“カネロ”・アルバレス、コットに大差判定勝ち!! 最高峰の技術戦に完勝し、王座獲得!! ボクシング界の主役が今日も輝く【結果】

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WBC世界ミドル級タイトルマッチが21日(日本時間22日)にアメリカ・ラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテル&カジノ・イベンツセンターで行われた。

サウル・“カネロ”・アルバレスが前王者のミゲール・コットを3-0の判定で下し、新チャンピオンとなった。
なお判定結果は117-111、119-109、118-110と大差がつき、アルバレスの攻勢点が評価された形となった。

新王者のアルバレスはこれで2階級制覇を達成。戦績は48戦46勝1敗1分となり、今後、暫定王者のゲンナジー・ゴロフキンとの統一戦が期待される。

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本当にこの2人が試合してるよ!! 我々の夢を叶えるマッチメーク

まず最初に申し上げたいのは、本当にこの試合が実現したことがびっくりしたということである。
試合開始のゴングを聞いても、どこか夢見心地で画面に見入ってしまっていた。
あのミゲール・コットと“カネロ”・アルバレスが同じリングで対峙しているのだ。まるで、PFPの妄想を実現したかのような光景である。

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体重制の競技であるボクシングにおいて、すべての選手が同じ体重だったらという妄想はどこまでもつきまとうもので、その夢を少なからず実現してくれた2人のファイターに拍手を送りたい。試合開始早々、そんなことを考えてしまった。

内容としては、コットがアルバレスの周りを回り、アルバレスがそれを追う展開。
試合前はコットは至近距離でのコンビネーション勝負を挑むと予想していたのだが、びっくりするくらい外れてしまった。

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ダニエル・ギールにあれだけ何もさせずに倒しきったコットであればアルバレス相手でも接近戦でやれる。そう考えていたのだが、予想以上にアルバレスのプレッシャーはキツかったということだろう。
そして、あの試合のギールはやはり減量苦でどうにもならない状態だったのかもしれない。

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結果的に思った以上にポイント差がついた試合だったが、アルバレスの勝利は動かないものだった。高度な技術の応酬の中、各局面でわずかにアルバレスがコットを上回った結果、大差がついた。そういう試合だったのではないだろうか。

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アルバレスが体力差と技術でコットをわずかにリード

よく見ているとわかるのだが、前半のアルバレスは右フックをタイミングをワンテンポずらしてコットの側頭部に打ち込んでいる。つまりフックを出した際に一瞬パンチを止めて、コットのガードが下がった瞬間を狙って打ち込んでいるのだ。
結果的にクリーンヒットしているわけではないが、このフェイントは実に効果的だった。後半に入ると、左のフックを出すと見せかけて、途中から右ボディにつなげるコンビネーションを見せるのだが、まさしくこのパンチの伏線になっていたのである。

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大差判定を聞いた際は「おや?」と思ったのだが、見直してみてわかった。
なるほどである。これはアルバレスの圧勝だ。

パンチ力、身体の大きさだけではない。
テクニックでもアルバレスはコットを上回っていた。
局面局面での駆け引きにおいて、アルバレスは常にコットの一歩上をいっていたのだ。

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アルバレスの周りを軽快なフットワークで回るコット。だが、アルバレスの長いパンチをスウェーで避けきれていない。
確かにコットのパンチもアルバレスの顔面を捉えてはいる。捉えてはいるが、アルバレスがうまく身体をずらしたり首をそむけたりして芯を外しているのだ。
各ラウンドに明確な差があるわけではないが、あえてどちらかに振り分けるのであればアルバレス。そういう試合だったのである。

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試合後の両者の表情を見れば一目瞭然だ。
解説陣も言っていたが、アルバレスは非常にきれいな顔をしている。コットのパンチはアルバレスに当たっていないのだ。
逆に紅潮したコットの顔がそれを如実に物語るように、アルバレスのパンチは要所でコットを捉えていたのである。

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接近戦ではコット。だが、身体の力に差があり過ぎた……

絶えず身体の位置を変えながらシャープなパンチを打ち込むコット。だが、アルバレスの反応が速く、どうしてもクリーンヒットを奪えない。
対するアルバレスもなかなかクリーンヒットをすることはできないが、距離の長いパンチが要所でコットの顔面を跳ね上げる。特に3R以降は距離感を掴んだアルバレスのパンチがコットの顔面を捉えるシーンが目立つ。
 
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コットは至近距離で多彩なコンビネーションを打ち込み、アルバレスをかく乱する。これは予想通りだった。やはり近づいて打ち合えば、コットの手数がアルバレスを上回るのだ。

だが、決定的に圧力が違うのだろう。コットはその場に長く留まることができない。すぐに距離を取り、遠い位置で足を使うスタイルに戻ってしまうのだ。アウトボクシング自体は悪いとは思わないのだが、距離感を掴んだアルバレスを完全に攻略することはできない。
局面局面で打ち負けるコット。流れは徐々にアルバレスへと移行していく。

アルバレスのボクシングはコットと比べるとやや幅が狭いと言われていたが、はっきり言ってそんなことはお構いなしである。単純にコットのアウトボクシングより、いつも通りどっしりと構えるアルバレスの方が上なのだ。

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至近距離での打ち合いではやや上をいっていたコット。試合開始からコンビネーションの打ち合いを挑めばコットは有利に試合を進められたのかもしれない。
だが、この階級ではどうしても力負けしてしまう。それを考えると、あの戦い方になってしまうのは致し方ないと言わざるを得ない。
 
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アルバレスは顔面を打たれることを極端に嫌がる傾向がある。
相手がまっすぐ攻めてくると、ガードを下げて無防備に後ろに下がる癖があるのだ。上半身の動きだけでパンチをいなそうとするため、踏み込みの強い相手のパンチをモロに受けてしまうのである。
7Rの前半あたりにコットが前に出るシーンがあったが、あれこそまさしくアルバレスの悪い癖が出た瞬間である。コットとしてはあの攻撃をどんどん続ければよかったのだが、結局アルバレスの圧力を受け止めきれずに下がってしまう。やはり体力差というものが決定的な差を生んでいたようである。

コットは残念ながらメイウェザーのような体格差を埋めるほどのスピードも反射神経も持ち合わせてはいなかったのだ。

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コットの攻撃を読んだアルバレスが至近距離でも打ち勝つ

コットの飛び込み際に一歩下がって距離をとり、アッパー、フックをカウンターでヒットするアルバレス。さらに前に出てくるコットを押し返して側頭部にフックを当てる。
8Rに入ると、リズムに乗ったアルバレスがコットの攻撃を完全に見切り、絶対的に試合を支配し始める。

これにはちょっと驚いた。
コットが勝機を見出すには接近戦しかないと思っていた矢先のことで、コンビネーションで打ち負ける姿は予想していなかった。

踏み込んで出すコットの左を、左にステップして避けるアルバレス。そして左に身体を傾けたままボディを突き刺す。アルバレスの得意のパンチである。
要所でこの的確なパンチが飛んでくるため、コットはどうしても近づいてコンビネーションを続けることができないのだ。

至近距離での打ち合いですらコットを上回るアルバレス。
まるでコットという師匠を踏み越えていく若き天才。そういった様相である。

防御面を見ても、両者それぞれに特徴があって非常におもしろかった。
ボディワークとパーリング、そして上体の柔らかさでパンチを避けるアルバレス。
対するコットはガードとフットワークを使ってアルバレスのパンチを防ぐ。
頭の位置を変えて、パンチが当たる瞬間に芯をずらしてヒットを許さないアルバレスに対し、コットはガードの上を叩かせることで被弾を防ぐのだ。

試合後にコットの顔面が腫れ、アルバレスがきれいな顔をしていたのにはその辺りにも理由があるのだろう。
身体に当てさせないアルバレスと身体に当てさせてパンチを防ぐコット。パワーの差はもちろんだが、もしかしたらこの差がそのままポイント差になって表れたのかもしれない。

左、右と軽いジャブやボディを打ち分けながら、最後に力強い右を打ち込むアルバレス。強弱をつける巧さもアルバレスの持ち味である。
コットはアルバレスのプレッシャーがキツすぎるのか、試合後半はやや攻めが単調になったように感じる。

11Rに入ると、恐らくアルバレスはほぼコットのタイミングを覚えたのだろう。コットが踏み込んでくる瞬間に自分も一歩前に出てスペースを潰すことで、コットに思いきりパンチを振らせない。そして力強いジャブでコットを押し返し、自らの距離に釘付けにするのである。
何度も突進を試みるコットだが、そのたびにタイミングよくアルバレスに距離を潰され、うまく手を出すことができない。
お互い有効なパンチは少ないラウンドではあったが、どちらかと言えばアルバレス寄りだったのではないだろうか。

各局面でわずかに上回ったアルバレスが結果的に大差判定での勝利

最終12R。
接近戦で積極的に打ち合う両者。
だが、やはり身体全体の圧力はアルバレス。コットは距離を取らざるを得ない。

パンチが交錯する瞬間、コットの右がアルバレスにヒットする!!
対するアルバレスはやや狙い過ぎて手数が少ない。

ラウンド終盤、アルバレスの左ボディがコットを捉える!!
コットの足が止まる!!

これを見たアルバレスが前に出る!!
手数とフットワークで応戦するコット。

アルバレスのプレッシャー。
フックの相打ち!!
パワー負けしたコットが下がる。

大歓声の中、最後の打ち合い。
そして試合終了のゴング。
最高峰の技術戦。
ナイスファイトだ。

117-111、119-109、118-110。
3-0でアルバレスの勝利。

見ての通り、思った以上に差がついた試合だった。

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技術的には互角、もしくはわずかにアルバレスが上。そして決定的だったのは2人の体格差。
試合を通してコットのコンビネーションに見事に対応してみせたアルバレス。ディフェンス面といい、まだまだ伸びシロを感じさせる若きボクサーである。

体格差とボディワーク、そして試合中の対応力の結果、アルバレスの完勝。そういう試合だったのではないだろうか。

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おもしろい試合だった。
エキサイティングさという意味では三浦vsバルガス戦には及ばなかったものの、今後のボクシング界を背負うであろうアルバレスと、長年ボクシング界を背負ってきたコット。新旧の雄が持てる技術を存分に披露した好試合だったと思う。

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