安定王者へまっしぐら? ハスキンスがスチュアート・ホールに判定勝ち!! vs山中慎介観たいぞ早くしろ【感想・結果】

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ジュラシックコーストイメージ
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2016年9月9日(日本時間10日)に英国・ロンドンにあるO2アリーナで、IBF世界バンタム級タイトルマッチが行われた。
同級王者リー・ハスキンスが、ランキング1位で元IBF王者のスチュアート・ホールと対戦。3-0(115-113、117-111、116-112)の判定で勝利を飾り、2度目の王座防衛に成功した。

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2015年6月に日本の岩佐亮佑を敗り、暫定王座を獲得したハスキンス。その後、正規王座への昇格を経て今回が2度目の防衛戦となったが、ライバルであるスチュアート・ホールとの再戦を制し、王座防衛を果たす。

円熟味を増した32歳のベテランサウスポーは今後、安定政権を築けるか。また、対抗王者であるラウシー・ウォーレンや日本の山中慎介との統一戦は実現するのか。

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リー・ハスキンスのスタイルチェンジ。あれ? ハメドのマネは止めたんすか?

リー・ハスキンス判定勝利!!

僕はこのハスキンスの試合を観たのが久しぶりだったのだが、何気にちょっとスタイルが変わっただろうか?
変わったというより、無駄を削ぎ落して洗練されたというか。

以前観たのは岩佐亮佑との王座決定戦だったのだが、そのときはやたらとオーバーなアクションで左右に動きまわる選手だなと思った記憶がある。よく言われるように「ナジーム・ハメドの劣化版コピー」という感じで、正直あまり好きなタイプではなかった。

2015年のvs岩佐戦では、距離感とタイミングのいいハスキンスに岩佐がまったくついていけず、序盤から翻弄されていた。
だが、5Rの終盤からハスキンスの動きが落ち始め、同時に岩佐がハスキンスの動きに慣れ始める。そして岩佐が圧力を強めた6Rに、絶好のタイミングでハスキンスのカウンターが岩佐の顎にドカン。
これで試合は決まってしまったわけだが、もしあのパンチをもらわなければ、ハスキンスの体力が落ちた後半に岩佐が逆転する展開が待っていたのかもしれない。

タラレバを言っても仕方ないのだが、あれだけチョコマカと動き回っていれば燃費も悪いだろうなと思いながらハスキンスを観ていた次第である。

だが、今回のハスキンスは前回と比べて少々違っていた。
ハメドばりのオーバーなアクションは必要最小限にとどめ、無駄なエネルギー消費を防ぐ。ここぞの瞬間にのみパワーを爆発させ、動きにメリハリをつけて優位性を確保する。

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ああ、なるほど。
これはハメドというより、ちょっとセルヒオ・マルチネスっぽいな。
右足の踏み出しの角度や、リターンの距離感。左のカウンターのタイミング、などなど。
マルチネスと比べるとスタイリッシュさには欠けるものの、共通点は多い。しかもマルチネスほど激しく動き回るわけでもないので体力消費も抑えられそうである。

うん、このスタイルはなかなかいいんではないかい?
知らんけど。

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スピード系テクニシャンのキャリアをうまく歩んでいるハスキンス。これは安定政権突入か?

以前にも申し上げたと思うが、長期防衛と複数階級制覇が評価されるボクシング界において、効率のいいスタイル構築は必須である。選手寿命と自身の健康を考慮すれば、どこかで必ず省エネの方向に転換せざるを得ない。

特に防御勘とスピードが持ち味の選手はその傾向が強い。キャリア後期に入るに従って徐々にオーバーなアクションを控え、一瞬だけパワーを爆発させる省エネスタイルに移行していくのである。そして、その最たる例がフロイド・メイウェザーやアンドレ・ウォードだ。

「最強のクソ試合製造機アンドレ・ウォードさんが本日も安定の完封。ブランドを寄せつけずに大差判定勝利!!」

いわゆるそれを「円熟期」と呼ぶのだと思うが、32歳のハスキンスもそろそろこの段階に入ってきたと言えるのだろう。

逆にスピード系のテクニシャンがうまく方向転換できない場合は、キャリア後半が一気に辛くなる。
身体能力や反射神経の衰えで被弾が増え、ダメージの蓄積によって耐久力も低下する。
スピードや身体の反応は衰えているのに、スタイルだけは全盛期のまま。そのせいで試合ごと、ラウンドごとの安定感がなくなり、好不調の波が激しくなる。

「前回の試合ではよかったのに今回は全然だめだった」
「前回は引退間近だと思ったけど、まだまだやれる」
安定感のなさゆえに激闘が増え、試合のたびに評価が乱高下するのである。

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日本人選手で言うと長谷川穂積や八重樫東がそれに当たるのだが、47歳でいまだにリングに上がり続けるロイ・ジョーンズも同じ部類に入るのではないかと思う。

「八重樫の試合にイラつく…。テクアペトラ程度に激闘王って、ただの泥試合だろ」

その点今回のリー・ハスキンスは、いわゆる「技巧派ボクサーのスタイルチェンジ」をうまくクリアできたパターンで、これなら安定的な長期政権に突入できるのではないだろうか。

と思ったら、無事後半失速。

形勢逆転? リー・ハスキンスが失速。というより、スチュアート・ホールが圧力を強めたのか

見切りのよさと瞬間のスピードで序盤から優勢に試合を進めていたハスキンス。だが後半に入るとこれまで劣勢だったホールがプレスを強める。ハスキンスの動きが落ちるとともに、相対的に試合の流れが変わる。

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ガードを高く上げ、ハスキンスの右側に左足を踏み込んで退路を塞ぐ。ハスキンスと正対したところで左を最短距離で打ち込み、ロングの右につなぐ。
ハスキンスも持ち前の野性的な右で応戦するが、プレスに押されて上体が立ったまま打つパンチには体重が乗らない。ロープ際に追い詰められ、顎を跳ね上げられるシーンが目立ち始める。

おお、スチュアート・ホールすごい。
英国人的なスタイルというか、硬派なボクサーの元祖というイメージがピッタリの動きである。
もし、全盛期のセルヒオ・マルチネスがゴロフキンと戦っていたら、恐らくこんな感じの展開になっていたのではないだろうか。

「小原佳太がトロヤノフスキーに場外に吹っ飛ばされる!!」

というか、ハスキンスしっかり失速しとるやんけ!!
省エネ極めたんじゃなかったんかい!!

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山中慎介vsリー・ハスキンス妄想中。前半フルマークでも後半の1発で山中にも勝機あり?

結果的には前半の貯金を守りきって勝利を収めたハスキンスだが、後半の脆さは相変わらずと言ったところだろうか。もちろんスチュアート・ホールがよかったのもあると思うが、前半と後半でハスキンスの動きに相当な差があったことも確かである。

どうしても僕は対抗王者である山中慎介との統一戦を妄想してしまうのだが、もし試合が実現したとしたらどうなるだろうか。山中に勝ち目はあるだろうか。

というより、今回の防衛戦も実はアンセルモ・モレノとの再戦ではなく、ハスキンスとの統一戦をこっそり期待していたことを告白しておく。日程的にもバッチリだったし。

「神の左()炸裂でモレノを撃破!! 山中慎介が宿敵とのリマッチを制して11度目の防衛に成功!!」

今回のスチュアート・ホール戦を観る限り、正直山中が判定で勝つのは難しい。岩佐亮佑同様、恐らく前半はフルマークに近いほどの劣勢を強いられるのではないだろうか。

だが、申し上げたようにハスキンスは中盤以降、ガクッとペースが落ちる。
つまり山中が狙うのは後半KOである。

岩佐はハスキンスが完全に体力切れを起こす前にドンピシャのタイミングでカウンターをもらってしまったが、そこさえ気をつけていれば、この選手に強烈な1発はない。

となると、山中必殺の「神の左()」炸裂という期待感が沸き上がるわけである。

「言うほどいい試合かこれ? 長谷川穂積がウーゴ・ルイスから王座奪取!! すまん長谷川、あんまり感動せんかった」

動きが鈍り、バックステップにキレがなくなったハスキンスに、レンジの長い山中の左が届く。試合後半のどこかでそんな瞬間がやってくることを期待せずにはいられない。

11R1分52秒。
山中慎介の大逆転KO勝利!!

こんな感じで山中の逆転勝利を期待してしまうのだが、どうだろうか。

「大森がハスキンスに挑戦!! エストラーダ埋蔵金出ました。やりたい放題のくそったれ英国紳士をぶっとばせ」

まあ、たぶん試合自体が実現しないと思うんですけどね。

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