モンティエル、リー・セルビーに12R判定で敗れて4階級制覇ならず!!【IBF世界フェザー級タイトルマッチ】

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海の夕焼け空
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落日のモンティエル。リー・セルビーに12R大差判定負け!!

IBF世界フェザー級タイトルマッチが2015年10月14日(日本時間15日)に米アリゾナ州グレンデールのギラ・リバー・アリーナで行われた。
王者のリー・セルビーに同級11位で三階級制覇チャンピオンのフェルナンド・モンティエルが挑む一戦である。

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王者セルビーは噂されるサンタクルスとのビッグマッチへ向けてのステップとできるか。対するモンティエルは2011年にノニト・ドネアのフックに沈んで以来の世界戦。念願の四階級制覇を達成することができるか。
ともに負けることが許されない一戦である。特に36歳のモンティエルは今回の試合がラストチャンスになるかもしれない。並々ならぬ決意と覚悟を持って試合に臨んでいるはずである。

セルビーでけえ!! 圧倒的な体格差のある相手にモンティエルはどう戦う?

試合開始のゴングとともにリング中央で対峙する2人。
向き合った2人の姿を見た率直な印象は「セルビーでけえ!!」

目測でセルビーがモンティエルよりも二回り大きい。そしてジャブが長い。前傾姿勢の構えから繰り出す左ジャブは見た目以上の伸びを感じる。
この体格差はモンティエルにとって相当厳しいのではないか。大丈夫か? やれんのか?

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後ろ足に体重を乗せて構えるモンティエル。
セルビーの放つフリッカー気味のジャブを高く上げたガードとパーリング、バックステップでかわす。だが距離の違いを感じているのか、なかなか思ったように手が出ない。
飛び込んで数発フックを放つが、後ろ足に体重が乗ったままのパンチには迫力がない。

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対するセルビー。
ジャブやフックの射程距離は長い。しかし、ボクシング自体は直線的であまり強弱が感じられない。モンティエルに慣れられたら危ないのではないか。左右に動くモンティエルを持てあましているように見える。というよりも、モンティエルのサイズを見て多少侮っているのか。

開始直後に感じた印象は概ねこんなところだった。
そして、結果として体格と距離の差が如実に表れた試合となってしまった。

序盤はがんばったモンティエル。だが、やはり体格差と距離の差は埋められず

今回の試合、序盤はある程度互角の展開だったのではないかと思う。モンティエルは体格差のある相手にかなり善戦していたと思うのだ。

セルビーの長い左フックを鼻先でよけたり、小さいバックステップでジャブをかわしたりとモンティエルの抜群の距離感は随所に見られたのである。特に1Rの終了間際にヒットさせたカウンターの右フックなど、さすがのモンティエルを思わせるパンチだったと思う。

そしてガードを高く上げた構えで顔面を守り、身体を振りながらジグザグに前進してプレッシャーをかけるなど距離の違いを埋める工夫もいたるところに感じられた。
実際、近づいてからの至近距離での打ち合いではハンドスピードを活かしたモンティエルがやや優位に立っていたのだ。

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しかし中盤以降、モンティエルの前進する力が弱まるとともに徐々に距離の差が表面化して、セルビーがペースを掴んでいったのである。

4Rのカウンターで完全に流れが変わる

試合序盤、距離を先に掴んだのはモンティエル。
セルビーの左をバックステップでかわし、パンチの戻り際を狙って左のカウンターを狙う。これがうまくハマり、若干ではあるが優勢に進めていたのではないかと思う。だが4Rの終わり、セルビーがモンティエルの左にさらに右フックをカウンターでかぶせたのだ。
最大の分岐点はここだったと思う。
このカウンターを警戒してか、だんだんとモンティエルが大胆にカウンターを狙えなくなっていったのである。

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その後も6Rまではどうにかセルビーの懐に飛び込んで打ち合う展開を作ろうとしていたモンティエルだったが、7R以降は体格差に押されて失速してしまった。逆にセルビーの動きは試合中盤以降、どんどんよくなっていった。抜群の距離感を持つモンティエルだが、むしろセルビーに距離を支配された印象である。

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遠い距離ではセルビー。近づくとモンティエル。
この構図のまま序盤は互角の展開が続いていたが、6Rを過ぎたところで均衡は完全に崩れたのである。

モンティエルもラウンド後半にパンチを集めるなど、どうにかジャッジに印象を残そうという努力は感じられた。ベテランの経験をいかんなく発揮した試合運びを見せていた。だが、インパクトという意味ではどうしてもセルビーに一歩先をいかれてしまっていた。

8Rの終了間際にセルビーの長い右フックがガードの外側からモンティエルの顔面をかすめるのだが、このパンチに2人の距離の差が如実に集約されていたのではないだろうか。

前進を弾き返されるモンティエル。これは打つ手なしか?

ラウンドが深まるにつれて、完全にペースを掌握するセルビー。
モンティエルもラウンド開始直後は思い切って前進するのだが、セルビーの長いジャブに迎撃されてすぐに出足が止まる。試合序盤では分があったはずの至近距離の打ち合いもセルビーに押されてしまう。残酷すぎるほどの骨格の差、体格の差だ。

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ラスト12Rに開き直ったモンティエルが力一杯のカウンターを振り回して起死回生のKOを狙うのだが、打ち終わりにセルビーの右を被弾してしまう。
そして出足が止まり、後退させられる。
モンティエルが最後の力を振り絞った上で、セルビーに弾き返された場面。実質ここが勝負ありの瞬間だった。

判定の結果は予想通りセルビー。
112-116、110-118、109-119の0-3。文句なしの判定勝ちだ。

とはいえ、いい試合だった。
なかなかおもしろかった。
両者の充実感に満ちた表情を見るに、お互い出し尽くした試合だったことがうかがえる。

健闘したモンティエル。そしてセルビーはサンタクルスに勝てるのか?

距離感をつかむのが抜群にうまいモンティエルだが、やはりフェザー級では体格的な壁は厚かった。健闘はしたと思うが、セルビーの長い距離とプレッシャーに最後は押しつぶされてしまった格好だ。やはりモンティエルのサイズではこの階級のトップ戦線で活躍するのは難しい。

当時の日本のスピードスター長谷川穂積に勝ち、ノニト・ドネアに豪快にKO負けしたモンティエルもすでに36歳。
4階級制覇を狙っての果敢なファイトだったが、スピードでは上回っていたものの体力的な差を埋めることはできなかった。
これが最後の挑戦という覚悟があったのかは定かではないが、今後はどうするのだろうか。最後に日本で長谷川穂積とお互いの引退試合としてやってくれてもいいような気もするが。
とりあえず今回はお疲れ様だ。ナイスファイトだった。

防衛を果たしたセルビーに関しては、さすがの技巧派ぶりを見せた試合だったと思う。
ただ、サンタクルスとのビッグマッチが期待されているようだが、正直この試合はセルビーでは歯が立たないように思える。
前回のマレス戦であらゆる状況への対応力を見せつけたサンタクルスと対峙するには、至近距離での打ち合いでモンティエルにやや上をいかれたセルビーでは役不足に思えてならない。サンタクルスのスター街道の引き立て役になるのがせいぜいだと予想するが、いかがだろうか。

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ちなみに、個人的にリゴンドーは大嫌いなので今後も変わらずシカトしていてくれればと思う。

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