ジェイコブスがセルジオ・モーラとの再戦を制す!! ゴロフキン? いや厳しいでしょ。ゴロフキンの渇きを潤すのはアイツしかいねえよ【結果・感想】

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ペンシルバニア州イメージ
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2016年9月9日(日本時間10日)、米・ペンシルバニア州にあるサンテンデル・アリーナで行われたWBA世界ミドル級タイトルマッチ。
同級正規王者ダニエル・ジェイコブスがランキング15位の挑戦者セルジオ・モーラと対戦。7R2分8秒TKOで勝利し、4度目の防衛に成功した。

2015年8月以来の再戦となった両雄の対決は、ジェイコブスが計5度のダウンを奪う一方的な展開。前回の試合では1Rにダウンを奪われるなど脆さも見せたジェイコブスだったが、今回の再戦でしっかりと実力を見せつけて勝利を収めた。

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正規王者ジェイコブスが防衛を果たしたことを受けて、WBAは英国でケル・ブルックに圧勝したゲンナジー・ゴロフキンとの対戦指令を出している。
ジェイコブス自身もゴロフキンとの統一戦を望んでおり、テレビ局やプロモーターの問題が解決すれば一気に対戦への機運は高まると思われる。

WBO王者ビリー・ジョー・サンダースと並び、ゴロフキンに対抗しうる数少ない強者であるジェイコブスの動向に注目である。

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再戦を圧勝でクリア。とはいえ、実力差があり過ぎて何とも……

ジェイコブス圧勝!!
5度のダウンを奪い、モーラとの再戦を制す!!

2015年12月のピーター・クイリン戦以来の防衛戦となったジェイコブス。
1R1分25秒という衝撃的なKOでクイリンを下し鮮烈な印象を残したが、今回もまた鮮やかなKO勝ちで存在感を示している。

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試合内容としては、基本的な部分では1戦目と同じ。ジェイコブスが攻め、モーラが攻撃に絶えながらチャンスをうかがう展開である。

ジェイコブスが持ち前の突進力でグイグイと圧力をかけ、モーラをコーナーに追いつめる。対するモーラはジェイコブスのプレッシャーと猛攻に絶えながらひたすらカウンターを狙う。

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パンチ力や突進力ではジェイコブスにかなわないモーラにできることは、大振りのフックでの1発逆転狙いのみ。ジェイコブス得意の猛ラッシュに絶えつつ、一か八かの1発勝負に賭ける作戦である。

モーラは恐らく最初から劣勢の展開を想定していたのだろう。前回ダウンを奪った左フックを試合のどこかで当てて一気に形成を逆転する。それだけを考えてリングに上がっていたように思われる。

対するジェイコブスだが、こちらはほぼいつも通り。
ガードを高く上げて距離を詰める。中間距離からジャブで威嚇し、シャープなストレート系のパンチを打ち込む。1発いいのが入れば、そこから一気にギアを上げてフルスロットルの連打で叩き潰す。
言わば自身のスピードとパワーを最大限に活かした電光石火の超攻撃型スタイルである。

ただ、今回の試合ではモーラのカウンター狙いに対する警戒心が相当あったのだろう。1発パンチが当たってもそこから強引なラッシュにはいかず、相手の様子を観察しつつ攻める慎重さが感じられた。いいか悪いかは別にして、これまでのジェイコブスの試合と比べて若干迫力不足だったことも確かである。

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とはいえ、5度もダウンを奪うパンチの威力やスピードは健在で、試合を決めた7Rの攻撃の凄まじさはさすがのひと言である。

前回の試合でジェイコブスからダウンを奪ったことを買われてのリマッチだったわけだが、結果的には大きな力の差が改めて証明されただけの試合。挑戦者としてのモーラは力不足だったと言わざるを得ない。

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ジェイコブス界隈の人材不足が深刻過ぎる。でもゴロフキン戦は無謀としか思えない

見事に4度目の防衛を果たしたジェイコブスだが、正直この試合はどうだったのだろうか。繰り返しになるが、僕にははっきり言ってセルジオ・モーラでは力不足としか思えなかったのだが。

というより、ジェイコブス界隈の人材不足はマジで深刻だ。

これは前回から言われていたことだが、ジェイコブスvsクイリン戦以降のストーリーがまったく見当たらない。バークレイズセンターでの地元対決は確かに盛り上がったが、そこから先のビッグネームがいっさい出てこない。それほどジェイコブスの界隈では人材が枯渇している。わざわざモーラごときを引っ張り出さなくてはならないほど、まともな挑戦者が見当たらないのである。

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ただ、相手がいないからといって、ゲンナジー・ゴロフキンとの統一戦に進むのはあまりお薦めできない。
なぜなら普通に勝てる気がしないから。
本人は今回のWBAの指令に乗り気らしいが、ぶっちゃけ一方的に屠られて終わりではないだろうか。テレビ局やプロモーターどうこうではなく、ジェイコブスとゴロフキンでは実力に差があり過ぎる。

ジェイコブスの突進力とチャンスでの畳みかけの迫力は確かにすごい。あのラッシュに巻き込まれれば、いかにゴロフキンといえども無事では済まないだろう。
だが、両者のスタイルを見比べる限り、とてもじゃないがゴロフキンがそんな状況に陥るとは思えない。

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ジェイコブスのボクシングは、基本的に最初に1発目を当てなくては話にならないスタイルである。ガードを上げて距離を詰め、中間距離でシャープなストレートを効かせたところで得意の猛ラッシュを浴びせる。

逆に言うと、初弾をもらわない限りあの暴風雨のようなラッシュに巻き込まれることはない。
さらに、ジェイコブスは中間距離で連打が打てないという弱点もある。威嚇のジャブはよく出るものの、肝心のパワーパンチはせいぜい3発。それ以上はまったく連打が続かないのである。

そして、至近距離での打ち合いにおいてガードががら空きになるという致命的な弱点も持っている。前回の試合でモーラから奪われたダウン、2010年にディミトリー・ピログにKO負けを喫した試合、どちらもラッシュの最中にもらったカウンターである。
1発1発を全力で打ち込むためにパンチの軌道が外旋回になり、絶好のカウンターのタイミングを与えてしまうのである。

つまり、ジェイコブスの試合は常に一か八か。
1発目が当たるかどうかも一か八かで、至近距離でカウンターをもらうかどうかも一か八か。最初にモーラの作戦は一か八かのカウンター狙いだと申し上げたが、ジェイコブスの場合は格が違う。全試合全局面において、常に一か八かのギリギリの勝負をしているのである。

こんな危うい試合運びをしていては、理詰めのスペシャリストであるゴロフキンに敵うわけがない。
恐らくゴロフキンの超絶コンビネーションに押しまくられて3、4Rには青息吐息になっているのではないだろうか。

2015年10月にゴロフキンに挑戦したデビッド・レミューが8RTKOで敗れているが、粘ったとしてもせいぜいそのくらいだろう。

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まあ、それでもゴロフキンに対抗できる可能性のある数少ない選手であることは確かなのだが。

ゴロフキンは渇いている。強敵との対戦に飢えている。アイツを本気にさせるヤツがどこかにいないか?

先日ロンドンで行われたゴロフキンvsケル・ブルック戦。
試合の感想記事でも申し上げた通り、あの試合のゴロフキンは本当に出来が悪かった。体調不良の影響で早期決着を望んだのかは知らないが、あんなに雑なボクシングでゴリ押しするゴロフキンを観たのは初めてだった。

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ただ、あれだけ適当な試合運びでも、ウェルター級屈指の実力者であるケル・ブルックを子ども扱いしているのである。

言葉は悪いが、あの試合は正規のミドル級王者が2階級下のイキった小人を小突き回しただけの試合である。しかも、試合前後のゴロフキンの様子を見るに、相当フラストレーションが溜まっていたようである。

「ストリートファイトで叩き潰したくなった」
「彼はミドル級ではない」

普段の温厚なゴロフキンからは想像できないようなコメントの数々である。

ゴロフキンは本当は硬派な路線を歩みたいのだ。
こんな階級を無視した茶番ではなく、しっかりと体格の見合う相手とヒリヒリするような試合がしたい。報酬も大事だが、それ以上に最強であることを証明したい。ボクシング界の歴史に名を刻みたい。そう強く望んでいるのだ。

にもかかわらず、まともに試合も決まらずわざわざロンドンまで出向くハメになる。おまけにヒール役としてブーイングを受けながら小人を小突かされる。イライラする気持ちもわからないでもない。

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忘れてないか? ゴロフキンの渇きを潤せるヤツが1人だけ存在することを

ゴロフキンの強敵。
果たして今のミドル級界隈にそんな選手がいるのだろうか。

上述したように、どう考えてもダニエル・ジェイコブスでは厳しい。恐らくWBO王者のサンダースも難しいだろう。
さらに、メガマッチを期待されるカネロ・アルバレスでもゴロフキンの牙城を崩すのは厳しい。

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じゃあ日本の村田諒太や、アマチュアで村田と対戦経験があるイェフゲン・キトロフは?
何とも言えないところだが、実力どうこうよりもネームバリュー的にどうなのだろうか。最強ゴロフキンもすでに34歳。金にも名誉にもならない無名選手の相手をしている暇があるとは思えないのだが。

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などと考えていくと、本当に相手がいない。
階級を上げてアンドレ・ウォードという話もあるが、ウォードは残念ながらコバレフとの一騎打ちで忙しい。

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だったらどうする?
マジで相手おらんぞ。

と、思ったら1人だけいた。
ネームバリューも抜群。実力も折り紙付き。
ゴロフキンとの対戦が決まれば正規の一戦になること間違いなしの選手が。

マニ―・“パックマン”・パッキャオオォォォ!!!!!

はい。いろいろとツッコミどころがあると思います。

ですが、

聞こえません。
見えません。
わかりません。

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