ボクシング岩佐亮佑、敵地でハスキンスに6R TKO負け!! IBF世界バンタム級暫定王座獲得ならず! カウンターに力尽きる

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絶望感イメージ
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IBF世界バンタム級暫定王座決定戦が現地時間13日(日本時間14日)に英国のブリストルで行われた。
日本の岩佐亮佑(同級3位)と英国のリー・ハスキンス(同級4位)が激突。6R2分10秒TKOで初の世界タイトル挑戦となった岩佐が敗れ、暫定王座奪還はならなかった。

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ちなみにこの試合は正規王者のランディ・カバジェロが負傷休養を受けて設けられたタイトル戦だったが、岩佐は惜しくも獲得とはならなかった。

・岩佐亮佑(IBF世界バンダム級3位)
19勝(12KO)1敗
唯一の敗戦は2011年山中慎介に喫した1敗

・リー・ハスキンス(IBF世界バンダム級4位)
31勝(13KO)2敗

初回から翻弄される岩佐。勝つのは厳しいかも……

1R。
リング中央で両者が対峙する。
ガードを下げて軽くステップを踏むハスキンス。
対する岩佐はいつも通りガードを上げてオーソドックスに右を突く。
ともにサウスポースタイルだが、スタイルには大きな違いがある。
身体がハスキンスよりも一回り大きい岩佐。この体格の違いをうまく活かしたい。

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ガードを下げてリラックスした構えからダッキングやスウェーで岩佐のパンチをかわすハスキンス。足の動きも軽やかで見切りもいい。
ノーモーションから突然飛び込んでの右。岩佐の顔面をかすめる。

軽やかなステップ。
ノーガードで上半身の柔軟性を活かした見切り。
ノーモーションからの飛び込み。
動きの一つひとつがかつての個性派ボクサー、ナジーム・ハメドを思わせる。

とはいえ、スピード、反射神経、飛び込みの距離、パンチのタイミングや破壊力。すべてがハメドよりは一段落ちる印象。いわば劣化版ハメドというヤツか。

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ハスキンスに先じて右を出す岩佐。
上体だけで軽く見切るハスキンス。
そして打ち終わりに野性的なパンチを数発見舞う。
そのうち何発かを被弾する岩佐。
前に出ながらもカウンターのチャンスをうかがう岩佐だが、いかんせん相手の変則に対応できていない。

ハスキンスが岩佐の大振りの右をかわし、左右フックを振るう。岩佐がガードで防いだところでゴング。
1R終了。
お互いダメージはないが、ポイントはハスキンスか。

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初回を観た印象だが、正直岩佐に厳しい試合といえる。
基本的には両者とも受けのスタイル。
ところが、どアウェーの岩佐は、ハスキンスの前進を待っているだけでは間違いなく勝てない。だから前に出るしかない。
とはいえ岩佐自身、今のところ距離感やタイミングがまったく掴めていない。前に出ながらカウンターも狙っているようだが、完全に空転させられている。恐らくこういうスタイルの相手に遭遇した経験がないのだろう。明らかな戸惑いが見てとれる。

また、スピードのある相手に対する追い足がないのも痛い。待ちのスタイルが得意な岩佐としては今後の展開に暗雲が立ちこめる。

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対するハスキンス。すべての面で岩佐を一枚上回っている。
クリーンヒットは少ないものの、右の差しあい、ジャブからつなげる大きな左の正確性やカウンターのタイミング。局面局面で一歩岩佐の上を行っている。

岩佐、はっきり言ってこれは厳しい。

距離感を掴んで自信を持ったハスキンス。対する岩佐はどうするか?

右のリードジャブを出しながら前進する岩佐。
ダッキングとスウェー、パーリングでいなして打ち終わりに野性的なパンチで応戦するハスキンス。
2、3、4、5Rと同じような展開が続く。
お互い大きなダメージこそないが、恐らくポイントではハスキンスがリードしているだろう。

前に出る岩佐。
しかし相手との距離感がいまだに掴めていない。何より追い足がないのが厳し過ぎる。
ロープ際までにじり寄っては大きく距離を明けられ、飛んでくるのはハスキンスのいきなりの右。

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対するハスキンスは岩佐のパンチ、距離感を完全に掴んだか。
もはやリードジャブとは呼べないような飛び込み様の左や、返しの右を大きく振るう。
積極的に岩佐の懐に飛び込み、すぐさま飛び退く。
ヒット・アンド.アウェーで岩佐を翻弄するハスキンス。動きにリズムと自信がみなぎる。
岩佐、これは完全にピンチだ。

ハスキンス自体は弱いボクサーではないが、正直特別強いというわけでもない。
ただ、岩佐との相性は最悪といっていい。
自分のスタイルを捨てて前に出なくてはならない岩佐。アウェーの弊害も間違いなく出ている。

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決着のラウンド。……まさかの完敗

6R。
前に出る岩佐
下がりながらパンチを当てるハスキンス。
身長は岩佐が上だが、距離感を掴んでいる分、ハスキンスの方が距離が長く見える。
体格面でのアドバンテージを完全に消された岩佐。どう考えても劣勢だ。

飛び込んでの右を放つハスキンス。
岩佐の顔面が軽く弾ける。
リング中央で切り替えるように軽くステップを踏む岩佐。
とにかく懐に飛び込んで、ガチャガチャの打ち合いに持ち込みたい。

1分45秒過ぎ。
軽い右のフェイントから左を出した岩佐に対し、ハスキンスの左カウンター一閃!!
バシュッ!!
岩佐の顔面をモロに捉える!!

たまらずにたたらを踏む岩佐。
前屈みに倒れこむ岩佐に対して、ハスキンスの右が返しでヒット!!
岩佐がよろけた方向へのカウンターになる。
岩佐の顔が上半身ごと跳ね上がる!!
そのまま仰向けに倒れる岩佐。
ダウン!!

観客が沸く。
地鳴りのような歓声。
カウントが始まる。
1、2、3、4……。

立ち上がる岩佐。
カウント8で試合再開。
しかし足に力が入らない。深刻なダメージ。
これはヤバい。
誰がどう見てもヤバい。

迷わず牙を剥くハスキンス。
大振りのパンチを放ち、身体ごと浴びせ倒すように岩佐にもたれる。
耐えきれずにロープ際まで押し込まれる岩佐。
たまらずクリンチにいこうとするが、強引に引きはがされる。
さらに追撃の左右のフック!!
棒立ちの岩佐。
レフェリーが両者の間に割って入る。
両手を交差する!!

試合終了。
6R、2分10秒TKO負け。
大喝采の会場。
コーナーに駆け上がって両手を突き上げるハスキンス。

完敗だった。
言い訳の出来ないくらい、完璧に負けた。

今回、岩佐は厳しい試合だった。今後の展望は?

厳しい試合だった。
完敗以外に言葉が見つからないほどの試合だった。

1Rを観て思ったが、ある程度は仕方がない部分はあったと思う。
岩佐は本来、どっしり構えて相手の出方を観る戦い方が得意なボクサーだ。それが相手のホームタウンという立場上、自分のスタイルを捨てて前に出ざるを得なかった。スピードでは敵わないと判断して打ち合いに持ち込みたいという思惑もあっただろう。

ただ、残念なことにこのタイプに対抗するだけのフットワークは岩佐にはない。
ハンドスピード、一瞬の動きのキレもハスキンスを慌てさせるほどのものは持っていない。

先ほども言ったが、ハスキンス自体は決して弱いボクサーではないが、特別強いわけでもない。岩佐との相性が最悪なのだ。

「強引に前に出ようとした岩佐に抜群のタイミングでハスキンスのカウンターが入った」
結末としてはこうだが、遅かれ早かれ似たような場面はあっただろう。
それくらい、両者のスタイルはハスキンスにとって有利なものだった。

さらにいうと、岩佐の劣化という部分もあるだろう。
岩佐のキャリアの中でベストバウトといえば、間違いなく2011年の山中慎介戦だ。そして、岩佐のピークも実はその試合だったと僕は思っている。
タフネス、スピード、当て勘、メンタルその他。岩佐の頂点はあの山中戦で、そこから劣化が進んでいると僕は見ている。
もしかしたら、あの山中戦で岩佐は壊されてしまったのかもしれない。それくらい2011年の山中戦での岩佐は充実していた。

そして今の岩佐は間違いなく2011年の岩佐よりも弱い。

何はともあれ、絶望感が強く漂ったタイトルマッチだった。
岩佐は今後どうするのだろうか。
また世界タイトルを狙うのであれば、相手を選んで試合を組んだ方がいいのかもしれない。がんばっては欲しいが。

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