ゴロフキンvsレミュー予想!! ミドル級注目の強打者対決、その行方は?

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夕立イメージ
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ゴロフキンvsレミューの豪打対決を勝敗予想してみよう!!

2015年10月17日、米国ニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)にてWBAスーパー王者のゲンナジー・ゴロフキンとIBF王者のデビッド・レミューの王者統一戦が行われる。

ミドル級最強の呼び声高いゴロフキンは14連続KO防衛中の絶対王者。対するレミューは前回のタイトルマッチでハッサン・ナダム・ヌジカムから4度のダウンを奪うなど、同階級きっての豪打が持ち味の26歳。KO必至のエキサイティングな一戦になること請け合いである。

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予想はゴロフキンの中盤KO勝ち。両者には歴然とした実力差がある

予想から申し上げると、試合中盤でのゴロフキンのKO(TKO含む)勝ちでいきたいと思う。

元も子もない話なのだが、レミューがゴロフキンに挑むのははっきり言って無謀だ。攻防分離のレミューのスタイルではとてもじゃないがゴロフキンには通用しない。
先日のハッサン・ナダム・ヌジカム戦は今年のベストファイトだと申し上げたばかりだが、残念ながらおもしろい試合とハイレベルな試合が必ずしも一致するわけではないのである。

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試合開始から3Rくらいまでは威勢よく前に出るレミューだが、何をやってもゴロフキンには通用せず、そのうち蛇に睨まれた蛙のようにガードを固めてプレッシャーに圧されまくる展開になるのではないか。
そして試合中盤にはボディ、顔面とゴロフキンにいいように殴られ続け、最後はカウンターの右フックを豪快に被弾してマットに沈むという結末。結果的に盛り上がるのは1~3Rまでで、ぐうの音も出ないほどのゴロフキンの圧勝に終わると予想する。それくらい両者には歴然とした力の差があるのだ。

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前にも言ったが、ゴロフキンにパンチは当たる。だが、レミューのパンチでは無理だ。
直線的な動きとは対照的に、レミューのパンチは身体の外側を旋回する左右のフックが中心である。この軌道ではゴロフキンのガードを突き破ることは不可能だろう。

ゴロフキンにパンチを当てるには、いかにガードの真ん中をまっすぐ最短距離で打ち込むことができるかにかかっている。どれだけコンパクトなストレートを腰を入れて打てるか。相反する二つの動作を同時に行う必要がある。
両腕にミサイルの発射台を搭載しているレミューではあるが、打ち方を相当工夫しない限り今までのゴロフキンの対戦相手と同じ道をたどることは避けられそうにない。

先日の記事でさんざん村田諒太は強くないと申し上げておいてアレなのだが、レミュー相手であれば村田にも多少可能性があるのではないだろうか。

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あの突進をガードと身体の強さで防ぎきれば、得意のワンツーとボディで勝利への道をこじ開けることができるかもしれない。
まあ、プロモーターの関係で対戦する可能性は非常に低いし、そもそもレミュー側に村田と試合をしている時間はなさそうではあるが。

ゴロフキンのボクシングは冷酷な詰め将棋。相手を無慈悲に蹂躙してから叩き潰すスタイル

ゴロフキンのボクシングは言ってみれば高度な詰め将棋だ。
相手の退路を1つ1つ断っていき、十分に絶望感を味わわせてから容赦なく叩き潰す。冷徹かつシステマティックな攻防兼備の万能型ボクサーである。

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足を使う相手には、左右どちらかを重点的に攻撃することで徐々に一方向にしか動けなくしておいて、もう一方の大砲でドカン。

積極的に打ち合う相手には、正確無比な左リードを続けざまにねじ込んで出鼻を挫く。無数のフェイントの中に本物の左を織り交ぜて的確にヒットさせていくイメージだ。

いずれの対戦相手もガードの奥からのぞくゴロフキンの視線と威嚇のフェイントに身体が硬直し、いつの間にかゴロフキンの正面に立たされる。最後はゴロフキンのプレッシャーによって自分から手が出せなくなり、コンビネーションの集中砲火を浴びるというパターンである。

2、3回ダウンを奪われれば挑戦者の心はほぼ折れる。後は頃合いを見計らって鈍器を思わせる左右の拳を叩きこんでフィニッシュだ。

対戦相手としては、じわじわとなぶられた揚句に最後にその日一番の大砲を叩きこまれる感覚だろう。一切の体温が感じられない冷酷なボクシングである。

このスタイルを実践できるのも、ゴロフキンのバランスのよさによるところが大きい。
パンチを出した後のオンガードへの戻りが速く、どんな角度からでも強いパンチが打てる。例えパンチを外されても身体が流れることはなく、すぐに態勢を立て直す。空振りしても慌てることなく、落ち着いて攻撃の組み立てをスタートする。

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コーナーに追い込んでのラッシュもすばらしい。
顔面に数発、軽いパンチを当てておいてから左ボディをねじ込む。このコンビネーションの強弱が本当にえげつない。かと思えば、身体ごと吹っ飛ばすような右フックをいきなり叩きこんだりもする。
変わり果てた姿で自分のコーナーに戻る挑戦者が不憫にすら思えてくる。

前回の試合はゴロフキンの調子が悪かったんじゃない。ウィリー・モンローJr.が強かったのだ

2015年5月に行われたゴロフキンvsウィリー・モンローJr.の一戦。結果的に6RでゴロフキンがKO勝ちをおさめた試合だが、この試合でのゴロフキンは非常に動きが悪かったという評価を受けている。ウィリー・モンローJr.の思わぬ反撃を受け、ぐらつく場面すら観られた。こんなことはゴロフキンのキャリアでも初めての事態だったのではないだろうか。
これを受けて、識者のみなさんは口々に「ゴロフキンの動きが悪かった」という評価を下した。

ただ、僕の感想はちょっと違う。こちらの記事でも申し上げたが、ゴロフキンの出来が悪かったのではない。ウィリー・モンローJr.が強かったのだ。

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このモンローという選手、実はかなりレベルが高い。テレンス・クロフォードやエリスランディ・ララを思わせるスタイルで、ゴロフキンのキャリアの中では間違いなく最強の挑戦者だった。

個人的に、これほどの選手が大して注目もされずにくすぶっているミドル級の現状が悲しい。しかもあれだけ健闘しておきながら「ゴロフキン相手には役不足だった」「今回はゴロフキンの動きがおかしかった」と言われてしまう始末。嘆かわしいことこの上ない。

この試合は確かWOWOWの中継で観た覚えがあるのだが、実況や解説が明らかにゴロフキン寄りでイライラしたことをよく覚えている。

「ゴロフキンがおかしいですね」
「今日のゴロフキン、ちょっと調子が悪いみたいです」

違うだろうと。ゴロフキンの調子が悪いのではなく、モンロー・ジュニアが強いんだよと。

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いつかダニエル・ジェイコブスあたりとマッチアップして、才能の違いを見せつけてもらいたいと思っている。まあ実現はしないだろうが。

レミューはひたすら前進を続けたい。「今日はちょっと違うぞ」とゴロフキンに思わせたい

レミューが有利に試合を進めるには、左をどれだけ正確にヒットできるかに活路を見出すしかないのではないだろうか。フックではなくストレート。ゴロフキンのガードの真ん中を通す直線的なパンチを打ちたい。
そして、打ち終わりにいかに速くガードの姿勢に戻るかも重要になる。レミューは左を打った後のガードの戻りが遅いので、そこをゴロフキンに狙われる可能性は非常に高い。

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とにかく何度跳ね返されてもめげずに前進して手を出し続けることである。上述したようにガードを固めて後退する展開になれば、ゴロフキンのフックがガードの外側からこめかみに飛んでくる。そしてコーナーに詰められていつものラッシュの餌食である。この必勝パターンに持ち込まれないために、レミューは無理をしてでも前に出続けなくてはならない。そして、左のリードから相打ち狙いの右につなげる。そのくらいしかレミューがゴロフキンに勝つ方法はないように思える。

「今日はいつもの相手と一味違うぞ」
ゴロフキンにそう思わせることが、勝利への活路を見出す第一歩になるのではないだろうか。

強打者対決として注目を集める一戦だが、実際はレミューが奇跡を起こせるかどうかが焦点になる試合といっても過言ではない。

とはいえ、ミゲール・コットとサウル・アルバレスに袖にされ、メイウェザーにも相手にされなかったゴロフキンにとっても待望のビッグマッチである。チケットの売れ行きも好調という話だし、ぜひともエキサイティングな試合を期待したい。

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