アイスホッケーは集客に苦戦してるってホント? 霧降アリーナを初めて訪れて感じたことを列挙してみる。代表選手の過酷さにビックリ【長文】

アイスホッケーは集客に苦戦してるってホント? 霧降アリーナを初めて訪れて感じたことを列挙してみる。代表選手の過酷さにビックリ【長文】

先日申し上げたように2020年2月15日、栃木県日光市の霧降アリーナで行われたアイスホッケーアジアリーグ、H.C.栃木日光アイスバックスvs東北フリーブレイズ戦を現地観戦してきました。
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で、結果的にはめちゃくちゃ楽しく「これで集客に苦しんでるってマジなの?」と思うほどのイベントでした。
 
「栃木日光アイスバックスvs東北フリーブレイズin霧降アリーナ現地観戦が最高杉。これで指定席3500円? やっす!!」
 
この日の客入りは2000人の満員御礼。さらに翌日の最終戦も2000人のファンが霧降アリーナに集まり、消化試合にもかかわらず2日連続満員という快挙を果たしたとのことです。
 
ですが、普段はキャパ2000人の会場が埋まることはめったになく、今シーズンも日光アイスバックスがホームゲームで2000人を記録したのはラストの2試合のみ。どうやら僕は相当いいタイミングでこの場所を訪れたようです。
 
 
これは完全に僕の意見ですが、H.C.栃木日光アイスバックス主催試合は文句なしにすばらしい。僕は3500円の指定席を購入しましたが、もう少し高くても全然OKじゃないの? というくらい。

「5000円」という金額に大した根拠はありませんが、あえて言うなら「不満があった場合にボロカスに文句を言ってもいいと思う」値段。
イベントや商品に対する不満がある場合、値段が5000円以上であれば文句を言っても許される。でも、それ以下なら「安いししゃーないか」と諦めるべき(という自分ルール)。
 
よく通販サイトなどで1000円前後の商品に長文の批判レビューがついたりしますが、その文章を書く体力がすでに1000円をオーバーしてるんじゃないの? と思ったり。
 
 
というわけで(どういうわけ?)、今回はアイスホッケーの集客が苦戦している理由を考えていきます。「チケット代をもう少しアップしてもいいとは言ったけど、実際はどうなのよ?」みたいな。
 
といっても「〇〇に物申す」的な偉そうなヤツではなく、東京→栃木まで1泊2日で出かけて感じたことを適当に列挙していくだけです。
 
アイスホッケー観に行きてえなぁ。さすがにこの時期に東京→日光はヤバすぎるけど、アジアリーグはちゃんと開幕してほしい 

アイスバックスが集客に苦しんでるってホント? 過去3年の観客数を調べてみたら…

まず最初に。
表題の通り、H.C.栃木日光アイスバックスが集客に苦しんでいるのは本当か? について。
 
試しにアジアリーグのサイトで過去3年間の観客数を調べてみたところ、結果は下記。
 
・2017-2018シーズン
ホームゲーム数:14
平均観客数:1337.21人
順位:4位
 
土日平均観客数:1501.4人(試合数10)
平日平均観客数:926.75人(試合数4)
 
 
・2018-2019シーズン
ホームゲーム数:17
平均観客数:1343.64人
順位:7位
 
土日平均観客数:1539.9人(試合数10)
平日平均観客数:1063.29人(試合数7)
 
 
・2019-2020シーズン
ホームゲーム数:18
平均観客数:1382.72人
順位:6位
 
土日平均観客数:1449.33人(試合数12)
平日平均観客数:1249.5人(試合数6)
 
こうして見ると、アイスバックスの集客は実はそこまで悪くない。
 
2017-2018/2018-2019シーズンはともに平均67%前後の客入り。2019-2020シーズンに関しては平均69%と、常時座席の7割が埋まっている計算です。
 
しかも平日の観客数は2017-2018→46%、2018-2019→53%、2019-2020→62%と順調に客足を伸ばしています。
土日の集客が75%前後、平日が約62%であれば、プロスポーツチームとしては優秀な部類なのではないでしょうか。
 
何だよオイ。
すげえじゃんアイスバックス。
 
って、え?
話が終わっちゃった?
 
というわけにもいかないので、ここからは僕が感じたことを適当に述べていくことにします。
 

霧降アリーナは車で行くべき場所。ダイドードリンコアイスアリーナの鬼アクセスに比べれば不便かな

今回僕が霧降アリーナを訪れてわかったことは、あそこは車で行くべき場所だということ。
 
東武日光駅から2kmちょいで勾配もあるので、徒歩で向かうには若干キツい。駅前から送迎バス(200円)も出ていますが、定員50人弱? ×2回の先着順。正直、あまり便利とは言えません。
 
行きはその気になればタクシーでもOKですが、帰りはそうもいかない。もし送迎バスを逃してしまうと駅まで歩くハメになります。
ちなみに帰りはあえて歩いてみたところ、体力がないとぼちぼちしんどいだろうなという印象でした。
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また、東京→日光のアクセスも微妙によくない。
僕は新宿駅から東武日光駅に向かったのですが、特急で行こうと思って調べたところまったく時間が合わず。開始が14:00なのに9:30に現地入りしてどうすんねんと。ナンボほど前のめりやねんと。
結局、普通電車でガッツリ3時間半かかりました。
 
 
その上会場内はかなり温度が低くなるため、寒さ対策は必須です。
僕が行った日は東京が17度、日光市が14度と2月とは思えない陽気でした。モコモコと着込んでいく予定だったのですが、そういうわけにもいかず。1泊だけならパンツとソックスだけでいいだろうと思っていたのが、インナーやニット帽などを用意するうちに結局そこそこの荷物になってしまいました。
 
アイスホッケーのシーズンは8月末からスタートするので外と中の寒暖差はかなり大きくなると思われます。シーズン序盤は今回の僕と似たようなパターンを強いられる方も多いのではないでしょうか。
 
実際、送迎バスにもいらっしゃいましたからね。
クッソデカいキャリーケースを持ち込んでバツが悪そうにしてる人。
 
スポーツ観戦はなるべく身体一つで行けるのがベストなので、他県の人や車を持っていない人にとってはそれだけで敷居が高くなるのかなぁと。平日夜ともなればなおさら腰が重くなりそうです。
 
 
ぶっちゃけ僕も霧降アリーナとダイドードリンコアイスアリーナ、どちらがありがたいかと聞かれれば問答無用でダイドードリンコアイスアリーナですからね。
 
「アイスホッケーにはアリーナDJが足りない? 東北フリーブレイズvs王子イーグルスatアジアリーグを観てきた」
 
A:楽しいけどアクセスの悪い霧降アリーナ
B:イベント自体は微妙だけど鬼アクセスのダイドードリンコアイスアリーナ
 
同日にどちらか選べと言われたら、迷いなくBに行きます。
 
いやだって。
あそこのアクセスのよさはガチですからね。
 
そんな感じで、アジアリーグ加入を申請したという横浜GRITSにはかなり注目しております(ボソッ

アクセスの悪さと会場内の寒さは客足に確実に影響するけど、解消方法はちっとも思いつかない

アクセスの悪さと会場内の寒さ。
正直、僕はこの2つを解消する方法についてはまったく思いつきません。
 
以前「サッカースタジアムのアクセスの悪さは客足に影響するのか」と題してスタジアムのアクセスと客足の関係を調べてみたのですが、なかなか難しかったです。
 
「サッカースタジアムのアクセスの悪さは客足に影響するのか検証してみる。人生初のサッカー(J2)観戦はクソ微妙」
 
僕なりの結論としては、
・アクセスの悪さは客足に確実に影響する
・ただ、地域差が大きいため集客、収益拡大の正解は見当たらない
 
人口数や人口密度、広さが地域ごとにバラバラ過ぎて参考となるモデルケースを見つけるのは難しい。あくまで「現地が楽しい」ことが大前提で、プロスポーツにおける集客や収益拡大の絶対的な正解は存在しないというのがファイナルアンサーかと(当たり前だけど)。
 
 
たとえばBリーグの宇都宮ブレックスに関しては、
2020.1.15(水):3923人
2020.1.29(水):4371人
2020.2.08(土):4705人
2020.2.09(日):4740人
 
平日は多少減っていますが、それでもエグいくらいの集客力です。
 
とはいえ、アイスバックスが宇都宮ブレックスの取り組みをそのままパクればいいかと言えば、必ずしもそうとも限らない。
 
宇都宮ブレックスの本拠地である「ブレックスアリーナ宇都宮」は宇都宮駅から1kmちょいで駐車場はなし。路線バスも出ていますが歩こうと思えば可能な距離です。
 
また宇都宮市が面積416.85㎢、総人口約51万9000人、人口密度1246人/㎢なのに対し、アイスバックスの日光市は面積1449.83㎢、総人口約7万8500人、人口密度54.1人/㎢。
関東有数の大都市である宇都宮市と日光市を単純比較するのはあまりにナンセンスに思えます。
 
さらに言うと、先日僕が現地観戦した川崎ブレイブサンダースの本拠地「とどろきアリーナ」は武蔵中原駅から徒歩20分というアクセスの悪さなのですが、ド平日にもかかわらずこの集客力。
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駅周辺も宇都宮駅とは比べ物にならないくらい閑散としていますが、やはりとんでもない底力です。
 
 
マジな話、どうすればいいんでしょうね。
東武日光駅を歩くといたるところにアイスバックスのポスターを見かけるので、恐らく地域密着に関してはある程度やり尽くしているのだと想像します。
 
となると他県や栃木市、宇都宮市などから呼び込むことになるわけですが、そうすると途端にアクセス&会場の寒さがネックになる。
一番いいのは好立地にアリーナを新設することですが、さすがにいきなりそれは現実感がなさ過ぎる。
 
だったらどうするよ?
手荷物預かりサービスを実施するとか?
申し上げたように他県からの観戦者はどうしても荷物が大きくなるので、200円くらいで預かってもらえれば多少煩わしさも解消する? かも?
 
もしくは外国人観光客を取り込むとかはどう? 旅行会社とタイアップしてツアーの中にアイスホッケー観戦を組み入れてもらえば。観光バスなら手荷物も少なくて済むし。
 
何となくですが、どちらも決定打にはならなそうな……。
 
「新型コロナウイルスによるスポーツイベント中止、延期が相次ぐ中、野球界とサッカー界の共闘はめちゃくちゃいいよね」
 

宣伝がんばれ。やっぱり日本選手権をエンタメ化するところからじゃない? せっかくのテレビ放送だし

あとはまあ、最終的には宣伝をがんばれってところに着地しますよね。
 
まずは12月半ばの日本選手権をエンタメ化してリピート客を増やすのが先決だろうと。
何だかんだでもっとも露出の高いイベントなのだから、そこでトップリーグの存在をアピールしないでどうすんねんという話。BSとはいえNHKでも放送されるわけだし。
 
というか、日本アイスホッケー連盟がアジアリーグの結果にいっさいノータッチってのはどうなんでしょうか。
 
公式Twitterもオリンピック予選以降、男子の代表選手についてはダンマリのまま。

管轄が違うからだとは思いますが、ちょっとは触れてもいいんじゃないの? と思わないでもない。
 
こういう素晴らしい部分もたくさんあるのにもったいないですよね。

そもそも論として「アジアリーグ」ってクッソわかりにくいですからね。
僕も日本製紙クレインズ解散の報道を聞いて初めて存在を知ったし、同時に思ったのが「日本のリーグなのに何でアジアリーグ?」という疑問でした。
 
はっきり言ってアイスホッケーをまったく知らない人にアジアリーグを説明するのは結構難しいです。
なので、やはり公式が直々に宣伝してくれるのが一番いいと思うのですが……。
 
何度も言うけど、ピリオド間にあれだけ時間があるんだからいくらでもできるでしょとww
 

日本代表はもっと評価されていい。レギュラーシーズンと国際大会を両立することの過酷さ

そしてさらに思ったのが、アジアリーグのレギュラーシーズンとアイスホッケー連盟の行事を並行することの過酷さ。
 
日本アイスホッケー連盟のHPで「大会情報一覧」を見ると、
「大会情報一覧」
 
2019年11月:ユーロアイスホッケーチャレンジ
2019年12月:第87回全日本アイスホッケー選手権大会
2019年12月:ユーロアイスホッケーチャレンジ
2020年2月:2022北京冬季オリンピック 男子3次予選
2020年4月:2020IIHF男子アイスホッケー世界選手権Div.ⅠB
という行事があることがわかります。
 
アジアリーグの2019-2020シーズンが8月末にスタートしているので、プレーオフを含めれば年に6回の短期決戦が行われていることになります。
 
アイスバックスのスケジュールページによると、チームのオフは4、5月の2か月間。6月からは次のシーズンに向けて5勤2休の練習がスタートします。
「アイスバックススケジュール」
 
ですが上記の通り4月に国際大会が予定されているので、代表選手はそこまでコンディションを維持しなければなりません。その上強化試合に向けてアジアリーグ選抜として駆り出される選手も存在します。
 
ご存知の通りアジアリーグに所属する日本のチームは4つ。
その中から代表チームとアジアリーグ選抜の2チームが編成されるため、単純にリーグの半分の選手が4月までコンディションを維持しなくてはならない計算です。
 
つまり、実質的なオフは5月のみと考えていいのではないでしょうか。
 
冗談抜きでこれは超過酷です。
勝率5割でプレーオフに進出可能なレギュラーシーズンの真っ最中に一戦必勝の大会が4度、シーズン直後に1度。プレーオフを合わせれば計6度。
 
半年かけて上位4チームを目指す長期戦と、数日で勝負が決まる短期決戦では当然試合運びも運用も変わるし、受けるプレッシャーも別物のはず。この切り替えを年6回も強いられるのはどう考えてもキツい。
 
12月の日本選手権でシーズン6位のアイスバックスが優勝し、シーズンで3位に入った王子イーグルスが決勝にすら進めていないのを見ればアプローチの違いは一目瞭然です。
 
今シーズンのアイスバックスで言えば、
 
11月初旬にポーランドで国際大会(代表)。
11月末~12月初めまで韓国遠征。
帰国後すぐに東京で3連戦。
それが終われば間髪入れずにハンガリーで国際大会(代表)。
 
1月末にロシア遠征。
その1週間後にスロベニアで国際大会(代表)。
というスケジュールとなっています。
 
仮にプレーオフファイナルまで進んだ場合、
3月8日にアジアリーグ全日程終了。
そこからコンディションを維持し、4月末にポーランドで国際大会(代表)。
となるわけです。
 
以前、代表を辞退した選手が批判を浴びているのをちょろっと見かけましたが、諸々を考慮すると理解できなくもない(詳細を知らないので何とも言えませんが)。口には出さなくても「代表しんどい」と思っている選手も中にはいるのかもしれません。
 
 
先日の五輪予選の際に「日本人選手はフィジカルアップが課題かも?」などと申し上げましたが、いや~、どうなんだろうな。ここまで過酷だとオフの肉体改造どころではない。
「代表強化は先を見据えた課題克服が必須」という意見も聞かれましたが、そんなことより家に帰って休めという方がはるかに正解? なのかも?
 
「アイスホッケー日本代表がスロベニアに敗れて五輪出場断たれる。でも感動した。日本は全然弱くない」
 
もう一度申し上げますが、アジアリーグとアイスホッケー連盟の行事を両立するのはめちゃくちゃ過酷です。チーム数が少ない中でそれをこなしている代表選手はもっと評価されていいし、アジアリーグとアイスホッケー連盟はもう少し連携を密にした方がいい気がします。
 
普段はあまり「選手ファースト」ばかり連呼するのは好きじゃないんですけどね。
 

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