クラッシャー(破壊王)コバレフ見参!! パスカルとの再戦を予想! スピードスター・パスカルは最凶コバレフをどう攻略する?

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2015年1月30日(日本時間31日)にカナダのモントリオールにあるベルセンターで、L・ヘビー級3冠王者セルゲイ・コバレフvs元世界王者ジャン・パスカルの一戦が行われる。

2015年3月に対戦した両者。このときはコバレフが8回TKOでパスカルを下して王座防衛に成功した。だが、パスカルがコバレフを攻め込むシーンもあり、今回決着戦としてのリマッチが実現した。

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無敗のコバレフが再び強さを見せつけ、アンドレ・ウォードとのビッグマッチに駒を進めることができるか。
新たにフレディ・ローチと組んで最強王者撃破に燃えるパスカルが番狂わせを演じるか。
2016年のL・ヘビー級戦線を占う上で大きな試合となることは間違いない。

コバレフの判定勝ちを予想しつつ、パスカルの勝利を願う

まず最初に勝敗予想から申し上げると、今回はコバレフの判定勝ちでいこうと思う。恐らくコバレフが前回以上に盤石な試合運びでパスカルを退ける。そんな気がするのだが、いかがだろうか。

ただ、勝敗予想はコバレフたが、実際に僕が応援するのはパスカルである。理由は一つ。無敗のコバレフが負けるところを見てみたいから。

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というわけで、今回はあえてパスカル目線でこの試合を考えてみたいと思う。
挑戦者ジャン・パスカルが、最強王者コバレフを相手に勝利をつかみ取るにはどうすればいいか。前回の試合を振り返りつつ、パスカルとコバレフの戦力を比較しながら考えていきたい。

コバレフを警戒し過ぎて金縛りにあったパスカル

2015年3月に行われた両者の対戦をもう一度見たが、率直に言って「パスカルが中途半端過ぎ」だ。どう考えてもパスカルの動きが少なすぎである。

なぜあそこまで動けなかったのだろうと不思議になるくらい、いつものパスカルからは考えられないほどガチガチになっていた。

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恐らくだが、この試合のパスカルはコバレフの圧力を受け止めるために踏ん張り過ぎていたのだと思う。

足を使ってコバレフに対抗しても遅かれ早かれ捕まる。
それならいっそのこと動きは最小限に抑えて、近距離でのカウンター勝負を挑んだ方が方が可能性がある。そう考えたのではないだろうか。
鋭く踏み込んで一発目をヒットし、サイドにステップしてフック。近距離でのスピード勝負に活路を見出そうとしていたのだと思う。

ただ、前回の試合ではパスカル自身がその戦い方をチューンアップしきれていなかった印象である。コバレフのプレッシャーが予想以上に強かったのもあるだろうが、自分自身がその戦い方に慣れていなかったのだろう。コバレフの左をガードの間から何発ももらい、まっすぐ下がるシーンが随所に見られた。

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さらに言うと、コバレフのプレッシャーをパスカルが必要以上に警戒し過ぎたというのもあるだろう。力量差はもちろんだが、それ以上にパスカルがコバレフの圧力に対する意識が強すぎたのだ。

コバレフの圧力を警戒するあまり、本来の持ち味である足を使ってリングを動き回るというスタイルを見失っていたのである。特に試合序盤、力が入り過ぎなのは誰の目にも明らかだった。
かといって、前に出て打ち合う思い切りのよさもない。非常に中途半端な距離と精神状態でコバレフと対峙してしまっていたのである。

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近づくの? 離れるの? どっちかにしないとまたぶっ倒されるよ?

今回の試合でパスカルがコバレフ相手に優位に立つには、アウトボクシングor接近戦どちらかに目盛りを振りきった戦い方を徹底するべきだろう。
スピードを活かしたタッチボクシングに徹するか、開き直って前に出るか。どちらにしても前回のように中途半端な距離で打ち合うことだけは避けるべきだ。もしそうなってしまった場合、二戦連続でKO負けを喫する可能性すら考えられる。

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確かにスピードを活かした激しい出入りで翻弄するというのは、コバレフを攻略する上で一つの答えであることは間違いない。だが問題は、それをするにはロイ・ジョーンズ並の運動神経が必要になることである。

ジャン・パスカルのスピードは確かにこの階級屈ではあるが、残念ながらロイ・ジョーンズとは比べ物にならない。スピードはもちろんパンチの見切り、防御勘、反射速度や正確性、その他すべてにおいてロイ・ジョーンズには遠く及ばない。

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まあ、僕は全盛期のロイ・ジョーンズはオールタイム・ベストだと思っているので、パスカルごときがそれにかなうはずはないのだが。

実は可能性を見せていたパスカル。コバレフに対抗できる武器は持っている?

最初に申し上げたとおり、前回の試合でのパスカルはとにかく距離が中途半端だった。
近づくでもなく離れるでもなく、コバレフが一番力をこめて打てる位置で対峙してしまっていたのである。
コバレフの打ちやすい距離というのはつまり、パスカルにとってはやや遠い位置である。踏み込んで打ち込むにしても離れるにしても、パスカルはあと一歩離れるか近づくかするべきだった。

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実際、前回の試合では少ないながらもパスカルが距離を詰めて攻め込むシーンは見られたのだ。
4Rの終了間際に見せた動きなどはまさにそれで、鋭く踏み込んで右をヒットしたり、カウンターでコバレフを下がらせるなど、距離を詰めて打ち合ったときはそれなりに対抗できていたのである。
5Rに見せたシーンもそうだ。踏み込んで右をヒットし、すぐさまステップしてコバレフのサイドに回り、死角からフックを当てる。この動きを続けることができれば、パスカルにも光が見えてきたはずなのだ。

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試合自体はコバレフの圧勝。だが、実はパスカルにも可能性はあったのである。

近距離でのスピード勝負を挑め!! 序盤からペースを掴むんだ!!

どれだけ勇気を持って踏み込めるか。
パスカルがコバレフに一矢報いるには、それが大きなカギとなるだろう。

鋭い踏み込みから右をヒット、すぐさまサイドに回ってフック。そしてコバレフの打ち終わりにカウンター。この動きをどれだけできるかがコバレフ攻略のキモになるはずである。

パスカルはとにかく下がってはダメだ。
下がれば下がるほどコバレフペースの試合になってしまうし、あの前進をパスカルがまともに受け止めるのは不可能だ。ガードを上げてまっすぐ下がるなどもってのほかである。
たとえ攻められたとしても、必ず打ち終わりにカウンターの右を返す。随所に右のフックをカウンターで当て、コバレフに手を出しにくくさせるのである。

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そう考えると、やはり勝負は序盤。1〜3Rの間にどれだけ有利な展開に持ち込めるかにかかっている。パスカルが勝利を掴むには序盤の攻防がすべて。そう言っても過言ではない。

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仮に序盤にペースを握るのがコバレフであった場合、パスカルの勝機はほとんどゼロに近い。前回同様、体力を削られた末に捕まっておしまいである。

それを避けるためにも、何としてもパスカルは序盤から積極的に前に出て自分に流れを引き込むのだ。距離を詰めて、近い位置でのスピード勝負を挑むのである。

たとえ押し込まれたとしても手を出し続ける。下がりながらでも手を出していればチャンスは必ずやってくる。コバレフの左の打ち終わりを狙って右フックをこめかみに叩き込むのだ。

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PFP最強? コバレフを食い止めろパスカル

以前にも申し上げたように、コバレフの凶悪っぷりは極まっている。

バーナード・ホプキンスに快勝し、ナジブ・モハメッディをまったく寄せつけずにマットに沈めたコバレフ。まさしく今が全盛期と言って間違いない。

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風貌が違い過ぎてアレだが、トリニダードのしなやかさとテレンス・クロフォードの器用さを併せ持ったコンプリート型のボクサーではないだろうか。個人的にPFPのトップはコバレフ。そう断言しても過言ではないほど、この選手の強さは際立っていると思うのだ。

そして2016年はコバレフにとって飛躍の年である。
以前から噂のあったアンドレ・ウォードとのビッグマッチが計画され、浮上しては立ち消えるアドニス・スティーブンソンとの統一戦も可能性がゼロになったわけじゃない。
正直、今のコバレフはパスカルとの再戦ごときにつまずいている場合ではない。こんな消化試合はさっさと片づけて次のステージに進みたいと思っているはずである。

だが、それでも僕はパスカルにがんばってもらいたい。
完全にかませ犬ポジションになり下がってはいるが、最強最悪のボクサー・コバレフに噛み付き、あわよくば引きちぎってもらいたいと願っている。

コバレフの弱点はディフェンスだ。そこにキレ味抜群のパスカルの右が炸裂する。そんなシーンを妄想して止まない。

最後になったが確認しておこう。
僕の勝敗予想はコバレフの判定勝ちである。

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