村田諒太は日本を捨てちゃえよ? ペドロソをまったく問題にせず4RTKO勝ちで10連勝を飾る!! おや、前回から何かを掴んだなコイツ

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上海博物館イメージ
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2016年5月14日(香港)。
IBF世界ミドル級3位、WBC世界ミドル級5位の村田諒太がフェリペ・サントス・ペドロソとのノンタイトル10回戦に臨み、4R2分54秒でTKOに下した。

これで村田諒太はデビュー10連勝。戦績を10勝(7KO)とした。
さらに次回の試合は、なんと7月にラスベガスで行われるテレンス・クロフォードvsビクトル・ポストル戦のアンダーカードに出場することが決定しているとのことである。

「ビクトル・ポストルやべえ!! 強いボクサー見つけた!!」

2012年五輪金メダリストの肩書きを持ち、人類最難関と言われるミドル級で順調にキャリアを積む日本のホープがどこまでたどり着くことができるか。今後の動向にさらに注目である。

「亀海惜しくもソト・カラスとドロー!! 勝ったと思ったけどな。でもいい試合だった」

同タイプのペドロソをパワー差で圧倒した村田

村田諒太4R2分54秒TKO勝ち!!

ひと言で言って、100点満点の試合だったのではないだろうか。
序盤で倒せたこともよかったし、KO率の高いファイターを終始圧倒できたのは存在感を示す意味でも本当によかったと思う。次戦のラスベガスに向けて、プロモーターにも観客にもいいアピールになったことは間違いない。
まあ、関東深夜ローカル、しかも録画放送ということで日本のファンに対してのアピールはやや不足している感は否めないが。

「タドニッパ(タドーニッパー)は強いのか? 村田諒太の11戦目を予想する」

内容的にはだいたい前回の予想記事で申し上げた通りだったと思う。
同タイプのパワーファイター同士が激突してパワーのある側がパワー差で圧倒した。相手の持ち味を出させることなく、自分の形に持ち込んで捻り潰したという非常にわかりやすい試合である。

「村田が香港でベドロソと対戦!! 世界戦に突き進む村田のプロ10戦目を予想する!!」

まあ、これは別に僕に見る目があるとかではなく、純粋に両者の戦力を比較すればそうなるでしょ? というだけの話だ。

・前に出てプレッシャ―をかけるスタイル
・攻防分離型
・防御は基本的にガードのみ
・前に出て打ち合う以外の引き出しがなく、下がらされると弱い
・自分の距離で出すパンチには威力があるが、距離を支配されると空回りする

これが僕がペドロソの過去の試合を観た上で感じた印象だが、村田にそっくりである。
つまりタイプが同じであれば、勝敗を決するのは純粋なパワーや体格。当たり前の話だが、スポーツにおいて同じ動きができるのなら身体が大きい方が有利なのは間違いない。
そういう意味でも、今回はかなり高い確率で村田のKO勝利が予想できたというわけである。

そしてこの記事と写真を見て、僕は村田の勝利をほぼ確信した。

「【BOX】村田、ショッピングセンターで公開計量…アマ時代思い出す」

前日計量のウェイトが村田73.0kgに対し、ペドロソが72.0kg。さらに写真でもわかる通りの体格差である。
これだけの体格差がある両者がヨーイドンで走り出せば、当然搭載エンジンの排気量が大きい側が勝つ。特に試合を観るまでもなく、村田のKO勝ちは容易に想像できたとしか言いようがない。

「俺のアムナットさんが負けただと……?! カシメロに4RKO負けを喫して王座陥落!!」

村田の成長が見られた試合。スムーズなコンビネーションとアッパー

ただ、今回の試合は村田自身の出来もかなりよかったことも間違いない。
左ジャブを突いて右フック、そこから左のボディにつなぐという得意のパターン。これに今までよりもスムーズさが見られていたし、相手を自分の距離に釘付けにするプレッシャ―のかけ方にもうまさが出ていた。
さらに、コンビネーションの中にアッパーを入れてきたのにはちょっと驚かされた。
ストレート、フックとボディの軌道の中にアッパーで縦の変化を織り交ぜる。それもあんなナチュラルな流れで。
あのバリエーションは恐らくこれまでの村田にはなかったものなのではないかと思う。
僕はあれを見た瞬間、思わず「お前、あんなことできるんかいな!!」と叫んでしまった。

「今さらメイウェザーとパッキャオを語る。アルバレスvsカーン戦を観て」

観るまでもなく村田の勝ちだと言った試合ではあったが、あのコンビネーションを確認できただけでも観た価値はあったのかもしれない。

これは想像だが、たぶん前回の試合で何かを掴んだのではないだろうか。
掴んだというより、自分の原点を思い出したというべきか。
左ジャブがどうたら、カウンターがどうたら、上半身の柔らかさがどうとかではなく、自分は攻めてなんぼの選手であると。
攻防分離なら攻防分離で、その道を突き進めばええやんと。

プロ転向を決意してからあれこれと試行錯誤した結果、「身体の強さとパンチ力」という自分の持ち味を活かすにはゴリ押し真っ向勝負しかないことに気づいたのだろう。

そして、恐らく今回はプロに入って初めてパンチを効かされた試合でもあったと思う。
試合を通して終始攻め続けていた村田だが、2Rの中盤に一発だけカウンターをもらって足にきたシーンがあった。
村田がペドロソをコーナーに追いつめてラッシュをかけていたのだが、1分30秒過ぎに右の打ち終わりにペドロソの右がカウンター気味にテンプルを捉えているのである。スローで見ると、ややオープンなパンチをちょっと危ないタイミングでもらっていることがわかる。
その後の数秒間は出足が止まり、その場で軽くピョンピョンと跳ねる村田の姿が確認できるはずである。あれは間違いなくパンチが効いていたのだと思う。
ダメージ自体はすぐ回復したようだが、2R後半はそれまでのようにゴリ押しのプレッシャ―をかけられなくなっていたことが何よりの証拠である。

「ウィリー・モンロー・ジュニアやっぱりいい選手!! トンプソンに判定勝利で健在ぶりをアピール」

その意味でもこの試合はよかった。
確かな成長とともにヘッドギアに守られていないプロの恐さも知ることができた、まさしく価値のある1勝である。

「村田1Rで圧勝!! 廃棄処分するようにタドニッパをKOする。100点満点じゃないか?」

陣営のマッチメークが絶妙。すべてが好転するKO勝ち

今回の試合は村田の出来はもちろん、陣営のマッチメークが本当にすばらしかったと思う。
小型版村田ともいえるタイプを用意して真っ向勝負で叩き潰させる。
派手なKOによって村田本人に自信をつけさせることができ、なおかつプロモーターや観客へのアピールにもなる。
今回のペドロソは戦績だけ見れば立派な倒し屋である。高いKO率を誇る相手に何もさせずに勝ったという既成事実が村田の戦績にさらに箔を付けてくれる。
そして、派手なKO勝利を引っさげてのラスベガス見参である。
何から何まで陣営の計算通り。

前回の相手は話にならないくらいの雑魚で、正直「これ、意味あるか?」という試合だったが、今回は一石が三鳥にも四鳥にもなるマッチメークだったと思う。

「村田壮絶KOで快勝!! ガストン・アレハンドロ・ベガを右ストレートで一蹴!!」

極端な話、村田はこの際日本での人気をあきらめてもいいのではないだろうか。2013年のデビューではあれだけもてはやされたのに、今ではド深夜の関東ローカルでの録画放送である。
僕も散々酷評してきたが、この2試合での村田は著しい成長を見せていることは間違いない。確かに対戦相手がアレな部分はあるが、それを差し置いても今後を見続ける価値はあると思う。

「村田諒太の実力に疑問符。化けの皮が剥がれるのが1年遅れたね!!」

だが、今の村田はどんなにいい試合をしても批判される状況だ。多くの日本のファンは「弱い相手とばかり試合をするバッタもんメダリスト」と吐き捨ててしまう。

「爆腕!! 村田がブルーノ・サンドバルにド迫力KO!! 世界前哨戦で格の違いを見せつけ3RKO」

それならいっそのこと日本での人気は捨てて、ボブ・アラムに媚を売りまくった方がはるかにメリットがあるのではないだろうか。
それこそ、日本での放送は考えずに海外のリングに上がり続け、今回のような「ぼちぼちの相手」を倒しまくるのである。そして元金メダリストの倒し屋日本人として名前を売り、穴王者への挑戦のチャンスを待つのだ。
まあ、ゴロフキンとカネロが君臨しているせいで、当面ソーンダースしかいない状況なのが厳しいが。
ああ、ジェイコブスもいたか。

「ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ」
「カーン仰向けにバッタリ。“カネロ”・アルバレスが壮絶カウンター一発でカーンを失神KO!!」
「ジェイコブス、クイリンを瞬殺!! 初回の壮絶ラッシュでTKOに下し、見事防衛成功」

とはいえ、前回の記事でも申し上げたようになんだかんだで村田はかなり恵まれた境遇にいると思う。
歴代の日本人ボクサーがいくら望んでも叶わない海外進出をあっさり成し遂げているし、無敗の金メダリストというブランドを守るためのマッチメークもしてくれる。
海外進出といっても、ただ海外のリングに上がるだけではない。ボクシング新興国の中国に呼ばれたり、当たり前のようにラスベガスのリングに立ったりしているのである。

「内山国内防衛ワロタ _( ̄▽ ̄)ノ彡 だから言っただろww 大田区総合体育館を想定しておけと」

そして次回はまさかのテレンス・クロフォードvsビクトル・ポストル戦のアンダーカードである。前回の記事の繰り返しになるが、あのテレンス・クロフォードが29戦目にしてようやくたどり着いたMGMグランド・ガーデン・アリーナの舞台にわずかキャリア10戦の村田が立つのである。
しかも1度目のラスベガスであれだけクソつまらない試合をかましておいて、1年も経たないうちにまた呼ばれるのだ。
マッチメークについては詳しくないのだが、歴代の日本人ボクサーでこれほど期待をかけられている選手が未だかつていたのだろうか。
まさしくボブ・アラムの秘蔵っ子。そう呼ぶにふさわしい境遇と言えるのではないだろうか。

「村田諒太の課題が見えた? 実力は? ガナー・ジャクソンに判定勝ちでラスベガスデビュー」

ちなみに7月の村田の相手もすでに決まっていて、ジョージ・タドーニッパーというベテラン選手らしい。

過去の試合をちらっと観たが、ここ2試合に比べるとかなりやりにくい相手なのではないだろうか。身体の強さはまったく感じないが、クネクネとパンチを殺すのがうまい技巧派という印象である。

村田は自分の距離で腕を振り回しているうちは滅法強いが、そうでないときには空回りする傾向が見られる。
それに対し、ジョージ・タドーニッパーは相手に身体を密着させてパンチを強振させない位置で戦うこともできる選手である。

真っ向勝負を封じされた際に村田がどうするか。
「そんなの関係ねえよ」とばかりにパワーで叩き潰すのか。
新たな引き出しを見せてくれるのか。
楽しみといえば楽しみである。

恐らく村田の勝ちは動かないと思うが、一応クソつまらない試合になることも覚悟しておいた方がいいかもしれない。

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