ヘビー級No.1候補ジョシュアがデカイだけの人ブリージールを屠って勝利!! そりゃそうだろ。ブリージールがアンソニー・ジョシュアに敵うわけない【結果】

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ロンドンタワーブリッジ
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2016年6月25日(日本時間26日)に英・ロンドンのO2アリーナでIBF世界ヘビー級タイトルマッチが行われ、王者アンソニー・ジョシュアが同級13位の挑戦者ドミニク・ブリージールと対戦。2度のダウンを奪ったジョシュアが7R1分1秒TKOで勝利を飾り、初防衛に成功した。

元オリンピック代表同士ということで注目を集めたタイトルマッチだったが、結果はジョシュアの一方的な勝利。試合を終始優勢に進めたジョシュアがブリージールにほぼ何もさせずに完封し、圧巻の初防衛を果たした試合である。

地元開催の防衛戦で戦績を17戦全勝17KOとしたアンソニー・ジョシュア。混沌とするヘビー級戦線で頭一つ抜けることができるか。対抗王者との統一戦など、今後のさらなるビッグマッチに注目である。
 
「ジョシュアがクリチコを粉砕!! 圧倒されながらも逆転勝利。怪物元王者を沈めたジョシュアの次戦はクリチコ再戦か、フューリー戦か」
 

いや、ブリージールじゃジョシュアの相手にはならんだろ。地元の観客を喜ばせるためだけの試合か?

ヘビー級No.1筆頭アンソニー・ジョシュアが圧巻の7RKO勝利!!

ジョシュア圧勝!!
強すぎてどうにもならん!!
ヘビー級トップはコイツだろ。

今回のアンソニー・ジョシュアvsドミニク・ブリージール戦を受けて、こんな感想が多数聞かれた。

アンソニー・ジョシュアの強さが極まりつつある。
タイソン・フューリーよりも絶対強い。
ワイルダーとの一騎打ちが観たい。

などなど。
景気のいい言葉が次々に飛び出していた次第である。

「アンソニー・ジョシュアがチャールズ・マーティンに圧勝!! 筋骨隆々のプロスペクトが曲者サウスポーを一蹴」

だが、僕個人の感想を申し上げるなら「そりゃそうだろ」としか言いようがない。
アンソニー・ジョシュアは確かにすごいし、ヘビー級戦線でもトップを張れる可能性のある選手である。

ただ、今回に関してはあまりにも相手がアレ過ぎた。

初防衛の相手がドミニク・ブリージール?
何だその安パイ。
ボーナスステージ過ぎるだろ。

アンソニー・ジョシュアの初防衛戦決定!!
相手は同期のオリンピアンでヘビー級ホープの1人、ドミニク・ブリージール!!

この一報を聞いたときに僕が思ったのが、
「何考えてんだ?」

こんな試合、ジョシュアの一方的なタコ殴りに決まってるだろ。
ブリージールがジョシュアのスピードについていけるわけないだろ。
せっかくヘビー級戦線が盛り上がってるのに、しょーもない試合組むなよ。

そんな感じである。

そして、結果を見れば案の定。
ジョシュアがひたすら気持ちよくブリージールを屠るだけの「アンソニー・ジョシュアのサクセス映像」の出来上がりである。

「むしろ7Rまでよく立っていられたもんだなブリージール。ジョシュアが慎重だったのもあるけど」
そんな言葉をかけたくなるほどの一方的な試合だった。

「ワイルダーがアレオーラを下してV4!! 圧勝? 意外と危なかったぞこの試合」

ヘビー級期待の元オリンピアン。ドミニク・ブリージールに注目!! と言われた割に……

僕がこのドミニク・ブリージールを初めて観たのはWOWOWエキサイトマッチでO.A.されたフレッド・キャシー戦である。確か「元オリンピック代表のヘビー級ホープ」として紹介され、やたらと期待感を煽る演出がなされていた覚えがある。

だが、元オリンピアンの触れ込みや実況の口調とは裏腹に、内容的には非常に低調であった。

膝のバネがまったくなく、踏み込みにいっさい鋭さがない。
ジャブに威力がないので、インファイターでもないフレッド・キャシーに楽々懐に入られてしまう。
そして何より根本的に動きが鈍重すぎる。

サイズとパワーで何とか判定勝ちを収めたものの、それほどでもないキャシーの踏み込みを持て余し、ロープ際で何度もパンチを被弾するという体たらく。
「え? コイツの今後に何を期待しろと?」

そして次戦の相手がアミール・マンスールと聞いて「これはやべえんじゃねえか」と心配していたら、これまた案の定である。
インファイターのマンスールの突進にまったく対応できずに再三懐に入られる圧倒的不利な展開。思ったとおり3Rに豪快にダウンを奪われる始末である。
6Rにマンスールの負傷ギブアップで辛くも勝ちを拾ったが、ブリージールの力不足は誰の目にも明らかだったと思う。

この2試合を観て、僕がブリージールという選手に対して出した結論は、

ただデカイだけの人。
記憶にとどめておく必要なし。
安心して忘れましょう。

である。
この選手に期待していた方には本当に申し訳ないのだが。

そんないきさつもあり、アンソニー・ジョシュアの相手がブリージールだと聞いて「何考えてんだ? 頭沸いてんのか」と思ったというわけである。

身体の大きさとパワーなんてヘビー級じゃ大前提だろ? そこからどれだけ突き抜けた特徴があるかじゃないのか?

このブリージールの紹介記事をちょろっと読んだところ、

「スピードはないが上背とパワーが持ち味のヘビー級ホープ」

というのが一般的な業界内の評価のようである(違ってたらすみません)。

いや、何だこれ?
しょうもなくないか?

ヘビー級でデカくてパワーがあるって、それ、当たり前のことじゃないのか?

身体の大きさとパワー。そこにプラスアルファが加わって、ようやくトップ戦線に食い込める。ヘビー級ってそういう世界なんじゃないのか?

「ワイルダーがスピルカを衝撃KOで下して防衛成功!! ワイルダーがスピーディな挑戦者に引導を渡す」

ウラジミール・クリチコはスピードと正確性。
デオンテイ・ワイルダーはスピードと思いきりのよさ。
アンソニー・ジョシュアはスピードと踏み込み、ハンドスピード。
ルイス・オルティスはやりにくさと相手の長所を消す巧さ。

そして僕が大好きなタイソン・フューリーさんは、やりにくさと巧さに加えてヘビー級の中でも際立つ大きさ。その大きな身体でも動けるフットワーク。
加えて歯に衣着せぬトラッシュトークと偏屈な思想。突然引退宣言をぶちかますサプライズ精神。おまけに練習中に足をけがして大事な試合をあっさり延期する破天荒さ。極めつけは、さんざんアンソニー・ジョシュアを「ステロイド野郎」と罵っておきながら自分がステロイドの疑惑をかけられるという超絶ノリツッコミ。
いや、申し訳ない。マジでタイソン・フューリーさんだけは別格っすww

「クリチコに勝ったタイソン・フューリーがおもろすぎる件ww」
「タイソン・フューリーさんは何をなさりたいんですかねぇww クリチコ戦後の引退を宣言?」

つまり、身体が大きくてパワーがあるのは大前提で、それ以外のプラスアルファでいかに他の選手と差別化できるか。自分の持ち味が他と比べてどれだけ突き抜けているか。
ヘビー級のトップに君臨するにはそういう尖った特徴が必須だと思うのだが、違うのだろうか?
そう考えると、今回のブリージールにはこれといったものが何も見当たらないのだが。

ただデカイだけ。
デカイといっても201cm。アンソニー・ジョシュアが198cmということを考えればそこまでアドバンテージになるほどでもない。
ちなみに天下無双のタイソン・フューリーさんは206cm。こういうのを突き抜けた特徴と呼ぶんじゃないのか?

「サンタクルス初黒星!! ジャッカル・フランプトンに判定で敗れる!!」

気持ちよく腕を振り回すジョシュア。ブリージールはよく7Rまで立ってたよ

序盤2Rを終えた時点でブリージールとの距離感、スピードを掴んだジョシュア。これはヤバいなと思っていると、やはり3Rから圧力を強める。

「ボディから崩して~」などの工夫はいっさい必要なし。
ジャブやフックなど、左に変化をつけて打ち込んでいるだけでいい。
チャンスがあればそこから踏み込んで右を打てばいい。
いつの間にかブリージールは顔が腫れ、目が塞がり、気づけばボロボロである。

序盤はブリージールの踏み込みに対してバックステップで距離をとっていたジョシュア。
だが4、5Rに入るとそんなことをする必要性も感じなくなったのだろう。
ブリージールのパンチに合わせて自分も踏み込んでカウンターで迎撃。
ブリージールが怯んだところで再び左。
後はガードを上げてカウンターの1発だけに気をつけていればいい。
そのままのペースで気持ちよく腕を振り回すだけ。
大胆に自由に。
マジでジョシュアのやりたい放題である。

いや、ブリージールはよく7Rまで立っていられたと思う。
あれだけ一方的に屠られても心折れずに手を出し続けたことは普通にすごい。
ラウンドが終わるたびに顔を近づけてジョシュアを挑発していたが、そういう負けん気の強さも嫌いじゃない。
言ってもオリンピック代表。ヘビー級ホープの触れ込みは伊達じゃなかったということか。

今回は完敗だったが、ぜひともこの敗戦を糧に一回り成長して再起してもらいたい。
どの方向に成長すればいいのかはまったくわからないが。

アンソニー・ジョシュアの方はすみません。
一方的すぎてあんまり観てないッス。

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