田口完勝!! 宮崎を完封する。小柄ハンターぶりをいかんなく発揮!! 減量苦の宮崎の今後は?【結果・感想】

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戸口イメージ
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2016年8月31日、東京・大田区総合体育館で、WBA世界L・フライ級タイトルマッチが行われた。同級王者田口良一がランキング1位の挑戦者宮崎亮と対戦。3-0(116-112、117-111、119-109)の判定で勝利し、4度目の防衛を果たした。

2013年の井上尚弥戦以来の日本人対決となった田口は、持ち前のリーチを活かして宮崎を終始圧倒。ポイントゲームを挑んだ宮崎を最後まで寄せつけずに勝利を挙げる。
4連続KO防衛はかなわなかったが、田口の安定感と確かな成長が見られた一戦と言えるのではないだろうか。

「名前で損してるぞペッチバンボーン。そんなに悪い選手じゃないような…。勝つのは井上尚弥だけど」

なお、ミニマム級に続く2階級制覇を狙った宮崎はこれで2敗目。世界戦では初の敗北を喫した。

「田口良一vsカニサレス予想!! 安定王者田口が無敗の強敵ファイターと対決。よし田口、力でも技でも圧倒して勝て」

思てたんとちゃう!! あんな消極的なボクシングじゃ勝つのは難しいだろ宮崎

大差判定で田口が勝利を飾った今回の試合だが、ご覧になった方はどう思われたのだろうか。
僕は前回の記事でも申し上げた通り、この試合は至近距離での打ち合いになると予想していた。

「田口良一vs宮崎亮予想!! 物足りない世界戦? 全然そんなことはない。絶対おもしろい試合になる」

宮崎が出入りのスピードを活かして距離を詰め、田口がそれを正面から迎え撃つ。多彩な左と手数の多さで田口を圧倒しようとする宮崎に対し、田口が持ち前の身体の強さで対抗する。
序盤は一進一退の攻防が続くが、ラウンドが進むにつれて徐々に両者の体力差が明確になる。最後は田口がパワフルな連打で宮崎に引導を渡しての勝利。もしかしたら田口が終盤KO勝ちする可能性もあるのではないか。

そんな感じで、かなりエキサイティングな打ち合いを期待していた試合だった。
そして「ほらな。田口は顔に似合わず身体が強いんですよ」とドヤ顔するところまでをワンセットと考えていた次第である。

結論から言うと、全然違った
積極的な接近戦を挑むと思っていた宮崎はアウトボクシングに徹し、真正面からガシガシ打ち合うと思っていた田口は宮崎を深追いせずにポイント重視の安全策に終始する。

河野vsコンセプシオン戦が非常にいい試合だったために、予想外の平坦な流れに物足りなさを感じた方も多いと思う。
そして、当然僕もその中の1人である。

「河野惜敗!! 激闘の末、コンセプシオンに敗れる。引退なんかするなよ?」

「思てたんとちゃう!!」
「絶対おもしろい試合になる言うてもうたやんか!!」
「ワイの立場どないすんねん!!」

まあ、僕の立場など知ったこっちゃないのだが、久々の日本人対決と煽ったわりに若干拍子抜け感が否めない試合だったことは間違いない。

「井上拓真がタパレスに挑戦!! って、何を焦ってるんだ拓真さん」

宮崎ってこんなに鈍かったっけ? っていうか、それ長身ボクサーのスタイルだよ

試合開始直後にまず思ったのが、
「宮崎、動き鈍くね?」

スナップの効いた左や柔軟な上半身、ハンドスピードなど。
一つ一つを切り取れば、センスを感じさせる動きは随所に見られていた。

だが、とにかく身体全体のキレがない。

「神の左()炸裂でモレノを撃破!! 山中慎介が宿敵とのリマッチを制して11度目の防衛に成功!!」

僕が過去に観た宮崎はとにかく踏み込みが鋭く、出入りの激しい選手だった。上背のなさ、リーチの短さを踏み込みの鋭さでカバーし、多彩な左を当てて右の強打につなぐ。

ガードの低さは目につくものの、上半身の柔軟性とのトレードオフという意味で仕方ない。防御面の甘さを目のよさとセンスで翻弄して勝利をかっさらうスタイル。
つまり、足が動いてこその選手だと思っていたのである。

ところがこの日の宮崎には、当時の(と言っても2年くらい前)キレがまったく感じられなかった。
減量失敗でまともに動けなかったというL・フライ級初戦、ファーラン・サックリンにKO負けを喫したときを思い出すほどの動きの悪さである。

距離をとり、左のガードを下げて構える。
田口の周りをゆっくりと回り、両腕を前に出してバックスステップ。自分の顔を相手から遠ざける。
時おり左足で大きく踏み込み、打ち合いへの期待を持たせるが、そこからが続かない。2、3発パンチを打ち込んだ後、打ち終わりに田口の左をもらって後退。再び距離をとってリングを回る。

「井上尚弥がペッチバンボーンに10RKO勝ち!! 井上が何者なのかがいまだに謎…」

そのうち身体がほぐれてペースが上がるかと思っていたが、結局最後まで変わらず。大きな山場を作ることもできず、淡々と打たれて淡々と敗北を喫する。
強いて言うなら初回と中盤に見せた左のダブル、トリプルくらいだろうか。本当に何もできずに終わったという言葉がピッタリの内容である。

いや、それアレだわ。
長身ボクサーのスタイルだわ。

宮崎のL字気味の構えに対し、多くの方が「メイウェザーのマネ」だの「ブローナーでも意識してたのか」と酷評していたが、それが正しい表現なのかは僕にはよくわからない。
だが、なぜ156cmの小柄ファイターの宮崎が、長身の田口相手にあのスタイルを選択してしまったのかは完全に謎である。

「今さらメイウェザーとパッキャオを語る。この2人が唯一無二の存在だったことに改めて気づいた」

「俺の引き出しの多さを見せてやんよ、お?」
とでも思っていたのだろうか。

「マックジョー・アローヨ、アンカハスにまさかの敗北。フィリピンにおけるパッキャオの影響はマジで甚大」

L・フライ級でも減量がキツいって、かなり詰んでないか? これからどうすんだろな

と、思っていたらこんなコラムが出ていた↓
「田口良一、勝利優先の戦いで完封勝利 ライトフライ級戦線は日本人選手中心に」

なるほど。
L・フライ級でも減量がキツいのか。
確かにファーラン・サックリン戦以降、4連勝した試合をちょろっと観たときも同じようにアウトボクシングしていたような覚えがある。

相手が「観光ボクサー」だの「かませ犬の思い出作り」だのと言われていたのであまり真面目に観ていなかったが、もしかしたらあれが今の宮崎の限界だったのかもしれない。

「なぜアウトボクシングなの?」「メイウェザーのマネしてイキってても勝てないよ」と言われまくっていたが、実はL・フライ級のウェイトに落とすだけでいっぱいいっぱいで、すでにまともに動けなくなっていたということなのか。

「コバレフvsウォード予想!! PFP最強を賭けた2016年最大のメガマッチ!!」

だとしたら、宮崎は今後どうすればいいのだろうか。
さらに階級アップしてフライ級に挑戦?
だが、そこは同僚の井岡一翔がいる階級で、しかも156cmの上背ではさすがにサイズ不足ではないのか?
いや、でも河野に勝ったコンセプシオンは157cmでS・フライ級王座を獲得している。そう考えると宮崎にもまだ可能性が残っているのか?

「井岡がララを11RKOに下して快勝!! エストラーダとの対戦指令に従う…ないかなぁ?」

何とも言えないが、宮崎亮が選手としての岐路に立たされていることは間違いなさそうである。

宮崎とは逆に、快勝で評価を上げた田口

できの悪かった宮崎とは対照的に、今回の田口良一は軒並み高評価を得ている。

・安定感が抜群
・相変わらず左ジャブがいい
・距離感を掴むのがうまい
・攻防のバランス
などなど。

時おり内山直伝のボディや河野を彷彿とさせる右カウンターを見せるなど、ジムの先輩とともに切磋琢磨している様子もうかがえた。

「内山進退は五分五分←これ、現役続行するパターンだ。大みそかはコラレスと再戦してるから落ち着け」

前回、前々回と、KO勝利ながら微妙な試合内容だっただけに、この快勝で田口を再評価した方も多いのではないだろうか。

というか、ほら見ろ。
田口は小柄な相手が得意なんだよ。
どんだけ小柄な挑戦者倒してきてると思ってんだよ。
小柄ハンター舐めんなよww
 
「亀田和毅国内復帰初戦を判定で飾る!! 後楽園ホールに行ってきたぞ。天笠、赤穂も揃い踏みの豪華興行の感想」
 

宮崎がアウトボクシングを選択した時点で田口のイージーゲームは決定的だった。小柄ハンター田口はくぐった修羅場の数が違う

日本人対決に勝利し、評価が爆上げ中の田口。だが僕に言わせれば「こんなのは当たり前」である。
久しぶりの日本人対決だろうが関係ない。
田口良一さんの小柄ハンターっぷりを侮らないでいただきたいww

予想記事でも申し上げたが、田口の持ち味は強靭なフィジカルと打たれ強さである。
「強かわいい」のキャッチフレーズが示すように、一見優男の技巧派の印象を受ける選手だが、実はかなり身体が強い。井上尚弥の突進にも当たり負けせず、これまでの防衛戦でも効いたそぶりを見せたことがない。

「田口がデラローサを9Rでストップ!! 採点でリードを許すも中盤以降に流れを変えて勝利」

さらに、強靭なフィジカルに自分の特徴をうまく上乗せする戦術眼。
168cmというL・フライ級においては長身の部類に入る上背を利用した長いジャブ。やや前傾姿勢の構えで相手からボディを遠ざけつつ、ポジションチェンジしながら打ち込む左ボディなど。絶えず体重移動を繰り返し、内山直伝のボディを交えながら相手を追い詰めるスタイル。
自分の特徴である強靭な身体と上背に、偉大な先輩のスタイルを取り入れたハイブリッドボクサー。それが田口良一という選手である。

その田口にとって、今回の宮崎はカモ以外の何物でもない。

上背がない。
出入りも少ない。
自分から手を出してこない。
ガードが甘い。
動きの遅いアウトボクシング。

田口はこれまで「上背はないが思い切りがよく、激しい打ち合いの中でチャンスを作っていく」タイプと防衛戦をこなしてきている(前回のランダエタはちょっと違うけど)。

小柄なインファイターに懐に入られ、やや押し込まれながらも最後は強靭なフィジカルで相手を押し返す。スペースができたところを見計らってボディやフックで消耗させる。そういう試合をクリアしてきた選手である。

つまり、今回のように自分から出てこない小柄な選手は大好物ということになる。
前半の消耗戦、インファイターの突進を真正面から受け止めての打ち合いを省いて、いきなり自分の土俵で勝負できるのだから強いに決まっている。

別にアウトボクシングがダメだというわけではない。小柄な選手との激闘に慣れている田口との相性が最悪だと言っている。
要するに、宮崎がアウトボクシングを選択した時点で、田口のイージーゲームは決定していたのである。

まあ、出入りの激しい宮崎との消耗戦こそがこの試合の見どころだったわけで、それがなくなってしまったのは残念で仕方がない。日本人対決ということで注目度も高く、僕も楽しみにしていたのだが。

大みそかの内山復帰に向けて準備万端。田口のV5戦は統一戦?

指名試合を楽々クリアし、ジムで唯一の王座を死守した田口良一。
これで大みそかに内山高志が復帰すれば、再び大盛況の興行が期待できる。逆境をバネにするワタナベジムの商魂はやはり侮れない。

「復ッ活ッ 内山高志復活ッッ 内山高志復活ッッ「試合してェ~~~~」」

報道によると、次回のV5戦は統一戦になる可能性があるとのこと。ということは、IBF王者の八重樫東との一騎打ちが実現すると考えてもいいのだろうか。

「八重樫の試合にイラつく…。テクアペトラ程度に激闘王って、ただの泥試合だろ」

でもアイツ、身長161cmだぞ(BoxRec調べ)?
160cm以下を得意とする小柄ハンターとしては規格外の長身だぞ?
大丈夫か?

内山と八重樫の共演というのも観てみたいですけどね。

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