激戦のアレクサンダーvsベルト。思った以上におもしろかったし、思った以上に泥試合だった【結果・感想】

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ボディビルダーイメージ
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2018年8月4日(日本時間5日)、米・ニューヨーク州で行われたWBC世界ウェルター級挑戦者決定戦。デボン・アレクサンダーとアンドレ・ベルトによる元王者対決は2-1(115-112、115-112、113-114)のスプリット判定でベルトが勝利。生き残りサバイバルの一戦を制し、トップ戦線に踏みとどまった試合である。
 
 
初回から鋭いリードの差し合いを展開する両者。
アレクサンダーがガードの外側から右をヒットすれば、ベルトも打ち終わりにワンツーを返す。
 
3Rにはアレクサンダーの左がベルトの顔面にヒット。グラついたところに追撃を浴びせ、この試合唯一のダウンを奪う。
 
すぐさま立ち上がったベルトだが、ダメージが深く足元がおぼつかない。
再三のクリンチで回復を図りながらラウンド終了を待つ。
 
 
それ以降、リードの差し合いをあきらめ身体を密着させての接近戦を挑むベルト。
のしかかるように体重をかけ、アレクサンダーの動きを封じる。
そして離れ際にフックをヒットし、パワー不足のアレクサンダーを徐々に追い詰めていく。
 
前半リードを許すものの、後半の強引な攻めで最後はベルトが逆転に成功。
スプリット判定で勝利し、見事王座挑戦権を獲得した。
 
「井岡vsアローヨ予想。すごい試合になりそう。てか、がんがれ井岡一翔。とにかく勝つしかないぞ。めっちゃ期待してる」
 

アレクサンダーvsベルトはやっぱり大激戦。まったく話題にはなってないけど、個人的には満足できた試合だった

「この試合は意外とおもしろいんじゃない?」
「たぶん大接戦になる」
などと申し上げたデボン・アレクサンダーvsアンドレ・ベルト戦。
 
ファンの間ではほとんど話題にすらなっていないが、個人的にはかなり楽しみにしていた一戦である。
 
「意外と楽しみなアンドレ・ベルトvsデボン・アレクサンダー。どっちが勝ってもスペンスには歯が立ちそうにないけど」
 
そして、結果的には期待に違わぬ大激戦。
勝敗予想は思いっきり外したが、それも含めて満足の試合だった。
 
まあ、ウェルター級のスケール感はまったくないし、恐らく両者に思い入れがない人にはちっとも楽しくなかったとは思うがww
 

すげえ泥試合ww 中間距離でリードの差し合いが繰り広げられると思ったのに、わずか1Rで終わっちゃった

まず今回の試合、予想記事でも申し上げた通り、両者のリードの精度が勝敗を分けるのではないかと思っていた。
 
お互いに鋭いリードはあるが、フィジカル面は心もとなく接近戦が苦手。
過去、両選手ともショーン・ポーターにゴリ押しのマン振りでねじ伏せられた経験を持つ。
 
なので、恐らく勝負は中間距離。
漠然とだが、リードの差し合いで上回った方が有利になると予想していた。
 
そして、概ねその通りの展開で試合は進んでいった。
1Rまでは。
 
「マイキーvsイースター感想。イースターがんばった。マイキーは淡々と左を出し続けて勝利。やっぱりイースターじゃ厳しいよな」
 
いや~……。
何すかね? この泥試合ww
 
近場でのもみ合いがめちゃくちゃ多い。
まさかこの両者の試合がこんな感じになるとは。
 

2Rからベルトが流れを変える。リードの勝負をあきらめ、接近戦でのもみ合いを挑む

とりあえず、リードの差し合いで上回ったのはアレクサンダーの方(だったと思う)。
 
つま先が交差する位置で対峙し、右のリードの連打から左を打ち込むタイミングを測る。
アレクサンダーの右にベルトが左を被せ、さらにその戻り際を狙ってアレクサンダーが左を打ち込む。
ベルトも右の大振りで応戦するが、アレクサンダーのスピーディな右に対処しきれない。
 
各局面でわずかにアレクサンダーがベルトを上回り、このまま優位に進めるのでは? と思わせる立ち上がりだった。
 
ところが2R(正確には1Rの後半)に入ると、さっそく流れが変わる。
ベルトが中間距離での差し合いをあきらめ、接近戦でのもみ合いを挑む。
 
アレクサンダーの初弾に合わせて踏み込み、同時に左をねじ込む。
身体を密着させた状態から肩でスペースを作り、強引に腕を振る。
必ず先に手を出し、低い姿勢で下から突き上げアレクサンダーを後退させる。
 
そして片腕でアレクサンダーの腕を抱え、反対側の腕で離れ際にフックをもう1発。
 
泥試合の中でも常に優位な状況を維持し、同時にアレクサンダーに連打の機会を与えない。
ウェルター級ではフィジカル不足のアレクサンダーを攻略するには最適な方法である。
 

パワー不足が顕著なアレクサンダーさん。対策がバレバレ過ぎて、ウェルター級ではどうにもならない感じ


対するアレクサンダーについてだが、こちらは「おお…、もう……」としか言いようがない。
 
何度も申し上げているように、この選手の弱点は致命的なフィジカル不足。
鋭いリードと高回転のコンビネーションはすばらしいが、相手の圧力を抑えきれずに押し込まれるシーンがあまりに多い。
 
「カーンとダウンはセットや!! カーンvsバルガス、ポーターvsガルシア振り返り。え? 松本亮負けたの?」
 
特にウェルター級進出以降は突進力のある相手を大いに持て余し、持ち味の高回転の連打を出させてもらえない。
 
恐らくだが、本人の理想はエロール・スペンスJr.の上位互換。
リードの右でスペースを確保し、十分にプレッシャーを与えたところで山ほど連打を叩き込む。
左右への動きの少なさを手数と見切りで補い、相手を圧倒するスタイル。
 
だが、2013年にショーン・ポーターに敗れて以降は2勝4敗1分。
2014年のアミール・カーン戦以外はすべて接近戦で押し切られての敗戦である。
 
もうね。
ここまで対策が知れ渡っていると本当にキツい。
 
1発目の戻り際に距離を詰められ、腕を掴まれ動きを封じられる。
もみ合いで押し込まれ、反対側の腕でフックを被弾。
さらに離れ際にもう1発。
 
今回はアンドレ・ベルトが相手だし、さすがに大丈夫だろうと思っていたのだが、まったくそんなことはなく。
もはやウェルター級でアレクサンダーが持ち味を発揮できる機会は皆無と言ってもいいような気が……。
 
試合を優位に進めるには最初の交錯で上回るしかないのだが、後半になればなるほど疲労は溜まるし相手も慣れる。
今回も5、6Rくらいまではハンドスピードで何とかなっていたが、それ以降はベルトのパワーに押し切られてしまった。
 
何度も申し上げているように、ベルトはパワー型の選手ではなくむしろその逆。
中間距離での差し合いでペースを掴むタイプで、しかもラフな突進に露骨に顔をしかめるような神経質な一面もある。
そのベルトにまでパワーで押し切られてしまっては、ちょっとどうしようもないなと。
 
もう少しクリンチがうまければまた違ってくるのかな?
よくわからんけど。
 
「ビボルvsチレンバ感想。おいおい、チレンバ次は勝てるんじゃないか? いい試合だったな。ビボル勝利は文句ないけど」
 

試合はおもしろかったです。両者の「負けられない」気持ちが伝わる大激戦


とはいえ、表題の通り試合自体はおもしろかった。
 
両者の気合は十分伝わってきたし、実力伯仲の大接戦だったのは判定結果を見れば明白。
 
ラスト12Rの打ち合いなど、お互いが防御を考えずにフルスイングする光景はなかなかエキサイティングだった。
 
1発当たれば終了するようなパンチが鼻先を通過し、同じタイミングでマン振りのフックを返す。
立ち上がって応援する観客の盛り上がりも印象的で、僕も満足の一戦である。
 
てか、何だかんだでアンドレ・ベルトさんは10年間ウェルター級のトップ戦線に居続けてるんだよな。
さすがにIBF王者エロール・スペンスには歯が立たないとは思うが、勝ったり負けたりを繰り返しながらもここまでたどり着いたことは称賛されるべきかと。
 
もちろんS・ライト級とウェルター級の2階級を制覇したデボン・アレクサンダーもすごいし、両者とも名選手であることは間違いない。
 
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ちなみにだが、エロール・スペンスJr.vsアンドレ・ベルト戦が実現した場合、勝敗予想はスペンスの5RKO勝利でお願いします。
 
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