田中将大、ホームラン被弾で最終戦を飾れず。12勝7敗の成績でシーズンを終える

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海と空イメージ
2015年田中将大最終成績
24試合
12勝7敗
防御率3.51
投球回154回
139奪三振

アメリカ大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースに所属する田中将大が9月30日(日本時間10月1日)、本拠地ヤンキースタジアムで行われたレッドソックス戦に先発。5回を投げて95球。初回に許した3ランを含む被安打5で4失点の結果だった。

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味方打線の反撃により勝敗はつかなかったものの、残り2枠をかけたワイルドカードに先発することが確実視される中、やや不安が残る内容といえる。

最終登板は最悪の出来。キレも球威もない

今シーズン最終登板でしたが、全然ダメでしたね。
立ち上がりからスライダーとスプリット、特にスライダーが抜けまくってどうにもならない感じでした。

ショーに3ランホームランを打たれたスプリットなどはほとんど変化していませんでしたね。あれでは打たれます。

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そしてとにかく直球系のスピードがない。
フォーシーム、ツーシーム、カットボール。直球系のボールに打者の手元での伸びが感じられませんでした。

「スピード」というのは球速表示ではなく、体感としてのスピード。打者から見て速く感じるかという意味でのスピードです。
よく「球速表示以上に速く見える」という言葉を聞くと思いますが、まさしくそれです。打者の手元で最後にグイッと押しこむような球。いわゆる「球威があるボール」「キレがある球」というものです。
この日の田中にはそういった球のキレがまったく感じられませんでした。

3回にオルティスに打たれたタイムリー。あれはちょっとヤバかったですね。あの低めのツーシームをなぎ払うように打たれるのは球に威力がない証拠です。

捕手のマキャンとのサインもいまいち合っていませんでした。ランナーを背負った場面でのサイン交換は本当に長く、リズムもよくなかったです。

登板間隔が開いて鈍ったか? 調子が出てきたころには時すでに遅し

恐らく太ももの故障で登板間隔が開いたことも影響していたのではないでしょうか。立ち上がりは実戦感覚が戻らないままバタバタしてしまった印象です。

そして、めちゃくちゃ寒そうでした。鼻の頭が赤くなっているのが画面でもわかるほどでした。
さらに風の強さも気になっていたように思います。試合中に選手のユニフォームがあれほど煽られる映像はあまり観たことがありません。
投げ終わりにバランスを崩すシーンがたびたび見られましたが、その辺りも影響していたのかもしれません。

直球が走らないというのは、要するに腕が振れていないことを意味します。
腕が振れていない。つまり、変化球のキレも直球同様に悪いということです。

案の定、この日はスプリットで思ったように空振りが奪えず、バットに当てられる場面が目立ちました。いいコースにいっても、バッターは泳ぎながらもしっかりとしたスイングができてしまうのです。

この日の田中のピッチングは打ち取った打球もきっちり捉えられていました。結果的にアウトになっているとった状態です。
ランナーを背負っても調子が上がってこない。いわゆるギアチェンジすらできないほど調子が悪かったということでしょう。

ただ、球数が70球を超えた四回あたりでようやく腕が振れてきました。肘も上がり、力が乗った球がいくようになりました。体感スピードもだいぶ出てきました。
でも五回を投げ終えた時点で95球。ちょっと手遅れでした。

物足りないと言われるだろうけど、2015年の田中はよくやったと思う

2015年シーズンの田中将大。
肘のけがを心配され続け、離脱もありましたが何だかんだで1年間を乗り切りました。
投球回以外は2014年よりも軒並み悪化して、評価自体は非常に微妙なものになるのではないかと思います。
単純に年俸だけを考えたら30登板、投球回200回、防御率3.00前半、15勝以上がノルマになるような契約内容です。それを鑑みるに物足りないと言われても仕方のない成績です。

ただ、それでも個人的に今シーズンの田中はよくやったと思っています。
メジャーの日程や登板間隔だと、開幕から全力で飛ばしていったのでは1年間持たないことは2014年シーズンで判明しました。しかも右ひじ靭帯の部分断裂という爆弾まで抱えてしまいました。
それを受けた2015年。1年間通してローテーションを守りつつ、メジャーの強打者をどうやって抑えていくかを模索するところからスタートしたシーズンでした。

開幕当初はあまりの球威のなさに肘の故障悪化を疑われ、被弾を繰り返す内容に酷評の嵐が吹き荒れました。
ですが徐々に投球内容が改善してくるにつれ、だんだんと手術を叫ぶ声も小さくなってきます。
結果的に平均球速は昨年よりも上がり、当たり前のように連続QSをマークするピッチングを見せてくれました。

これは田中自身が開幕にピークを合わせるのではなく、1年を見越したペース配分を意識した結果なのは言うまでもありません。夏場に向けて徐々に調子が上がるように、調整方法をメジャー仕様に切り替えたのだと思います。

ですが、個人的にはそれだけではないと思っています。
以前に何度も申し上げましたが、今シーズンの田中はメジャーの打者を何%の力を出せば抑えられるのかを探りながら投げていました。
2014年の田中は、ランナーがいない場面では65~75%程度の力で投げていたと思います。恐らく日本時代は40%程度の力で抑えられていたので、それよりはかなり強めに投げていたはずです。

ただ、そのペースで投げ続けるとシーズン途中でパンクしてしまいます。でも、あまりに力を抜き過ぎれば打たれる……。
今シーズン前半の田中は、1年通して投げられる体力を維持しつつ、メジャーの打者を抑えられるギリギリの線を模索していたのです。

いかに力をセーブしながら少ない球数で乗り切るか。1試合の消費エネルギーを節約しながら、いかにシーズンを通して投げ続けられるか。省エネピッチングでどれだけQSをマークできるか。

ツーシームを増やすなど投球内容を工夫しつつ、相反する2つの条件を満たす方法を模索していたのです。

最悪ソロホームランなら打たれてもいい。圧倒的なピッチングを1回するより、常に6回3失点以内に抑える方がはるかに価値がある。ベストではなくベターなピッチング。そういう割り切った考えで臨んだシーズンだったのです。

批判も耳に入っていたはずです。手術を薦める声も大きかったと予想します。そういった周囲の雑音に惑わされることなく、己の方針を貫く意志の強さも田中の強みといえるのではないでしょうか。

そして、ちょうどいい力の入れ具合を見つけたのが7月前後なのだと思います。そのおかげで7月、8月は安定した成績を残せたのではないでしょうか。

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ここからはプレーオフでのフル回転が求められる田中ですが、ある程度期待してもいいのではないかと思います。
大舞台でこそ力を発揮するタイプですし、何より田中は生粋の負けず嫌いです。どれだけ相手を圧倒するピッチングをしても、勝たなくては意味がない。結果的に負けてしまっては無意味。負けないためならどんなことも受け入れる。そういう考えの持ち主です。

胸のすくようなピッチングではないかもしれませんが、きっとチームに勝利をもたらしてくれるはずです。

「田中マー君、2発のホームランに沈む。大一番に敗れ、2015年シーズンを終える」
という僕の願望です。

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