つものすべてをなぎ倒し、未だ底を見せない井上尚弥。
日本屈指のテクニックを総動員した鬼の理詰めを展開する井岡一翔。
常に強敵に立ち向かい、歴代スター選手と同種の雰囲気を漂わせる田中恒成。
 
普通に考えて、同時期にこれだけのタレントが揃う日本ボクシングってすごいよね。
 
 
で、何で人気ねえんだよ。
 
「アンヘル・アコスタがガニガン・ロペスに苦労しつつもKO勝利。若さと馬力の違いやね。アコスタは統一戦希望」
 

僕がボクシングの世界戦をテレビで観る理由? いや、だって。単調だし高いし放置されるし

表題の通りなのだが、僕がボクシングの世界戦をテレビで観る(現地に行かない)理由は、
 
・イベント自体が長くて単調なので飽きる
・チケット代が高い
・時間調整と称した放置プレイがある
 
というのが大きい。
 
「イベントが単調で飽きる」についてはそのままの意味。
 
「入場→選手紹介→試合開始→判定orKO→退場」
基本的にすべてこの繰り返しで、途中に余興が入るわけでもない。しかも後半に行けば行くほどラウンド数も増えるので、メインが始まる頃にはクッタクタという。
 
また、日本は軽量級が中心なので、どうしても遠い位置からは試合が見えにくい。
 
ところが他競技に比べて「チケット代が高く」、リングに近い席を買うのもはばかられる。
今回で言えば、最高金額が50000円。
正直、わざわざ岐阜の僻地まで行ってその金額を出す情熱は僕にはない。
 
「田中恒成指名試合するってよ。ジョナサン・ゴンサレスと8月24日に名古屋で。vsサウスポーの対応に注目してマス」
 
そして、テレビ中継が入るとどこかで必ず「時間調整と称した放置プレイ」にさらされる。
僕が最後に世界戦を現地観戦したのは2016年有明コロシアムでの大橋興行なのだが、その際に食らった放置プレイは約30分。余興もクソもないまま、スクリーンには八重樫東一家のドキュメンタリーが延々リピートされるという地獄である。
 
いや、もう勘弁してくれよと。
八重樫の家庭事情とか、まったく興味ねえからww
 
そういった諸々を加味すると、結局自宅でテレビ観戦が最強じゃねえかという結論に至るわけで。
 
 
まあ、要するに「選手個々を観たい」か「イベント自体が楽しい」かの違いなんだろうと。
 
僕はちょくちょくバスケのBリーグを現地観戦するのだが、なぜわざわざ足を運ぶかというと、単純に現地が楽しいから
 
別に応援しているチームがあるわけでもなく、特に好きな選手がいるわけでもない。ただ、いつどの試合に行ってもすげえ楽しい。だからまた行きたくなる。
 
「川崎ブレイブサンダース現地観戦のパワーアップがエグい。一過性のブームへの依存はよくないけど、ブームが起きたら絶対逃したらアカン」
 
逆にボクシングは目的の選手、目的の試合ありきで考えるので、どうしてもテレビ観戦を選ばざるをえない。これを言うと「試合内容を楽しめ」と怒られるのだが、内容云々を重視するならなおさらテレビがいい。
 
というより、僕個人で言えば現地観戦において試合内容はそれほど重要ではない。技術が〜とか、駆け引きどうこうより、現地観戦ならではの非日常の方がよっぽど大事。
 
どうせ一方向からしか見えないし、技術()なんて遠目じゃよくわかれへん。
そんなことより、純粋にお祭りとして盛り上がりてえッス。その部分がボクシングには絶対的に足りてねえ気がするッス。
 
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