ヒット率、ヒット数以外のスタッツのお話。リングの広さとか温度とかの表記。見えなかった自分が見えるはず from SHAKKAZOMBIE【後編】

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スタッツイメージ
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前編「ラフファイト」「体重超過」について、中編「地の利」について言いたい放題言ってきて、だいぶテンションも上がっている。
 
「ラフファイトとか体重超過とか、別にアリだよな? というお話【前編】」
 
反則ギリギリの「ラフファイト」も意図的な「体重超過」も勝利のためには悪くない。自分に有利な状況を作るために「地の利」を活かすなんて当たり前じゃないですか?
そんな感じでぶちまけたおかげで、妙な高揚感に包まれている次第であるww
 
「地の利とか日本人ボクサーがタイで勝てない理由とか。世界戦19敗1分を引き起こしたマモノ()についてのお話」
 
そして、今回はいよいよラストの後編。
ボクシングの「スタッツ」について、僕の考えを並べてみたい。
 
といっても、僕は数字に詳しい人間でもないし、いろいろなものをデータベース化して楽しむほどの根気もない。
 
なので、現状のスタッツに文句をつける気はまったくない。
ただ単に「こういう数字があったらいいよね」「もう少し突っ込んだ情報があるといいよね」という希望のお話である。
 
実現するしないは別として、ただの一ファンの声として軽く受け取ってもらえればと思う。
 

現状、僕みたいなパンピーが簡単に得られるスタッツはこんな感じ。パッキャオvsホーン戦のスタッツも見られるよ

まず最初に、僕のようなパンピーが簡単に手に入れられる情報としては、
 
両選手の
・戦績
・ランキング
・年齢
・出身国
・階級
・右/左
・身長
・体重
 
また、
・試合会場
・各選手のプロモーター
・所属ジムやトレーナー
・WBA、WBCなどの世界王座認定団体
 
そして、
・ラウンドごとのパンチのヒット数/ヒット率
・トータルのパンチのヒット数/ヒット率
・ジャブのヒット数/ヒット率
・パワーパンチのヒット数/ヒット率
といった数字である。
 
たとえばだが、2017年7月2日のマニー・パッキャオvsジェフ・ホーン戦のスタッツは下記で確認できる↓
「Manny Pacquiao vs. Jeff Horn – CompuBox Punch Stats」
 
なるほど。
これを見れば確かに揉めるのも無理はないが、ここではその話は置いておく。
 
「この中にこんな情報があったらいいよね」「こういう情報があれば、もっと楽しく試合観戦できるよね」というのが今回の趣旨なので。
 
「ジェフ・ホーン圧勝!! パッキャオ議員に力技で勝利し人生の厳しさを教える!! 作戦勝ちかな。フィジカル面も差があったよな」
 

スタッツに追加して欲しい数字その1:リングの広さ、キャンバスの固さ

これは前回の内容の続きになるのだが、やはり当日のリングの広さや足場の情報は知りたい。
理由は散々述べた通りで、広さや足場などリングのコンディションは試合展開に絶対に影響するはずだから。
 
とりあえずリングの広さについては簡単である。フィート表記でもメートル表記でも何でもいい。
 
 
足場についてだが、一番わかりやすいのは10段階表記だろうか。
1が一番柔らかい、10が一番固い。
1が一番滑りやすい、10が一番滑りにくい。
こんな感じか。
 
またタイのリングは滑る、柔らかいという話もあるようなので、キャンバスがどこ製なのかを示してくれるとなおいい。
 
実況が「今回は○○製の●●オンスのグローブを使用しています」と言うアレに、リングに関する情報も含めるとか、そういうことね。
 
「メキシコ・REYES社のグローブは薄い」という情報はよく耳にするが、それと同じノリで「○○社製のキャンバスは滑る」「○○のリングは固い素材を使用している」などの共通認識が生まれればいいなと思う。
 
「シーサケット勝利!! PFP No.1 ロマゴンに判定で大金星を挙げる!! すっばらしいねシーサケット」
 

スタッツに追加して欲しい数字その2:温度、湿度

読んで字のごとくなのだが、その日の温度と湿度は絶対に欲しい。
いわゆる天気予報で言われる気温ではなく、その日、その瞬間の会場の温度と湿度。
 
これもリングの状態同様、試合展開に影響を与えることは間違いない。
 
高温・多湿の中で動くのはしんどいし、立っているだけでも体力は奪われる。
逆に寒すぎても試合には適さないし、湿度が高ければ身体の動きは悪くなる。
 
「プロならそんなことにこだわるんじゃねえよ」と言いたくなるところだが、プロだからこそである。
 
その日の会場が暑いのか寒いのか、ジメジメしているのかカラッとしているのか。
お客の入り具合によっても変わるだろうし、会場の規模によっても微妙に違ってくるはず。当然時間帯によっても変化はある。
 
つまり1、2戦目とメインの試合でも変化は起こるわけで、その試合の状況を想像するのに温度と湿度の表記は非常に手っ取り早い。
 
「井上尚弥に勝てる選手? バンタム級で誰が井上尚弥を倒せるか、どうすれば勝てるかを妄想してみる」
 

スタッツに追加して欲しい数字その3:トラッキングシステム

これは実現を度外視した勝手な希望なのだが、トラッキングシステムによる選手の運動量を知りたい
 
位置情報(GPS)を利用して選手がどれだけ動いたか、どのコースを走ったかを分析し、今後のトレーニングや戦略に役立てるシステム。
サッカーやラグビーなどでは当たり前のように使用されていて、近年ではさらに進化しているとのことである。
 
「公式戦で計測デバイス使用可能に。IT機器がもたらすサッカー革命」
 
このカタパルト社製のシステムを使うと、走った距離やコース以外に「身体の傾き」や「加速回数」「心拍数」「左右対称性」など、驚くほど細かいデータの収集が可能だそうである。
 
 
もちろんボクシングでここまでの精度を求めるつもりはない。だが、ラウンドごとの運動量や位置取りなどがわかれば、非常におもしろいのではないかと思う。
 
「100億円男再び。メイウェザーvsマクレガー! 茶番ww って言われると思った。金以外に何の意味がある? いや、100億だぞ?」
 
現状だとパンチのヒット数、ヒット率の表記のみ。
各ラウンドでどの程度動いたか、失速したかを想像するにはちょっと物足りない。
 
その点このトラッキングシステムがあれば、運動量や位置取りをパンチ数と見比べながら試合の流れを想像することが可能になる。
 
そして、実際の映像とスタッツを見比べて、「ああ、このときはこういう作戦だったのか」などと悦に入ることができるわけであるww
 
 
まあ、さすがにこれを実現するのは難しいと思うが。
値段はもちろん、センサーをどこに埋め込むかなど、問題点は多い。
 
「三浦仁選手はいいっすね。てか、エカテリンブルク日露対抗戦おもしろかったww 金子大樹ロシアで散る」
 

で? これらのスタッツを追加すると何がわかるの?

とまあ、追加してもらいたい項目を適当に並べてきたわけだが、お次は「これで何がわかるの?」という話。
「あれこれややこしいことを言ってるけど、それを知ってどうするの?」
 
 
正直、上記3点のスタッツでわかることは山のようにある。
 
たとえば、広く固いリングは本当にアウトボクサーに有利なのか。実は広いリングの方がインファイターのKO率が高かったりしないか? そのKOラウンドはどこなのか。
もし後半のKOが多い場合、ステップ幅の大きいアウトボクサーは固い足場では負担が大きいために失速しやすいのではないか。
 
また、温度や湿度によってKOラウンドに変化はないか。
アウトボクサーとインファイターの勝率に変化はあるのか。アウトボクサーが持久走で逃げ切るケースが増えてはいないか。
などなど。
 
「マイキー・ガルシアvsブローナー決定!! マジかよスゲー試合だよこのマッチメイク。体重超過あり?」
 
その他、温度は低く湿度が高い場合はどうか。その逆は?
何度以上の場合はKO率がグンと上がるとか、湿度が何%以下の場合は判定になりやすいとか。
高湿度でリングが柔らかい場合、湿気を含んだキャンバスで足を取られたりはしないのか?
 
 
そして、ラウンドごとの運動量や位置取りがわかれば、それらがさらにはっきりするはず。
 
実はインファイターの方がアウトボクサーよりも運動量は多く、暑さや湿気に影響されやすいのかもしれない。
 
同じアウトボクサーでも、持久走で逃げ切るカルロス・クアドラスと、最低限の動きで相手を翻弄するギジェルモ・リゴンドーではどの程度差があるのか。
 
「エリスランディ・ララvsフォアマン感想。ムカつくけどすげえ。ララがダーティ、正当両面でフォアマンを圧倒」
 
具体的には、ジェフ・ホーン戦のパッキャオの失速は本当に衰えや調整不足だったのか。試合会場が極端に暑かったり湿度が高かったりということはなかったのか。
 
そういう部分も数値化できるのではないかと思う。
 

気温や湿度、運動量を数値化すれば戦略が立てやすくなるし、モヤモヤした部分がはっきりしてくるんじゃないの?

それぞれのサンプルが増えれば、試合での戦略も立てやすくなるはず。
 
たとえば「湿度が低く、リングが固い場合は後半になっても運動量が落ちない選手が多い。持久走でポイントアウトする試合が極端に増える」というデータがあれば、それこそ前半5Rまでに勝負を賭ける作戦を実行しやすくなる。
 
「温度が低くリングが柔らかい場合は前半KOが多い」というデータがあれば、序盤はなるべくガードを堅めて慎重にというアドバイスがしやすくなる。
 
これまで感覚的な部分に頼っていたものが、はっきりとした根拠をもとに試合展開を考えられるわけである。
 
「インドンゴがバーンズ討伐を果たして王座統一。おもしれえ試合ww 野生動物のようなインドンゴにビックリ」
 
もっと言うと、本当にタイは40度などという非常識な中で試合が行われているのか。
また2016年末に田中恒成に負けたモイセス・フエンテスの言っていた「会場が寒すぎた」という言葉。あれは実際どうだったのか。そういった諸々についてもはっきりするはずである。
 
前回、「勝利のためにリングをいじったり、自分有利な状況を作るのは兵法として当たり前だ」と申し上げた。だが、さすがに40度の中で試合をするのはやり過ぎである。
 
そして、仮に田中恒成陣営がわざと寒い会場を指定したのであれば、やっていることはタイと変わらない。それこそ「日本にもマモノ()おるやんけ」状態である。
 
「覚醒した田中がフエンテスに圧勝!! “中京の怪物”が絶不調のフエンテスを5RKO。パワーが増した田中は誰にも止められない」
 
そういうモヤッとした部分を明らかにするためにも、リングの状態や温度・湿度の表記は欲しい。「あの会場はヤバい」という評判が立てば興行主としては死活問題だし、注意隆起にもなるはず。
 
 
繰り返しになるが、さすがにトラッキングシステムの導入は難しいと思う。
ただ、リングの状態や温度・湿度の表記に関してはお金もかからないだろうし、ぜひとも実現してもらいたい。
 
まあ、ほとんどの方は「この試合でどっちが勝ったか」にしか興味がないだろうし、正直、誰得? ではあるのだが。
 
しかも、1人の年間試合数が限られているために選手個人のスタッツを出すのは難しいし、データ収集に12回戦、10回戦、8回戦とどこまでを含めるかという問題もある。
ランキング外の選手とトップランカーの試合が参考になるのか? など、ひと言でスタッツと言っても課題は多い。
 

全部をシステム化するのは大反対です。レフェリーやジャッジには人間臭い部分を残しておいてもらいたい。それもボクシングの醍醐味だと思うので

ここまでスタッツについて申し上げておいてアレだが、実を言うと、僕はすべてを機械化することには反対である。
 
ここ最近、ラフファイトや疑惑の判定で後味の悪い試合が増えたせいか、ジャッジやレフェリーを機械化してシステマティックにするべきという論調が強い。
 
だが、僕の意見を言うならそれは絶対に止めていただきたい
 
たとえば、劣勢に追い込まれた選手がレフェリーの顔色を見てペースアップするとか、ダメージを確認しにきたレフェリーをセコンドが「まだできる!!」と追い返すとか。
あってはいけないことだが、会場の雰囲気に引っ張られてジャッジの採点が変わるとか。
 
そういう人間臭い部分もボクシングの醍醐味だと思っていて、絶対になくして欲しくないというのが僕の考えである。
 
「ここからはケンカだぞ」というセコンドのひと言で表情がみるみる変わり、流れを無理やり引き戻した三浦隆司vsミゲル・ローマン戦など。
ああいうドラマチックな逆転劇はボクシングにとって絶対に必要なものだし、すべてをシステム化してしまえば間違いなく激減してしまう。
 
「三浦隆司が花山薫パンチでミゲール・ローマンを撃墜!! デラホーヤが早くも「年間最高試合」に認定するほどの打撃戦」
 
採点競技とはいえ、コンタクトスポーツは生身の人間臭さが大事。古いと言われてしまうかもしれないが、そこは絶対的に主張したい。
 
 
てか、いかんですね。
また長くなっちゃった。
 
まあ、別にいいか。
 
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