村田vsエンダム感想。疑惑の判定負け? 素人がプロに口出すな。やったことがないヤツが語るな。だったらお前がやってみろ理論【結果】

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ジャッジメントイメージ
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2017年5月20日に東京・有明コロシアムで行われたWBA世界ミドル級王座決定戦。
同級ランキング2位の村田諒太が1位のアッサン・エンダムと対戦。1-2(117-110、111-116、112-115)の判定で敗れ、王座奪還に失敗した。
 
「村田再戦で勝利!! 絶不調のエンダム(ヌジカム)にTKO勝ちでミドル級戴冠。疑惑の判定から因縁に終止符を打つ」
 
開始直後から前に出てプレッシャーをかけ続ける村田。
手数は少ないものの、スピードで勝るエンダムを再三ロープ際に追い詰める。
 
「井上vsリカルド・ロドリゲス感想。だーめだ、ムリムリ無理無理。無謀な挑戦お疲れロドリゲス。井上はさっさと階級上げなさい」
 
4Rには見事な右のカウンターでダウンを奪うなど、終始優位に進めたかに見えたが、結果はまさかの判定負け。
場内が騒然とする中、リング上では村田が納得いかない表情を浮かべながらも相手を称える。
 
勝ったエンダムは「村田は力強いが完璧ではなかった。でも未来があるのできっと王者になる」と村田に賛辞を送ったとのことである。
 
「八重樫がサマートレックをパワーで圧倒!! あれ? 肉体改造でもしたか? ここまでパワフルにねじ伏せるとは」
 

村田すばらしかった。心の整理なんぞしてないで、さっさと再起しれww

まず最初に村田はナイスファイト
結果はともかく、内容的にはエンダムを完全に圧倒していた。
あれだけ動き回る相手をあっさり追い詰め、自分の射程に捉える追い足はさすがだった。
 
さらに、スピード&パワーのミドル級においても突出したフィジカルにパンチの威力。その持ち味を最大限に活かすスタイル。
2015年後半から2016年にかけての成長は本当にすごい。
 
最初は世界王者は無理かなと思っていたが、今は早く世界王者になれよとしか言いようがない。
 
簡単にもう一回とは言えない?
心の整理が必要?
 
「比嘉が半病人エルナンデスを5回ダウンさせてTKO勝利!! パーフェクトレコードで世界初奪還を果たす」
 
何を言ってる。
別に一度くらい負けたって誰も何とも思わんよ。
一晩寝てちょっと休んで、さっさと心機一転しなさい。
 
とまあ、非常に勝手な言い分だが、今回の試合で挫折もクソもない。これだけできる選手が引退なぞあり得ないというのが僕の率直な感想である。
 
「こっそり名試合ウォーリントンvsキコ・マルチネス!! 村中vsヤファイの裏で2017年最高試合出たか?」
 

エンダムを完全に支配した村田のプレッシャー。あれだけの突破力は今のミドル級ではお目にかかれない?

繰り返しになるが、今回の村田は本当にいい出来だった。
 
以前の予想記事で申し上げた通り、ここ数戦の村田はパワフルなプレッシャーに加え、フットワークが向上している。2016年末の試合で、柔らかい動きのサンドバルをあっさり追い詰めた追い足はすばらしかった。
アレを観て、僕は世界戦はいつGOしてもいいと思ったし、実際世界戦でも勝てるのではないかと思った。
 
「村田諒太vsハッサン・ヌダム・ヌジカム予想。これ普通に勝てるんじゃねえの? 村田がヌジカム(アッサン・エンダム)をゴリ押し」
 
そして相手のアッサン・エンダム。
これも予想記事で申し上げたが、この選手は要するにブルーノ・サンドバルの上位互換ではないか?
 
腰高だがよく動く足。
ルーズなガード。
柔軟な上半身。
 
それぞれのレベルはエンダムの方が数段上だが、基本的にやっていることは一緒。
村田の追い足が機能すれば十分追い詰められる。もしかしたら試合後半のKOもある?
 
というのが大まかな予想だった。
 
「爆腕!! 村田がブルーノ・サンドバルにド迫力KO!! 世界前哨戦で格の違いを見せつけ3RKO」
 
結果は大ハズレだったが、内容的にはそれ以上のものを見せてくれたと思う。
 
大きくリングをサークルするエンダムの進行方向に半歩足を出し、ルートを狭める。
足の運びを前から横へすばやく切り替え、エンダムの膝の外側のポジションをキープする。
さっと方向転換して逆サイドに逃げるエンダムの進行方向に先回り。
絶対に正面を外さず徐々に近づき、エンダムの動くスペースを削っていく。
そしてロープを背負わせ、狙いすました右をドカン。
 
ほとんど手を出さずにエンダムを疲弊させ、自分の得意な間合いで攻め落とす。
2015年後半から2016年にかけて身につけた村田のゴリ押しスタイルである。
 
「村田1Rで圧勝!! 廃棄処分するようにタドニッパをKOする。100点満点じゃないか?」
 
正直、あのエグいプレッシャーから逃れられる選手は今のミドル級にはいないのではないか。それくらい手際がよく、強烈な追い足だったと思う。
 

何もできなかったアッサン・エンダム。パワーもスピードも村田に封じられ、倒されないことだけが目的と化す

対するアッサン・エンダム。
この選手が今回選択した作戦は「村田のパワーにパワーで対抗すること」
 
「見どころ満載の拳四朗vsガニガン・ロペス。思った以上におもしろかった試合」
 
いつもほどは激しく動かず、足を踏ん張って1発のパンチに力を入れる。パワフルだがスピードがない村田に対し、パワー面に多少メーターを割り振ることで出足を鈍らせる。
パワー偏重の村田であれば、少しスピードを落としても何とかなるだろうと考えたのではないだろうか。
 
「地の利とか日本人ボクサーがタイで勝てない理由とか。世界戦19敗1分を引き起こしたマモノ()についてのお話」
 
パワーパンチで村田の前進を弱め、必殺の右カウンターを叩き込む。
左右に動きつつ、自分の得意な中間距離で勝負する。
それが今回のエンダムの作戦だったように思える。
 
だが、結果はご覧の通り。
エンダムの目論みはあっさりと崩れさる。
 
「村田ズルいww このタイミングでエンダムと再戦決定って、こんなの村田が勝つに決まってるじゃんか」
 
予想をはるかに超える村田のプレッシャーにまったく耐えきれず、力一杯の左も楽々ガードされる。自分の距離で対峙しようにも、村田が手を出してこないのでカウンターもクソもない。
 
これはヤバいと感じたのか、4Rからは自分から前に出る。
ところが、逆に動き出しをカウンターで打ち落とされてしまう。
 
パワーではまったく歯が立たない。
目一杯の左がいっさい通用しない。
自分から打ち込んでみたものの、至近距離では完全に分が悪い。
 
5Rですでに手詰まり感満載のエンダム。
結局、腰高の構えでリングを大きくサークルする従来のスタイルに戻さざるを得なくなる。
 
「村中優惜しい!! ヤファイを追い詰めるが、最後の最後で失速。敵地で絶好のパフォーマンス」
 
と言っても、それが村田に通用したとは言い難い。
 
ダメージの回復を図るために動き回るが、村田のプレッシャーから逃げ切れない。
ラウンド後半には村田に正面を捉えられ、パワーパンチが顔面をかすめる。
ガードの上からでも身体が大きく流れされるほどの威力。
 
「山中vsルイス・ネリ予想!! 最大にして最強の挑戦者登場? 13度目防衛戦をクリアしてカンムリワシに肩を並べろ」
 
足を止めて打ち合うことはできず、かと言ってプレッシャーから逃れることもできない。
方向転換の瞬間に逆方向からボディを狙われ、身体がくの字に折れる。
 
アッサン・エンダム、絶望的な状況である。
 
というか、村田すげえな。
あんなカウンターも打てるんかいな。
攻防分離の剛腕ファイターなだけじゃないんだな。
 
「大激戦のバルテレミーvsキリル・レリク!! まさかの苦戦のダークヒーロー、バルテレミーはクロフォード打倒を果たせるか?」
 

手数が少なかった? やっぱり敗因はそれかなぁ。ヒット数だけを見れば確かに納得できるかも

まさかの判定負けを喫した村田だが、言われているように敗因は手数の少なさだろうか。
 
とりあえず、何度も言うように試合を支配していたのは村田。ペースは完全に掌握していた。
ただ、手数が少なかったのも確かで、ヒット数だけを見ればエンダムとさほど変わっていないのかもしれない。
 
パッと見、当たっているように思えるが、よく見るとガードの上だったかもしれない村田のパンチ。
パッと見、当たっていないように思えるが、よく見るとガードの外側から当たっているかもしれないエンダムのパンチ。
こういった曖昧な部分を総合計していくと、もしかしたらエンダムの方がヒット数が多いのかもしれない。
 
そしてほとんど手を出さない村田と、ガードの上でもお構いなしに手を出し続けたエンダム。
お互い有効打がなく、優劣をつけるのは手数のみ。
 
そう考えると、勝者エンダムという結果も納得できないことはない。
何とも言えないが。
 
「ジョシュアがクリチコを粉砕!! 圧倒されながらも逆転勝利。怪物元王者を沈めたジョシュア」
 
まあ、ちょっと小突けば倒れるほどのダメージを与えながらも倒しにいかなかった村田が残念ではあるが。
10R以降はさすがに出足が失速したかな?
 

素人はプロの仕事に口を出すな。黙ってすべてを受け入れろ理論

今回の疑惑の判定を受けて、SNS界隈でちょっと議論が起きているらしい。
「プロのジャッジが下した判定に素人が文句をつけるな」とかなんとか。
 
出所をよく知らないし調べる気もないのだが、とりあえず思ったのが、
 
ホンマ、イタイな。
 
 
これ、プロスポーツ関連でよく聞くのだが、マジでしょーもない。
 
「素人がプロに口を出すな」
「やったことがないヤツが語るな」
「だったらお前がやってみろ」
 
基本的にこれらのメンタリティの根元は同じだと思っていて、耳にするたびにアホちゃうか? としか言いようがない。
 
 
とりあえず疑問なのが、この人たちはなぜその道のプロと一般人を比較するのだろうか。
「プロのすごさも知らないで、口を出すな」「お前ができないのに偉そうに言うな」「プロに対して失礼だ」「リスペクトがない」とおっしゃるが、脳みそにクモの巣がはっているのか。
 
そもそもプロがすごいのは当たり前で、ボクシングの世界戦のリングに立てる選手が凄まじいことなどすべての大前提である。
もちろん、その試合のジャッジも選ばれし人間ということも重々承知している。
 
「メインの前に帰るな、予備カードを観ていけとかいう暴論。選手のチケット手売りとかいう最悪の慣習」
 
その一部の限られた超人たちがしのぎを削る場所がプロの舞台であって、そこでの順位がつくのは至極当然の話である。
 
確か長谷川穂積も似たようなことを言っていて、相変わらず残念なメンタリティしてやがるなと思ったのだが。
「苦言」
 
長谷川穂積を否定すると問答無用で怒られるのでアレなのだが。
 
「村田諒太再戦? 次戦? 何がしたいんだ問題。やっぱり計算高いよなこの人。自分が他人からどう見られるかのケアが半端じゃねえ」
 

プロの中で順位がつくのは当たり前。そこになぜ、素人である一般人との比較が入るのか?

以前「バスケのBリーグにいる外国人をNBAにも入れない下っ端だとバカにするヤツは、実際会ってみればいい。彼らがいかにすごいか、どれだけ人間離れしてるかわかるから」と憤っていた方がいたが、アホか。
 
バスケのプロになれる時点で超人なのは当たり前である。
そして最高峰のリーグであるNBAの選手と、できたばかりの日本のBリーグの選手。優劣がつくのも当たり前の話である。
 
もちろんジャッジも同様である。
優れたジャッジといまいちなジャッジ。同じプロなのだから、その仕事ぶりに対する評価がついて回るのは当然である。
 
そこになぜいきなり一般人との比較が飛び出すのか。
いくら考えてもわからない。
 
プロに対して失礼?
リスペクトがない?
 
いったい何を言っているのか。
選ばれし一部の超人であるプロを一般の素人と比較する方が一億倍失礼ではないのか?
相変わらずリスペクトの便利使いが好きな方たちだが、一番リスペクトがないのは実は自分だと気づいた方がいい。
 
少なくとも、みんなの嫌いな亀田興毅は「自分たちは商品だから、視聴者や観客に何を言われても当然のことだと思っている」と言ってたっけな。
 
「井岡一翔の倒し方? ノクノイ戦の感想を含め井岡に勝てそうな選手を考える。まあ、アイツしかいないけど」
 
まあ、一番驚いたのは「素人がプロに口出しするな」と言っていた方が「○○のラーメンは油が多過ぎる」と怒っていたことなのだが。
 
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