ビバ! 大便! 映画「オデッセイ」感想。火星のクソ野郎は振り向いてくれたのか? ジャガイモだけで1年半をしのいだ男のクソ記録

ビバ! 大便! 映画「オデッセイ」感想。火星のクソ野郎は振り向いてくれたのか? ジャガイモだけで1年半をしのいだ男のクソ記録

宇宙イメージ
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映画「オデッセイ」を観た。
 
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「オデッセイ」(2015年)
 
任務中の事故で火星に一人取り残された宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)は、さまざまな困難に直面しながら植物学者としての知識と持ち前の前向きさで1つずつ乗り越えていく。
 
乾燥した火星で水を作り、ジャガイモを栽培して食料を確保。
地中に残された通信機器を掘り起こして地球との交信を成功。
4年後の有人ミッション「アレス4」に向けて、着陸地点までのルートを確保。
 
火星に置き去りにされ、絶望的と思われた状況を打破するべく奮闘するワトニー。どんな逆境にもめげない彼の姿勢が、過酷なサバイバルをポジティブなものに変えていく。
 
だがある日、ジャガイモを栽培しているハブが嵐に見舞われ、命綱であるジャガイモの苗が吹き飛ばされてしまう。
 
生存計画を大幅に短縮せざるを得なくなったNASAと、救助を待つワトニーに果たして希望は残されているのか。
 
2011年に出版された「火星の人」を原作とし、2015年にアメリカで公開された映画である。
 
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「オデッセイ」おもしろかった!! 幅広い世代におすすめできる守備範囲の広い映画です

映画「オデッセイ」。
2015年に公開されたマット・デイモン主演の作品である。
もともとアンディ・ウィアーという方がウェブサイト上で公開していたものをKindle版で売り出したところ、一気に話題となり映画化されたものだという。
 
 
映画の感想をひと言で言うと「おもしろかった!!」
 
「【映画】「猿の惑星」感想。触るなエテ公が!! わかってたけどすげえ映画。衝撃のラストというか、もはやトラウマ映像ですね」
 
はい、文句なしでおもしろい映画だった。
個人的には10点満点の9.5点。10点でもいいくらいである。
 
設定に関してはなんやかんやと矛盾点を指摘されているようだが、そんなことはほとんど気にならず。141分とかなり長い作品ではあるが、どんどんストーリーに引き込まれていつの間にか終わっていた感じである。
 
たまたまWOWOWでやっていたのを観たというパターンなので、多少甘めに感じている部分はあるかもしれない。だが、世間の評価もおおむね高いようなので、とりあえず観て損はない映画だと思う。何というか、老若男女問わず幅広い方に受け入れられそうな雰囲気。
 
原作もかなりおもしろいと評判なので、いずれそちらも読んでみたいと思っている。
 
 

絶望に立ち向かうワトニーのあっけらかんとした前向きさ。取り残されサバイバルの悲壮感が感じられないちぐはぐっぷりがクセになる。ちくしょう、ジャガイモ食いてえぜww

冒頭から「おもしろかった」「観て損はない映画」と申し上げた「オデッセイ」。
この映画がどんな映画かと言うと、いわゆる「取り残されサバイバル」である。設定としてはありがちだが、取り残された場所が「宇宙」であることが、本作の見どころとなっている。
 
ご存知のように、宇宙には空気がない
そして、ワトニーが取り残された火星は平均気温-43℃、大気の95%が二酸化炭素、重力は地球の40%という環境。要するに人間にとっては完全に「不毛の地」である。
 
こんな場所に取り残され、地球との通信手段もない、食料もわずかという状況に追い込まれれば誰でも絶望感に苛まれる。当然ワトニーも無力感に包まれ、記録用カメラの前で目に涙を溜めながら「……つまりはそういうことだ」とつぶやく。
 
だが、もちろん物語はここで終わらない。
絶望感に包まれたワトニーは一転、生き残る方法を考え始めるのである。
 
 
もう、ここから先は楽しくて仕方ない(僕が)
 
・クルーの排泄物(大便)をこねくり回し、土に混ぜて肥料にするワトニー。
・窒素や水素をゴニョゴニョやって水を生成するワトニー。もちろん1回目はお決まりの爆発。
・肥料(大便)をしみこませた土にジャガイモ(の種)を植え、生成した水を散布するワトニー。
・太陽電池パネルをハブの外にたった一人で並べるワトニー。
・「火星のクソ野郎……」と毒づきながら今後の計画を練るワトニー。
・船長メリッサが持ち込んだ音楽のあまりの趣味の悪さに悪態が止まらないワトニー。
・1997年(だったかな?)から火星探査として運用されていたマーズ・パスファインダーを発見し、16進法を使用した静止画で地球との交信に成功するワトニー。
・4年後の「アレス4」の着陸地点までのルートを探るために、ローバーで予行演習をするワトニー。
・栽培に成功したジャガイモをレンジでチンするワトニー。
 
何と言っても、この映画の最大の見どころは「取り残された火星でサバイバルするワトニー」だ。そして、この過酷なサバイバルをワトニーは悲壮感も見せず、むしろ楽しそうにこなしていくのである。
 
ワトニーを残して火星を飛び立ったクルーや救出に奔走するNASAなど、他にも見どころと呼べるシーンは多い。だが、はっきり言ってそんなのは端物に過ぎない。
 
帰還する可能性も薄い状況の中、あっけらかんと難題を解決していくワトニー。
NASAからの指令にいちいち毒づく皮肉屋のワトニー。
 
クソほど過酷な状況と意味不明に前向きな主人公の対比。
この何とも言えないへんてこりんな空気感が、妙にクセになるのである。
 
とりあえず、ワトニーが食べるジャガイモがめっちゃ美味しそうでございます。簡易なプラスチック製? のプレートに蒸したジャガイモが乗っているだけなのに。
 
僕はワトニーの食事シーンを観て、ジャガイモを口いっぱいにほおばりたくなりましたよww

 

ビニールシートで宇宙に挑戦だあああああぁぁぁぁ!! マジで言ってんのか? はい、マジで言ってます

クライマックスの救出シーンでは、脱出ポッドを打ち上げてクルーの乗る宇宙船にキャッチしてもらうわけだが、これを実現するためにはとにかくポッドを軽量化する必要がある。
NASAの指示に従い「あれを捨てろ」「これを取り外せ」とやっているうちに、船内にはワトニーの座る椅子しか残らない。
 
さらにそれだけでは足りず「屋根を外せ」と言い出す始末。しかも、屋根の代わりにシートをかぶせなさいと。つまり、ビニールシートをかぶせてテープで止めただけの簡易な補強で宇宙に飛び出しなさいという指示が飛ぶのである。
 
「はっはっは、アホなことを言うな」
当然、NASAの火星探査統括責任者であるビンセント・カプーアは一笑に付す。
 
だが、そんなことはお構いなしに科学者は言うのである。
「大丈夫。シートの耐久力が限界を超えるころには、すでに大気圏を抜けてシートがいらない場所にいる」
 
……マジっすかww
 
はい、マジなんです。
 
そして、当のワトニーも文句を垂れながらも律儀にそれに従うのである。
 
僕としては「ビニールシートで宇宙に突撃!!」の時点でかなり衝撃的なのだが、極限の状況下で1年半、ジャガイモのみでしのいだワトニーにとっては大したことではない。
「わーったよ。まったく」
あっけらかんとビニールシートをかぶせ、ためらいなく宇宙に飛び出すのである。
 
いやバカかww 大概おかしいぞお前らww
 
「映画「アバター」感想。どう見ても鳥山明に影響されとる。ジェームズ・キャメロンがやりたいことを全部やった作品」
 

起承転結をきれいになぞった王道映画。火星で目覚めるシーンから、ラストのアイアンマンまで最高におもしろい

そしてラスト。
ポッドを予定通り打ち上げるものの、想定よりも打ち上げ高度が足りずに宇宙船まで届かない。
船長のメリッサが宇宙服に命綱をつけて救出に向かうのだが、これもわずかに届かない。
宇宙空間を浮遊するワトニーのポッドがむなしく目の前を通過していく。
 
そこでワトニーが選んだ最後の手段。
宇宙服の手の部分にわざと穴を開け、漏れる空気の推進力でポッドを飛び出す。手を開いたり閉じたりしながらスピードを調整し、宇宙船まで飛んでいくのである。
 
文字通り、ここは作中で唯一と呼べるアクロバティックなシーンとなっている。
だが、映画の中でも「アイアンマン」に例えられているように、どうやら原作とは少し違う演出とのこと。
 
確かに見るからにアホな方法で、散々過酷な状況を科学で乗り越えてきたというのに、最後の最後にこんな一か八かのゴリ押しかよというツッコミが入りそうなシーンではある。
 
恐らくラストシーンということで、迫力を重視したのだろうとは思うが。
 
まあ、僕も普通にハラハラしたし、ワトニーが助かったシーンには思いっきり感動させていただいた。原作のファンはどう思うかは知らないが、あれはあれでよかったのではないだろうか。
 
宇宙空間で船長メリッサと再開したワトニーがひと言。
「久しぶりです船長。あなたの音楽の趣味は最低だ」
皮肉屋ワトニーらしいお決まりの言葉である。
 
アニメ「Dr.STONE」とかいう少年ジャンプ版美味しんぼ。一つの分野に特化した造詣の深さにタイムスリップを織り交ぜた壮大な科学少年物語
 
いや最高っす。
何から何まで予定調和の中で進み、あるべき場所にしっかりと着地する映画。
はっきり言って、火星でワトニーが目覚めた時点で大まかな結末は読める
だが、それを踏まえた上で、そこにたどり着くまでの過程がすばらしい。
 
アンテナが激突し、嵐の中に消えていくワトニーの「起」
火星で一人目を覚まし、孤独の中で生きるすべを模索する「承」
ジャガイモを栽培するハブが破壊され、NASAの救出計画が頓挫しかける「転」
ビニールシートで果敢に宇宙に飛び出し、アイアンマンでアクロバティックに助かる「結」
 
1から10まで基本通り。
王道中の王道をいく物語構成。
安心感と安定感。
何だかんだで基本が最強。そういうことである。
 

「宇宙兄弟」と併用で楽しさ倍増。これ、完全に月の訓練と同じじゃんか!!

これは余談だが、僕はこの映画を観た際、ちょうど漫画「宇宙兄弟」を通して読んでいた時期だった。おかげで、宇宙開発における「オデッセイ」との多くの共通点に「ほほおぉ~」と思った次第である。
 
・ワトニーが発見したマーズ・パスファインダーと同じものをNASAでも再現し、交信のヒントを掴む。
・移動用ローバーの改造を実機で試しながらワトニーに指示を出す。
・脱出ポッドをそのまま再現し、同じ状況でのテストを繰り返す。
などなど。
 
火星と月の違いはあるが、地球上で同じ環境を再現して実機でテストするのはまさしく「宇宙兄弟」そのもの。ちょうど鑑賞のタイミングがタイムリーだったこともあり、ワクワクが増幅される相乗効果が得られたわけである。
 
と、思ったらこんな動画があった。
「映画『オデッセイ』✕ TVアニメ『宇宙兄弟』!宇宙を超えた夢のコラボ予告!」

 

 
宇宙兄弟のアニメもおもしろかったですよね。
2ndシーズンやらないですかね。
変なところで終わっちゃいましたし。
 
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