「今の日本は強い」マニアもニワカもそうでない人も一緒に。日本がスコットランドを下し初のベスト8【2019.10.13ラグビーW杯】

「今の日本は強い」マニアもニワカもそうでない人も一緒に。日本がスコットランドを下し初のベスト8【2019.10.13ラグビーW杯】

ラグビーグランドイメージ
開催中のラグビーW杯2019。1次リーグA組の日本は10月13日の第4戦でスコットランドと対戦し、28-21で勝利。史上初のベスト8進出を果たした試合である。

 
台風19号の影響で開催が危ぶまれたこの試合。
日本は序盤から激しいタックルと積極的なオフェンスを仕掛けるスコットランドに苦戦を強いられる。前半6分に早くも先制トライを許すなど、スコットランドペースで試合が進む。
 
だが17分にウィングの松島幸太郎が左奥にトライを奪うと、25分には4人がオフロードパスをつないで逆転のトライを決める。前半終了間際にも福岡がトライを決めて21-7とリードを奪ったまま折り返す。
 
そして、後半に入っても日本の勢いは衰えず。
2分過ぎに福岡がこの日2本目のトライを決めて28-7とリードを広げる。
 
ところがそこからスコットランドの反撃がスタート。
9分、14分と立て続けにトライを奪われ、28-21と1トライ1ゴール差まで追い上げられる。
 
その後もスコットランドの猛攻が続くものの、日本も粘りを見せて得点を許さない。
最後は自陣22mライン手前から外に蹴り出しノーサイド。見事史上初のベスト8進出を決定した。
 
「日本vs南アフリカ感想。先にバテたのが日本だったな。自陣にくぎ付けにされたのが…。田村負傷、姫野通用せず」
 

台風で中止を確信してたから予想もクソもなかったけど、普通にやれば接戦になると思ってました

日本勝利!!
A組4連勝で史上初のベスト8進出!!
 
日本の快挙に興奮し過ぎたせいでしばらく放心状態だったのだが、ようやく落ち着いたので試合の感想を。
 
 
まず、僕は今回の試合が行われるとは思っていなかった。
 
台風19号の影響で12日の試合は中止が決まり、ラグビー以外のイベントも軒並み中止/延期が発表される状況。
しかも今回の台風は動きも遅いとのことで、とてもじゃないが12日の日本vsスコットランド戦が開催されるとは思えなかった。
 
たとえ開催されたとしても、グランドや天気などのコンディション面がどうなるかがわからない。
 
さらにスコットランドは前戦から中3日、それも14人メンバーを入れ替えてきているとのこと。
普段は試合前に両チームの状態を見て展望を考え、試合後にあれこれ感想を述べるのが自分の中での恒例なのだが、今回はあまりに不確定要素が多過ぎるので止めておいた次第である。
 
 
ただ、普通のコンディションで試合が行われた場合は恐らくかなりの接戦になる。


中継の解説も言っていたが、日本とスコットランドの特徴はかなり似通っている。
 
・前に出るディフェンスが持ち味
・展開力、走力のあるバックスリー
・セットプレーに安定感がある
 
上記3点を加味すると、外展開中心で点を取り合う流れが予想される。いかにディフェンスが機能するかだが、どちらにしても相当な好試合が期待できるのではないか。
 
後出しジャンケン極まりないのだが、何となく30点前後のハイスコアでの殴り合いになるのでは? と思っていた。前戦でサモアとの点の取り合いを制した日本にとってもハイスコアの殴り合いは望むところである。
 
「日本vsサモア感想。おっもしれえ試合。動きが多くて白熱した。点の取り合いでも強い日本が観られてよかった」
 

熱い試合だった。ここまでの熱量は2016年リオ五輪を凌駕する?

試合を観た感想だが、とにかくすごかった。
 
開幕戦のロシア戦、第2戦目のアイルランド戦、第3戦目のサモア戦と熱い試合が続いているが、この試合は特にすごい。それこそメダルラッシュに沸いた2016年リオ五輪を凌駕すると言っても過言ではない。はっきり言って、ここまでの熱量は2009年の野球のWBC決勝、日本vs韓国戦までさかのぼる必要がある。
 
それくらい、今回のラグビー日本代表の躍進はとんでもない。
 

スコットランドの研究によって、日本が攻撃パターンを封じられる

具体的な内容については、両チームともに凄まじかったなと。
もはや興奮し過ぎて「すごい」「凄まじい」「とんでもない」以外の語彙が失われつつあるのだが、実際に凄まじいのだから仕方ない。
 
 
まず今回の試合、開始直後の流れはあまりよくなかったと思う。
スコットランドは日本の攻撃パターンをよく研究していて、なおかつめちゃくちゃ気合いも入っていた。
 
ボールを受けたフォワードがまっすぐ突進してディフェンスの間をつき、数歩前進して外展開。
これが基本的な日本の攻撃パターンである。
 
密集の近くでフォワード4人がダイヤモンドを形成し、手前の2人どちらかがハーフからボールを受ける。そこから相手の陣形を見て自分が当たるか、パスを出して芯をずらすかの選択をするわけだが、とにかく一番近い位置の選手が最初にボールを受けることが多い。
 
なので、スコットランドはこの1人目を徹底的に潰しにきていた。
密集の近くにいる選手にいの一番でプレッシャーをかけ、ボールを持った瞬間に2人がかりでタックルを浴びせる。そのまま相手を寝かせず動きを封じ、立たせたままボールに絡む。さらに外側にもう1人を配置してパスコースを塞ぎ、ボールキャリアが何もできない状態を作り出す。
 
これによって日本の攻撃は糞詰まりを起こし、あっという間に主導権を握られてしまった。
 
「ラグビーW杯2019南アフリカ優勝。タックル、セットプレー、モール。南アフリカの持ち味がイングランドをノートライに封じる」
 
前半6分にスタンドオフのラッセルにタックルを外されトライを奪われたが、アレはちょっと仕方ないかなぁと。開始直後とは思えぬ熱量で怒涛のディフェンスを浴びせられ、日本は浮き足立ってしまった感が強い。
 
15分過ぎにかなり遠い位置から田村がPGを狙ったのも、流れを変えるための選択としては悪くない。それほどこの試合におけるスコットランドの気合いは特別なものがあった。
 

すぐに攻撃パターンを変え、外勝負でトライを2本奪う。日本の4年間の成果が詰まったベストプレー

ただ、日本もスコットランドのディフェンスの前に糞詰まりを起こしたままだったわけではない。
 
ハーフからフォワードにボールを渡して縦突進というのがこれまでの攻撃パターンだと申し上げたが、前半8分前からはそのフォワードをデコイとして走らせ、裏を通して直接バックスに持たせる流れに切り替える。
 
直線で出てくるスコットランドのディフェンスをデコイで釣り、素早く裏を通して外展開。
スコットランドのディフェンスは思い切り縦に出てくる分横の動きには弱く、どうしても外に大きなスペースができやすい。
前半17分にはそこにウィングの福岡と松島が走り込み、福岡が倒れながらオフロードパスを通して松島がトライ。
 
日本チームの真骨頂というか、切り替えの早さと練習の成果が見事にマッチしたプレーと言える。
 
「ダン・カーターが神戸製鋼入りするってよ!! 世界的なプレイヤーが観たければラグビートップリーグがおススメ」
 
これ以降、スコットランドのディフェンスに多少の迷いが生まれる。
外側をケアするために縦への出足が若干鈍り、その分内側にギャップができやすくなる。
 
25分に4人がオフロードパスをつないで奪ったトライがまさにそれ。
密集から出たボールへのアクションが一瞬遅れたのを見逃さず、タックルを外してゲインを切る。そのまま2人目に半マークずらして当たり、ボディバランスを活かしたオフロードパスを3連続でつないでのトライ。
 
日本が4年間練習してきたオフロードパスと、試合中に機転を効かせる冷静さ。
前半に奪った2本のトライは日本チームが積み上げてきたものが詰まった感動的かつ衝撃的なものだった。
 

スコットランドの驚異の粘り。日本の勝利を確信したが、これがティア1の底力

だが、ここからスコットランドが驚異の粘りを見せる。
 
前半終了間際と後半開始直後にいずれも福岡が快速を飛ばしてトライを奪ったわけだが、正直に申し上げて僕はあの時点で日本の勝利は間違いないと思っていた。
 
ラグビーは後半に力量差が出やすいというし、実際に開幕戦のロシアや3戦目のサモアも後半に崩れた。前半は何とか持ちこたえても、体力が落ちる後半に差が開く流れは本当に多い。
 
そして、この試合のスコットランドもまさにそのパターン。流れ的にはあのまま日本がトライを重ねて大差をつけるはずだった。
 
ところが!!
そこはさすがのティア1。
勝負を諦めないどころか、逆に日本を窮地に追い詰めるというまさかの事態に。
 
後半9分にフォワード戦でトライを奪うと、14分には前半25分の日本を彷彿とさせるオフロードパスとつなぎで右隅にトライ。完全に試合の流れを引き寄せる。
 
特に2本目のトライはすごかった。
日本のディフェンスの出足の速さを逆手に取り、デコイを走らせ裏を通す。外側で数的優位を作り、今度は内側のギャップをついてゲインを切る。
12分にレイドローに代わって入ったジョージ・ホーンのテンポアップが効いたのだと思うが、日本が前半で見せたパターンをそのままやり返された形である。
 
僕自身、この時間帯からは本当に興奮が収まらない。
日本に勝って欲しいのはもちろんだが、絶対に諦めないスコットランドの姿にも心を打たれる。
 
「【ラグビー】TMOって必要? テレビジョンマッチオフィシャル不要論を唱えてみる。暴論かな?」
 
試合前に両チームの戦力を比較して展開を予想するのはもちろん楽しいのだが、そういった諸々を凌駕するほどの熱量。国際大会の醍醐味が山ほど凝縮された時間だった。
 

ラスト20分の両チームに感動。あえてもう一度言おう。今の日本は強い

そして、ラスト20分の攻防はもはや言葉にならないくらい。
 
両チームともに足が動かず陣形もバラバラなのだが、最後の最後で決定機を作らせない。
試合を左右するようなジャッカル、ペナルティが何度も発生しているのに、そのつど驚異的な粘りで得点を許さない両チーム。その姿に驚き、感動させられる。
 
最初に申し上げた通り、はっきり言ってここまで熱量のある試合は2009年の野球のWBC決勝、日本vs韓国戦以来。4年前の南アフリカ戦を超えたと言っても過言ではない。
 
 
大会前から「日本には期待できない」「勝てるわけがない」という声を聞くたびに言い続けてきたが、あえてもう一度言いたいと思う。
 
マニアもニワカもそうでない人もみんな一緒にどうぞ()
 
「今の日本は強い」

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