ガルシアvsサーマン感想!! 才能の塊キース・サーマンがパワーでダニー・ガルシアを置き去りにする。まあそうなるよな【結果】

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カウンターキッチンイメージ
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2017年3月4日(日本時間5日)に米・ニューヨークにあるバークレイズ・センターで行われたWBA・WBC世界ウェルター級王座統一戦。
WBA同級スーパー王者キース・サーマンvsWBC王者ダニー・ガルシアが対戦し、2-1(116-112、115-113、113-115)の判定でキース・サーマンが勝利した試合である。
 
序盤から持ち前のスピードを活かしてパンチを打ち込むサーマンに対し、ガルシアは得意のカウンターを合わせていく。だが、局面局面でサーマンのスピードが上回り、ガルシアのパンチがわずかに届かない。
 
中盤以降、サーマンの動きに対応したガルシアがボディを中心とした攻めで反撃に出る。サーマンもガルシアのプレッシャーに圧されながらも、ロープ際でスピーディなサイドステップを駆使して的を絞らせない。
 
お互い一歩も引かずに迎えた終盤。
ラスト2Rを足を使った安全策で逃げ切ったサーマンが僅差判定で見事に勝利を飾った。
 
これで王座統一を果たしたサーマン。
今後はもう1人の対抗王者であるケル・ブルック、新進気鋭のエロール・スペンスとの激突が期待される。
 

持ち前のスピードを活かしてサーマンが終始試合をコントロールし、僅差判定勝利を飾る

サーマン勝利!!
ダニー・ガルシアはキャリア初の黒星を喫する!!
 
とりあえず率直な感想を。
「まあ、そうなっちゃいますよね」
 
うん。
だいたい戦前から言われていた通りの試合展開で、言われていた通りの結果が出た試合と言っていいのではないだろうか。
 
久しぶりのエロール・スペンスJr.がダニー・ガルシア相手の防衛戦。ダニガルさんも結構がんばると思うけど、スペンスのコンディション次第ですかね
 
僕も予想記事であれこれ妄想してみたのだが、結局これと言ったサプライズもなく。
スピードとパワー、手数に勝るキース・サーマンがダニー・ガルシアのカウンターをかいくぐってポイントアウトで勝利したという試合である。
 
とりあえず試合展開としては、
序盤2、3Rまではキース・サーマンが持ち前のスピードと手数で煽りまくり、様子見のダニー・ガルシアの度肝を抜く。
 
突然の右を顔面に。
そのまま膝を曲げて、沈み込むようなダッキングでガルシアのカウンターを回避。
身体中のバネを発動させて距離をとる。
 
サーマンのスピードに慣れていないガルシアは、この動きについていけない。
必死にパンチを返すのだが、サーマンの勢いに圧されて後退させられてしまう。
 
中盤4、5Rになると、ガルシアが対応力を発揮して徐々にペースを取り戻しにかかる。
だが、前半からガンガン攻めていたサーマンは、このラウンド辺りから慎重なスタイルに切り替える。なるべくガルシアの危険地帯には立ち入らず、中間距離での連打は2、3発まで。
遠い位置から踏み込み、パパッと打ってさっと離れる。
ボディ狙いのガルシアとなるべく正対せず、打つ瞬間に身体を捻って背中で受ける。
 
そして終盤。
ポイントでリードしていると確信したサーマンが、11Rから足を使った持久走作戦をスタート。
ガルシアの周りを左回りにサークルしながら、目くらまし程度の細かいジャブを出す。
 
追い足のないガルシアは前後左右に動くサーマンを完全に持て余す。
射程距離にサーマンを捉えることができず、時間だけが無情に経過していく。
最後はブーイングも聞かれる中、試合終了のゴングが鳴る。
 
何と言うか、キース・サーマンが自分の持ち味を活かして終始試合をコントロールした試合である。
 
特にダニー・ガルシアの得意な中間距離で打ち負けなかったのは大きい。前半3Rなど、あの距離でガルシアのカウンターを恐れずに打ち合うサーマンの勇敢さは少し意外だった。
 
ただ、想定以上と言えるのはそのくらいで、概ね戦前の予想通り起伏の少ない試合だったと思う。
 

勝敗のカギはガルシアのパワーがサーマンに通用するか。結論は……ダメでした

今回の試合、勝敗のカギを握るのはダニー・ガルシアのパワーがキース・サーマンに通用するか。ウェルター級では若干パワーレス気味のガルシアがナチュラルなウェルター級のサーマンにフィジカルで対抗できるかだと思っていた。
 
そして、結果的に「ガルシアはサーマンのパワーに屈した」「ウェルター級トップ戦線でのパワーレスぶりを露呈した」というのが僕の感想である。
 
「マン振り魔人ダニー・ガルシアがサミュエル・バルガスを圧倒! あれだけ躊躇なく振り回せる選手は驚異的」
 
1R開始30秒。
サーマンの打ち終わりの右に合わせたガルシアの右カウンター。
ガードの上からではあったが、サーマンのテンプル付近を捉えた1発である。
 
だが、サーマンはこれに動じる様子をまったく見せない
それどころか、そこからどんどん積極的に踏み込んでパンチを振り回すのである。
 
タイミングや角度など、ガルシアにとっては試合開始直後に相手をビビらせるにはこの上ない1発だったはず。
だが、それが何の脅威にもなっていないのである。
恐らく、サーマンはあのファーストコンタクトで「これなら大丈夫だ」と感じたのではないかと思う。
 
相当ヤバい角度でもらわない限り、多少の被弾なら耐えられる。
ガルシアは所詮下の階級から上がってきた急造ウェルター級。
自分のパワーとスピードがあれば何とでもなる。
 
実際、それ以降のサーマンはガルシアのカウンターをそこそこ被弾している。
僅差の判定結果を見れば、両者のヒット数やヒット率に大きな違いはなかったことは明白である(ホントに?)。
 
ただ、それでも終始試合をリードしていたのはキース・サーマン。
ガルシアのカウンターをもらってもケロッとパンチを返し、常に主導権を握り続けていたのである。
 
ガルシアにとってみれば、必殺のマン振りで脅威を与えられなかったのは本当に痛かった。もう少しカウンターのフルスイングでたじろがせることができれば、サーマンを守勢に回らせてガス欠に追い込む可能性もあったと思うのだが。
 
ある意味、この試合は開始30秒のファーストコンタクトで両者の序列が決まったと言っても過言ではないのかもしれない。
 

ザブ・ジュダーさんの後がま決定!! キース・サーマンには「才能だけで勝ち続ける人大賞」を正式に授けるぞ

毎回思うのだが、キース・サーマンという選手の才能は本当にすごい
この階級であれだけの身のこなしと攻撃センスを持った選手はなかなかいないと思う。
 
あれだけ大きく踏み込み、あれだけ大きく沈み込み、あれだけ大きく距離をとる。
いきなりの右のダブルや左のボディのカウンターなど。基本もクソもなく、おかしなタイミングで信じられないほど多彩なパンチを打ち込む。
「空いてるところを見つけました」と言わんばかりにさまざまな角度からスピーディなパンチをヒットし、さっと離れる。
 
「スペンス圧勝!! ケル・ブルックを一方的にコントロールしてウェルター級最強対決に勝利」
 
しかも、あれだけオーバーアクションで動き回ってもほとんどバランスを崩すことがない。
身体能力の高さやセンスはマジでずば抜けてると思う。
 
全部感覚だけだけど。
 
恐らく今回の試合も、サーマンは「ダニー・ガルシアの作戦を受けて対応を変えている」わけではない。
序盤をオーバードライブで煽りまくったのも、中盤から踏み込みを浅くして安全圏をキープしたのもすべてその場の感覚。さまざまな角度から打ち込む多彩なパンチ、ボディ狙いに対して身体を捻る動きも全部感覚だ。
 
そして、その感覚のみで勝ち続けた結果、ついにウェルター級統一王者までたどり着いてしまった。とんでもない才能である。
 
というわけで今回、キース・サーマンには正式に「才能だけで勝ち続ける人大賞」を命名したいと思う。これだけの実績を残せば天才ザブ・ジュダーの後がまとしての務めを立派に果たしてくれるはず(何のこっちゃ)。
 
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