ロマゴン強し!! ビロリアに何もさせずに9回TKO勝ち!!【結果】こんな化け物に誰が勝てるんだ?

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最強挑戦者ビロリアも、ロマゴンの強さを際立たせる黒子でしかなかった……。

2015年10月17日(日本時間18日)、アメリカ・ニューヨークのマジソン・スクウェア・ガーデン(MSG)でWBC世界フライ級チャンピオンローマン・ゴンサレスと挑戦者ブライアン・ビロリアの一戦が行われた。

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ミドル級注目の豪打対決ゲンナジー・ゴロフキンvsデビッド・レミューのアンダーカードとして組まれたこの一戦。結果はPFP1位の力を見せつけたローマン・ゴンサレスが終止ビロリアを圧倒し、9Rでレフェリーストップに下した。

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いつも通りのロマゴン。いつも通り相手を絶望の縁にたたき落とす

試合開始早々思った。
「これは八重樫vsロマゴンだ」

そして2Rに入ったところでこう思った。
「いつも通りだ」

1Rは相手に攻めさせ、自分との力量差を測ることに終始する。本領は2Rから。
本当にいつも通り。この大舞台でもまったく臆することなくいつも通りのロマゴンスタイルを貫き、いつも通り相手を徐々に弱らせ、いつも通りフィニッシュまで追い込んだ。いつもと変わりない、いつも通りの試合だった。

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感情を爆発させることもなく、パンチをもらっても慌てることもない。
「すべて想定の範囲内」
涼しい表情で淡々と相手を破壊する。もはやボクシングという名の「作業」
それほど、このローマン・ゴンサレスという選手の化け物ぶりは飛び抜けているのである。

一見激しく打ち合っているように感じるのだが、ラウンドを経るごとに相手の顔だけが紅潮して変形していく。
激しい打ち合いに観客は沸く。だけど試合自体は一方的。
そしてボディも顔面もボロボロになった挑戦者が玉砕覚悟で突進する。結果的にロマゴンに冷静に弾き返されてKO負け。
映画のシナリオだったらと考えると、殺意を覚えるほどにクソつまらない脚本である。

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ロマゴンはスロースターターなのではない。1Rを相手の戦力分析に使うのだ。
開始直後は相手に攻めさせ、自分との戦力差、弱点や長所を見極めて試合プランを立てるのである。
もちろん映像などで相手の研究はしてきてはいるだろう。だが最終的にどう戦うかは、自分が実際にリング上で対峙して肌で感じてから実践するのである。

試合開始直後は「お?」と思わせるのだが、ここで淡い期待を持ってはいけない。すべてはロマゴンの手の上での出来事なのだ。

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2Rに入ると、案の定ビロリアの動きを掌握したロマゴンが距離を詰めてプレッシャーをかける。ここから先はいつものロマゴンペース。じわじわと相手の生命力を削るように体力を奪い、力尽きたところで一気に攻め落とすお決まりのスタイルである。

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左足に重心を乗せた状態から、やや身体を倒しながらの左ボディ、左フック。右フックから返しの左。そして右ストレート。流れるようなコンビネーションを的確にガードの間から突き刺す。
肘や肩で相手を押し込み、わずかにサイドにステップしてスペースを作る。押し合いの最中にフッと力を抜かれたビロリアが一瞬無防備になる。その瞬間を狙って流れるようなコンビネーションを叩き込む。相変わらずこのステップがマジでヤバい。反撃しようとした瞬間にロマゴンは目の前にいない。ビロリアとしては、360度全方向からパンチが飛んでくるイメージなのではないだろうか。

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ビロリアの調子は良かった。ただロマゴンが強すぎただけで

今日のビロリアはよかったのだ。
ただ単にロマゴンの強さが桁違いだっただけで。

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シャープな左によく伸びる右。
特に左フックはもしかしたらを期待させるだけの迫力とタイミングがあったし、ボディ狙いの作戦もよかったと思う。全然通用しなかったけど。
近づいたり、足を使ったりとラウンドごとに変化をつける工夫も見られた。本当に調子はよかったのだ。全然通用しなかったけど。

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3Rのダウン後にも自分から手を出すことでフィニッシュを免れたのはさすがだったし、リング中央で打ち合いを演じたのはすごかったと思う。ロマゴンが慎重だったというだけの話かもしれないが。

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断言するが、ロマゴンにパンチは当たる。
左フックやボディ。ロマゴンは至近距離での打ち合いで被弾はするのだ。だが効かない。まったく効かない。身体の柔軟性に加え、瞬間的に芯を外すのが抜群にうまいのである。

ビロリアの反撃の瞬間、重心を後ろ足に移動して上半身をのけぞらせて避ける。相手がパンチを出す瞬間の体重移動と位置取りが抜群なのだ。
相手がパンチを出す瞬間に自然な体重移動で頭の位置をずらすので、たとえ被弾しても芯を食うことはない。右、左、前、後ろ。ヒットの瞬間に必ず頭の位置を相手の腕が伸びない場所にもっていくので、当たったように見えても効かないのだ。

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一見激しく打ち合っているように思えるが、実のところビロリアだけが一方的にダメージを蓄積させていく。いくら打っても手応えのないパンチばかりのビロリア。よく心が折れなかったと思う。

5R終了間際にビロリアがノーガードでロマゴンを挑発するような仕草を見せていたが、あれも苦し紛れの強がり以外の何物でもないだろう。
 
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ボロ雑巾のように力尽きるビロリア。まるで八重樫戦の再現を見ているようだ

7Rに入ると、ビロリアのパンチに力感がなくなる。防戦一方のビロリア。序盤にいいタイミングで打ち込んでいた左のフックもまったく出せなくなっている。

対するロマゴンはプレッシャーをどんどん強める。
それでも強引に倒しにいくことは絶対にしない。スムーズなコンビネーションでビロリアを釘付けにし、反撃してくればサイドステップで突進をいなす。
ビロリアには身体を密着させて打ち合う以外に手がない。だが、近づいて打ち合うと自分のパンチよりもロマゴンのパンチの方が多く当たる。
勝てるわけねえ!!

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そして9R。
ついに力尽きるビロリア。
コーナーでロマゴンのパンチを棒立ちで受け続け、見かねたレフェリーが2人の間に割って入り試合を止める。
9R、2分53秒TKO。

「こんな化け物にどうやって勝つんだよ……」
敗れたビロリアの表情がそう語っているように見えたのは僕だけではないはずだ。
文字通りロマゴンの圧勝である。
「倒しにいったわけではないが、結果的に倒せた」
いつも通りの結末だ。

ロマゴンは強さを証明し、対戦相手は「勇敢だった」とたたえられる様式美

いや、これは完全に八重樫戦だ。
この勝ち方をするたびに「ロマゴンはやっぱり強かった」と言われ、このロマゴン相手に健闘したビロリアの評価が下がることもない。まさしく八重樫戦そのものだ。

観客は挑戦者の勇敢さをたたえ、ロマゴンの強さに驚愕する。
以上!!
そんな試合である。

「よく粘った」
「よくあの状況で前にで出た」
「逃げずに受けて立ったロマゴンもさすがだった」
挑戦者は勇敢に前に出たことを評価され、ロマゴンは自分の強さを改めて証明する。WINWINの結果を残した八重樫戦とまったく同じ結末である。唯一心配なのは対戦相手のダメージだけ。
プロモーターの手腕も評価され、観客も大満足。誰一人損をしない幸せいっぱいのタイトルマッチである。

試合を見返してみるといい。どこを切り取ってもロマゴンが攻めている場面ばかりである。
これはすでに「ロマゴンに勝てるのは誰か」とか、そういうレベルを超越している。一部では日本の井上尚弥に期待がかかっているが、正直なところ厳しいのではないかと思っている。

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もはやロマゴンに勝てるのは時間だけなのではないだろうか。
その他大勢の凡人たちは、年齢を重ねたロマゴンが衰えを見せるのを頭を低くして待つしかない。そして、適度に劣化してきたところで若さにものを言わせて一気に叩き潰すのだ。

今が全盛期のボクサーたちは、ロマゴンと同時代に生まれてしまったことを運が悪いと思って諦めるしかない。それくらいこのローマン・ゴンサレスというボクサーの強さは極まっている。

ロマゴンに勝つことはできない。だが、リングに上がりさえしなければ絶対に負けない。そういうことなのだ。

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